人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

飯守泰次郎の代演=高関健 ✕ 新交響楽団でブルックナー「交響曲第3番」、ワーグナー「リエンツィ序曲」「タンホイザー序曲」を聴く ~ 新響第255回演奏会

2021年10月31日 18時48分17秒 | 日記

31日(日)。早いもので今日で10月も終わりです。秋がないまま いきなり冬を迎えてしまったような気がします 月末を迎えたので、10月の3つの目標の実績をご報告します。クラシック・コンサート=6回、映画=3本、読書=3冊ということで壊滅状態でした 個人的にはここ20年間で最低記録かもしれません。言うまでもなく、怪我による9日間の入院生活が大きく影響しています コンサートは4公演諦めました 外出を控えたため映画を観に行く機会も激減しました その代わり、家でNetfrixを観ました。「マスカレードホテル」、「全裸監督」(全16話)、「イカゲーム」(全9話)、「容疑者Xの献身」です これを映画館で観たら27本観たことになりますが、私の基準は「映画館で観るのが映画である」というものなので実績にはカウントされません

ということで、わが家に来てから今日で2486日目を迎え、秋篠宮家の長女小室眞子さんの夫・圭さんが、今年7月に受験した米ニューヨーク州の弁護士試験に不合格だったことが関係者への取材で判明した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     はっきり言って二人はもはや民間人だぜ パパラッチ的な追跡はやめるべきじゃね?

 

         

 

朝7時前にツイッターをクルージングしていたら、昨日付で指揮者の高関健氏が「昨晩依頼をいただき、急きょお受けして直前まで準備、夕方池袋へ。飯守先生のご快復を祈りつつ、時間を延長して3曲を練習。新響 皆さんの情熱と先生の丁寧な音楽づくりに感動。明日の公演がうまくいきますように」とツイートしていました ということは、リハーサルは土曜日の1回のみということだろうか 高関氏は現在、東京シティ・フィルの常任指揮者をはじめ複数のオーケストラの指揮者を兼任しているほか、東京藝大指揮科の教授も務めており、研究熱心な音楽家として名前を知られています この人に休暇とか休日という概念はあるのか

 

     

 

ということで、午後、近所の小学校で衆院選の投票を済ませてから、東京芸術劇場で新交響楽団の第255回演奏会を聴きました プログラムは①ワーグナー:歌劇「リエンツィ」序曲、②同:歌劇「タンホイザー」序曲、③ブルックナー「交響曲第3番 ニ短調」です 指揮は当初、飯守泰次郎と発表されていましたが、前述の通り、急病のため急きょ高関健氏が代演することになりました

 

     

 

主催者から指定された席は1階M列13番、センターブロック左通路側席という理想的な席です 会場は市松模様配置です

オケの面々が配置に着きます。弦楽器は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという並びです 通常、高関氏が指揮する場合は、左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置をとりますが、急きょの代演ということで飯守氏の採る通常配置のままにしたのだと思われます 楽団員はソーシャルディスタンスを取るため譜面台を1人が1台使用します

1曲目はワーグナー:歌劇「リエンツィ」序曲です 「リエンツィ」はリヒャルト・ワーグナー(1813-1883)が1838年から40年にかけて作曲、1842年10月20日にドレスデンで初演された全5幕のオペラです ローマ教皇の公証人であったリエンツィは、一度は民衆の支持を得て貴族派を抑えて護民官の地位に就くが、やがて貴族の策謀と民衆の裏切りによって滅びるという物語です

私は結構この曲が好きで、時々CDで聴いています。CDと違い、大会場の隅々まで音を届けなければならない関係で、冒頭のトランペットが予想外に大きな音で出たのでちょっと驚きました。弦楽器が美しく響きました

2曲目はワーグナー:歌劇「タンホイザー」序曲です 「タンホイザー」はワーグナーが1843年から45年にかけて作曲(45~46年に改訂)、1845年10月19日にドレスデンで初演された歌劇です 中世に実在したミンネゼンガーの歌合戦を扱い、ウェヌス(ヴィーナス)のとりこになったタンホイザーの罪が、領主の娘エリーザベトの純愛と死によって贖われるという物語です

高関氏の指揮で演奏に入ります。この曲では金管楽器が良く鳴っています 全体的に重心が低い落ち着いた演奏でした

 

     

 

プログラム後半はブルックナー「交響曲第3番 ニ短調」(1889年第3稿ノヴァーク校訂版)です この曲はアントン・ブルックナー(1824-1896)が1872年から73年にかけて作曲(第2稿=76~77年、第3稿=88~89年)、第2稿は1877年12月16日にウィーンで初演され、ワーグナーに献呈されました 第1楽章「どちらかといえばゆっくりと 神秘的に」、第2楽章「アダージョ 動いて ほぼアンダンテで」、第3楽章「かなり急速に トリオ」、第4楽章「アレグロ」の4楽章から成ります

高関氏の指揮で第1楽章に入ります 冒頭のトランペットは良かったのですが、バックの管楽器のバランスがあまり良くなかったように感じました ホルンの女性が素晴らしい 木管ではフルートがいつものように抜群の安定感で演奏していました そして、いつも素晴らしいと思うのは躍動感あふれるティンパニの男性です 第2楽章は弦楽器のアンサンブルが美しく響きました 第3楽章はブルックナー独特のスケルツォですが、管楽器、弦楽器、打楽器ともに小気味の良い演奏を展開しました 第4楽章は咆哮する金管をはじめオーケストラ挙げての渾身の演奏で、圧倒的なフィナーレを飾りました

本番2日前の指揮者交代というアクシデントにもかかわらず見事な演奏を展開した新交響楽団の皆さんに大きな拍手が送られました (飯守氏のリハーサルがあったとしても)たった1回のリハーサルで、アマチュア・オケをしっかりとまとめ上げた高関健氏は新たな伝説を残しました

本日、toraブログのトータル閲覧数が660万ページビューを超えました(6,600,669 PV。トータル訪問者数は1,959,718 IP)。これもひとえに普段からご覧くださっている読者の皆さまのお陰と感謝申し上げます    これからも何があろうが根性で書き続けて参りますので、モコタロともどもよろしくお願いいたします

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百田尚樹「クラシックを読む3」、中山七里「ふたたび嗤う淑女」、柚月裕子「検事の信義」、伊坂幸太郎「フーガはユーガ」、星本健二「東京23区 ✕ 格差と階級」他を買う

2021年10月30日 20時00分30秒 | 日記

30日(土)。山形県鶴岡市に単身赴任している息子に、池袋のデパートから「鮭・いくら・ホタテの旨煮」瓶詰セットを送りました 自分で働いた給料はすべて自分のものという娘と違い、家賃から電気・ガス・水道・NHK受信料、食費に至るまですべて自分の給料で賄っている息子が少しでも喜んでくれればという思いで、2か月に1回程度、普段自分では買いそうもない食べ物を送るようにしています

ところで、今日の日経朝刊 別刷り「NIKKEIプラス1」に11月1日から新しい500円硬貨が発行されることから、お金の問題が出ていました 2つだけご紹介すると

問1「現500円硬貨に500はいくつある?」 ①2  ②3  ③4

問2「1円硬貨の直径は?」          ①10mm  ②15mm  ③20mm

答えは自分で現物を見て確かめてください・・・では読者が減る恐れがあるので、当ブログの最後に正解を掲載しておきます

ということで、わが家に来てから今日で2485日目を迎え、米紙ウォールストリートジャーナルが28日までに、昨年の大統領選は不正に行われたと主張するトランプ前大統領の投書を掲載し「偽情報を広めている」と批判を浴びた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     フェイクに満ちたトランプの投書を掲載するとは 天下の高級紙も地に落ちたものだ

 

         

 

手元の本が少なくなってきたので池袋のジュンク堂書店で本を6冊買いました

1冊目は百田尚樹著「クラシックを読む3  天才が最後に見た世界」(祥伝社新書)です 百田氏は本書を「クラシックを読む1  愛・狂気・エロス」、「クラシックを読む2  生きる喜び」とともに同時に刊行しています 立ち読みして最も読み応えがありそうだったのが「3」だったので本書を買いました これが面白ければ「1」と「2」も買うつもりです

 

     

 

2冊目は中山七里著「ふたたび嗤う淑女」(実業之日本社文庫)です 中山七里の作品は何作も当ブログでご紹介してきました。「どんでん返しの帝王」の待望の文庫最新作です

 

     

 

3冊目は柚月裕子著「検事の信義」(角川文庫)です 柚月裕子の作品も文庫化されたものはすべて当ブログでご紹介してきました

 

     

 

4冊目は伊坂幸太郎著「フーガはユーガ」(実業之日本社文庫)です 伊坂作品はとぼけた楽しさがあります 久しぶりの文庫版登場です

 

     

 

5冊目は誉田哲也著「歌舞伎町ゲノム~『ジウ』サーガ9」(中公文庫)です 誉田哲也の作品も久しぶりの文庫版での登場です

 

     

 

6冊目は星本健二「東京23区 ✕ 格差と階級」(中公新書ラクレ)です 本書の「帯」によると、東京23区の1人あたり課税対象所得額の推移、都心3区の平均世帯年収推定値などによって、23区に住む人々の格差が広がっていることを表しているとのことです 「豊島区に広がる単身世帯」というキャッチが気になります

 

     

 

いずれも、いま読んでいるアンソニー・ホロヴィッツ著「ヨルガオ殺人事件(上・下巻)」を読み終わり次第、精力的に読んで 当ブログで感想をご紹介します

【問題の答え】

問1=③4。表に漢字で「五百円」、裏に大きく「500」とあります。さらに、硬貨を傾けて下から見ると、裏の「0」の中にそれぞれ「500円」の文字が浮かび上がります。これは光の反射具合で見え隠れする潜像と呼ばれる技術とのことです 11月1日に発行される新500円硬貨は表に「500YEN」と「JAPAN」がそれぞれ2つ刻まれ、「500」の数は6つに増えるそうです 新500円硬貨を入手したらさっそく確かめてみたいですね

問2=③20mm。私は10mmだと思っていました ちなみに1円に次いで2番目に小さい硬貨は50円(21mm)とのことです

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演歌のようなショパン ~ 青柳いづみこの評する反田恭平の演奏 / 来月から「大規模イベント上限1万人」撤廃 ~ サントリー2006席、芸劇1999席、オペラシティ1632席

2021年10月29日 19時01分48秒 | 日記

29日(金)。9日間の入院を経て退院後は、毎朝A整骨院に通って胸部と腰部の電気治療を受けています 胸部はまだ痛みが残っているので、普段からシャツの下にベルトを巻いています 腰部については寝ても覚めても大きめの保冷剤で冷やしていたので、かなり腫れが引き痛みも和らいできました 整骨院での治療後、いつものように巣鴨地蔵通り商店街にあるチェーン喫茶Tに行き、2階の窓側の席でコーヒーを飲みながら新聞を読みました コロナ前は駅前のSカフェの地下を利用していたのですが、品川駅で電車に閉じ込められてパニック状態になって以来、地下や閉鎖的なスペースが怖くなり、喫茶店に入る時は1階か2階のできるだけ外の景色が見える席を取るようになりました 新聞から目を上げて地蔵通りを見下ろすと、保育園児の行列が目に入りました。が、いつもと様子が違います。幼児たちも引率の先生方も仮装をしています それを見て「そうか、ハロウィン🎃か」と気が付きました そうかと思っていると、別の保育園児の行列がやってきました。こちらも仮装しています どうやら保育園はどこもかしこもハロウィンばやりのようです 今年の日本のハロウィンは正確には31日(日)だったと思います そういえば、渋谷駅周辺で酒を飲んで大騒ぎした馬鹿者たちが商店街に大きな迷惑をかけたのは3年前だったかな、と思い出しました 報道によると、渋谷区は29~31日の夜間から早朝にかけて、渋谷駅周辺の路上飲みを制限するそうです。東京都が25日以降、飲食店での酒類の提供制限を解除したことから、自粛が長引いた反動もあり人出が増える可能性が高いとみているようです 人は酒が入ると気が大きくなって大騒ぎしたくなるものです。それが集団化すると手が付けられなくなります 合言葉は「気を付けよう、甘い言葉とハロウィン」でどうでしょう

ということで、わが家に来てから今日で2484日目を迎え、米フェイスブックは28日、同日付で社名を「Meta(メタ)」に変更した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     元社員の持ち出した社内文書で管理体制の不備が指摘されメタメタの状態だけどね

 

         

 

夕食に「チキンステーキ」と「キャベツとウインナのスープ」を作りました 「キチンステーキ」は久しぶりですが、目玉焼きがよくマッチします

 

     

 

         

 

今日の日経朝刊 文化欄に「演歌のようなショパン 2位の反田 会場を一つに」という見出しによる西原幹喜記者の記事が載っていました 超訳すると、

「第18回ショパン国際ピアノ・コンクールで2位に入賞した反田恭平は、18日のファイナルでショパンのピアノ協奏曲第1番を弾いた 第3楽章での弾むようなアクションと音色にオーケストラもノリノリに オケの演奏が終わらないうちに拍手が起こった 現地で聴いたピアニスト・文筆家の青柳いづみこは『オケの全ての楽器と対話し、一緒に音楽を作っていた。圧倒的な存在感だった』と話す。緩急や強弱のメリハリが絶妙だった。『演歌のようなショパン』とも青柳は評する その個性は、ピアニストの枠にはまらない経験によって培われたのかもしれない 自らのCDレーベルを立ち上げたほか、音楽家が経済的に自立して活動できるように世界でも珍しい株式会社形態の楽団まで設立した 音楽家としての理想像は、同じ27歳で米大リーグにおいて投手と野手の二刀流を実現する大谷翔平だという

保守的と言われるショパン・コンクールで反田恭平が2位入賞を果たしたのは、彼の個性が世界に認められたということを意味します 青柳さんの評価を踏まえて言えば、「日本的なショパン」が受け入れられたと言えるかもしれません

 

         

 

昨日の朝日新聞朝刊によると、政府は28日、新型コロナウイルス感染症対策分科会を持ち回りで開き、27都道府県で続けている大規模イベントの人数制限について、1万人の上限を11月1日から解除することを決めました 大型イベントを巡っては、9月末に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を解除した27都道府県を対象に、「上限5千人」または「収容定員50%以内かつ1万人」とする「1か月程度」の経過措置が取られてきました。今回の見直しに伴い、11月1日からは、「上限5千人」または「収容定員50%以内」のいずれか多い方が全国で適用されます この措置は主に大規模なポピュラー・コンサートやプロ野球などを想定しています

さて、クラシック音楽の主なコンサート会場(大ホール)を調べてみると、定員は次のようになっています

サントリーホール           2006席

東京芸術劇場             1999席

東京オペラシティコンサートホール   1632席

すみだトリフォニーホール       1801席

オーチャードホール          2150席

ミューザ川崎コンサートホール     1997席

新国立劇場「オペラパレス」      1814席

東京国際フォーラム ホールA      5012席(クラシック専用ホールではない)

ほとんどすべてのコンサートホールは、定員自体が「上限5000人」以内に収まっているため、在京オーケストラはすでに年末の「第九公演」をはじめとして、定員いっぱいのチケットを販売しています コロナの第6波が来て感染が再拡大すれば、また厳しい人数制限が復活してオーケストラは窮地に立たされます 現在 コロナの感染者数は減少傾向にありますが、油断することなくコロナに罹らないよう お互いに注意したいものです

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都響12月度定期演奏会Bシリーズのチケットを取る ~ サッシャ・ゲッツェル ✕ 阪田知樹によるラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番」ほか / ネットフリックスで「容疑者Xの献身」を観る

2021年10月28日 19時03分56秒 | 日記

28日(木)。わが家に来てから今日で2483日目を迎え、米軍トップのミリー統合参謀本部議長は 中国が夏に地球のどこでも攻撃ができる極超音速兵器の実験に成功したと認めた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     新兵器を開発すると実際に使いたくなるから困る とくに権力集中が著しい習近平は

 

         

 

昨日、夕食に「トンテキ」「生野菜サラダ」「舞茸の味噌汁」を作りました トンテキにはキャベツの千切りが良く合います

 

     

 

         

 

東京都交響楽団の「第939回定期演奏会Bシリーズ」のチケットを会員先行販売で取りました 12月20日(月)午後7時からサントリーホールです。プログラムは①ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番 ニ短調」、ショスタコーヴィチ「交響曲第5番 ニ短調」です 演奏は①のピアノ独奏=阪田知樹、指揮=サッシャ・ゲッツェルです

 

     

 

         

 

ネットフリックスで「容疑者Xの献身」を観ました。東野圭吾の原作を2008年に映画化した作品です

弁当屋「みさと」店長の花岡靖子(松雪泰子)は娘・美里とアパートに2人で暮らしていた そのアパートに靖子の元夫・富樫慎二(長塚圭史)が彼女の居所を突き止めて訪ねてくる。どこに引っ越しても疫病神のように現れ、母娘に暴力を振るう富樫を靖子と美里は大喧嘩のすえ炬燵のコードで首を絞めて殺してしまう 今後の成り行きを想像し呆然とする母娘に手を差し伸べたのは、隣人の天才数学者・石神哲哉(堤真一)だった。彼は隣家から聞こえてきた大きな音に異常な出来事が起こったと思い、様子を伺いに行ったのだった 石神は自らの論理的思考によって母娘にアリバイ工作について指示を出す やがて、旧江戸川で顔を潰された死体が発見される。警察は遺体を富樫と断定し、花岡母娘のアリバイを聞いて疑いをかけるが、捜査が進むにつれ、あと一歩のところでことごとくズレが生じてくる 困り果てた草薙俊平刑事(北村一輝)と内海薫刑事(柴咲コウ)は、友人の天才物理学者・湯川学(福山雅治)に相談を持ちかける。すると、驚いたことに石神と湯川は大学時代の友人だった 湯川は当初傍観を通していたが、やがて石神が犯行に絡んでいることを疑い、独自に解明に乗り出していく

 

     

 

【以下、ネタバレ注意】

石神は花岡母娘のためにアリバイ工作を綿密に計画し、最後に自らが犠牲になって自分が富樫を殺したと自首します しかし湯川は、本当は花岡母娘が富樫を殺し、石神は二人の身代わりになって刑に服す道を選んだと喝破します なぜ、石神がそれほどまでのことをしたのかと言えば、彼は花岡母娘が引っ越してきたことにより自殺を思い止まり 生きる希望を見出したからです そして、数学にしか興味を持たなかった石神が初めて女性を愛したからです しかし、湯川はそれだけでは石神が自首することはしなかっただろうと考え、実はホームレスの男性を富樫と見せかけて殺していたことも喝破します。この殺人によって、石神は自首する理由ができたことになりますが、花岡靖子は自分が富樫を殺したと自首してしまいます 石神は自分の犠牲が水の泡となったことで「なんで?」と泣き叫びます

このラストが、「石神が母娘の犠牲になって刑に服しましたとさ」で終わっていたら、何の変哲もない人情噺になっていたでしょうが、花岡靖子も自首したことによって「どんな事情があろうとも、殺人は許されない」という教訓を残すことになりました

「読んでから観るか、観てから読むか」ということで言えば、私の場合は先に観ました なぜか東野圭吾氏の作品はあまり読んだことがありません 同じミステリー小説だとどうしても中山七里に手が出てしまいます

ところで、本作には電話が登場しますが、公衆電話とガラケーを見て、映画は時代を反映している、と思いました

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平野啓一郎著「ある男」を読む ~ 名前と過去を変えて生き、死んだ男の物語 / キムチ鍋にはチーズを!

2021年10月27日 19時37分09秒 | 日記

27日(水)。午前中、整骨院帰りに郵便局に寄って、「かんぽ生命」の傷害入院保険金支払い請求の手続きをしました 「終身保険証書」「事故報告書」「入院証明書」を提出し、本人確認のため「健康保険証」と「運転経歴証明書」(顔写真付)を提示、併せて保険金振込先の「銀行預金通帳」も提示しました。「事故報告書」は「発生場所」「何をしているときに受傷したか」「どのように負傷したか」「受傷部位」について具体的に記述し、「目撃者はいるか」「飲酒はしていたか」についてチェックする形になっています。「目撃者」については単なる通行人ではなく同行者など知っている人に限るということで「いません」にチェックを入れました 「発生場所」に「錦糸町駅近くのアルカキットビルの外階段から転げ落ちた」と記入したところ、「から転げ落ちた」は不要なので、二重線を引いて消去し印鑑を押してくださいと言われました まさか訂正があるとは思わず印鑑を持参しなかったので「持っていません」と言うと、「それでは、その箇所の隣のスペースにフルネームで署名してください」と言われました あらかじめ郵便局から受け取った「入院・手術保険金のご請求の際に必要となる書類」に「印鑑」の記入はなかったので(「書類」じゃないしね)油断していましたが、お金の請求には印鑑は付きものと思っていた方が良いと反省しました 保険金は2週間以内に預金口座に振り込まれるそうです

ということで、わが家に来てから今日で2482日目を迎え、新型コロナウイルスの対策事業について会計検査院が検査し、介護施設などに配るため政府が調達した布マスク約1億4千万枚のうち、今年3月時点で約8200万枚(約115億円相当)が倉庫に保管されており、昨年8月~今年3月の保管費用が約6億円に上がることが判明した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     いわゆる アベノマスク が余り過ぎた形だが  このマスクを付けた人を見たことない

 

         

 

夕食は「キムチ鍋」にしました 娘が辛い物が苦手なので、これまで避けてきましたが、miminga33さんのブログを見ていたら、市販のキムチ鍋の素はそれほど辛くない旨が書かれていたので、試しにモランボンの「海鮮キムチ  チゲ用スープ」を買ってみました 材料はタラ、牡蠣、ホタテ、白菜、シメジ、長ネギ、ニラ、豆腐です 長ネギとニラが苦手な娘が「チーズを乗せて食べると絶対美味しいよ」と言うので、ピザ用のとろけるチーズを乗せて食べたらものすごく美味しくてびっくりしました 娘は珍しくニラも長ネギも食べていました かくしてわが家のキムチ鍋デビューはチーズとともに迎えました

(※写真はチーズを乗せる前の状態です)

 

     

     

 

         

 

平野啓一郎著「ある男」(文春文庫)を読み終わりました 平野啓一郎は1975年愛知県生まれ。北九州市出身。1999年に京都大学法学部在学中に投稿した「日蝕」により芥川賞を受賞 以後、数々の作品を発表し各国で翻訳紹介されています。2020年からは芥川賞選考委員を務めています 当ブログでは「マチネの終わりに」をご紹介しました

 

 

     

 

弁護士の城戸章良は、かつての依頼者である里恵から「ある男」に関する奇妙な相談を受ける 宮崎に住んでいた里恵には2歳の次男・遼を脳腫瘍で失って、夫と別れた過去があった 長男・悠人を引き取って14年ぶりに故郷に戻った後、谷口大祐と再婚して、新しく生まれた長女・花と4人で幸せな家庭を築いていた しかし、伊東林産に就職し4年間働き続けた大祐は、ある日 自分で伐採した杉の木の下敷きになって死んでしまう    悲しみに暮れる里恵に「谷口大祐」が全く別人だったという衝撃の事実がもたらされる 里恵が頼れるのは弁護士の城戸だけだった。かくして、城戸は「谷口大祐」とは何者かについて調査を開始する

【以下、ネタバレ注意】

1985年の夏、小林謙吉は息子・誠が入っていた「子ども会」を通じて親しくなった工務店の社長宅に金の無心に訪れる    しかし 断られたことから激高し、深夜に強盗に押し入り夫婦と小学6年生の男児一人を殺害して現金を奪い、犯行を隠すために放火し、逮捕される その息子・誠こそが「谷口大祐」の正体だった 誠は「殺人犯の息子」として学校でいじめを受け、母親に捨てられて施設に入り、出てからボクシング・ジムに通いプロ・デビューしたが、事故により夢を絶たれてしまう 過去を変えて別の人生を生きるため、「小林誠」はブローカーを通じて「谷口大祐」と戸籍と名前を交換したのだった

本書のテーマは「愛にとって、過去とは何だろう?」ということです 城戸は、里恵の死んだ夫のことを考えながら自問します

「現在が、過去の結果だというのは事実だろう つまり、現在、誰かを愛しうるのは、その人をそのようにした過去のお陰だ。遺伝的な要素もあるが、それでも違った境遇を生きていたなら、その人は違った人間になっていただろう。・・・けれども、人に語られるのは、その過去のすべてではないし、意図的かどうかはともかく、言葉で説明された過去は、過去そのものじゃない それが、真実の過去と異なっていたなら、その愛は何か違ったものなのだろうか? 意図的な噓だったなら、すべては台無しになるのか? それとも、そこから新しい愛が始まるのか?・・・」

本作は、城戸が在日三世という設定となっていることから、日韓問題、ヘイトスピーチ、差別意識などのイシューも扱われています 本書を通じてこのような問題をあらためて考えるのもよいかもしれません

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6,600円に絶句! / 11/25 東京藝大シンフォニーオケのチケットを取る ~ ベートーヴェン「交響曲第2番」、チャイコフスキー「交響曲第5番」 / 弦楽器製作快挙続く ~ 朝日の記事から

2021年10月26日 19時36分47秒 | 日記

26日(火)。東京曳舟病院から「入院証明書」が出来たという連絡があったので取りに行きました 受付で引き取る時「6,600円になります」と言われ、思わず絶句してしまいました せいぜい2000円程度かと思っていました。たまたま現金を持っていたので良かったですが、足りなかったら銀行で降ろさなければなりませんでした それにしても、A4用紙1枚の「証明書」が6,600円とは、病院はぼろもうけではないか、と思います

証明書の「傷病名」欄には「外傷性くも膜下血腫、右第6肋骨骨折」とあり、「入院期間」欄には「令和3年10月8日~同10月16日」とあります 明日 郵便局に行って、「終身保険証書」「事故報告書(所定用紙)」「入院証明書」を提出し、かんぽ生命の保険適用申請を行う予定です

ということで、わが家に来てから今日で2481日目を迎え、自民党の麻生太郎副総裁は25日、北海道で衆院選の公認候補とともに街頭演説し、道産米について「昔、北海道のコメは『やっかいどう米』と言うほどだったが、今はやたらうまいコメを作るようになった。農家のおかげか、違う。温度が上がったからだ。温暖化というと悪いことしか書いてないが、いいことがある」などと発言した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     品種改良をしたのは農家だろう  麻生氏の頭は温暖化が進んでボケているようだね

 

         

 

夕食に「長芋とエリンギと豚肉の炒めもの」「生野菜とツナのサラダ」「豆腐とワカメの味噌汁」を作りました 「長芋~」は入院中の新聞を切り抜いておいたレシピです。初挑戦ですが美味しくできました

 

     

 

         

 

昨日の朝日新聞朝刊によると、イタリアで今月開催されたピゾーニェ国際弦楽器製作コンクールで、イタリア・クレモナ在住の高橋明さんがチェロ部門で優勝、ヴァイオリン部門で準優勝しました 高橋さんは1970年大阪市牧方市生まれ。2000年に勤めていた会社を退職し、クレモナの国立弦楽器製作学校に編入しました 2003年に卒業してからも工房で研鑽を積んできたとのこと 日本のクラシック音楽界は、演奏家だけでなく、楽器製作の分野でも世界的に認められる人材を輩出するようになってきました 日本人は伝統的に手先が器用だと言われますが、今回の高橋さんの優勝はその証明かもしれません

 

         

 

11月25日(木)午後7時から東京藝大奏楽堂で開かれる「第64回東京藝大シンフォニーオーケストラ定期演奏会」のチケットを取りました。プログラムは①ベートーヴェン「交響曲第2番ニ長調」、②チャイコフスキー「交響曲第5番ホ短調」です。指揮は現田茂夫です このオケは藝大音楽学部の2~4年生の弦・管、打楽器専攻生を主体として編成されている学生オケですが、学生だからと言って馬鹿にできない実力を備えています 藝大奏楽堂は2年ぶりくらいではないかと思います

 

     

     

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石上真由子、NHKクラシック音楽館に出演 / 新日本フィル「室内楽シリーズ」のチケットを取る ~ マルコス・ペレス・ミランダ、村松裕子、澤田和慶プロデュース編 / 「イカゲーム」を観終わる

2021年10月25日 18時36分44秒 | 日記

25日(月)。わが家に来てから今日で2480日目を迎え、中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は23日、適切な食事や睡眠など生活習慣にも言及した家庭内教育のあり方を定めた「家庭教育促進法」を可決した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     どうやら習近平政権は 国民の生活に徹底的に口出ししないと 気が済まないようだ

 

         

 

夕食はいただきものの「ローストビーフ」と「生野菜サラダ」「卵スープ」にしました ローストビーフは柔らかくて美味しかったです まだ肋骨にひびが入っている状態なので、ワインが飲めないのが残念です

 

     

 

         

 

昨日午後9時からのNHK-Eテレ「クラシック音楽館」に昨日のコンサートでメンデルスゾーンのニ短調のコンチェルトを演奏した石上真由子さんが出演しました 番組のテーマは「いま届けたい音楽 コロナと闘うすべての人たちに音楽のエール」です 演奏前の鈴木優人氏とのトークで石上さんは「コロナ禍の中、自分は医師の免許を持っているのに それが生かせないでいることに忸怩たる思いを抱く時期がありました    特にイタリアなどでは医師が不足していて医学生まで駆り出されるような状況にあった時には、その思いを強くしました」と語っていました。医師とヴァイオリニストという2つの才能を持つ石上さんならではの悩みです その後、石上真由子 ✕鈴木優人によりシューマン夫妻の「森の情景」作品82から第7曲「予言の鳥」と、同「3つのロマンス」作品22から第1曲が演奏されましたが、ファンタジックでロマンに満ちた演奏でした

ところで、石上さんが着用していた黒をベースに女性のイラストを大胆に配した鮮やかな衣装は観た覚えがあります そう、あの読響「三大協奏曲」公演でメンデルスゾーンのホ短調のコンチェルトを弾いた時の勝負衣装です 真由子お姉さん、おしゃれ~

番組では、N響を今年3月で退団したのにまだ首席ホルン奏者に君臨している福川伸陽がオルガンの鈴木優人の伴奏でブルックナーの「交響曲第7番」の「アダージョ」を演奏しましたが、曲のエッセンスを凝縮したような素晴らしい演奏でした さすがはN響の枠に収まりきれない才能と実力の持ち主だと思いました

 

     

 

         

 

定期会員先行発売で新日本フィル「室内楽シリーズ~楽員プロデューサー編」のチケットを3枚とりました

①1月25日(火)第146回「コールリッジ=テイラー探訪をご一緒しませんか?」~マルコス・ペレス・ミランダ(クラリネット)プロデュース編

 ベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第4番『街の歌』」ほか。

②2月17日(木)第147回「My Favorite Songs」~村松裕子(コントラバス)プロデュース編

 ラヴェル「ラ・ヴァルス」(編曲:村松裕子)ほか。

③3月23日(水)第148回「愛に触れて」~澤田和慶(第1ヴァイオリン)プロデュース編

 ボロディン「弦楽四重奏曲第2番」ほか。

 

     

 

         

 

今Netfrixで話題の韓国ドラマ「イカゲーム」を観終わりました 全9話から成る物語で1話が約1時間ほどかかります。私は6日間かけて観ました

「イカゲーム」とは韓国の子どもたちが幼い頃に遊んだ「陣取り合戦」のことで、ゲームの参加者は同じような「子どもの遊び」を6日間で6ゲームすることになります 見知らぬ男から勧誘され、眠らされて孤島に連れてこられた老若男女はいずれも多額の借金を抱え、お金を必要とする主人公のギフン以下456人です 主催者から「ゲームに最後まで勝ち残ったものは456億ウォンの優勝賞金を手に入れることができる」と知らされ、次々に同意書にサインしていき、背番号を付けられてゲームに参加します しかし、このゲームは負けた者は射殺されるという「デスゲーム」でした 最初の「だるまさんがころんだ」ゲームで生き残った201人は、あまりの悲惨さに、当初のルールに従い参加者の投票により101対100でゲームの「中断」を決め、元の生活に戻されます しかし、彼らは現実の社会の方が悲惨であることを思い知らされ、187人がゲームに戻ってきます そして「型抜き」ゲーム、チーム別対抗「綱引き」ゲーム、2人1組の「ビー玉の数当て」ゲーム、「ガラスの橋を渡る」ゲームなどをこなしていきますが、そのたびに参加者が次々と死んでいきます 最後に残ったのはギフンと彼の幼馴染のサンウの2人でした。最後の「イカゲーム」により456億ウォンを賭けた闘いが始まります

ゲームの途中の段階から、自分の兄が行方不明になっている若い刑事ジュノが、ゲームの存在に気づき、孤島に潜入しゲームの進行係の一人を倒し、彼に成りすましてゲームの主催者側の立場で成り行きを見守ります すきを見てゲームの異様な実態をスマホで撮影し警察本部に送信しますが、電波が届きません 結局ジュノはゲームの進行責任者フロントマンに追い詰められ崖から落ちてしまいますが、そのフロントマンこそ探していた兄でした 「なぜ?」という問いに対する答えは返ってきません

このゲームには「黒幕=仕掛け人」がいます。背番号と最初のゲームに嬉々として参加していた人物がどうも怪しいと思いながら見ていましたが、ゲームの途中で射殺されてしまった(射殺のシーンはなく、銃声だけが聞こえた)ので、違ったか、と諦めていました しかし、その人物が最後に再登場し、自分がゲームの仕掛け人であることを告白したので、やっぱりそうだったか、と思いました 「なぜ、こんな人殺しゲームを仕掛けたのか」というギフンの問いに、仕掛け人は「退屈だったからだ」と答えます。ギフンは怒りをぶつけます

この作品は、観始めたら途中で止められないほど面白いストーリー展開が魅力です 参加者は、ゲームに勝ち抜き賞金を手に入れるために、人を欺き、暴力を使ってでも生き残らなければ自分が殺されるという極限状態に置かれます これは現在の韓国の置かれた競争社会、階層社会を皮肉っているとも言えると思います しかし、ギフンは「最後まで人を信じる」ことによって結果的に生き延びることができました そこがこの物語の唯一の救いです

さて、音楽です 参加者たちが起床するシーンではハイドン「トランペット協奏曲」の明るい音楽が、ゲーム会場に向かうシーンではヨハン・シュトラウス2世「美しく青きドナウ」やチャイコフスキー「弦楽セレナーデ」の優雅な音楽が流れていました ゲームの悲惨さとは対極にあるアンビバレントな音楽の使い方です

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石上真由子 ✕ 東京ハルモニア室内オーケストラでメンデルスゾーン「弦楽のための交響曲第7番」「ヴァイオリンと弦楽のための協奏曲」、ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第11番」を聴く

2021年10月24日 20時26分08秒 | 日記

24日(日)。わが家に来てから今日で2479日目を迎え、香港紙・明報(電子版)などによると、香港で24日に行われた「香港マラソン」で、少なくとも2人が衣服に「香港加油(頑張れ)」のプリントがあったことを理由に警察に止められ、着替えるよう求められたが、この言葉が書かれた衣服で走る行為が、大会主催者が禁じた「政治的な主張の宣伝」にあたると判断したとみられる  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     着替えて「香港政府=中国習近平傀儡政権」とプリントした衣装を着たらどうなる

 

         

 

午後2時から東京文化会館小ホールで「 東京ハルモニア室内オーケストラ 第63回定期演奏会」を聴きました プログラムは①メンデルスゾーン「弦楽のための交響曲第7番 ニ短調」、②同「ヴァイオリンと弦楽のための協奏曲 ニ短調」、③ベートーヴェン「弦楽四重奏曲 第11番 ”セリオーソ” 」(弦楽合奏版)です 演奏は②のヴァイオリン独奏=石上真由子、弦楽合奏=東京ハルモニア室内オーケストラです

 

     

 

自席はK39番、右ブロック左から3つ目。会場は市松模様配置です 

1曲目はメンデルスゾーン「弦楽のための交響曲第7番 ニ短調」です この曲はフェリックス・メンデルスゾーン(1809-1847)が1821年から翌22年にかけて(12才~13歳)作曲した作品です 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「メヌエット」、第4楽章「アレグロ・モルト」の4楽章から成ります

東京ハルモニア室内オーケストラのメンバーが配置につきます 左からヴァイオリン7,ヴィオラ2,チェロ2,その後方にコントラバス1という12名による小編成です メンバーの中で判るのは東京フィルの首席ヴィオラ奏者・須藤三千代さんだけです

12名の演奏者は指揮者なしで立奏します 第1楽章はメンデルスゾーンの初々しさを感じさせる曲想で、バッハのフーガを連想させます 第2楽章以降も厚みのある弦楽合奏で緻密なアンサンブルが展開します 早熟の天才メンデルスゾーンを感じさせる爽やかな演奏でした

2曲目はメンデルスゾーン「ヴァイオリンと弦楽のための協奏曲 ニ短調 作品64」です    この曲はメンデルスゾーンが1822年に作曲、友人のヴァイオリニスト、フェルディナント・ダヴィットに献呈されました    あの有名なホ短調の協奏曲ではありません。この作品は1951年にユーディ・メニューインがロンドンでメンデルスゾーンの子孫にあたる家族から草稿を見せられたことをきっかけに世に知られるようになりました   第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「アレグロ」の3楽章から成ります

ソリストの石上真由子は、8歳の時にローマ国際音楽祭に招待され、高校2年の時に第77回日本音楽コンクール第2位、併せて聴衆賞とE.ナカミチ賞を受賞したのをはじめ、ルーマニア国際音楽コンクール弦楽部門第1位など内外のコンクールに上位入賞を果たしています また、京都府立医科大学を卒業し、医師免許を取得しているという異能の持ち主でもあります

ローズレッドに黒のアクセントをつけた鮮やかな衣装を身に着けた石上真由子が登場し、さっそく第1楽章に入ります 冒頭からニ短調特有のデモーニッシュな音楽が疾走します 石上のヴァイオリンは躍動感に満ち、音楽が息づいています 第2楽章に入ると一転、優雅な音楽が奏でられますが、石上特有の自然で美しいヴィブラートが会場を満たします 私が初めて彼女の演奏を聴いたのは今年8月14日に開かれた「読響三大協奏曲」で、メンデルスゾーンの有名なホ短調のヴァイオリン協奏曲を演奏した時です その時の美しいヴィブラートが忘れらずにいましたが、今回もう一つのメンコンを聴かせてもらうことになりました 特に弱音の美しさは筆舌に尽くし難いものがあります 第3楽章に入るとリズミカルな演奏が展開しますが、石上はヴァイオリンを弾くのが楽しくて仕方ないという表情で疾走感あふれる演奏を展開します カデンツァは目力(めじから)の効いた素晴らしい演奏でした

満場の拍手に石上は、若林千春作曲「ARIOSO(アリーソ)」(石上の委嘱作品)を最弱音から最強音まで超絶技巧を駆使して演奏、聴衆を唖然とさせました 再び会場いっぱいの拍手が彼女を包んだことは言うまでもありません

後で石上さんのツイッターを見たら、「この実演機会の少ない作品を演奏するという、小学生の頃からの夢が叶いました。ありがとうございました」と書かれていました。それほど思い入れのある作品だとは思いませんでしたが、「大好きなメンデルスゾーンの隠れた名曲を名演奏で聴かせていただき、ありがとうございました」と言いたいと思います

この際だからPRします 石上真由子プロデュースによるコンサートがあります 下のフライアーの通り、11月1日(月)午後7時から浜離宮朝日ホールです プログラムも魅力的だし、共演者も素晴らしい人たちが揃っています。残念ながら私はコンサートの予定が入っていて聴きに行けませんが、お薦めします

 

     

 

プログラム後半はベートーヴェン「弦楽四重奏曲 第11番 ヘ短調  ”セリオーソ” 」(弦楽合奏版)です    この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770ー1827)が1810年に作曲、1814年5月にウィーンでシュパンツィヒ四重奏団により初演されました    「セリオーソ」(厳粛な)という言葉はベートーヴェン自身が名付けたと言われています 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アレグレット・マ・ノン・トロッポ」、第3楽章「アレグロ・アッサイ・ヴィヴァーチェ・マ・セリオーソ」、4楽章「ラルゲット・エスプレッシーヴォ」の4楽章から成ります

私がこの曲を弦楽四重奏ではなく弦楽合奏で聴くのはこれが初めてです 特に第1楽章の冒頭から、小さいながらもオーケストラとしての合奏の力を感じさせる厚みのある演奏が印象に残ります 第2楽章では弦楽だけのアンサンブルの良さが出て緻密で美しい演奏が展開しました 第3楽章は心地よい疾走感が素晴らしかったです 第4楽章を聴いていつも思うのは、前半から中盤にかけての悲壮感とフィナーレに向けての楽天的な音楽との落差です セリオーソなのにセリオーソで終わっていない、という印象があります。不思議な音楽です

12人のメンバーは、メンデルスゾーン「歌の翼に」をアンコールに演奏、満場の拍手でコンサートを締めくくりました

 

     

 

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ブロムシュテット ✕ NHK交響楽団でグリーグ「ペールギュント」組曲第1番、ドヴォルザーク「交響曲第8番」を聴く ~ 第1940回定期演奏会Cプロ2日目 / 指揮者ハイティンク逝く

2021年10月23日 18時14分04秒 | 日記

23日(土)。今日の朝日新聞朝刊によると、オランダの指揮者ベルナルト・ハイティンクが21日、ロンドンで死去しました(享年92歳)。アムステルダム生まれ。ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団を筆頭に、ロンドン・フィル、グラインドボーン音楽祭などで要職を務め、ベルリン・フィルやウィーン・フィルにもしばしば客演しました

残念ながら私は彼の指揮で生演奏を聴いたことがありませんが、彼がロンドン・フィルとアムステルダム・コンセルとヘボウ管弦楽団を指揮したショスタコーヴィチの「交響曲全集」(13枚組CD)は愛聴盤で、コンサートの予習の時は必ずこのCDを聴いています ハイティンクさんのご冥福をお祈りします

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2478日目を迎え、大阪管区気象台は23日、近畿地方に冬の到来を告げる木枯らし1号が吹いたと発表した  というニュースを見て 謎かけ遊びをするモコタロです

 

     

     木枯らし1号とかけてなんと解く  クラシック音楽と解く  その心は  アキが来ない

 

         

 

午後2時から東京芸術劇場でNHK交響楽団の「第1940回定期演奏会Cプログラム2日目」を聴きました コンサートを聴くのは9日間の入院を挟んで2週間ぶりですが、退院1週間目とうことで胸部のバンドをシャツの内側に巻いて出かけました プログラムは①グリーグ「ペールギュント」組曲第1番 作品46、ドヴォルザーク「交響曲第8番 ト長調 作品88」です 指揮はヘルベルト・ブロムシュテットです

午後2時からの本番に先立って、1時15分からCプログラムだけの室内楽演奏がありました ヴァイオリンの白井圭、大林修子、ヴィオラの佐々木亮によりマルティヌー「セレナーデ」が演奏されましたが、抒情的な第2楽章が印象に残りました なお、白井氏によると、大林さんは12月いっぱいでN響を卒業するとのこと。隠れ大林ファンとしては寂しい限りです

 

     

 

ブロムシュテットは1927年スウェーデン人の両親のもとにアメリカのマサチューセッツ州スプリングフィールドで生まれました ストックホルム王立音楽院などで学び、1954年にストックホルム・フィルを指揮してデビュー。ドレスデン国立歌劇場管弦楽団、スウェーデン放送交響楽団などの首席指揮者を歴任しました N響との初共演は1981年で、1986年に名誉指揮者に就任しています

会場は9割以上は入っている模様です コロナ禍のもと、休憩なしの約1時間半のプログラミングが受けているのかもしれません

オケは左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置をとります。コンマスは白井圭です

1曲目はグリーグ「ペールギュント」組曲第1番 作品46です 「ペール・ギュント」はノルウェーの作家ヘンリク・イプセンが1867年に出版した全5幕から成る喜劇です エドアルド・グリーグ(1843-1907)は1874年1月にイプセンから作曲を依頼され、1875年に完成しました その後、グリーグは1888年に組曲として改編し(第1番)、1893年には組曲第2番を出版しました 「組曲第1番」は第1曲「朝」、第2曲「オーセの死」、第3曲「アニトラの踊り」、第4曲「山の王の宮殿で」の4曲から成ります

御年94歳のブロムシュテットが矍鑠たる足取りで指揮台に上がります 彼はタクトを持ちません。長年連れ添ったN響相手にはアイコン・タクトですべてが通じるのでしょう 第1曲は神田寛明のフルート、吉村結実のオーボエが清々しい朝の空気を醸し出します 第2曲「オーセの死」では弦楽器による弱音のアンサンブルが美しく響きます 第3曲「アニトラの踊り」に移る時、ブロムシュテットの顔が明るくパッと輝きました そして、アラビア風の音楽が妖艶に演奏されました 第4曲「山の王の宮殿で」では、ゆったりしたテンポから次第に速度を上げていき畳みかけるクレッシェンドが堪りません 実に爽快な演奏でした

休憩時間はありませんが 楽団員全員がいったん舞台袖に引き上げます ステージ上の配置はそのままなので、おそらく立ちっぱなしで指揮をとるブロムシュテットの心身を休めるために時間をとったのだと思われます

 

     

 

プログラム後半はドヴォルザーク「交響曲第8番 ト長調 作品88」です この曲はアントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)が1889年にわずか1か月で作曲、1890年2月2日にプラハで初演されました 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグレット・グラツィオーソ」、第4楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」の4楽章から成ります

ブロムシュテットの指揮で第1楽章が開始されます 冒頭の哀愁に満ちたメロディーが心に響きます。ここでもフルートが素晴らしい演奏を展開します 全体的にリズム感がとても良いと思います 第2楽章でもフルートをはじめオーボエ、クラリネット、ファゴットといった木管楽器群の演奏が冴えわたります 第3楽章は弦楽器の渾身の演奏により郷愁を誘うメロディーが奏でられます この曲のハイライトと言ってもよい楽章です 間を置くことなく突入した第4楽章は、冒頭のトランペットによるファンファーレが空気を一変させます 次いで登場するチェロとヴィオラの演奏が素晴らしい 変奏に次ぐ変奏が展開し、最後に高速テンポのコーダで曲を閉じます

全曲を通じて感じたのは、N響の楽員全員がブロムシュテットの期待に応えるべく渾身の演奏を展開していたことです 終演後はカーテンコールが繰り返され、楽団員が舞台袖に引き上げた後もブロムシュテットが呼び戻され、スタンディング・オベーションに応えていました

蛇足ですが、下の写真はベルベルト・ブロムシュテット指揮シュターツカペレ・ドレスデンによるドヴォルザーク「交響曲第8番」のCD(1974年5月、ドレスデン・ルカ教会での録音)です 今から47年前、ブロムシュテット47歳の時の演奏です。若いですね

 

     

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ショパン・コンクール ~ 登竜門から成熟へ:朝日の記事から / 週刊新潮は思い上がるな! ~ 19歳少年の実名報道を巡って

2021年10月22日 19時00分10秒 | 日記

22日(金)。最近とくに眼鏡の度数が合わなくなってきたので、行きつけの眼鏡店に行って検眼してもらいました どうやら私の眼の視力は左が1.0あるのに対し 右は半分位しかないことが分かりました フレームがカーボンなので、それを生かして、レンズ(中近両用)だけ交換してもらうことにしました メール会員に登録しているので1割引きになりましたが、それでもレンズ左右で税込み42,570円かかりました。出来上がるまでは予備に使っている眼鏡があるので問題ありません

トイレの照明スイッチが壊れたので、昨日マンション管理会社のサービス部門に連絡して、今日 提携業者に来てもらいました スイッチ部品の一部が折れてしまい、点けたら点けっぱなしになっているとのことでした 部品そっくり交換ということで5,434円かかりました マンションに入居以来28年間一度も故障していなかったので経年劣化だと思います 電気が点いたまま、換気扇が回ったままでは困るし、これから30年近く使用することを考えると交換して正解だったと思います

ということで、わが家に来てから今日で2477日目を迎え、フェイスブックやツイッターのアカウントを停止されているトランプ前米大統領は20日、新たなソーシャルメディア「トゥルース(真実)ソーシャル」を立ち上げると明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トゥルース・ソーシャルが聞いて呆れる フェイク・ソーシャルだったら理解できる

 

         

 

夕食に「鶏の唐揚げ」を作りました 2週間に1度のペースで作っていましたが、入院の関係で間隔が空き4週間ぶりに作りました 栗原はるみ先生のレシピによる「うまみ醤油」に2時間くらい漬けてから揚げたので味が浸み込んで美味しかったです まだビールが飲めないのがとても残念です

 

     

 

         

 

昨日の朝日新聞朝刊に「19歳少年の実名報道  週刊新潮  甲府2人死亡巡り」という見出しの記事が載りました 超訳すると、

「甲府市の住宅が全焼し、会社員井上盛司さんと妻章恵さんの遺体が見つかった事件で、傷害容疑で逮捕された19歳の少年について、週刊新潮は21日発売の10月28日号で少年の実名と顔写真を報じた   山梨県弁護士会は21日、記者会見し、少年の特定につながる報道は少年法に違反すると抗議した。同誌編集部はコメントを出し、「19歳の少年といえども実名・顔写真を含め、その実像に迫る報道を行うことが常識的に妥当であると判断した」としている    今年5月成立の改正少年法は18歳、19歳を『特定少年』と位置づけ、来年4月以降に起訴されれば、実名などの報道を禁じる規定が適用されないと定めている

結論から先に言うと、週刊新潮は言論の自由をはき違えている。何様だと思っているのか マスコミではなく「マスゴミ」と言われても仕方がない。記事を読む限り、現時点では法律を逸脱していることは明らかで、勇み足の報道と言わざるを得ない 「その実像に迫る報道を行うことが常識的に妥当であると判断した」だと? 戯けたことを言うな 法律云々以前に、まだ”容疑者”に過ぎない少年本人とその家族の人権をどう考えているのか 実名や顔写真が露出することによってどういうことが起こるかを考えたうえで報道しているのか 容疑者の家族に対してはテレビ局や週刊誌の取材が殺到し(いわゆる「メディア・スクラム」)、電話やSNSを通じても誹謗中傷が加えられ、ろくに買い物にも出られないような異常な生活を強いられることが容易に想像できる 9月30日付toraブログでご紹介した春本雄二郎監督「由宇子の天秤」では、加害者家族がメディアやSNSを通じてどんなに酷いバッシングを受けるかを描いているが、状況は加害者家族でも容疑者家族でも同じだろう

週刊新潮は思い上がるのもいい加減にしろ 報道される側の人権を踏みにじり、言論の自由を振りかざして「週刊誌が売れればよい」という売り上げ至上主義に基づく報道は止めろ 自分や自分の家族や友人が同じ立場に立たされたらどういう気持ちになるか考えろ

 

         

 

昨日の朝日新聞朝刊 社会面に、「第18回ショパン国際ピアノコンクール」で2位入賞の反田恭平さんと4位入賞の小林愛実さんに関する記事「幼なじみ  約束の先の栄光」が載っていました このうち、同社の吉田純子編集委員による「登竜門から『成熟』へ」という解説記事が興味を引きました 超訳すると、

「今回のコンクールに限らず、コロナウイルスは多くの国際コンクールの風景を一変させた 多くがオンライン配信され、世界中に『観客』と『審査員』が生まれた。出場者の多くが、予選のたびにツイッターでつぶやき、ファンとの交流を欠かさなかった ネットにはそれぞれの『推し』を応戦する、各国語のにぎやかなコメントがひしめいた 『競い合い』という悲壮感は、もはやない。かつての国際コンクールは、原石を見つけ出し、無名の新人を一躍スターダムに押し上げるものだったが、今回のショパン・コンクールは『若手の登竜門』などではなく、成熟した個性の饗宴だった 現行のほとんどの国際コンクールが、今や音楽ビジネスにおける重要なエンターテインメントとなっているという現実を、今回のショパン・コンクールは明瞭に可視化した

私が興味を惹かれたのは最後のフレーズです。吉田さんの指摘の通り、ショパン・コンクールに限らずほとんどの国際コンクールが「音楽ビジネスにおける重要なエンターテインメントとなって」います 日本人からの出場者が2人も入賞したことは日本の音楽界の快挙であり、普段クラシックに興味のない人も惹きつけた点は素晴らしいことだと思います その一方で、入賞者のコンサート・チケットは高騰し、なかなか入手できなくなることが予想されます まさに音楽のビジネス化以外の何物でもありません。しかし、「世の中、需要と供給のバランスで成り立っている」という資本主義の論理の中では仕方のないことかもしれません

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