電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

シューベルトの弦楽四重奏曲第2番は20世紀に楽譜が再発見された

2024年04月28日 06時00分34秒 | -室内楽
山形弦楽四重奏団の第91回定期演奏会の曲目の一つ、シューベルトの弦楽四重奏曲第2番の予習をしようと、YouTube 等であれこれ聴いていた時、妙なことに気づきました。昔の有名録音では2楽章しかないのに、近年の新しい動画では4楽章まであるのです。さらに調べてみると、どうやら作曲者の死後、未出版のまま一部が紛失していたものが、1950年代になってスウェーデンという思いがけないところから発見され、1954年に4楽章の形で出版された(*1)のだそうです。そして、この4楽章での初演は1955年といいますから、それ以前の録音であれば2楽章しかないのが当然、ということになります。

なるほどそうであれば、1952年にモノラル録音されているウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団によるこの演奏などでは、2つの楽章しかないのが理解できます。いかにも往年のスタイルの演奏ではありますが、若いシューベルトの劇的な表現は感じ取れます。

Schubert: String Quartet No. 2, Vienna Konzerthaus Quartet (1952) シューベルト 弦楽四重奏曲第2番


このわずか4年後、1956年に録音されたイタリア四重奏団の演奏では、きちんと4つの楽章からなる曲として録音されています。

Schubert - String quartet D.32 - Italiano


古楽ムーヴメントの洗礼を受けた現代における、日本の若手演奏家による動画もありました。竹内弦楽四重奏団による活きのいい演奏です。

Schubert: String Quartet in C Major D32


寄宿学校に入っていた当時の若いシューベルトが、実家に帰った時に家族と演奏するために書いたという弦楽四重奏曲ですが、思いがけない再発見のエピソードもあったのですね。見つけた人の興奮も想像できますし、出版に至るまで、関係者による確認の労力も大変なものがあったでしょう。思いがけず再発見され、完全版として演奏されるようになって良かったね、シューベルト(^o^)/

(*1): 弦楽四重奏曲第2番(シューベルト)〜Wikipediaの解説より


コメント    この記事についてブログを書く
« 山形弦楽四重奏団第91回定期... | トップ | 和田茂夫『魔法のスプレッド... »

コメントを投稿

-室内楽」カテゴリの最新記事