ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

Prison

2017-12-23 | アメリカ事情

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日本に住んでいた時、知っている人の誰かが、刑務所に入っていることはなく、そういう世界はずっと遠くのことと思っていたが、アメリカに住むと、州刑務所が、身近に聞こえるほど、州刑務所で働く人々も多く、勿論服役したことのある人もいる。先日病死したあのチャールス・マンソンほどの極悪人でなくとも、軽犯罪やホワイトカラー犯罪と呼ばれる詐欺や汚職の罪を償う人も、たくさん入所している。

 

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そんな囚人達に更生の道を開く機会も多くある。例えば、蜘蛛の糸を切らないでに書いたように、ユタ州刑務所での家族の歴史図書館での服役囚の働きは、社会に役立つもので、多くの囚人の厳しい心理をやわらげ、被害者への謝罪感も増した。このプログラムは人々の心を明るくさせ、無知故に容易に誤った道に落ちてしまうのを防げるかもしれない希望も与えた。

 

それでも、重大な罪を犯した人々もいるのは冷たい現実である。ある若い女性の系図を頼まれたが、最初にお話しを伺った時、彼女はこう言った。「私の母方の祖父は、妻であった祖母を殺害して、刑務所で服役しているのです。」私は、心の中で、あっと声を上げたが、彼女には、「そうですか。どちらの刑務所かわかりますか?」とだけ尋ねた。よく知らない、と答え、彼女は, むしろその祖父よりも祖母の方を調べて欲しいと頼んだので、そうした。彼女の祖母は、きちんと看護学校を卒業し、南加で、看護師として働いていた。そしてその先祖はスコットランドに遡り、調査の一通りのコースを終えた。

 

その結果を渡すと、彼女は言った。「もしできたら、祖父がどうなったのかわかりますか?」私は、出来るだけのことはします、と言って早速調べ始めた。こうした記録(犯罪記録, 服役記録、裁判記録)は、フェデラル(連邦)犯罪であれば、1982年までに釈放された服役囚について、それこそインターネットで調べられる。基本こうした記録は公文書であるから、バックグラウンドチェックとして使われる。私が貰った手がかりはただひとつ、小さな裁判記録記事の一部で、それ以上はなにもない、とのことであった。

 

結果は、まだ出ていない。この州内の刑務所に服役しているのは事実だが、なかなか調査は容易に進まず、かと言って釈放されたのではなく、また死亡したのでもない。もし死亡していたら、調査は実は楽になる。墓地記録や墓石記録は、インターネットで埋葬後かなり早くアップロードされている。しかしながら、彼女の祖父は、いわゆる”elusive な先祖”(正確には、祖父母は先祖の範疇にはない)である。非常にとらえどころがない。そんなことも系図調査にはある。簡単に見つかりそうと期待しても、逆にもっと難しい。でもあきらめることはなく、とにかく時間をかけてじっくり調べるに限る。

 

私とて、犯罪人の記録を調べるなどは初めてだったが、家族の黒い羊で書いたように、そのためにソルトレークシテイで開かれたルーツテックカンファレンスで犯罪者記録についてのクラスを取り、かなり勉強をした。そして、そのブログにも書いたように、アメリカ人の犯罪者の先祖に対しての気持ちは、日本人的感覚「家の恥」とは違い、かなりオープンで、先祖の罪は自分の罪ではないという意識が強いので、聞く側も、気を遣わずにすむ。それは、「間違って犯罪を犯しても、しょせん人間だし、先祖の一人だ」と思うのか、誇りに思うとまでいかずとも、起伏にとんだ系図調査だ、とほとんど楽しんではいる。

 

見渡したところ、友人、家族、親戚には幸い服役者は、昔も今もいないのだが、ホワイトカラー犯罪で服役している人々を奉仕で訪問したことのある夫は、「罪を犯しても、いい人はいて、自らの犯したこととは言え、投獄されて、家族さえ訪問しない服役囚もいて、訪問したら、喜ばれた。」と言っていた。今日12月23日のクリスマス・カレンダーは、I was in prison and you came to visit me." 獄にいたときに尋ねてくれた、である。

 

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服役囚は、物理的に収監されているが、精神の病や、薬やアルコーによる習慣も目には見えない刑務所である。そういう方々に、手を差し伸べる方法がある。彼らに決して一人ではない、とわかってもらえるように、まず友人となること、偏見を持たずに思いやりを示してできることを助ける、精神疾患患者を差別したり、忌み嫌ったりする世の風潮に同調することを拒否する、必要な援助手段が見つかるように助ける(電話帳やインターネットで調べる)、などである。地域の精神衛生センターなどに相談してどのように助けとなれるか尋ねることも。そして、もし知り合いや、家族・親戚に、現在服役者がいれば、彼を訪問し、励ます。手紙もよろこばれる。そして、これらを常識を持って行うことである。


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