人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

不公正なゲームに勝つ技術~映画「マネーボール」を観る

2012年04月30日 07時24分56秒 | 日記

30日(月・振替休日).昨日も暑い1日でしたね 会員になっている飯田橋のギンレイ・ホールの期限が30日で切れるので,久しぶりにギンレイに行って契約を更新しました.「シネパスポート」を買うと年間10,500円の会費で52本の映画がいつでも観られます さっそく午前10時半から2011年のアメリカ映画「マネーボール」を観ました 監督はベネット・ミラー,主演はブラッド・ピットです.舞台は2000年代初頭のメジャーリーグです

ビリー(ブラッド・ピット)は,米メジャーリーグの選手から貧乏球団アスレチックスのゼネラルマネージャーに転身しますが,主力選手が他球団に次々と引き抜かれていき,資金力のない状態でチームの立て直しを余儀なくされます

ある日,インディアンズのジェネラルマネージャーに会いに行ったときに,ある男の言うことなら聞くという影の実力者・ピーター・ブランドと出会います.ビリーはピーターを引き抜いて,新たな理論を構築します.それは「不公正なゲームに勝つ技術」で,他球団を含めた選手の過去のデータを統計学的手法で分析し,得点を挙げるためにはどうすればよいか,ということを最優先で考えて,最低の資金で最大の人材(選手)を獲得し,しぶとく得点していく方法です アスレチックスの選手の年俸はニューヨーク・ヤンキースの3分の1だったといいます

ビリーが重視するのは「出塁率」「長打率」「選球眼」といったもので,ヒットでも四球でもとにかく塁に出ることが重要視されます.反対に「バント」「盗塁」などは1アウトを自ら進呈する,あまり意味がない攻撃として否定します 1アウトを失ってでもバントでランナーを進塁させる日本の野球とは全く違いますね

こうした方法によって,アスレチックスは驚異の20連勝をします.優勝こそ逃しますが,プレーオフ進出常連の強豪チームになります こうした成功に至るまでは,”過去の実績”や”カン”に頼るベテラン・スカウト達との戦いがあり,オーナーからの圧力もあります それでもビリーは最後まであきらめることなく自分の主張を通します 最初のころは選手と距離を置き,あえてコミュニケーションをとることを避けます.それはいつでも不要な選手をトレードに出すことができるように,という冷血なまでの判断があるからです.それも,チームが勝ち続けるようになると,一人一人に声をかけるようになります 

日本でも今,ペナント・レース序盤戦の真っただ中 かつてセパ両リーグで最高の年俸を払っていたのは読売巨人軍でしたが,今やわれらが阪神タイガースです.高い年俸で優秀な選手を集めているわけですから,年俸に合った戦いぶりを見せて欲しいと思います.和田監督の信条は「守り抜く野球」ですが,私としては「打ち勝つ野球」を目指してほしいと思います.その方がタイガースらしいと思うんだけどなあ

 

         

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ライプチッヒ弦楽四重奏団のコンサート・チケットをゲット!

2012年04月29日 07時41分36秒 | 日記

29日(日).連休第1日目の昨日は夏のような陽気でしたね 家に閉じこもっているのはもったいないので,神保町に出かけました.古本屋街を散策して,三省堂にあるチケットぴあに行きライプチッヒ弦楽四重奏団のコンサート・チケットを買いました.6月2日(土)の公演を買うつもりが,なぜか8日(金)の公演を買ってしまいました.しかたないので,今日,2日のチケットを買おうかと思います

ライプチッヒ弦楽四重奏団は1988年に創立,メンバーのうち3人はライプチッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の首席奏者だったということですから,相当の実力者揃いです

2日(土)午後3時からのプログラムは①ハイドン「弦楽四重奏曲第38番」,②ブラームス「ピアノ四重奏曲第2番」,③メンデルスゾーン「弦楽八重奏曲」の3曲です.ライプチッヒ弦楽四重奏団のほかにヴァイオリンの長尾春花ほかが出演します

8日(金)午後7時からのプログラムは①ハイドン「弦楽四重奏曲第77番”皇帝”」,②モーツアルト「弦楽四重奏曲第19番K.465”不協和音”」,③メンデルスゾーン「弦楽四重奏曲第5番」の3曲です

会場は両日とも上野の東京芸術大学奏楽堂で,入場料は両日とも2,000円(全自由席)東京芸大主催のコンサートだから安い料金が可能なのですね コンサート会場で配られるチラシを丹念に見ていると,時々こういう”お買い得”の公演が混じっています.日程が空いている限りチケットを買います

 

        

 

この日は,久しぶりにJR巣鴨駅から地蔵通り商店街を歩いて帰ってきました ”おばあちゃんの原宿”は,良い天気に誘われて多くの人で賑わっていました.しばらく歩かないうちに何件かお店が変わっていました.テレビのクルーがどこかのオジイサンをつかまえてインタビューをしていました お年寄りのインタビューというと,必ず巣鴨の地蔵通り商店街ですね

 

        

 

   閑話休題  

 

昨日の日経夕刊に「音楽やゲーム 米販売ネット主流に」という記事が載りました 

「全米レコード協会によると,11年の音楽ネット配信の市場規模は,前年比9.2%増の34億3010万ドル(約2795億円)に拡大.CDなどの販売は7.7%減の33億8110万ドルにとどまった.一方,日本の音楽市場では,CDなどの国内生産額は年間2800億円程度で米国とほぼ同じ規模だが,11年のネット配信は前年比16%減の719億円と低調,米国の4分の1程度にとどまっている」

この記事を読む限り,国の規模を考えれば,日本は米国に比べてまだまだCDなどの音楽ソースが頑張っているようです 私も時々「タワーレコード」に行って,気に入ったCDがあれば買っているし,まだまだ”もの”にこだわっています

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20歳の感性を聴く~パク・へユンのヴァイオリン・リサイタルから

2012年04月28日 06時44分26秒 | 日記

28日(土)。昨夕、紀尾井ホールで韓国のヴァイオリニスト、パク・へユンのヴァイオリン・リサイタルを聴きました 彼女は1992年ソウル生まれの20歳。4歳の時にヴァイオリンを弾き始め、9歳でソウル・フィルと共演しオーケストラ・デビューしました 2007年にルイ・シュポア国際コンクールで優勝、2009年には第58回ミュンヘン国際音楽コンクールで史上最年少の優勝のほか2つの特別賞を受賞しました

今回のリサイタルは「プロジェクト3×3」という企画の一環で、同じ奏者が東京、大阪、名古屋で3年続けて公演するというものです。昨年7月27日に紀尾井ホールで開かれた第1回目のリサイタル(ベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ第7番」ほか)を聴いて,とても良かったので、第2回目も聴いてみようと思ったのです

パク・へユンの演奏は、その後今年2月25日に東京交響楽団とモーツアルトの「ヴァイオリン協奏曲第5番」を演奏したのを聴きました

今回ピアノを弾くのは1982年ラトヴィア生まれ,ということはパクより10歳上のラウマ・スクリデです

演奏曲目は①シューベルト「ヴァイオリン・ソナタ イ長調」、②ラヴェル「ヴァイオリン・ソナタ ト長調」、③シマノフスキ「神話op.30より”アレトゥーサの泉”」、④プロコフィエフ「ヴァイオリン・ソナタ第2番ニ長調」の4曲です

コンサートでは会場に着いてもすぐに席に座ることはなく,ロビーでプログラムを読んだりチラシに目を通したりしています.今回も5分前に会場に入って,初めて客の入り具合を確かめたのですが,あまりの少なさに愕然としました 1階席の前半分しか埋まっていません.これじゃあソリストが可哀そうだな,と思いました 自席は1階11列16番で,ほぼ中央の通路側です.

プログラムを見るとパク・へユン自身が演奏曲目について書いているのですが,どうしてその曲を演奏しようと思ったのか,どういう風に演奏しようとしているのかが書かれていて,演奏家からのメッセージを受け取ってから聴くことができ,すごく良いことだと思いました 日本の演奏家の場合は評論家が曲目解説を書いているケースが圧倒的に多いと思います.これって,見習った方が良いと思います.演奏家はもっと自身の主張を発信すべきだと思います

パクはピンクのノースリーブで,スクリデは黒のドレスで登場します 1曲目のシューベルト「ヴァイオリン・ソナタ イ長調」は作曲者20歳のときの作品で,パクは同じ20歳として演奏したいと思いプログラムの冒頭に取り上げたということです シューベルトらしい歌に満ちた,明るくも,時に悲しい曲です.パクは詩情豊かに正面から対峙します.ピアノ伴奏のスクリデがナイス・フォロ-して光っています

2曲目のラヴェル「ヴァイオリン・ソナタ ト長調」は印象派を代表するヴァイオリン・ソナタといってもいいでしょう 色彩感溢れる,ときにメランコリックな曲です.第2楽章は「ブルース」と名付けられているように,ジャズのイディオムを取り入れたスィングする音楽です 同じ曲を南紫音の演奏で聴いたときには,ちょっぴり”遊びの精神”を感じましたが,パクは,あくまでも美しく弾くことを優先して真正面から取り組んでいる印象を受けました 20歳らしい瑞々しい感性の演奏と言えばいいでしょうか

休憩後のシマノフスキ「神話より”アレトゥーサの泉”」はギリシア神話に登場する水の精アレトゥーサの物語をテーマに作曲されたもので,神秘的な音楽が展開します.次々と変わる音色が鮮やかです

最後のプロコフィエフ「ヴァイオリン・ソナタ第2番」は,もともとフルート・ソナタとして作曲されました 第1楽章のモデラートはアンニュイなメロディーで始まります.そしてリズム感溢れる第2楽章スケルツォを通過して,有名な第3楽章アンダンテを経て,第4楽章アレグロ・コン・ブリオに突入します.弾き切った後の2人の演奏家の笑顔が印象的でした 会場に半分しかいない聴衆は,1人が2人分の拍手で2人の演奏家を迎えました

鳴り止まない拍手に,アンコールとして①ドヴォルジャーク「ロマンチックな小品から第1番・作品75-1」,②クライスラー「中国の太鼓」を演奏しました.これも鮮やかな演奏でした

こんなに素晴らしい演奏会が紀尾井ホールの半分しか埋まらないのはとても信じられませんこの企画は3年がかりで同じアーティストを取り上げるわけですから,来年もパク・へユンのリサイタルはあります.まだ1度も聴いたことのない方は,来年は是非聴いてみてください.期待を裏切られることはありません

 

 

        

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今日4月27日はヘンデル「王宮の花火の音楽」初演の日♪

2012年04月27日 06時32分48秒 | 日記

27日(金).今日4月27日はフリードリヒ・ヘンデルの「王宮の花火の音楽」が初演された日です ヘンデルの活躍していた時代に,ヨーロッパ諸国を巻き込んだ「オーストリア継承戦争」(1740・1748年)が勃発しましたが,イギリスではこの戦争の和約締結を記念して翌1749年の4月27日に,ロンドンのグリーン・パークで花火大会が開かれました このときに演奏されたのが「王宮の花火の音楽」です.

この曲の作曲をヘンデルに委嘱したのはイギリス国王ジョージ二世ですが,強くたくましい雰囲気を出すため,管楽器と打楽器だけで作ることを要求しました ヘンデルは,その要望に沿って作曲しましたが,その後,弦楽器が入るヴァージョンも作って発表しました 現在では,こちらのヴァージョンの方が多く演奏されています

CDラックから久しぶりに引っ張り出して聴いたのは,ヘルムート・コッホ指揮ベルリン放送交響楽団によるCDです ドイツ的な堂々たる演奏です.ところで,CDは約4000枚を作曲家別にラックに収めており,バッハの次がヘンデルなのですが,なんと「メサイア」のCD1組しか見あたらないのです.”ちょっと変デル”と思ってあちこち探し回ったら,ありました 別コーナーの2重になっているラックの奥にヘンデルが13枚潜んでいました.バッハ・コレギウム・ジャパンによる「メサイア」を入れても15枚しかありません モーツアルト700枚,ベートーヴェン320枚,ブラームス250枚,マーラー250枚に比べ,あまりの少なさに愕然としました 

 

        

 

ヘンデルといえば,先日ブログに書いた村上春樹著「1Q84 BOOK1」の中に出てくる「ハープシコードの伴奏のついたリコーダー・ソナタ」はヘンデルの作品ではないか,と思いましたたまたま”再発見”した13枚のCDの中にヘンデルの「リコーダー・ソナタ作品1の2番,4番,7番,11番」が収められていたので,聴いてみたら,最初の第2番が「1Q84」のあのシーンに相応しい音楽だと直感したのです 聴いたのは”CDの百科事典”NAXOSレーベルのCDです.ハンガリーの演奏家たちによる演奏らしいのですが,英語ではないので演奏家の名前が読めません いずれにしても良い演奏で”ヘンデルっていいなあ”と改めて認識しました

 

        

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事件の裏に女あり~誉田哲也著「ヒトリシズカ」を読む

2012年04月26日 07時07分52秒 | 日記

26日(木)。昨夕、ビルの警備・清掃を委託しているT社のN部長ほか総勢11人でEビル1階のPで飲みました 防災センターに新たに加わった若手隊員の新人歓迎会というわけですPは小奇麗なイタリアン・レストランで,料理もワインも美味しい店でしたが,参加者の熱気のせいか若干暑かったような気がします.一肌脱いで話をしました・・・・上着を脱いだわけね 私は主にN部長と芸術論を戦わせていたような気がしますが,定かではありません.2次会は9人でわがビル地下のRに流れ,主に日本酒を飲みました 何の話をしたのかまったく覚えていません そういえば肝心の新人君は家が遠いので1次会で引き揚げました.2次会はどういう名目だったのでしょうか? ともあれ,N部長はじめ関係者の皆さまお疲れ様でした

 

  閑話休題  

 

誉田哲也著「ヒトリシズカ」(双葉文庫)を読み終わりました 2008年10月に双葉社から単行本が出され、今回、文庫本として発売されました。著者は「ストロベリーナイト」や「ジウ」などの警察小説でお馴染みの小説家です

この作品は6つの物語からなる連作短編の形をとりますが、それぞれの事件の顛末が描かれることで、やがて一人の女性・静加の全体像が浮かび上がってくるように書かれています

最初の章「闇一重(やみひとえ)」で、男が拳銃で撃たれて死亡します。裏に、ある少女の影がちらつきます。この少女は名前を変え、次々に犯罪にかかわっていきます しかし、なぜ静加がそうせざるをえなかったのか、最後の章「独静加(ひとりしずか)」で明らかになります。それまでの「ひどい女」というイメージがここで覆されます。読み始めたら止まらない小説としてお薦めします

 

          

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ヴェルディ「ラ・トラヴィアータ」、ベッリーニ「ノルマ」のDVDをいただきました!

2012年04月25日 06時52分30秒 | 日記

25日(水)。昨日、防災関係の会議を開き、丸の内消防署の担当官から大地震の話を中心にお話を伺いました 幸か不幸か昨年3月11日を境に、各事業所とも防災意識が高まったとのことです 話の中で初めて知ったのは、過去の大地震の際の死亡原因です。関東大震災の時は火災が87%、阪神淡路大震災の時は圧死が83%、昨年3.11の東日本大震災の時は92%が溺死ということでした。「備えあれば憂いなし」。お互いに気をつけましょう

 

  閑話休題  

 

その防災会議が終わって事務所に戻ると、机の上に小さな紙袋が置かれていました。近くの社員に聞くと、月曜日にHCビル地下のKでいっしょに飲んだテナントS社のF氏が私あてに持参したとのことでした。中を見るとオペラのDVDのパッケージが2本入っていました それで思い出しました。いっしょに飲んだ際にF氏が「うちの社長が個人資産を注ぎ込んでオペラ公演を挙行して、それをDVDにして売り出しているんです。うちの社長が経営しているラ・ヴォ―チェという会社が制作・発売してるんですが、オペラが好きなようなので、社長のところから持ってきてあげますよ」と言っていたのです。まさか、本当に持ってきてくれるとは思っていなかったので驚きました

1枚はベッリーニ「ノルマ」で、キャストはノルマ=チェドリンス、ポリオーネ=スコーラ、フラーヴィオ=中鉢聡ほかで、カンパネッラ指揮東京フィルの演奏です 2003年7月と8月に新国立劇場で収録したもので、総合プロデューサーとしてS社のE社長の名前が載っていました。

 

        

 

もう1枚はヴェルディ「ラ・トラヴィアータ」で、キャストはヴィオレッタ=デヴィーア、アルフレード=フィリアノーティ、ジェルモン=ブルゾンほかで、カンパネッラ指揮東京フィルの演奏です 2006年8月に新国立劇場で収録したもので、やはり総合プロデューサーとしてE社長の名前が載っていました。

 

        

 

2枚とも、出演者を見る限り一流の歌手陣だし、オーケストラも東京フィルだし、合唱も藤原歌劇団合唱部だし、相当お金がかかっていると思われます F氏の話が本当ならE社長が一人ですべての経費を負担したことになります。E社長はE育英会という財団も主催しており、若手演奏家の育成に努めていることでも知られています お金が有り余っている人はうらやましい限りですが、お金の使い道としては正しいと思います

わが社のE部長の話によれば、月曜日、F氏は1次会で焼酎のボトルを1本空けた後、E部長と3次会まで行って、新たに入れたボトルをF氏がほとんど一人で空けてきたというのですから、相当なウワバミです それでもDVDの件は忘れないのですから人間じゃありません、もとい、大したものです 高価なDVDをいただきっぱなしというわけにもいかないので、お酒好きなF氏に焼酎を贈ることにしました。まあ、どうせ1日で飲みきってしまうことはサケられないでしょうが

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ヤナ―チェック「シンフォニエッタ」の位置づけは?~村上春樹著「1Q84 BOOK1」を読む

2012年04月24日 06時43分23秒 | 日記

24日(火)。昨夕は仕事でE部長、テナントSのF氏、N氏とHCビル地下のKで飲みました月曜からの飲み会は極力避けたかったのですが、テナントさん優先なのでやむを得ません 9時過ぎまで飲み続けましたが、横綱級の体格のF氏は焼酎のボトル1本を一人で軽く空けていました こういう人を相手に飲むのは今回限りにしたいものです。その後、E部長は2人に拉致されタクシーで北の方面へ連れ去られました 行き先がミサイルを宇宙ロケットと言い張る某国でなければいいのですが・・・・・・・・

 

  閑話休題  

 

村上春樹著「1Q84 BOOK1」(前編・後編。新潮文庫)を読み終わりました BOOK1とBOOK2は2009年5月30日に、BOOK3は2010年4月16日に単行本で発売されました。このうちBOOK1が文庫本として今年4月1日に発売されたので購入しました

この本のタイトル「1Q84]は、ジョージ・オーウェルの近未来小説「1984年」に倣っていますが、1995年に起きた「オウム真理教の地下鉄サリン事件」に触発されたと言われます

まだBOOK1しか読んでいないので物語の全体像は分からないのですが、BOOK1では、スポーツインストラクターであり、同時に暗殺者でもある青豆が主人公となる「青豆の物語」と、予備校の数学教師で小説家を志す天吾が主人公となる「天吾の物語」が交互に展開します 

1984年に2人とも「宗教団体さきがけ」に対する活動にそれぞれ巻き込まれていくのですが、青豆は、月が2つ出ているような現実とは微妙に異なる不思議な1984年を「1Q84年」と名付けます。 ジョージ・オーウェルは「1984年」に独裁者ビッグ・ブラザーを登場させましたが、村上は「1Q84]にリトル・ピープルを登場させています。このリトル・ピープルとは何者なのか この小説のカギを握る存在ですが、その正体はいまのところ分かりません

 

        

 

さて、私が興味があるのは、小説の中にどんな音楽が登場するのか、ということです まず最初にヤナーチェックの「シンフォニエッタ」がBOOK1・前半の1行目に登場します。青豆がタクシーに乗っているときにFMラジオから流れているという設定です。たぶん、この曲は、この小説の開始のファンファーレという位置づけにあるのでしょう ヤナーチェックとシンフォニエッタについては、257ページから260ページにかけて書いていますが、この曲が青豆に1984年ではなく1Q84年に生きているということを自覚するように促した重要な曲であることを描いています。また、青豆がレコード店で買う「シンフォニエッタ」のレコードがジョージ・セル指揮クリーブランド管弦楽団による演奏であると書いています

 

        

            ジョージ・セル指揮クリーブランド管弦楽団による

            ヤナーチェック「シンフォニエッタ」のCD

 

次に登場するのは、BOOK1・後半の青豆がインストラクターを務めるジムの顧客である老婦人のサンルームで流れている「ハープシコードの伴奏のついたリコーダー・ソナタ」です(18ページ)。これは誰の音楽なのか? バッハか、ヘンデルか、テレマンか?・・・・・・

次に出てくるのは、天吾がふかえりにどんな音楽が好きかと訊いたときの彼女の答え「BWV846からBWV893」つまり「平均律クラヴィーア曲集・第1巻と第2巻」(124ページ)、そして「BWV244」つまり「マタイ受難曲」です(126ページ)

次は青豆が再び老婦人のサンルームに招かれた時に流れているジョン・ダウランドの器楽合奏曲「ラクリメ」(142ページ) これについては老婦人が「古楽器演奏のCD」という解説をしています そして老婦人との食事の時に流れているハイドンの「チェロ協奏曲」

以上がBOOK1に登場するクラシック音楽のすべてです

BOOK2は4月27日に文庫本が発売されるとのことで、今から楽しみです

 

        

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何でもアリ?~甥っ子の結婚式に見る当世結婚式事情

2012年04月23日 06時55分54秒 | 日記

23日(月)。昨日は甥っ子の結婚式に出席するため、埼玉県の新狭山に行ってきました。西武新宿線の「新狭山駅」から歩いて約10分のところ、国道16号線沿いに結婚式場AZがありました

新狭山といえば、本田技研の狭山工場があります。学生時代の夏休みに、この工場で昼夜2交替制のアルバイトを40日間こなして約8万円を稼ぎ、初めてステレオ・セットを買いましたこの時から私のクラシック音楽遍歴が始まったと言っても過言ではありません 本当に久しぶりに大きな工場を目の前にして懐かしく学生時代を思い出しました

新郎N君と新婦Kさんは、実は2年前に結婚して2歳の男の子がいます。が、式を挙げていなかったのです。昨年の大震災があってから、”絆”がさかんに言われるようになって考えが変わったのかもしれません 長男H君は終始会場を所狭しと走り回り、参列者の注目を一身に浴びていました 将来、君はエンターティナーになるんかい? それとも演歌テナーかな? 元気な子はよく育つ

会場は結婚式専門のキリスト教式の式場です。この日だけキリスト教徒という”にわかクリスチャン”が約80名集合です。まず、チャペルで式を挙げます。式場に入るとバッハの「G線上のアリア」がヴァイオリンとオルガンによって演奏されていました 最初テープ音楽かと思ったのですが、会場後部2階席で演奏者が生で演奏していました。そして、トランペットによるファンファーレが鳴らされ(バッハかヘンデルの曲か?)、一同起立して讃美歌312番(いつくしみ深き友なるイエスは・・・・・)を歌います。この曲はいい曲です

指輪交換のときは何とホルストの「ジュピター」が演奏され、その後のキャンドル・ライティングの時は「アメージング・グレース」が流れました。そして新郎新婦の退場の音楽に至ってはエルガーの「威風堂々」です・・・・ここに至って「今の結婚式は、何でもアリかよ!」と突っ込みを入れたくなりました

挙式が終わって、会場を移して披露宴となりました。お約束通りの主賓あいさつ、乾杯、来賓あいさつと続き、しばし懇談の時間になりました。料理は和洋折衷で、洋風の前菜が出たかと思うと、刺身がでてきて、今度は牛フィレ・ステーキ、そして寿司・・・・・・と和と洋が交互に出てきました。ビール を飲んで、刺身の時は白ワイン 肉の時は赤ワインを飲んでと、かなりの量を飲みました。

お色直しが終わって、再びカップルの登場となりました 勇ましい音楽とともに、2階に通じる階段の3か所から、いきなり炎が高く上がり、い・の・きコールが響き渡って、アントニオ猪木が両手を上げて登場・・・・・・なんてことは絶対なくて、新郎新婦が垢抜けたドレスで登場します。そしてキャンドル・サービスで各テーブルを回りました

新婦が学生時代にマーチング・バンドに所属して活躍していたとのことで、後輩たち7人が2曲演奏してくれました そのうち1曲はマスカー二の「カヴァレリア・ルスティカーナ」の間奏曲でした。吹奏楽だけでこの曲を聴くのは始めてでしたが、どんな楽器で演奏しても名曲の価値は失われません。心のこもった素晴らしい演奏でした

結婚式に出席したのは何年振りだったろうか? 前回がいつで誰の結婚式だったのか思い出せないくらい昔のことです

 

                 

 

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クモの糸で作ったヴァイオリンの弦で聴く調べやいかに?

2012年04月22日 07時03分48秒 | 日記

22日(日)。今週は月曜から金曜まで映画、コンサート、飲み会と続き、連日アフターファイブに休みがなかったので、非常に疲れました 昨日土曜の朝はいつもより30分遅く6時半に起きてブログを書き、朝食をとりながらTBS・TV「さわこの朝」を観ました ゲストは役所広司でした。阿川佐和子さんのインタビューには毎回感心します。おもしろいエピソードを次々とゲストから引き出して飽きさせません。中味の充実した30分です

その後はいつものように1週間分のワイシャツにアイロンがけをして、部屋と廊下に掃除機をかけて一段落です それから自転車で整骨院に行ってマッサージをしてもらい、帰りがけに買い物をして帰ってきました。久しぶりにビーフシチューを作りました。今日の日曜は甥っ子の結婚式に出席するため埼玉県狭山市まで出かけるので、土曜の午後はモーツアルトのカルテットを聴きながら村上春樹の「1Q84」を読んだりして過ごしました

 

  閑話休題  

 

20日付の日経朝刊に「クモの糸の調べ 深く柔らか ヴァイオリンの弦に」という小さな記事が載りました 記事によると、

「世界で初めてクモの糸でできたヴァイオリンの弦を作製した奈良県立医大の大崎茂芳特任教授が、クモの糸の弦は一般的な弦よりも強く、演奏した際に柔らかく深みのある音が出ることを解明し、13日付の米物理学誌フィジカル・レビュー・レターズに掲載された。大崎教授は2010年、直径8マイクロメートル(千分の8ミリ)のクモの糸約1万本から1本の弦を作るのに成功プロのヴァイオリニストが名器ストラディバリウスに弦を張って演奏する機会もあり「今までにない音色で、表現の幅が広がる」と絶賛したという ナイロン製の弦やガット弦と比較すると、周波数が複数のオクターヴに及ぶ”倍音”の数が多く、豊かな音色を奏でることが分かった」

弦1本作るのにクモの糸約1万本が必要ということは、ヴァイオリン1丁で4本分4万本が必要になるわけですね それだけの糸を供給するクモとはどんな種類のクモなのでしょうかヤミクモに探したわけではないでしょうが、どでかいクモを何匹も集めてきたのでしょうね。クモの糸の弦によるヴァイオリンの演奏を是非一度聴いてみたいですね 

こういうことに成功すると、こっそり技術を真似して商品化しようとする人がでてきます。世間ではそういう人をこう呼びます・・・・「スパイだー!」・・・・・まだ疲れがとれてないみたい

 

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モーツアルトの弦楽五重奏曲を聴く~鈴木秀美のガットサロン

2012年04月21日 06時57分45秒 | 日記

21日(土)。昨夕、ハクジュ・ホールで鈴木秀美ガット・サロンを聴きました ハクジュ・ホールも初めてですし、ガット・サロンも初めてです。霞が関駅から地下鉄千代田線で代々木公園駅まで行きました。さて、そこからが分かりません。ケータイで検索しようとしたのですが、うまくいきません 仕方がないので電柱の住所表示を頼りに渋谷区富ヶ谷1-37-5の白寿ビルを突き止め、7階ホールに上がりましたホールはいわゆる小ホールですが、現代感覚のデザインによるモダンなホールです。難を言えばホワイエが狭いということでしょうか 自席は1階E列1番で、前から5番目の左サイドです。演奏家の顔の表情が良く見えます

演奏曲目は①ボッケリー二「弦楽五重奏曲ト長調」、②モーツアルト「弦楽五重奏曲第6番変ホ長調K.614」、③モーツアルト「弦楽五重奏曲第4番ト短調K.516」の3曲です

演奏者はバッハ・コレギウム・ジャパンのレギュラー、チェロの鈴木秀美、同コンサートマスターの若松夏美、同ヴァイオリンの竹嶋佑子、ヴィオラは新日本フィルや東京フィルの首席を務めた成田寛、今年1月から京都市交響楽団の首席を務める小峰航一です このコンサートの特徴はピリオド楽器(作曲家の生きていた時代の楽器)を使って演奏することです。「ガット・サロン」というのは、モーツアルト達が生きていた時代の弦楽器が、仔羊の腸から作られた弦(ガット弦)を使用していたことから付けられたものです

1曲目の「弦楽五重奏曲ト長調」を作曲したボッケリー二は弦楽五重奏曲を141曲作っているそうですが、チェロが2本のものが113曲に対してヴィオラが2本のものは28曲とのことです。今回演奏されるのはヴィオラ2本の少数派です。しかも、珍しく冒頭はヴィオラにより開始されます。弾むような楽しい曲です

2曲目のモーツアルト「弦楽五重奏曲第6番変ホ長調K.614」はモーツアルトの死の年=1791年の4月に完成しましたが、暗いところは全く見られず、むしろ前向きな明るさを感じさせる曲です 晩年(と言っても35歳!)のモーツアルトが、作曲の師と仰いだハイドンの音楽に回帰したような曲想です

最後のモーツアルト「弦楽五重奏曲第4番ト短調K.516」について、このコンサートの主宰者である鈴木秀美氏がプログラムに次のように書いています。

「楽譜を眺めてみますと、全曲を通じ多くの箇所で、旋律が下降線を形成していることに気付きます。冒頭主題は主和音のアルぺジョで駆け上がったかと思うとは半音階で下がってきます。・・・・・・・・つまりこの曲では、最初に高く上がったのち躊躇しつつ、或いは何か失意のうちに降りてくる、そのようなラインが胸の裡に刻まれてゆくようにできているのです。・・・・・・この曲には”悲しみ”や”溜息”、”不安”といった言葉が散りばめられているのです」

さて、演奏は若松夏美のリードによって、どの曲も隙間のないアンサンブルを聴かせてくれました ガット弦の独特な響きが心地よく響きました。真ん中の位置でチェロを構えた鈴木秀美はアイコンタクトによって要所要所で締めていました

会場一杯の拍手に応えて、アンコールにベートーヴェンの「フーガ作品137」を演奏しました。この日は初めての会場でしたが、滅多にナマで聴けないモーツアルトの弦楽五重奏曲を2曲も聴けたのでラッキーでした

 

        

 

  閑話休題  

 

弦楽五重奏曲第4番ト短調K.516といえば、忘れられない思い出があります 評論家・小林秀雄が書いた「モオツァルト」の中に次のようなくだりがあります

「スタンダアルは、モオツァルトの音楽の根抵はtristesse(かなしさ)というものだ、と言った。・・・・・・tristesseを味わう為に涙を流す必要がある人には、モオツァルトのtristesseは縁が無い様である。それは、凡そ次のような音を立てる、アレグロで。(ト短調クインテット、K.516.)」

そして彼はK.516の第1楽章冒頭の楽譜を掲げます

        

そして、次のように続けます。

「ゲオンがこれを tristesse allante と呼んでいるのを、読んだ時、僕は自分の感じを一言で言われた様に思い驚いた。確かにモオツァルトのかなしさは疾走する。涙は追いつけない。涙の裡に玩弄するには美しすぎる。空の青さや海の匂いの様に、「万葉」の歌人が、その使用法をよく知っていた「かなし」という言葉の様にかなしい。こんなアレグロを書いた音楽家は、モオツァルトの後にも先にもない」

小林秀雄が書いたこの部分の記述は、モーツアルトの音楽の本質を突くものとして、多くのモーツアルティアンの心に深く刻み込まれています

さて、思い出というのは元の職場で働いていたときのことで、25年以上前のことです 私より6、7歳若いK君という青年がいました。彼はアマチュア・オーケストラでヴィオラを弾いていたこともあり、音楽に関しては知識が豊富でした その彼に上記の楽譜のコピーを見せて「これは誰の何という曲でしょうか?」と訊いたのです。すると彼は、即座に「あぁ、モーツアルトのト短調クインテットね」と答えたのです。これには、さすがはK君と感歎しました。

演奏する前に何を食べるか、という話になったとき、「蕎麦を一気にすする!集中力を高めるのにはそれが一番!」と言っていたのが印象に残っています。その数年後、彼は癌でこの世を去りました。20代後半でした。葬儀の帰り、新宿のおでん屋でK君の同期のN君と、モーツアルトの生涯(35歳)まで生きることなく逝ったK君を偲んで、涙をぼろぼろ流しながら飲んだことを思い出します

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