すぎなの風(ノルウェー編)       ∼北欧の北極圏・トロムソから∼

北欧の中のノルウェー、
北極圏でも、
穏やかで住みやすいトロムソから
お届けいたします。

「アンティークブティック」のある一日から

2023-03-21 | ノルウェーから
先週のEdelは病欠があったりで、
予定外の毎日出勤でした。

そこで、今日は、
Edelのある一日から。

「物」から垣間見える人生

朝、ドアを開けると、
入り口から物がぎっしり。
その前夜、
新しい物(いや、皆古いが)が入ってきたのだ。

いろいろなケースがあるが、この度は、
お父様を見送られた
家族の依頼で
Edelが買い取ったのだ。

日用食器から接客用の食器セット。
洗えばたちまち美しくなる。

衣類は、防寒に完璧なものばかり。
ほころびもない。

家具も、愛着が覗える傷み方。
隅から隅まで磨き、
オイルを塗って仕上げる。

トロムソは北極圏にあるが、
スウェーデン、デンマーク、フィンランド、
ヨーロッパ、どこの物も流通していた。
それでも全てにおいて、
ノルウェーデザインを好まれたのだな、
と胸が熱くなる。

家族が店を訪れ、
息吹を得たように店内に並んだ品々を見て、
彼らは、涙ながらに喜んでくださった。



「アンティークブティック」とは?

アンティークでは、ブランド、年代、デザインは、
もちろん大事な要素。

しかし、「物」というのは、不思議なもので、
愛が込められるのだ。

生き返るし、
新しい持ち主に出逢い、
また愛され生きていく。

銘柄だけでなく、
良さを知り、さらによさを引き出し、
次の持ち主へ橋渡しをする。

また、それがいつかわからないから、
その間のお世話をする。

アンティークブティックとは、
そういう場所なのだ。

「ここは、この方法でいいんだな」

アンティークブティックと
リサイクルショップと、
どう違うんだろう? 

よく思ったものだ。

このご時世、簡単に物が捨てられ、
ネットでは誰でも売れるし、
安く手軽に買えもする。

ボランティア団体が運営する店では、
同じものでもEdelより安かったりする。

市営のリサイクルショップでは、
格段に安い。

Edelでは、
アンティークとしての価値を調べ、
値段を設定する。
(近年の物は、意外に安い)
従業員の給料も家賃も払う。

お客さんの喜ぶ様には、
「値段だけじゃないよな」
と、つくづく思うのだ。

そして、最近、
すとんと心に落ちるようになった。

「ここは、この方法でいいんだな」と。

そして、
こういう店が生き残れますように、
と願うのだ。


今日も読んでいただき、
ありがとうごいました。

私たちが、店を出るお客さんにかける言葉、
皆さんにもお届けしますね。

Ha en fin dag! 
(ハー エン フィン ダーグ!)
 (素敵な一日をね) 



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

つるし雛に込められた「願い」伝わる

2023-03-08 | 日本の文化
●3月は、女性月。

3月は、私の中では「女性月」。
ご存知3日は「雛祭り」。
そして、本日8日は
「ノルウエーの女性の日」です。
(世界女性デーでもある)

今日は、生徒5人とも女の子、
私の教室の「雛祭り」のお話です。

●子どもたちも 私も
 進化している。

彼女たちは、9才~13才。

母とは日本語で話す子、
母が日本語で話しても
ノルウエー語で答える子、
家に全く日本語がない子。
と、まちまちなので、
4クラスに分けています。

週1回、1時間ですが、
子どもたちは力をつけているし、
私のノルウエー語も
ぼちぼちながら上達しています。

今年なら、
うちにある友人が送ってくれた
吊るし雛の意味を伝えられる!



●興味津々の娘さんたち

実は私が、友人から贈ってもらって
「つるし雛」のことを知りました。

お雛様とお内裏様だけでは
伝わりにくい
「娘の幸せを願う親の想い」が
詰まっているんですねえ。

子どもたちの反応は、予想以上。

まずは、
名前を言えるものが増えています。

「でも、どうして、
 女の子のお祝いに 
 これを飾るのかな? 
 例えば、犬は?」
「・・・?」
「犬は安産だから、
 楽に子どもが埋めますように、
 という願いがあるのよ」。


皆口をそろえて言った「ねこ!」(笑)

「お母さん、私を生む時、
 とっても大変だったんだって」。
「だから、少しでも楽なようにと、
 親は願うのよね」。
「赤色は魔除けの色。
 ほら、目が赤いうさぎ。
 不思議な力の目!(笑) 




「うさぎって喧嘩しないんだって。
 だから、
 友達やパートナーと仲良くね。
 喧嘩、戦争はしないでね、
 という願いだね」。

「パパとママ、喧嘩するよ。
 でも、その後は、もういいの」。
「それはね、自分の考えを
 ちゃんと言っているのよ。
 それで、パパもママも『
 『ああ、そうか』って、わかる。
 だから、とっても大事なこと。
 喧嘩ではなくて、話し合いよ」。





「これは、何?」
「じゃあ、これは、どうして?」
と、どんどん聞いてくれます。

ノルウエー人の二人も、
「なるほどー。おもしろい」
と興味津々。

迎えに来たパパに、
ノルウエー語で
ペラペラ説明し始めたりして。(笑)

●「手縫い」の素晴らしさ

全員が一番驚いていたのは、
このつるし雛が、
「80歳の人の(友人のおばさんの手縫い」
ということでした。

編み物の国では、
「手縫い」でこんなに作れる、
ということも貴重なのです。

こんなチャンスが授かり、
お嬢さん方の成長を
見せてもらえる。
有難いことです。

それにしても、
「祈りや願い」を象徴するものを
身近なものに見つけて具現化する。

そういうことが、日本文化には多いのですね。

日本を離れて、日本を知る。

そんなことだらけです。

さあ、今晩は
「女性の日の集会」に
コーラス出演。
2曲歌います。
がんばってきまーす!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする