人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「おもちゃの交響曲」の作曲者は誰?

2012年02月29日 06時56分41秒 | 日記

29日(水)。2月も今日で終わり。明日から3月、いよいよ春 と思って今朝、外を見ると家〃の屋根は白く、雪が降っています いっぱい降ると、どこもユキドマリになるし大変だぁ

というわけで、昨夕、久々に子供たちが揃ったので牡蠣鍋にしました。これを記念に、初めてこのブログをご覧になる方(だけ)に問題です。カキを食べてはいけない季節があります。それはいつでしょうか?・・・・・・答えは夏です・・・・・カキ厳禁・・・・・あっ、痛!・・・・・よいこは石を投げないでくださいね

 

  閑話休題  

 

月曜日の朝、NHK・FMで「気ままにクラシック」という番組を聴くとはなしに聴いていたら、イントロ・クイズの答えを発表していました。先週問題を出したらしく、ある曲の冒頭部分を2~3秒聴かせて曲名と作曲者名を当てさせるものでした。番組で、問題の曲が再度瞬間的に流されました。「おもちゃの交響曲」であることはすぐに分かりました 弦楽器のほかに玩具楽器(ガラガラ、かっこう笛、ふくろう笛、ラッパ、太鼓、小型シンバル、うずら笛)が鳴らされる賑やかで楽しい曲です

驚いたのは”正解”とされた作曲者名です。ヨーゼフ・ハイドン、その弟ミヒャエル・ハイドン、モーツアルトの父レオポルド・モーツアルト、チロル出身の神父エトムント・アンゲラー、いずれも正解だと発表されたのです

番組での解説やネットでの検索によると、この曲は自筆譜が存在しないことから、「18世紀からヨーゼフ・ハイドンの作品とされてきた。その後、モーツアルト親子と親交があった弟ミヒャエル・ハイドン説が唱えられ、1951年には、モーツアルトの父レオポルト・モーツアルトの作と伝えられるカッサシオン(全7曲)がバイエルン州立図書館で発見され、その一部が「おもちゃの交響曲」と同一であることが判明した

ところが、1992年、チロル地方のシュタムス修道院の音楽蔵書の中から、1785年ごろに当院の神父シュテファン・パルセッリが写譜した「おもちゃの交響曲」の楽譜が発見され、そこに、チロル出身の作曲家エトムント・アンゲラーが1770年頃に作曲したと記されていた」とのことです。現在では、このアンゲラー説が最有力になっているようです

恥ずかしながら私は、今日の今日まで「おもちゃの交響曲」の作曲者はレオポルト・モーツアルトだとばかり思っていました。アンゲラーの名前は初めて知りました 1992年の時にこの重大ニュースを見逃していたようです。私としたことが、まだまだ勉強不足です

 

                

写真は1987年発売のレオポルト・モーツアルト「おもちゃの交響曲」と表示されたCD。クルト・レーデル指揮ミュンヘン・プロ・アルテ室内管弦楽団による演奏

 

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ピリオド楽器でピアノ・トリオを聴く~ベートーヴェン、メンデルスゾーン

2012年02月28日 06時29分37秒 | 日記

28日(火)。昨夕、紀尾井ホールで「4大ピアノ・トリオを聴く~第一夜。ベートーヴェンとメンデルスゾーン」を聴いてきました プログラムは①ベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第7番”大公”」、②メンデルスゾーン「ピアノ三重奏曲第1番」の2曲ですが、両曲ともピリオド楽器(古楽器)で演奏されます。演奏はミュンヘンを中心に活躍する佐藤俊介(ヴァイオリン)、バッハ・コレギウム・ジャパンの首席・鈴木秀美(チェロ)、ミュンヘン音楽大学チェンバロ教授クリスティーネ・ショルンスハイム(フォルテピアノ)です

佐藤が使用するヴァイオリンは1846年オーギュスト・ベルナルデルの作、ショルンスハイムの弾くフォルテピアノは1820年ヨハン・ゲオルグ・グレーバーの作で、それぞれベートーヴェンが生きていた頃の楽器、鈴木秀美のチェロは1759年のティーノ・ルッケ・ペカットのモデルによる1998年製コピーとのことです

会場はほぼ満員。自席は1階17列22番、後方の最右翼です。舞台中央に鎮座するのは1820年製のピアノフォルテ。木製楽器ですが、茶色というより銅色と言った方が相応しい渋い色です

ベートーヴェンはピアノ三重奏曲を7曲作りましたが、最後の曲がこの日演奏される第7番”大公トリオ”です。タイトルは、作曲者のパトロンだったルドルフ大公に献呈されたことに由来します

ソリスト3人が登場し、念密なチューニングが始まります。そして、まずピアノフォルテが第1主題を奏でると、ヴァイオリンとチェロがそれに応えます その音を聴く限りでは、800人収容の紀尾井ホールが限界かも知れないと思います。2000人規模のサントリーホールでは、音が隅々まで十分には届かないでしょう。ベートーヴェンの生きていた頃はそれ程の大ホールはありませんでしたから、この日の音で十分だったでしょうが

まさにベートーヴェンの時代の演奏の再現です。”等身大”の演奏と言ってもいいかもしれません。ヴァイオリンもチェロもピアノフォルテも、現代楽器のような音の大きさと”鋭さ”はない反面、空気を包み込むようなやさしい響きが会場を満たします。楽章が終わるごとにヴァイオリンとチェロがチューニングをしますが、それほど微妙な楽器なのでしょう

隣席のカップルの女性は、映画「リング」の貞子のように長い髪を前に垂らして気持ちよさように舟を漕いでいました。贅沢な人です。どうか幸せになってくださいね、貞子さん

さて、この日の目的は、どちらかと言えばメンデルスゾーンの”短調”の魅力を楽しむことです。1840年2月1日に初演したとき、メンデルスゾーンがピアノを弾いたとのことです。この曲はメンデルスゾーンの短調の魅力が溢れた曲で、シューマンが彼を「19世紀のモーツアルトだ」と絶賛するきっかけとなったといわれる曲です シューマンでなくともそう思ったでしょう。ピアノ四重奏曲第1番とともに”哀しみが疾走する”素晴らしい曲です

演奏を聴く限り、ベートーヴェンよりもメンデルスゾーンの方が、ピリオド楽器による演奏がしっくりとハマっていたように思います。実に心地よい演奏でした

拍手に応えてアンコールを演奏しましたが、ゆったりとした曲想を聴く限りハイドンかベートーヴェンの変奏曲のような感じを受けました。あとでロビーの掲示を見ると「フンメル作曲ピアノ三重奏曲~第2楽章」とありました。フンメルはベートーヴェンと同時代に生きた作曲家です。彼のピアノ協奏曲のCDを持っていますが、感動的な曲です

アンコールを含めて、室内楽の楽しさを十分に堪能することができたコンサートでした

「第二夜」は3月12日に開かれ、ドヴォルザークとチャイコフスキーのピアノ三重奏曲が取り上げられます。ピアノを弾くのは河村尚子。こちらはモダン楽器により演奏されます。曲は違いますが、ピリオド楽器による演奏との比較が楽しみです

 

     

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本質はアフタービート~森本恭正著「西洋音楽論~クラシックに狂気を聴け」を読む

2012年02月27日 06時24分43秒 | 日記

27日(月)。森本恭正著「西洋音楽論~クラシック音楽に狂気を聴け」(光文社新書)を読み終わりました 著者は1953年生まれの作曲家・指揮者です。東京芸大を中退、桐朋学園音楽大学、ウィーン国立音楽大学等で学んでいます 2007年、08年のポーランド・ルトスワフスキ国際作曲コンクールの審査員を務めています

彼は日本に普及しているかに見えるクラシック音楽について違和感を抱き、次のように語っています。

「ヨーロッパという、私たちとは1万キロ以上も離れた土地に生まれ、日本に移入され、わずか100年程の間に独特の発展を遂げたのが、現在の日本のクラシック音楽である。それは既に私たちの文化に深く根を張ったかの様にみえるけれども、その先に咲いた花の形質は、現地(ヨーロッパ)に咲いている物と、どこか違っているように思う」

ある時、ピンク・フロイドの演奏するロックの演奏の波形をモニター画面で見た彼は一つの発見をします それは、2拍子でいえば2拍目(後拍)を強調する波形になっていたことです世界中の学校の授業では1泊目を強調して2拍目を弱くするように習うはず。ところが、ジャズやロックでは逆になる。そういう発見です なお、後拍を強調することを日本では「アフタービート」と呼びますが、本来は「アップビート」と呼ぶとのことです。

ここで著者は、「アップビート」はジャズやロックに限らず、クラシック音楽の演奏でも見られるのではないか、と疑問を抱きます そこで、世界的なヴァイオリニスト、ヤッシャ・ハイフェッツとヒラリー・ハーンの演奏するバッハの「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番」の冒頭部分の波形をグラフに示します。すると、2番目の音符(後拍)の方が波形が分厚くなっており音が強調されていることが分かります

著者は「狂気のクラシック音楽」「スィングしないクラシックなんてあり得ない」「饒舌なヨーロッパの音楽」など、刺激的なタイトルで持論を展開していきます 「現代の視点から過去を見ない」というテーマで主に演奏家に向けて次のように語っています。

「バッハやヴィヴァルディの作品を見るとき、モーツアルトやベートーヴェンやヴェルディを”知っている”目で見てはならない 彼らはまだ生まれていないのだ。バッハもヴィヴァルディも、モーツアルトが生まれる前に死んでいる。自分は、モーツアルトもベートーヴェンも知らない、と心の中で10回位唱えてから、バッハの譜面を開くべきだろう そのことで、新しい発見が生まれるかもしれない。同じことはベートーヴェンを開く時にも,或いはシューマンを開く時にも言える。斯かる作曲家が知っていたことと、知りえたこと、知らなかったこと、知りえなかったことをいつも的確に把握していることが極めて重要だ

これは演奏家が心がけるべきことである一方で、音楽を聴く側としても心得ておくべきことではないかと思います。この著書で指摘されていることは今までのクラシック音楽論になかった初めてのアプローチです。今後コンサートやCDを聴くうえで新たな基準が出来たように思います。音楽好きにとっては必読書でないかと思います

 

              

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シェーンベルクの交響詩「ペレアスとメリザンド」を聴く~東京交響楽団第597回定期演奏会

2012年02月26日 07時04分35秒 | 日記

26日(日)。昨夕、サントリーホールで東京交響楽団第597回定期演奏会を聴いてきましたプログラムは①モーツアルト「ヴァイオリン協奏曲第5番K.219」、②シェーンベルクの交響詩「ペレアスとメリザンド」です。指揮は常任指揮者ユベール・スダ―ン、独奏は韓国の女性ヴァイオリニスト、パク・へユンです

当初、1曲目のモーツアルトのヴァイオリン協奏曲は「第3番」と発表されていたのですが、東響からハガキが届き「ソリストの強い希望により第5番に変更することになった」とのことです。歓迎です

パク・へユンは1992年ソウル生まれ。2009年第58回ミュンヘン国際音楽コンクールで史上最年少で優勝した実力派です

スダーンはタクトを使わず、両手で指揮をします スダーンの合図でモーツアルトの「ヴァイオリン協奏曲第5番K.219”トルコ風”」の第1楽章が始まります。スダーンがモーツアルトを演奏するテンポはいつも最適です ザルツブルク・モーツアルテウム管弦楽団の音楽監督を務めていたことと無縁ではないでしょう

パク・へユンはオレンジがかった赤いドレスで登場 以前見たときより痩せた印象を受けましたが、気のせいかもしれません モーツアルトはヴァイオリン協奏曲を5曲書きましたが、第1番は1773年、第2番~第5番は1775年に、いずれも故郷のザルツブルクで集中的に作曲しました ピアノ協奏曲を生涯にわたって万遍なく作曲したのと対照的です。第5番が「トルコ風」と呼ばれるのは、第3楽章の中間部に現われるトルコ行進曲風の音楽によります

パクは、流れるようなテンポでモーツアルトの旋律を奏で、アレグロに突入します。その変容が鮮やかです 彼女の素晴らしさが表出したのは第2楽章「アダージョ」でしょう。スダーンのバックに支えられながら、ゆったりと丁寧に音楽を奏でます そして、第3楽章「ロンド」では歌うような旋律を優雅に奏で、フィナーレを迎えます

アンコールに、バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番から「ラルゴ」を繊細な弓使いによって演奏しました

さて、休憩後にはオーケストラが一気に100人規模に拡大して舞台が狭く見えます びっくりするのはホルンが9人もいるのです。これ程の規模のオーケストラが本当に必要なのか 疑問に思います。シェーンベルクの交響詩「ペレアスとメリザンド」の演奏が始まります。

「ペレアスとメリザンド」は、ベルギーの作家モーリス・メーテルランクの戯曲に基づいて作曲されました この作品を基にフォーレが1901年に、ドビュッシーが1902年に、シベリウスが1905年に作曲しました。シェーンベルクは1903年です。彼はR.シュトラウスに勧められて「ペレアスとメリザンド」を題材にオペラを書こうとしましたが、ドビュッシーがすでに同名のオペラを書いて成功していたことから、交響詩にしたようです シェーンベルクがこの曲を作曲した1903年というのは、R.シュトラウスが「サロメ」を作曲、マーラーが第6交響曲に着手したころに当たります

この曲は単一楽章ですが、全体は第1部から第4部までの4つの部分からなっています。とは言うものの切れ目なく演奏されるので、プログラムの解説を予め読んでいても、いったいどの部を演奏しているのか、よくわかりません 気が付いたらフィナーレを迎えていました。

全体的な曲想は、R.シュトラウスのようなところもあり、ワーグナーのようなところもありで、一言でいえば、これまで聴いてきたシェーンベルクの曲の中で、最もシェーンベルクらしくない音楽でした。無調音楽でないところが一番の救いでした

東京交響楽団のシェーンベルクには定評があります。それは聴いていてよく分かります しかし、私にとっては、それ以前に、シェーンベルクの音楽そのものが身近に感じることができないのです 今回の「ペレアスとメリザンド」はまだメロディーがあり、理解しやすかったのですが、無調音楽になると、もうお手あげです

ブラボーと拍手が続く中、4回目のカーテンコールで席を立ちましたが、会場入り口の掲示板の「本日のアンコール曲」に、パク・へユンのバッハとともに、オーケストラのアンコール曲としてシェーンベルクの「ノットゥルの~ハープと弦楽のための」が書かれていました。そういえばコンマスの譜面台に小さな楽譜が重ねられていたな、と思い出しました  聴きそこなったわけですが、シェーンベルクだからいいか、と自分に言い聞かせて会場を後にしました

 

                

   (プログラムの表紙はシェーンベルクが描いた「Gertrud  Sshoenberg」)

 

  閑話休題  

 

「ペレアスとメリザンド」といえばドビュッシーのオペラ「ペレアスとメリザンド」に思い出があります もうン十年も前のことです。小学~中学時代の同級生にY君がいて、彼には2つ年上の姉Mさんがいました。埼玉県の女子高では進学校と言われたK女子高を出て、現役でM音楽大学に合格し、声楽を専攻した才女でした 卒業後は藤原歌劇団に入りソプラノの研さんを積みました そのころ私は社会人に成りたてのころで、クラシック音楽を聴き始めてからまだ数年しか経っていない時期でした

その頃のことです。藤原歌劇団だったか、二期会だったか忘れましたが、ドビュッシーの「ペレアスとメリザンド」を上演するので一緒に観に行きませんか、とMさんから誘われたのです 2人で東京文化会館に観に行きましたが、なにしろオペラなんてろくに観たこともないので、ただ、話し言葉で歌われるような美しいメロディーに耳を傾けているだけでした 帰り道、お互いに感想を言い合ったのだと思いますが、何を話したのかまったく覚えていません。一つ覚えているのは彼女に「結婚についてどう思いますか?」と聞かれたことです。その当時は年上の女性にはちょっと抵抗があったので「まだ、とても考えられない」とでも答えたに違いありません

その後、何度か彼女が合唱で出演する藤原歌劇団のオペラ公演やジョイント・リサイタルなどに誘われて聴きに行きました それから数年後、1通の招待状が届きました。「結婚することになりました」とありました。宗教曲を歌うサークルで知り合った人と結婚することになったというお知らせでした。結婚式に招待されたので出席しましたが、音楽で知り合った者同士、とても幸せそうで、本当に良かったと思いました。今ごろどうしているでしょうか・・・・・ドビュッシーのオペラ「ペレアスとメリザンド」の文字に接するたびにMさんのことを思い出します

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春は曙~”山際”と”山の端”の違い~春の気配を感じて想うこと

2012年02月25日 06時54分06秒 | 日記

25日(土)。昨日、息子の力を借りながら新しいパソコンのセットアップをしました 前の機種がDELLのデスクトップだったので、同じDELLにしました。搭載するのはウィンドウズ7です。まあ、早い話が、私としてはブログが書けて、インターネットが出来て、メールとワードとエクセルさえ出きればそれだけでOKなのです。息子はゲームさえ出来ればいいようだし。長ーい春休み中の息子は徹夜でパソコンゲームをして昼間寝ています。トホホ

問題は古いパソコンの処理です。古いDELLはリサイクル法が出来た直前に購入したので、最初に「コンパック」で引き取ってくれるか調べてみたら、DELLは対象外となっていたので諦めました 次にパソコン3R推進協会に引き取りを頼んだところ、法律制定前の購入でも、有料にはなるがメーカーが引き取ることになっているとのことでした さっそくDELLに電話して引き取りを依頼しました。本体とディスプレイで6,300円かかるとのことで、引き取りまで2週間程度かかりそうです

ついでに娘の古いパソコンの引き取りのため、マックに電話すると、リサイクルマークが付いているので無料で回収してくれるとのことで、ラッキーでした こちらも時間がかかりそうです。

というわけで、このブログは新しいパソコンによる記念すべき第1号です

 

  閑話休題  

 

昨日は、今日と違って朝から何となく春の気配を感じる日和でした すぐ近くに春がやってきていることを感じました

さて、春というといつも思い出すのは大学予備校時代の古典の授業です。ン十年前のこと。あっさりと大学入試に失敗して浪人の身になり、親のスネをかじりながら高田馬場にあるW予備校に毎日通っていました

古典の授業で、清少納言の「枕の草紙」を取り上げました

「春は曙。やうやう白くなりゆく山際すこしあかりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。

夏は夜。月の頃は,さらなり。闇もなほ。蛍とびちがひたる、また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くも、をかし。雨などの降るさへをかし。

秋は、夕暮れ。夕日のさして、山の端いと近うなりたるに、烏のねどころへ行くとて、三つ四つ、二つなど飛びいそぐさへ、あはれなり。まいて、雁などのつらねたるが、いとちひさく見ゆる、いとをかし。日入りはてて、風の音、蟲のねなど、はたいふべきにあらず。

冬は、つとめて。・・・・・・・・」

当時から私は古典が好きで、「徒然草」も「枕の草紙」も暗記するほど大好きでした さて、講師が問題に出したのは「山際(やまぎわ)」と「山の端(やまのは)」の違いを説明せよということです。答えは、「山際」は空から見て山の近くのことを指し、「山の端」は山から見て端のことを指すということです。当時、古典の大学入試問題の定番だったのではないかと思います

私が、「春になると思い出す」と言ったのは、その授業を担当した講師(名前は忘れました)が、よく授業を脱線させる人で、「自分には、真夜中に電話がかかってきて”今、一緒に飲みたいから来い”と言われた時、すぐにでも駈け付ける親友がいる」という話をしたからです 当時の私は受験戦争の真っただ中、自分以外は全員がライバルでしたから、”親友”と言われてもピンときませんでした。ただ、そういう親友がいるのはうらやましいと思いました 当時その講師は40代位でしたから、この世に存在しているか微妙ですが、人間味のある人でした 春の気配を感じて、そんなことを思い出しました。

振り返ってみれば、私は昔から音楽でも文学でもクラシック(古典)が好きだったようです

 

 

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ブラームス「ピアノ五重奏曲」を聴く~新日本フィル室内楽シリーズ

2012年02月24日 06時46分39秒 | 日記

24日(金)。昨夕、錦糸町のすみだトリフォニーホール(小)で新日本フィル室内楽シリーズを聴いてきました 開演は7時15分ですが,7時から第2ヴァイオリンの篠原英和が「プレトーク」でブラームスの人や曲について解説します 原稿なしで15分間,淀みなく流暢に話します.毎回,この人の才能には本当にびっくりします.実によく音楽の歴史(作曲者を取り巻く人の名前,年代など)を知っています

プログラムは①ヴィラ・ロボス「ショーロ第4番」、②イベール「トリオのための5つの小品」、③ブラームス「ピアノ五重奏曲」です

ヴィラ・ロボスはブラジルの作曲家.「ショーロ第4番」はトロンボーン1とホルン3により演奏される曲です.ショーロというのはボサノバなどの基になった形式とのこと.ホルンの井出,金子,藤田(紅一点)とトロンボーンの箱山が,まるでミステリー番組のテーマ音楽のような曲を豊かに奏でました

イベールは生粋のパリジャン.「トリオのための5つの小品」はオーボエ、クラリネット、ファゴットのための曲です.オーボエの浅間信慶,クラリネットの澤村康恵,ファゴットの坪井隆明はエスプリに満ちた曲想を楽しんで演奏していました 坪井がファゴットを吹くたびに,眉毛を上下させていたのが何ともユーモラスに感じました 気を良くした3人はモーツアルトのディヴェルティメントの「ロンド」をアンコールに演奏しましたが,これが素晴らしく「こういう演奏できるんだったら,モーツアルトをメインに演奏してくれないかなぁ」と思ったほどです.

休憩後はいよいよ真打登場です.ブラームスの「ピアノ五重奏曲へ短調」はヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、ピアノのための曲です 第1ヴァイオリンは新日本フィルのソロ・コンサートマスター豊嶋泰嗣、第2ヴァイオリンは田村直貴,ヴィオラは篠崎友美,チェロは弘田徹,ピアノは田村響というメンバーです.2人の田村は兄弟とのことですが,2007年ロン・ティボー国際コンクール優勝の田村響の方が弟です

第1楽章から豊嶋泰嗣のリードによって見事なアンサンブルが展開されますが,この曲の聴きどころは後半の2つの楽章です 第3楽章スケルツォはピアノと弦楽器との掛け合いが素晴らしく「ほとばしる情熱」を感じさせる演奏です 第4楽章フィナーレは「うねるような情念」を感じさせる力強い演奏です やっぱり豊嶋泰嗣の存在感は圧倒的です.彼が第1ヴァイオリン席に座っているだけで安心感・信頼感があります

終演後は満場の拍手が鳴り止みません 4回目のカーテンコールで,ピアノの田村響がニコニコしながらチェロと弓を手に持って登場しました.聴衆は??? 一方,チェロの弘田は,刀を盗まれた武士のように”茫然自失”の状態で,顔が引きつっているように見えました 田村,おぬしもワルよのう

 

  閑話休題  

 

今日24日はモーツアルトの「ピアノ協奏曲第26番”戴冠式”K.537」が完成した日です 1788年2月24日のことでした。”戴冠式”と呼ばれているのは、レオポルト2世の戴冠式の祝典期間中の1790年10月15日に催されたモーツアルトの演奏会で演奏されたことによると言われています 全体的に明るく,弾むような曲想です

お薦めCDはロベール・カサドシュのピアノ,ジョージ・セル指揮コロンビア交響楽団による演奏です.気品のある引き締まった演奏です

 

          

 

【追伸】

新しいパソコンが届いたので,本日セッティングをします.無事に完了すれば,明日からこのブログも新しいパソコンで打つことになります

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無人島でいかに生きてゆくか~荻原浩「オイアウエ漂流記」を読む

2012年02月23日 06時49分54秒 | 日記

23日(木).昨夕,E部長と地下の炭火焼鳥Oで飲みました.いつもは生ビールから飲むのですが,いきなり日本酒「きりんざん」から飲みました 解散の8時には一升瓶は空になっていました(もともと半分しかなかったし) 上手なご飯の炊き方から不動産業界を取り巻く全体状況まで,話は取りとめなく広がりましたが,最後は民主党政権下の不安定な状況下にある当面の日中問題に焦点が絞られました.

私:相変わらず,日中は寒いねぇ

E部長:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

  閑話休題  

 

荻原浩の「オイアウエ漂流記」(新潮文庫)を読み終わりました 荻原浩は「コールドゲーム」「噂」「メリーゴーランド」ほかを読みましたが,ユーモア感漂う独特なテンポが何ともいえない魅力の小説家です

南太平洋の上空で小型旅客機が遭難し海に漂着,無人島に流されます 物語の主人公は出張中のサラリーマン達と取引先の御曹司,新婚旅行中のカップル,ボケのおじいちゃんと孫の少年,それと環境保護活動家の外国人,そしてパイロットの飼い犬1匹が加わります

彼らは生きるために島にある”食料”を捕獲していきます.動物では巨大コウモリ,ヤシガニ,巨大海がめ,魚,伊勢海老,植物では椰子の実,マンゴー,バナナ・・・・・・食べられそうなモノは何でも捕獲します

100円ライターが使えなくなると,木をこすり合わせて火を起こします 動物の骨で銛(もり)を作って魚を追いかけます 彼らはネアンデルタール人の立場に立って”絶体絶命”の中,生きるために行動します

人に飼いならされていた犬は,急に人間から離れて野生化します.それはなぜか?・・・・最後にその理由が明かされます.そして犬の本当の名前が・・・・

さんざん笑わせておいて,最後にはほっこりさせる物語の展開に”さずが荻原浩”と叫んでしまいます.文庫とはいえ670ページの大作ですが,面白くてあっという間に読み終ってしまいます.お薦めします

 

            

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モイツァ・エルトマン(ソプラノ),庄司紗矢香(ヴァイオリン)のCDを入手!

2012年02月22日 06時30分02秒 | 日記

22日(水)。昨日の日経朝刊に「公益財団法人ローム・ミュージック・ファンデーション」の企業広告が載りました。この財団は小澤征爾音楽塾を支援していることでも知られています

財団は「すこし知ると、うんと楽しい ローム クラシック サイエンス」という広告シリーズを展開して、様々な楽器を紹介しています 今回はシリーズ6回目でチェンバロを取り上げています。チェンバロを図で示して各部の役割などを詳しく紹介しています

音楽好きは、ピアノとチェンバロは形が似ているけれど、音の出し方がまったく違う楽器だということを知っていますが、ピアノはハンマーで弦を打って音を出す(打弦楽器)のに対し、チェンバロは”爪”で弦をはじいて音を出す(撥弦楽器)という仕組みを分かりやすく解説しています また、チェンバロは、フランス語でクラヴサン、英語でハープシコードと呼ばれていることも教えています

単に企業のイメージを主張するだけでなく、この広告のように”音楽の楽しさ”を広めることを目指した活動は素晴らしいと思います 自然とロームという会社に好感を持ち応援したくなります テレビを使った派手なキャンペーンと違って地味な試みですが、新聞広告の特性を生かしたこのような活動こそ企業の社会貢献というに相応しい活動というべきでしょう

 

                 

 

  閑話休題  

 

先日、久しぶりに新宿のタワーレコードに行きました.前から気になっていたソプラノ歌手モイツァ・エルトマンのCDを探しに 広いクラシックCD売り場のオペラ・歌曲コーナーをクルージングして探したのですが,見つかりません そばにいた男性店員に尋ねたところ,「モイツ・・・何ですか?」と訊き返されました.クラシックCD売り場でモイツァ・エルトマンを知らない?あんたモグリでしょと言いそうになるのをジッと我慢しました パソコンで検索してくれましたが,なかなか探し出せないようです.私もじっとしている訳にはいかないので,ソプラノ歌手コーナーを片っ端から探しました.あったコーナーの端っこに1枚だけひっそりと隠れるように存在していました 「モーストリー・モーツアルト」というタイトルのドイツ・グラモフォン・ソロ・デビューCDです モーツアルトを中心に,彼の同時代の作曲家(サリエリなど)のオペラのアリアを取り上げた魅力的なアルバムです.6月10日にモーツアルトを中心とする彼女のリサイタルを聴きに行くので,予習の意味でもじっくりと聴きたいと思います

 

               

 

もう1枚は庄司紗矢香のヴァイオリン,ドミトリ・リス指揮ウラル・フィルハーモニックによるショスタコーヴィチの「ヴァイオリン協奏曲第1番,第2番」のアルバムです 庄司紗矢香は,今や日本を代表するヴァイオリニストの一人です.ドミトリ・リスとウラル・フィルは毎年5月の連休に東京国際フォーラムで開かれるラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンの常連アーティストです.数年前に聴いたラフマニノフ「交響曲第2番」のスケールの大きな演奏を忘れることが出来ません輸入盤を買いましたが日本語解説も付いています

ショスタコービチのヴァイオリン協奏曲第1番は,アメリカのヴァイオリニスト,ヒラリー・ハーンがベルリン・フィルと横浜のみなとみらいホールで演奏したとき初めて聴いたのですが,1度聴いただけですっかり魅了されてしまいました それはヒラリー・ハーンの力によるところが大きいのですが,曲自体の持つ魅力が大きいことは否めません

こちらはヒラリー・ハーンの演奏と聴き比べながら,じっくり聴いてみたいと思います

 

               

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ダニエル・ハーディング,映画「魔弾の射手」で指揮~音楽が先,演技は後

2012年02月21日 06時32分53秒 | 日記

21日(火).昨日の日経夕刊文化欄に「ダニエル・ハーディングさん 映画”魔弾の射手”で指揮」という記事が載りました 記事を要約すると,

「スウェーデン放送交響楽団音楽監督,ロンドン交響楽団首席客員指揮者等を務める気鋭の英国人指揮者ダニエル・ハーディングが,3月10日から公開されるオペラ映画”魔弾の射手”(ウェーバー作曲)でロンドン響を指揮,音楽を担当した ノイベルト監督がイメージした演奏はカルロス・クライバーが指揮した”魔弾の射手”.ハーディングは監督の要求に挑戦することにした.劇中の音楽は撮影の前に録音された 歌手は声の調子に気をとられることなく,演技に集中できた.この映画のユニークなところは先に完成した音に合わせて,現場で演じた点.歌手たちが役になりきって素晴らしい演技を見せていた ハーディングは,日本では新日本フィルの”ミュージック・パートナー・オブ・NJP”(主席客員指揮者に相当)を務めて2年目に入った.楽員からの信頼も厚い

通常,オペラ映画を作る場合には,METライブビューイングのように生の舞台をそのまま録画する方法を採るでしょう.また,普通の映画では,先に情景や演技を撮ってから,それに音楽を付けるでしょう それが,この映画では先に”音楽”を録音しておいて,後からそれに合わせて演技するというのです つまり,歌手たちは予め歌って録音した歌に合わせてクチパクで演技する訳です.歌を歌う必要がないので演技しやすいかもしれません.出演している歌手陣は,ドイツ・オペラ界を代表するユリアーネ・ヴァンゼ,ルネ・パーぺなど錚々たるメンバーですこれは見逃せません

3月10日から,東京では,ヒューマントラストシネマ有楽町(有楽町イトシア4階)で上映されるとのこと.万難を排して観に行きます

 

        

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バッティストーニ指揮で二期会オペラ,ヴェルディ「ナブッコ」を観る

2012年02月20日 06時13分56秒 | 日記

20日(月).昨日,東京文化会館で二期会オペラ,ヴェルディの「ナブッコ」を観ました このオペラはイタリア・パルマ王立劇場との提携公演で,ダブルキャストになっています.この日はナブッコに上江隼人,イズマエーレに松村英行,ザッカーリアにジョン・ハオ,アビガイッレに板波利加,フェネーナに中島郁子,アンナに江口順子,ほかです.演出は指揮者クラウディオ・アバドの子息ダニエレ・アバド,オーケストラはイタリアの若きホープ,アンドレア・バッティストーニ指揮東京フィルです

この公演は3日間のうち最終日です.自席は1階12列25番,前方右サイドの通路側です.会場は後ろ側に空き席が目立ちます.

会場が暗くなり,指揮者アンドレア・バッティストーニの登場です.1987年ヴェローナ生まれで,7歳からチェロを学び,後に作曲と指揮を学んだとのこと.チェロ→指揮者はイタリアの大指揮者アルトゥーロ・トスカニーニと同じコース.「トスカニーニの再来」と呼ばれる所以です 昨年1月からパルマ歌劇場首席客演指揮者を務めています.彼のタクトで序曲が始まります

彼の指揮は,振りが大きくダイナミックです.身体全体を使って全力でヴェルディに対峙します.楽員には分かりやすい指揮なのではないかと思います.若くして落ち着いた指揮をする指揮者もいますが,彼のように若さをぶつけて思い切り指揮する方が観ていて気持ちが良いです この公演でファンが増えたのではないでしょうか

物語はバビロン王ナブッコと2人の娘フェネーナとアビガイッレを主人公とする権力闘争と愛を巡る愛憎劇ですが,何と言っても,このオペラが有名なのは第3部で歌われる「行け,わが想いよ,黄金の翼に乗って」の合唱です イタリアでは第2の国家と言われている愛唱曲です.オーケストラの前奏に導かれてコーラスが舞台中央に集まり,ゆっくり感動的に歌い始めます.聴いていて背筋が寒くなりました.何とすばらしい音楽をヴェルディは書いたのか 終わると満場の拍手です.なかなか鳴り止みません やっと静まると,真っ暗だった会場にうっすらと照明がともり,コーラスが舞台いっぱいに広がって,バッティストーニの指揮で再び前奏が始まりました.そして「行け,わが想いよ,黄金の翼に乗って」が再度歌われました.これはダニエル・アバドの演出によるものでしょう.粋な演出です

ナブッコ役の上江隼人は第1場あたりでは声量不足を感じましたが,後半に行くにしたがって調子が出てきました.最も声が通って存在感があったのはアビガイッレ役の板波利加です.堂々たるドラマチック・ソプラノを聴かせてくれました.

この日の公演で一番光っていたのは指揮者アンドレア・バッティストーニです.聴衆の拍手の大きさが人気のバロメーターになりますが,あきらかに歌手陣を食っていました.なかなかの好青年だと思います.是非,別のオペラを聴いてみたいと思います

この公演で一つ注文を付けるとすれば,男性コーラスの衣装です.黒のスーツに格子の入ったベージュのショールを肩にかけていましたが,カーテンか毛布を肩にかけているような感じを受けました 問題は”予算”かな・・・と思いますが,むしろショールはハショルが良かったかも知れません

ナブッコは初めて観るオペラでしたが,”ニュー・ヒーロー”コンダクターのお陰で十分楽しむことができました

 

     

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