人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

バッハ・コレギウム・ジャパンでJ.S.バッハ「マタイ受難曲」を聴く~櫻田亮のエヴァンゲリストにブラボー! 世界が認めたカウンターテナー藤木大地も出演

2018年03月31日 07時58分19秒 | 日記

31日(土)。月日の流れは速いもので、今日で2017年度も終わり。あっという間の1年でした。皆さんはいかがでしたか

というわけで、わが家に来てから今日で1277日目を迎え、3月の米株式市場ではIT大手が売られ、アップルやアルファベットなどの米大手5社が時価総額の上位を独占してきた構図が崩れ、情報流出問題に揺れるフェイスブックが6位に転落した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      IT大手各社は番付が下がって「あっ痛ぇ」と思ったとか 「イット」と読んだとか

 

          

 

昨日、夕食に「牛肉のしぐれ煮」と「生野菜と生ハムのサラダ」を作りました 息子は 今日(31日)東北地方の勤務地近くのアパートに家財道具や電化製品等が届くため、荷受けと荷解き作業等のため昨日午前中に出発してしまい、私は夜 コンサートがあったので、娘のためだけに作りました。寂しいですが、これからはこういう生活になります

 

     

 

          

 

昨夕、初台の東京オペラシティコンサートホールでバッハ・コレギウム・ジャパンの第127回定期演奏会を聴きました 演奏するのは恒例のJ.S.バッハ「マタイ受難曲BWV244」です 出演は、ソプラノ=レイチェル・ニコルズ、澤江衣里、カウンターテナー=クリント・ファン・デア・リンデ、藤木大地、エヴァンゲリスト(福音史家)/テノール=櫻田亮、テノール=中嶋克彦、イエス/バス=シュテファン・フォック、バス=加来徹、管弦楽・合唱=バッハ・コレギウム・ジャパン、指揮=鈴木雅明です

 

     

 

バッハ・コレギウム・ジャパンの定期会員になっているお陰で毎年1回はバッハの「マタイ受難曲」「ヨハネ受難曲」「ミサ曲ロ短調」のいずれかを聴く機会に恵まれています 多種多様の数あるバッハ(1685‐1750)の作品の中でも、この「マタイ受難曲」は最高峰に位置づけられる楽曲です 「マタイ受難曲」とは何かといえば、「マタイが著したとされる福音書の記事を歌詞とした、イエス・キリストの十字架上の死を描く音楽」(バッハの権威・磯山雅氏の説明)で、1727年(バッハ42歳)の時に初演されました 題材は4福音書の中のマタイ伝から採られており、第1部と第2部に分かれていますが、「受難曲」の性格上、金管楽器や打楽器の出番はありません 正味の演奏時間は約3時間です

「マタイ受難曲」が世に出たのは、1829年3月11日に 20歳のメンデルスゾーンが指揮をとり再演してからです その時の合唱団は400人、王室管弦楽団やフィルハーモニー協会の人々が管弦楽を受け持ち、全員無報酬で出演したと言われています   メンデルスゾーンの尽力がなければバッハ再評価はなかったと思われます

 

     

 

管弦楽は、フラウト・トラヴェルソ2、オーボエ2、弦楽合奏(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)、通奏低音(コントラバス、オルガン)という編成のグループ2つから成り、グループ同士で対向配置を採ります センターに鈴木優人のオルガン、堂坂清高のファゴットを配し、左サイドの第1グループにはコンマスの寺神戸亮、荒木優子(Vn)、菅きよみ、前田りり子(Fl)、三宮正満(Ob)らが、右サイドの第2グループにはコンマスの若松夏美、高田あずみ(Vn)らがスタンバイします 鈴木雅明はチェンバロを弾きながら指揮をとります

オフィシャル・プログラムは1600円と超高価のため購入しなかったので 今回の公演に関する知識が限られますが、私の記憶に間違いがなければ、櫻田亮のエヴァンゲリスト起用は今回が初めてではないかと思います それと同時に、鈴木雅明氏は冒険に出たのではないか、と思いました B.C.Jのエヴァンゲリストといえば、ゲルト・テュルクをはじめ外国人歌手が務めるのが恒例でした。全編を通して3時間出ずっぱりの大役なので歌唱力とともに体力と持久力が求められます 最初のうちは、やっぱり櫻田亮はアリアを歌う方が向いているのではないか、と思いましたが、曲が進行するにつれ、なかなか堂に入った語り口に引き込まれました 日本人もここまでやるか、という素晴らしいパフォーマンスでした

 

     

 

一番強く印象に残ったのはアルトを歌った南アフリカ出身のカウンターテナー、クリント・ファン・デア・リンデ(男性)です。深みのあるアルトで会場を震わせました

ソプラノのレイチェル・ニコルズはノン・ヴィブラートの美しい声で聴衆を魅了しました

カウンターテナーの鈴木大地はつい先日(27日)「東京・春・音楽祭」のソプラノ・中村恵理との「THE DUET」で素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたばかりですが、合唱団の中にいるとまったく目立ちません 第2部でやっと出番がやってきて 美しい歌声を聴かせてくれましたが、出番が少なくて残念でした

バスの加来徹は今月18日の「室内楽オペラ”フィガロの結婚”」でアルマヴィーヴァ伯爵を歌ったのを聴いたばかりです この日はペテロという大役を歌いましたが、最近の彼は何を歌ってもサマになり、安定感があります

オケのメンバーでは、いつものようにオーボエの三宮正満、フラウト・トラヴェルソの菅きよみ、ヴァイオリンの寺神戸亮、若松夏美といった常連メンバーが 歌手のソロを完璧にフォローし 素晴らしい演奏を展開していました

最後のコラールが終わると「バッハへの旅が終わった」といつものように思います B.C.Jでこの曲を聴き始めた18年ほど前は、3時間がものすごく長く感じたものですが、最近は慣れてきたせいか、あるいは「ワーグナーの楽劇から比べれば大したことはない」と思うようになったせいか、それほど長く感じなくなりました

この演奏を聴くに当たって、バッハ・コレギウム・ジャパンの演奏によるCD(1999年3月録音)で予習しておきましたが、長く感じないのは予習の効果もあるかも知れません

 

     

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東京春祭「名手たちによる室内楽の極」を聴く~ベートーヴェン「セレナード ニ長調」、シューベルト「弦楽三重奏曲第2番」、コルンゴルト「弦楽六重奏曲」~絶好調の読響コンビ!

2018年03月30日 08時02分19秒 | 日記

30日(金)。わが家に来てから今日で1276日目を迎え、麻生太郎財務相が29日、参院財政金融委員会で 学校法人 森友学園を巡る決裁文書改ざんを巡る報道に関連し「環太平洋経済連携協定(TPP)のことはまったく報道しないで森友ばかり報道している。TPPより森友が重大だと考えているのが日本の新聞のレベルだ」と述べたが、実際には新聞各紙はTPPも報道していた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                  麻生大臣も気の毒だな 上と下の板挟みに合って  不満のはけ口が新聞に向いたな

 

         

 

昨日、夕食に「ニラのスタミナ丼」「生野菜サラダ」「ナメコの味噌汁」を作りました もうすぐ地方に行く息子のために好物の「スタ丼」にしましたが、大盛りをぺろりと食べました

 

     

 

          

 

東京文化会館チケットサービスから、先日購入した5月7日の「ハナミズキ~」公演のチケットの表記が間違っていたとして新しいチケットが送られてきました 写真の上が元の、下が正しいチケットです

さてどこが間違っていたのでしょうか? 一目瞭然ですね ちなみにチラシも修正後のものが同封されてきました

 

     

 

         

 

昨夕、東京文化会館小ホールで「名手たちによる室内楽の極~コルンゴルト『弦楽六重奏曲』」公演を聴きました   これは東京・春・音楽祭の一環として開かれたコンサートです。プログラムは①ベートーヴェン「セレナード  ニ長調作品8」、②シューベルト「弦楽三重奏曲第2番変ロ長調」、③コルンゴルト「弦楽六重奏曲ニ長調」です  出演は、ヴァイオリン=長原幸太(読響コンマス)、小林壱成、ヴィオラ=鈴木康浩(読響ソロ首席)、生野正樹、チェロ=上森祥平、伊藤文嗣(東響首席)です

 

     

 

自席はD列20番、センターブロック左通路側です。会場は6~7割の入りでしょうか

1曲目はベートーヴェンの「セレナード  ニ長調 作品8」です この曲はベートーヴェンが27歳の頃(1797年頃)に作曲されました 第1楽章「マルシア。アレグロ:アダージョ」、第2楽章「メヌエット。アレグレット」、第3楽章「アダージョ」、第4楽章「アレグレット・アラ・ポラッカ」、第5楽章「テーマ・コン・ヴァリアツィオ―二。アンダンテ・クァジ・アレグレット」の5楽章から成ります

長原、上森、鈴木の3人が登場し、さっそく演奏に入ります この曲は初めて聴きましたが、若きベートーヴェンの意欲を感じさせる生き生きとした曲想です とくに第3楽章「アダージョ」では鈴木康浩のヴィオラに聴き惚れました この楽章の後半はどこかで聴いた覚えがあります。親しみやすいメロディーです この曲の後の「作品9」以降は弦楽四重奏曲に規模を拡大しているので、習作的な意味合いが強い作品だと思われますが、それでもベートーヴェンらしさはしっかりと認められます

2曲目はシューベルト「弦楽三重奏曲第2番」です この曲は1817年9月(作曲者20歳)に作曲されましたが、初演はシューベルト(1797-1828)の死後、1869年2月まで待たなければなりませんでした 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「メヌエット:アレグレット」、第4楽章「ロンド:アレグレット」の4楽章から成ります

1曲目のベートーヴェンと同じメンバーで演奏されます この曲も初めて聴く曲ですが、第3楽章までは「ウィーン」を感じるものの シューベルトを感じませんでした しかし、第4楽章に入ると、シューベルトのDNAそのものの音楽が聴こえてきました それにしても、彼はこの曲を20歳で作曲して、その11年後には天国に召されているのですから、やり残したことがあまりにも多かったのではないかと察します

 

     

 

休憩後はコルンゴルト(1897-1957)の「弦楽六重奏曲  ニ長調」です 作曲者は正式にはエーリヒ・ウォルフガング・コルンゴルトといいます。私の記憶に間違いがなければ、音楽好きの両親が同じオーストリア生まれの天才作曲家ウォルフガング・アマデウス・モーツアルトの「ウォルフガング」を採って名前を付けた神童で、アメリカに渡って多くの映画音楽を作曲したことでも知られています

この曲は1914年から16年にかけて作曲され、1917年5月に初演されました 楽器編成はヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ各2挺です。第1楽章「モデラートーアレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「インテルメッツォ」、第4楽章「フィナーレ(プレスト)」の4楽章から成ります

6人のメンバーが配置に着きます。左から長原、小林、上森、伊藤、生野、鈴木という並びです コルンゴルトは一時期集中的に聴いた時期があり、今でも好きな作曲家ですが、この曲もCD(ベルリン六重奏団。1986年)で予習しておきました

 

     

 

第1楽章の冒頭を聴いて新鮮な驚きを覚えました というのは、冒頭はヴィオラの刻みから開始されるのですが、第2ヴィオラから入ったのです 普通は第1ヴィオラから入るはずと思いがちです こういうのはCDで予習しても分かりません。演奏者を目で見て 音を聴かないと 実態が分からないのです。そういう意味では、事前にCDを何度も繰り返して聴いていたはずなのに、生演奏で聴いたら最初から最後まで初めて聴いたように新鮮に聴こえました

それにしても良い曲です 世評では「ブラームス以降、最高の弦楽六重奏曲」と言われているそうですが、間違いなくそうでしょう 演奏者は最初から演奏していた3人は言うまでもなく素晴らしい演奏を展開しましたが、この曲だけ参加したヴァイオリンの小林壱成、ヴィオラの生野正樹、チェロの伊藤文嗣も申し分ないパフォーマンスを見せてくれました

最も感動的だったのは第2楽章「アダージョ」におけるオペラ「死の都」の世界のような悲しいまでに美しく深い演奏です 一方、一番楽しく聴けたのは第4楽章「プレスト」です 演奏者はそれぞれ顔の表情を窺いながら、喜びに満ちた表情で演奏する姿が印象的でした とくに対面する長原幸太と鈴木康浩の読響コンビは お互いに演奏の楽しさを確認し合いながら 生き生きと演奏している様子が窺えました

鳴りやまない拍手とブラボーに、6人はヨハン・シュトラウス2世のポルカ「雷鳴と電光」(弦楽六重奏版)を、ある者は後ろにのけぞり、ある者は腰を浮かせ、ある者は立ち上がり、「演奏するって、こんなに楽しいんだよ」という表情で躍動感に満ちた演奏を展開し、聴衆を興奮の坩堝に巻き込みました こういうアンコールは理屈抜きで楽しくて良いものです

 

     

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新日本フィル2018ー2019シーズン会員継続へ(サントリーホール シリーズに変更して申し込み) / 宮下奈都著「羊と鋼の森」を読む~若きピアノ調律師の成長物語

2018年03月29日 07時46分00秒 | 日記

29日(木)。わが家に来てから今日で1275日目を迎え、北朝鮮の金正恩委員長が25~28日 訪中し 習近平国家主席と会談、習氏は朝鮮半島の非核化方針堅持を表明し 金委員長は「非核化実現に向けて尽力する」と語った というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                  習近平と金正恩とが手を組んで習金平和の道を歩むのか  米朝階段は登れるのか

 

         

 

昨日、夕食に「鶏のほったらかし焼き」「生野菜とタコのサラダ」「トマトとエノキダケとウインナのスープ」を作りました 「鶏~」は何度か作りましたが、塩胡椒だけの味付けによる超シンプル料理です

 

     

 

         

 

新日本フィルから2018-2019シーズンの会員継続案内が届きました 私は現在ルビー(アフタヌーン  コンサート・シリーズ 金曜日)会員ですが、毎年 他の在京オケの定期公演の日程とダブらないかをチェックした上で、3つのシリーズの演奏曲目のラインナップを比較検討してコースを選んでいます 

次シーズンのラインナップを見ると、トパーズ(トリフォニーホール)では 9月のオール・R.シュトラウス(上岡)、10月のシベリウス「第7番」他(リントゥ)、2月のブルックナー「第5番」(アルブレヒト)、ジェイド(サントリーホール)では9月のスメタナ「わが祖国」(アルトリヒテル)、 10月のブルックナー「第9番」「テ・デウム」(上岡)、3月のマーラー「第2番」(上岡)、5月のワーグナー・アーベント(上岡)、7月のブラームス「ドイツ・レクイエム」他(ビリー)、ルビーでは 2月のハイドン「オラトリオ 四季」(イェアンニン)、6月のオール・ショスタコーヴィチ(井上)、7月のファリャ「三角帽子」他(デ・ラ・パ―ラ)といったプログラムが目玉だと思います

私の好みから言えば、マーラー、ブルックナー、ワーグナーといった重量級のプログラムを揃えたジェイド(サントリーホール)に一番魅力を感じます 今のところ、N響、読響、東響などの定期公演と日程がダブっていないので、ジェイドのS席を申し込むことにしました

 

         

 

宮下奈都著「羊と鋼の森」(文春文庫)を読み終わりました 著者の宮下奈都は1967年福井県生まれ。上智大学文学部卒。2004年「静かな雨」で文學界新人賞佳作入選、2015年刊行の「羊と鋼の森」で2016年本屋大賞を受賞しています

 

     

 

この作品は「別冊文藝春秋」2013年11月号から2015年3月号まで連載されたものを 単行本化するにあたり加筆し 2015年9月に文藝春秋社から刊行され、2018年2月に文庫化されたものです

北海道の高校の生徒だった外村は、学校の体育館にあるピアノの調律に来た江藤楽器の調律師・板鳥と出会ってから 調律という仕事に魅せられる  本州にある調律師養成のための専門学校に2年間通って技術を身に付け、故郷近くの街に戻って、運よく欠員の出た江藤楽器に採用される 外村は板鳥、柳、秋野といった個性的な先輩たちの助言を受けながら ひたむきにピアノの音と向き合い、それを演奏する人と向き合う その中で、性格が正反対の双子の姉妹(大人しい姉の和音、活発な妹の由仁)との出会いが彼の向上心に刺激を与える そうしたことを通して、一人の若者が調律師として成長していく過程が描かれています

「いつも読んでいる本と違うな」と思ったのは、章立てのような区切りが一切なく 淡々と物語が進んでいき、話題が変わる時は1行空けるだけ、という書き方です

先輩調律師たちと外村との会話にいくつか興味深いものがあります 秋野との会話には次のようなものがあります

秋野「『ワインの馥郁たる芳香』とか形容の形みたいなものがある。調律も似てる。お客さんとのやり取りの中で使う言葉には型がある

外村「馥郁たる音色とかってことですか?」

秋野「うん、明るい音、澄んだ音。華やかな音ってリクエストも多いな そのたびにいちいち考えて音をつくってたら大変だ。明るい音ならこのメモリ、華やかな音ならこれ、って決めておくんだよ。それでいいんだ

外村「形容する言葉に合わせて、調律の型を選ぶってことですか?」

秋野「そう。一般家庭に調律に行くんだ。それ以上求められてないし、やっても意味がない。むしろ、へたに精度を上げると・・・・弾きこなせないんだよ

これを読むと、プロ仕様のピアノでなく一般家庭のピアノは、完璧に調律するよりも型にはまったやり方で調律した方が弾き易くなる、というように思います

次は外村の独白として語られるものです

「ピアノの基準音となるラの音は、学校のピアノなら440ヘルツと決められている。赤ん坊の産声は世界共通で440ヘルツなのだそうだ ヘルツというのは1秒間に空気が振動する回数のこと。数値が高くなるほど音も高くなる。日本では、戦後になるまで435ヘルツだった。もっと遡れば、モーツアルトの時代のヨーロッパは422ヘルツだったらしい 少しずつ高くなってきている。今は444ヘルツになってきているから、それに合わせる傾向にあるピアノも、さらに高くなるのだろう モーツアルトが作曲していた頃に比べて半音近く高くなっている。感覚としては、もはや同じラの音ではない。変わらないはずの基準音が、時代とともに少しずつ高くなっていくのは、明るい音を求めるようになったからではないか わざわざ求めるのは、きっと、それが足りないからだ

「明るい音を求めて音が高くなる」というのは分かるような気がしますが、もう一つは「軽い音を求めて音が高くなる」という側面もあるような気がします

次は「調律って、どうすればうまくなるんでしょう?」という外村の独り言を受けて、先輩の北川が口にする言葉です

「まず、1万時間だって どんなことでも1万時間かければ形になるらしいから。悩むなら、1万時間かけてから悩めばいいの・・・だいたい5,6年って感じじゃない?」

『桃栗三年 柿八年 ピアノ調律五、六年」っていう感じでしょうか

調律師同士の会話には以上のほかにも興味深いやり取りがありますが、あとはご自分で読むことをお薦めします

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「THE DUET 中村恵理&藤木大地 世界が認めた ふたつの声のハーモニー」公演を聴く~看板に偽りなし~間違いなく今年のマイ・ベスト10に入るコンサート:東京・春・音楽祭

2018年03月28日 07時52分37秒 | 日記

28日(水)。わが家に来てから今日で1274日目を迎え、米老舗銃器メーカーのレミントン・アウトドアが25日付でデラウェア州の連邦破産裁判所に米連邦破産法第11条の適用を申請し経営破たんしたが、米メディアによると 銃規制強化派のオバマ前政権では駆け込み需要で販売が好調だったものの、銃に寛容なトランプ大統領が当選して「規制が遠のく」との見方が広がり急減した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                    銃に寛容なトランプ政権下で銃器メーカーが破産とは皮肉な現象だ  ザマぁみろ!

 

          

 

昨日、夕食に「豚肉と大根の炒め煮」と「生野菜サラダ」を作りました 「豚肉~」は炒めて煮込んで冷ましてと結構時間をかけたので味が良く浸み込みました

 

     

 

          

 

昨夕、上野学園石橋メモリアルホールで「THE  DUET  中村恵理&藤木大地 世界が認めたふたつのハーモニー」公演を聴きました これは「東京・春・音楽祭」参加公演です 出演はソプラノ=中村恵理、カウンターテナー=藤木大地、ピアノ=園田隆一郎です

サブタイトルの「世界が認めたふたつの声のハーモニー」の意味は、中村恵理が新国立劇場オペラ研修所を経て、英国コヴェントガーデン王立劇場の「カプレーティ家とモンテッキ家」にアンナ・ネトレプコの代役として出演して脚光を浴び、その後2010~16年にバイエルン国立歌劇場の専属歌手を務め、16年にウィーン国立歌劇場に「チェネレントラ」でデビューするなど世界的に活躍していることと、一方の藤木大地が2012年、日本音楽コンクール声楽部門第1位を獲得した後、13年にボローニャ歌劇場のグルック「クレーリアの勝利」のマン二オ役に抜擢され、17年に日本人のカウンターテナーとして初めてウィーン国立歌劇場にデビューするなど世界的に活躍中であるという二人の実績に基づいています 

 

     

 

危うく東京文化会館小ホールに行くところでしたが、事前にチケットを再確認して思いとどまりました。ヤバかった

自席は1階E列20番、センターブロック右通路側です 会場は今咲き誇る桜のようにほぼ満席です ステージの左サイドにグランドピアノが置かれています

春らしい落ち着いた色調のカラフルな衣装を身に着けた中村恵理が藤木大地、ピアノの園田隆一郎とともに登場します 中村恵理は昨年4月20日に新国立オペラ「フィガロの結婚」でスザンナを歌ったのを聴いて以来ほぼ1年ぶりです(2017年4月21日付toraブログ参照)。一方、藤木大地は数年前にバッハ・コレギウム・ジャパンで聴いて以来です

最初に歌われるのは、ヘンデルの歌劇「ジュリアス・シーザー」からシーザーとクレオパトラの二重唱「いとしい人!美しい人!」です 最初からガツンとやられました 二人とも何と美しい声でしょうか 何と素晴らしいアンサンブルなのでしょうか とくに度肝を抜かれたのは藤木大地のカウンターテナーです クリアな声に加えて歌唱力が抜群です

次いで藤木大地がヘンデルの歌劇「セルセ」から「オンブラ・マイ・フ」を完璧なコントロールで歌い上げました 「世界に通用するカウンターテナー」という言葉が分かるような気がします

次に再度二人が登場、モーツアルトの歌劇「フィガロの結婚」からスザンナとケルビーノの二重唱「あけてよ、早く!」を歌い、ケルビーノ役の藤木がステージから客席に飛び降りて走り去った後、残された中村恵理がモーツアルトの歌劇「ドン・ジョバンニ」から「ぶってよ、マゼット」を歌いました

ひと呼吸置いて二人が登場し、モーツアルトの最後の歌劇「皇帝ティートの慈悲」からセストとヴィッテリアの二重唱「気のすむようにお命じなさい」を美しいアンサンブルで歌いました

次に藤木大地がロッシーニの歌劇「セミラーミデ」からアルサ―チェのカヴァティーナ「ああ、あの日をたえず思い出す」を感動的に歌い上げました

次いで、中村恵理が再登場しグノーの歌劇「ファウスト」からマルガレーテの「宝石の歌」を歌いましたが、これがこの日のプログラム前半のハイライトでした 中村恵理は完璧なコントロールのもと美しいフランス語で歌いましたが、目の動き、顔の表情、身体の動き、すべてにおいてマルガレーテに成り切って歌っていました ソプラノ歌手の中には最高音で絶叫してガラスを引っ掻くような声で歌う人もいますが、彼女は決して”うるさく”なく声が輝いています

プログラム前半の最後はオッフェンバックの歌劇「ホフマン物語」からニクラウスとジュリエッタの二重唱「美しい夜、おお恋の夜よ」です 二人は園田隆一郎のピアノによる「ホフマンの舟歌」のメロディーに導かれて、ロマンティックに歌い上げました


     

 

プログラム後半の最初はJ.シュトラウス2世の喜歌劇「こうもり」第2幕からオルロフスキー公爵の歌「僕はお客を呼ぶのが好きだ」が、シャンペンのボトルを片手にした藤木大地によってユーモラスに歌われました

次に 淡いオレンジ色のドレスにお色直しした中村恵理と藤木大地が登場、フンパーディンクの歌劇「ヘンゼルとグレーテル」から「夕べの祈り」がメルヘンチックに歌われ、そのまま舞台袖にフェイドアウトしていきました。ささやかな演出でした

次に中村恵理が客席後方から登場、プッチーニの歌劇「ラ・ボエーム」からムゼッタの「私が街を歩くと」(ムゼッタのワルツ)を歌いながら通路側の自席の傍を通って前方に移って行きステージに上がりました これだから通路側席は止められないのです 中村恵理はこの曲でも絶叫することなく会場の隅々まで華やかな歌声を届けていました

ここで歌手陣の喉を休めるため、園田隆一郎のピアノ独奏によりマスカーニの歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」から「間奏曲」が演奏されました つくづく良い曲だと思います

次は、評論家として有名な加藤周一が作った詩「さくら横ちょう」を作曲した2人の作曲家の歌が歌われました 最初に藤木大地が別宮貞雄作曲による「さくら横ちょう」を、次に中村恵理が中田喜直作曲による「さくら横ちょう」をそれぞれ歌いましたが、曲想がまったく異なり、同じ詩でも作曲家によって随分違う趣の曲になるものだな、と感心しました 二人のそれぞれの持ち味が生かされた歌だったと思います

次に藤木大地がイギリスの作曲家ジョナサン・ダヴによる1998年初演の歌劇「フライト」から「夜明けだが、まだ暗い」を主人公に成り切って熱演・熱唱しました

次いで中村恵理が再登場し、ヴェルディの歌劇「椿姫」からヴィオレッタのアリア「そはかの人か~花から花へ」をヒロインに成り切って完璧なコントロールで歌い上げましたが、これがプログラム後半のハイライトでした

最後に二人が再登場し、ヘンデルの歌劇「リナルド」からリナルドとアルミレーナの二重唱「あなたの面差しは優美に溢れ」を見事なハーモニーで歌い上げました

会場いっぱいの拍手とブラボーに、二人はアンコールにヘンデルの歌劇「ジュリアス・シーザー」から「ただあたなを見つめ」を歌い再度、拍手喝さいを浴びました

「世界が認めたふたつの声のハーモニー」というサブタイトルは「看板に偽りなし」です 私は交響曲や協奏曲などの管弦楽曲を聴くのが好きですが、聴いて感動を覚えるのはオペラをはじめとする人の声によるコンサートです 楽器を通して演奏するのでなく、演奏者自らの声を絞り出して表現するところが感動を呼ぶのだと思います 「今が旬」の二人の歌手による昨夜のコンサートは、間違いなく今年の「マイ・ベスト10」に入ってくるでしょう

 

     

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アニエス・ヴァルダ監督「5時から7時までのクレオ」、「幸福(しあわせ)」を観る~モーツアルト「アダージョとフーガ」「クラリネット五重奏曲」がふんだんに流れる:早稲田松竹

2018年03月27日 07時52分06秒 | 日記

27日(火)。わが家に来てから今日で1273日目を迎え、安倍首相が26日の参院予算委員会で、財務省による森友学園の決裁文書改ざん問題について「全容を解明し、組織を根本から立て直していく。首相としてその責任を果たしていく決意だ」とし、野党が求める昭恵首相夫人の説明は「私がこの場で責任をもって答えている。(昭恵氏に)これを聞いてもらいたいと私に言っていただければ、私が答える」と語った というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     まるで昭恵夫人には人格がないみたいな言い方だ 男女平等主義者じゃなかったの?

 

          

 

昨日、夕食に「ビーフシチュー」と「生野菜サラダ」を作りました わが家の「ビーフシチュー」はブロック肉でなく切り落としを使います。好みの問題ですが、わが家は全員が切り落としの方が好きです

 

     

 

          

 

昨日、早稲田松竹でアニエス・ヴァルダ監督「5時から7時までのクレオ」と「幸福(しあわせ)」の2本立てを観ました

「5時から7時までのクレオ」はアニエス・ヴァルダ監督・脚本・作詞による1961年フランス/イタリア映画(モノクロ・90分)です

シャンソン歌手クレオは占い師の前で、自分がガンかもしれないという不安と恐怖から涙を流していた 今は5時だが、7時には精密検査の結果がわかる。不安を抱えたままパリの街に繰り出す彼女だが、だれも自分を気にかけてくれない 挙句の果てに、作曲家のボブが持ってきた曲の詩も哀しくてやりきれない 一人で黒い服をまとって街を彷徨うクレオだが、あてもなく公園に入るとアルジェリアから休暇で戻った兵士が話かけてくる。最初は警戒していたクレオだが、再び戦場に戻る男の苦悩はクレオの不安を鎮めてくれる そして一緒に病院に行って検査結果を聞く決心をしてバスに乗る

 

     

 

クレオを演じたのは当時売り出し中の歌手コリンヌ・マルシャンです わがままなで気ままなシャンソン歌手クレオの心が、2時間の間に微妙に変化していく様を魅力的に演じています

 

          

 

「幸福(しあわせ)」はアニエス・ヴァルダ監督・脚本による1964年フランス映画(カラー・80分)です

パリ郊外に住む若い夫婦は二人の子どもを持ち、休日には家族そろってピクニックに出かけるという平凡ながら幸福な毎日を送っていた ある日、夫フランソワが郵便局員のエミリーと出会い 愛し合うようになるが、彼には家庭を捨てるつもりはない 彼は「新しい幸福が一つ増えるだけなんだ」と妻テレーズにも自分にも言い聞かせる   フランソワは妻が納得してすべてがうまくいく と思い込んでいたが、思いもよらない悲劇が待ち受けていた

 

     

 

主人公の夫婦(ジャン=クロード・ドルオとクレール・ドルオ)と彼らの二人の娘たちは実際の夫婦・子どもだとのことですが、子どもたちの自然な”演技”を見て納得です

この映画の冒頭場面は画面いっぱいに広がる ひまわりの花。バックに流れるのはモーツアルトの「アダージョとフーガ  ハ短調K.546」です  この曲は1788年6月26日にウィーンで作曲された弦楽合奏のための曲ですが、なぜかこのシーンでは管楽器によって演奏されます この曲を聴いたことがある人なら分かると思いますが、何か不吉な事件が起こりそうな予感を呼ぶ 運命的な曲想です   この映画では 実際そのようになるのですが   この曲が終わると 今度は同じモーツアルトの「クラリネット五重奏曲イ長調K.581」の第1楽章「アレグロ」が流れます  この2曲はあとのシーンでも頻繁に流れ、ルノワールの絵画のような鮮やかな色彩の映像に彩を添えます

気になったのは、冒頭の場面では管楽器によって演奏されていた「アダージョとフーガ」が、フィナーレのシーンでは弦楽合奏によって演奏されていたことです ある事件によって主役の一人が入れ替わったことを 音色の変化で表したのでしょうか? それは女性のアニエス・ヴァルダ監督にしか分かりません   

さらに、なぜ「クラリネット五重奏曲」が選ばれたのか、ということでは、フランソワ一家4人に彼の新たな恋人エミリーを加えた5人の人生模様を描こうとしたのだろうか、と思ったりしますが、多分考えすぎでしょう なぜなら「クラリネット五重奏曲」のどの楽章にも不協和音がないからです

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飯森範親+マーティン・ジェームズ・バートレット+東京交響楽団でプロコフィエフ「ピアノ協奏曲第3番」、ベートーヴェン「交響曲第7番」、ワーグナー:歌劇「恋愛禁制」序曲を聴く

2018年03月26日 07時56分50秒 | 日記

26日(月)。わが家に来てから今日で1272日目を迎え、安倍首相が24日 自民党の全国幹事長会議で 森友学園をめぐる財務省の文書改ざん問題に触れ、「国民の行政に対する信頼を揺るがす事態。最終的な責任は内閣総理大臣であるこの私にある」と謝罪した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                 誰がどうして森友問題が起こったか国民は気付いている  語るべき人が真実を語れ

 

          

 

新国立劇場から2018-2019シーズンのチケットが届きました 今回も特典としてチケットホルダーが同封されていました。私は当月分のチケットはまとめて財布に入れているので、来月以降のチケットを保管するのに使用しようと思います

 

     

 

         

 

昨日、初台の東京オペラシティコンサートホールで東京交響楽団の第102回オペラシティシリーズ公演を聴きました プログラムは①ワーグナー:歌劇「恋愛禁制」序曲、②プロコフィエフ「ピアノ協奏曲第3番ハ長調」、③ベートーヴェン「交響曲第7番イ長調」です ②のピアノ独奏はマーティン・ジェームズ・バートレット、指揮は飯森範親(急病により降板したジュゼップ・ポンスの代演)です

 

     

 

指揮者が飯森氏のため、弦楽器の配置は左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴォイラ、第2ヴァイオリンという対向配置をとります   コンマスは水谷晃氏です。会場は後方がかなり空いていて、全体で6~7割の入りでしょうか。数年前まではもっと入っていたと思うので、楽団は原因を究明した方がよいと思います

1曲目はワーグナー:歌劇「恋愛禁制」序曲です この曲は1834年、ワーグナー(1813-1883)が21歳の時に シェイクスピアの戯曲「尺には尺を」を基に自ら台本を書いて曲を付けた全2幕の喜劇的なオペラ「恋愛禁制~パレルモの修道女」の序曲です 打楽器から賑やかに入り、まるでお祭り騒ぎの音楽が展開します 作曲家名を伏せて演奏し 作品の作曲者を当てるクイズがあったとしたら、相当のクラシック愛好家でも まず当たらないでしょう 「ヴェルディの初期のオペラの序曲?」というのが大方の答えだと思います  それほど、ワーグナーのイメージから一番遠い位置にある音楽です。あの無限旋律のワーグナーも、若い頃はごく普通の元気溌剌な音楽を書いていたんだな、と親近感さえ覚えました

2曲目はプロコフィエフ「ピアノ協奏曲第3番ハ長調」です この曲はプロコフィエフ(1891-1953)が1921年に亡命先のアメリカで完成させた作品です 第1楽章「アンダンテ~アレグロ」、第2楽章「アンダンティーノ」、第3楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」の3楽章から成ります

背が高くスマートなマーティン・ジェームズ・バートレットが登場し、ピアノに向かいます 彼は英国王立音楽院出身で、2014年BBCヤング・ミュージシャン・アワードを受賞したイギリス人ピアニストです

冒頭 クラリネットによる序奏で開始され、躍動感あふれるピアノが入ってきます かなり技巧的な曲想ですが、何なくクリアしていきます それはすべての楽章について言えることですが、特に第3楽章のフィナーレの畳みかけは聴衆の興奮を呼びました 各楽章のアレグロ部分の演奏では、ピアノという楽器が鍵盤楽器と呼ばれているものの、フェルト付きハンマーで弦を打って音を出す”打楽器”であることを思い出させる激しい演奏を展開しました

会場いっぱいの拍手に、バートレットはシューマン「子どもの情景」から第1曲「見知らぬ国と人々について」をやさしさで溢れるように演奏し、聴衆のクールダウンを図りました


     


休憩後のプログラム後半は、ベートーヴェン「交響曲第7番イ長調」です この曲はベートーヴェン(1770-1827)が1811~12年に作曲し、1813年12月にウィーン大学旧講堂で開かれた「(ナポレオン軍との)ハーナウ戦役の傷病兵に救援資金を贈るチャリティ・コンサート」で公開初演されました ワーグナーがこの曲について「舞踏の聖化そのもの」と評したという話は有名です 日本では 数年前に 上野樹里主演のテレビ・ドラマ「のだめカンタービレ」のテーマ音楽として使用され、にわかクラシック・ファンを増大させるのに貢献しました

第1楽章「ポコ・ソステヌート~ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アレグレット」、第3楽章「プレスト」、第4楽章「アレグロ・コン・ブリオ」の4楽章から成ります

全体を通してオーボエ首席の荒木奏美、フルート首席の相澤政宏の演奏が素晴らしく、ホルンをはじめとする金管楽器も健闘しました 第4楽章のフィナーレではコントラバスによる重低音のうねりが大迫力で迫ってきて大満足しました 飯森氏は第1楽章と第2楽章を間を置かずに演奏、また第3楽章と第4楽章も間を置かずに演奏し、全体を前半と後半に2分する形で演奏するスタイルを取りましたが、聴いていて 流れとしては自然だと思いました

今回は急病のため来日できなくなった指揮者の代演で振ることになった飯森氏でしたが、東京交響楽団の正指揮者という立場にもあり、楽員との音楽上のコミュニケーションには何の問題もなかったのではないかと思います

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堀米ゆず子+古部賢一+曽根麻矢子他でバッハ「ブランデンブルク協奏曲 全曲演奏会」を聴く~銀座ヤマハホール

2018年03月25日 07時58分41秒 | 日記

25日(日)。わが家に来てから1271日目を迎え、トランプ米大統領が22日、中国への制裁を命じる署名式で「日本の安倍首相や他の人たちに言っておきたい。彼らはいいやつで私の友人だが『こんなに長い間、米国をうまくだませたなんて信じられない』とほくそ笑んでいる。そんな日々はもう終わりだ」と発言した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      「いいやつ」の前に「どうでも」が付いてたわけね  何のためにゴルフやったんだ?

 

             

 

昨日、銀座のヤマハホールで「J.S.バッハ ブランデンブルク協奏曲  全曲演奏会」を聴きました   ブランデンブルク協奏曲の第1番から第6番までを1回のコンサートで演奏する試みです 出演はヴァイオリン独奏=堀米ゆず子、オーボエ独奏=古部賢一(新日本フィル首席)が中心で、他にヴァイオリン=山口裕之(元N響コンマス)、米元響子、青木尚佳、大江馨、北岡彩、黒川侑、ヴィオラ=柳瀬省太(読響首席)、篠崎友美(新日本フィル首席)、瀧本麻衣子、チェロ=安田謙一郎、長明康郎(東京シティ・フィル首席)、湯原拓哉、コントラバス=池松宏(都響首席)、フルート=高木綾子、ファゴット=福士マリ子(東響首席)、ホルン=日橋辰朗(読響首席)、藤田麻理絵(新日本フィル)、リコーダー=水内謙一、宇治川朝政、オーボエ=古山真理江、石井智章、トランペット=髙橋敦(都響首席)、チェンバロ=曽根麻矢子です

 

     

 

自席はM列4番、左ブロック右から2つ目。会場はほぼ満席です

「ブランデンブルク協奏曲」はヨハン・セバスティアン・バッハ(1685-1750)が、1717年暮れから1723年春までの5年余り ドイツのケーテンに宮廷楽長として奉職した間、1721年3月24日付でブランデンブルク辺境伯クリスティアン・ルートヴィヒに献呈された6曲から成る合奏協奏曲です 「合奏協奏曲」というのは独奏楽器が1台でなく複数の独奏楽器群をなすスタイルの協奏曲です 6曲がすべて異なる編成によって演奏されるところは、バッハの天才を感じます

堀米ゆず子さんの解説によると、今年(2018年)はバッハ生誕333年だが、演奏会場のヤマハホールの収容人数は333席で、今日(3月24日)は「ブランデンブルク協奏曲」の献呈日にあたる、ということでした ウソのような本当の話です

この日の「ブランデンブルク協奏曲」全6曲は次のような順で演奏されました

①第1番 ヘ長調 BWV1046 第1楽章(速度表示なし)、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ」、第4楽章「メヌエット」

②第3番 ト長調 BWV1048 第1楽章(速度指定なし)、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ」

   (休憩20分)

③第5番 ニ長調 BWV1050 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アッフェットゥ―ソ」、第3楽章「アレグロ」

④第6番 変ロ長調 BWV1051 第1楽章(速度指定なし)、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ」

  (休憩20分)

⑤第4番 ト長調 BWV1049 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「プレスト」

⑥第2番 ヘ長調 BWV1047 第1楽章(速度指定なし)、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「アレグロ・アッサイ」

1曲目は「第1番 ヘ長調 BWV1046」です 演奏者がステージに登場し配置に着きます。ヴァイオリンを持った白髪の女性が登場した時、堀米ゆず子さんだと気がつきませんでした 無理もありません。私が目の前で彼女を見たのは30年も前のことだったのですから 当時、CBSソニーに「ファミリークラブ」みたいな組織があり 会員登録していたのですが、ある日事務局から電話があり、堀米ゆず子さんが新しいCDを出すのを記念して同クラブ主催により彼女と会員数名による座談会があるので出席してほしいということでした。なぜ指名されたのかは不明です 指定された場所に行くと、一般のクラシック愛好家5人くらい(男女で)が集まっていました。「堀米さんの演奏をどう思いますか?」と訊かれ、「ハイフェッツなどの巨匠の演奏は近寄りがたく、神棚に上げて敬いつつ聴くような感じがするが、堀米さんの演奏はより身近に感じて聴く音楽だと思う」みたいなことを言ったのを覚えています その時、彼女から「何よこの人」みたいに冷たい目で見られたような気がしました。気のせいかもしれませんが 座談会後、参加者は発売されたばかりのCDにその場でサインしたものを いただきましたが、実は前もってそのCDを買って予習しておいたのです、先方には黙っていましたが その時のCDが下の写真です CDジャケットで録音年月日を確認すると1988年10月18、19日とありました。ちょうど30年前です 演奏する方も、聴く方も 歳を取るわけです

 

     

 

話を本筋に戻します

演奏者は、ヴァイオリン、ヴィオラ、コントラバスと管楽器は立ったまま、チェロは座って演奏します 「第1番」は、独奏部がホルン、ヴァイオリン、オーボエ、ファゴット、合奏部がヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、チェンバロにより演奏されます ヴァイオリンの堀米さんとオーボエの古部氏を中心とする迫力ある音による風圧を感じます 大きな会場で演奏する時と同じ力で演奏しているせいか、ものすごく大きな音でビックリするくらいです おそらく一人一人の演奏能力が高いため、ストレートに耳に迫ってくるのだと思います 6曲のうちこの第1番だけが4楽章から成りますが、第4楽章「メヌエット」における古部賢一、古山真里江のオーボエと福士マリ子のファゴットによる「トリオ」は素晴らしい演奏で 楽しめました

次に「第3番 ト長調 BWV1048」が演奏されます この曲は独奏部と合奏部の区別がなく、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、チェンバロによって演奏され、管楽器は入りません 6曲の中では1、2位を争うほど好きな作品です 第1楽章は はっきり言ってジャズです 何なんでしょう、このノリは 前へ前へという推進力は 第2楽章は曽根麻矢子さんのチェンバロ独奏により短いフレーズが奏でられ第3楽章につなげます またしてもジャズの世界です

演奏後、休憩時間の間にチェンバロがステージ中央に移動し、「第5番」に備えます

 

     

 

「第5番 ニ長調 BWV1050」は6曲の中で最大規模の音楽です 独奏部はフルート、ヴァイオリン、チェンバロで、合奏部はヴァイオリン、ヴィオラ、チェンバロ、コントラバスです この作品ではフルートの高木綾子さんとチェンバロの曽根さんが大活躍します 「第5番」は通奏低音楽器として主メロディーを支える役割だったチェンバロが、表舞台に躍り出た記念すべき作品といってよいでしょう フルートとチェンバロが前面に出ると優雅で華麗な雰囲気が醸し出されます 曽根さんのカデンツァは技巧をひけらかすのではなく、あくまでもメロディーの美しさを追究した落ち着きのある演奏でした

次に演奏された「第6番 変ロ長調 BWV1051」も1、2位を争うくらい好きな曲です 独奏部と合奏部の区別がなく、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、チェンバロにより演奏されますが、ヴァイオリンが加わらないのが大きな特徴です 篠崎友美さんと柳瀬省太氏のヴィオラによって中音域の魅力をたっぷり味わうことが出来ました       

 

     

 

2回目の休憩の後は「第4番 ト長調 BWV1049」から始まります この曲は、独奏部がヴァイオリン、リコーダー、合奏部がヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、チェンバロによって演奏されます 第1楽章の冒頭から水内謙一、宇治川朝政両氏によるリコーダーが明るく伸びやかに会場に響き渡ります 堀米さんのヴァイオリンとの掛け合いも楽しい

最後は「第2番 ヘ長調 BWV1047」です 独奏部はトランペット、リコーダー、オーボエ、ヴァイオリン、合奏部はヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、ファゴット、チェンバロにより演奏されます この公演の仕掛け人が「第2番」を最後に持ってきたのは 華やかなトランペットが使用される唯一の楽曲だからでしょう   その意図どおり、髙橋敦氏のトランペットを中心に、古部氏のオーボエ、水内氏のリコーダー、堀米さんのヴァイオリンが絡み、バックの合奏陣の素晴らしい演奏と相まって煌びやかな演奏が繰り広げられました

全曲を通して聴き終わって思うのは、バッハがいかに多種多様な音楽を数多く残したか、ということです BACHというのはドイツ語で「小川」のことですが、モーツアルト、ベートーヴェン、そしてブラームスをはじめとするロマン派の作曲家たち、ひいては20世紀のモダン・ジャズ・クァルテットに至るまで 多くの音楽家に多大な影響を与えたことを考えると、その流れは大河となってクラシックの枠を超え 大輪の花を咲かせたのだな、とつくづく思います 音楽界では「バッハに帰れ」という言葉がよく言われますが、バッハこそクラシックを中心とする音楽のバックボーン(背骨)なのでしょう   そういえば、30年前の座談会で 堀米さんが バッハについて そのようなことを言っていたことを思い出しました

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上岡敏之+新日本フィルでレスピーギ「ローマの噴水」、チャイコフスキー「交響曲第6番”悲愴”」他を聴く~交響曲”人生”の方が相応しかったか:アフタヌーン・コンサート・シリーズ

2018年03月24日 07時55分00秒 | 日記

24日(土)。わが家に来てから今日で1270日目を迎え、トランプ米大統領が22日、中国による知的財産の侵害に関する「通商法301条」の調査に基づき、関税などの制裁措置をかける大統領令に署名し、600億ドル(約6.3兆円)の輸入品に関税をかける意向を示した一方、23日には日本や中国などの鉄鋼製品への関税の適用も始まった というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       中国の著作権侵害は理解できるけど  日本は高品質の製品を輸出してるだけじゃん

 

             

 

昨日、夕食に「鶏のトマト煮」「生野菜とタコのサラダ」「インゲンのお浸し」を作りました 「鶏~」は娘のリクエストです

 

     

 

             

 

昨日、すみだトリフォニーホールで新日本フィルのルビー(アフタヌーン・コンサート・シリーズ)第13回定期演奏会を聴きました プログラムは①レスピーギ:交響詩「ローマの噴水」、②ボッテシ―二「コントラバス協奏曲第2番ロ短調」、③チャイコフスキー「交響曲第6番ロ短調”悲愴”」です ②のコントラバス独奏は首席奏者・渡邉玲雄、指揮は上岡敏之です

 

     

 

オケはいつもの新日本フィルの編成で、左サイドにヴァイオリン・セクションを集めています 正面2階のパイプオルガンもスタンバイしています。いつも通り第2ヴァイオリンの篠原英和氏と松崎千鶴さんを確認。コンマスはチェ・ムンス氏です

1曲目はレスピーギ(1879-1936)の「ローマ三部作~噴水、松、祭り~」のうち最初に作曲された交響詩「ローマの噴水」です この曲は1916年に完成し、翌17年3月にローマで初演されました。この曲の面白いところは、4つの噴水を選んで それらを1日の流れ(夜明けから夜まで)の中で紹介していることです   第1曲「夜明けのジュリアの谷の噴水」、第2曲「朝のトリトンの噴水」、第3曲「真昼のトレヴィの噴水」、第4曲「黄昏のメディチ荘の噴水」の4曲から成りますが、4曲は休みなく続けて演奏されます

上岡氏のタクトで第1曲「夜明けのジュリアの噴水」が開始されます この曲では金子亜未さんのオーボエ、白尾彰氏のフルート、マルコス・ぺレス・ミランダ氏のクラリネットが冴えわたりました 全曲を通して菅も弦も色彩感溢れ、噴水も溢れるような鮮やかな演奏を展開し 聴衆を魅了しました 演奏を聴いて、まだ見ぬローマの4つの噴水を 一度は訪ねてみたいと思いました

2曲目はイタリア生まれのコントラバス奏者で作曲家のボッテシー二(1821-89)の「コントラバス協奏曲第2番ロ短調」です   この曲は第1楽章「アレグロ~アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「フィナーレ:アレグロ」の3楽章から成ります

ボッテシー二は「コントラバスのパガニーニ」という異名を与えられたとのことですが、渡邉氏の演奏で聴く限り、超絶技巧をひけらかすような演奏困難な曲ではなく、むしろチェロに近い「メロディーを美しく聴かせる」といった 歌心にあふれる作品でした 渡邊氏の演奏では、特に第1楽章終盤のカデンツァの低音の魅力が印象に残りました

渡邊氏はアンコールに沖縄民謡「童神」を心を込めて演奏し、拍手喝さいを浴びました

 

     

 

休憩後のプログラム後半はチャイコフスキー「交響曲第6番ロ短調”悲愴”」です この曲はチャイコフスキー(1840-93)が、1891年4月からスケッチを始めたものの 途中で断念し、1893年2月に再挑戦して完成、同年10月16日に初演されました 第1楽章「アダージョ~アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アレグロ・コン・グラツィア」、第3楽章「アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「アダージョ・ラメントーソ」の4楽章から成ります

上岡氏の指揮で第1楽章が 低弦に導かれたファゴットによる暗い雰囲気のメロディーで開始されます この楽章を聴いていて気が付いたのは、上岡氏はかなりテンポを動かして演奏しているということです また、休符が長く、間を大きくとっているという特徴が見られました。一転、第2楽章はスムーズに音楽が流れていました さてこの日の演奏で一番大きな特徴を示したのは第3楽章です。スケルツォで行進曲風の曲ですが、終盤で行進曲が頂点に達した時、ティンパニとともに大太鼓が大きな音で連打され、強烈な印象を与えました こういう演奏は初めて聴きました。この楽章がオケ全体の強奏で終結するため、上岡氏は拍手が起こらないように、左手で制して、すぐに第4楽章に入りました ここで拍手がくると興ざめです。上岡氏は この楽章では、どちらかというと速めのテンポで音楽を進め、極度な悲壮感を感じさせないように締めくくりました

チャイコフスキーが1891年4月にこの曲のスケッチを始めた時は『人生』という愛称の作品になるはずだったとのことです 結婚の失敗による自殺未遂や第6交響曲の初演からわずか9日後に天国に旅立ったこと等を考えると、むしろ『人生』の方が相応しかったのではないか、と この日の演奏を聴いて思いました

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「普門館」解体へ~カラヤン+ベルリン・フィルを聴いた巨大講堂 / 石井裕也監督「夜空はいつでも最高密度の青色だ」を観る~ギンレイホール

2018年03月23日 07時44分09秒 | 日記

23日(金)。息子が無事に大学院修士課程を修了し、4月から約1週間の研修を経て地方勤務になったので、昨夕 大塚のフレンチ・レストラン「ウーベルチュール」で家族による祝賀会兼壮行会をやりました 料理もワインもとても美味しく、ワインを含めて税込み1人5,500円というのが信じられないくらいのコスパでした また是非 利用してみたいと思います

 

     

 

     

 

     

 

     

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で1269日目を迎え、米マイアミで行われたテニス女子シングルス BNPパリバ・オープンで、大坂なおみが1回戦で元世界ランキング1位のセリーナ・ウィリアムズに6-3、6-2で快勝した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     大坂にあやかって今年は阪神タイガースの活躍を期待したい えっ大阪違いだって?

 

         

 

昨日の朝日夕刊・社会面に「さよなら『吹奏楽の聖地』 普門館 今冬にも解体」という見出しの記事が載っていました。超訳すると

「『吹奏楽の聖地』として長年親しまれた普門館(杉並区)が今年の冬にも解体される 所有する宗教法人『立正佼成会』が22日午後発表する。耐震性の問題からホールの使用を中止して約6年が経過した。普門館は1970年に完成し、72年に全日本吹奏楽コンクールの会場として初めて使われた 5千人を収容できる規模の大きさから開催地として定着し、77年以降はおもに中学校、高校の部が開かれ、ファンから『吹奏楽の甲子園』と呼ばれた。巨匠カラヤンとベルリン・フィルがベートーヴェンの『第九交響曲』を公演したことでも知られる

手許にあるチケットにこう印刷されています

「ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1979年10月16日(火)7時 普門館 1階28列右16番」

自分の手書きのメモで「モーツアルト『交響曲第39番』、リヒャルト・シュトラウス『ツァラトゥストラはかく語りき』。A席15,000円」と書かれています

巨大な講堂でした。自席は大きな円柱の陰で、カラヤンが遠く これでA席15,000円か と驚いたのを覚えています あまりにも どでかい会場で、音が頭の上をスース―通り越していく感じがしました   しかも、「ツァラトゥストラ」はパイプオルガンの代わりにテクニクスの電子オルガンを使用していて、これには度肝を抜かれました  カラヤン指揮ベルリン・フィルの演奏を生で聴いたのはこれが最初で最後でしたが、心底ガッカリしました 会場が普門館だからといって、不問に伏すことはできないと思ったものです

 

        

 

昨日、神楽坂のギンレイホールで「夜空はいつでも最高密度の青色だ」を観ました これは石井裕也監督・脚本による2017年製作映画(108分)です。この映画は2017年第91回キネマ旬報ベスト・テン日本映画第1位という触れ込みだったので観ることにしたものです

看護師として勤務する傍ら、夜はガールズバーで働く美香(石橋静河)と、建設現場で日雇い労働者として働く慎二(池松壮亮)は、ある日、仲間と一緒に行った美香のバイト先のバーで出会う 二人はお互いに、排他的な東京での生活に不安や孤独を感じながら暮らしていた 美香は最初 慎二の同僚・智之(松田龍平)と付き合っていたが、彼は突然心筋梗塞で死んでしまう そんな中、慎二と美香はお互いに不器用ながら心を通わせて生きていく

 

     

 

この映画を観終わって思うのは「生と死」です。二人の主人公の背景には常に死の影があります 看護士として働く美香は、日常的に病死していく患者に接しており、母親を自殺で亡くしています 一方の慎二は同僚の智之を失い、本を貸してくれる親切なアパートの隣人が熱中症で死んでいるのを目の当たりにします 二人とも大都会のど真ん中で「明日は何が起こるか分からない」という不安を抱きながら毎日をやり過ごしているのです

映画の冒頭近く、原作者の最果タヒの詩集「夜空はいつでも最高密度の青色だ」から「青色の詩」がナレーションで流れます

「都会を好きになった瞬間、自殺したようなものだよ。塗った爪の色を、きみの内側に探したってみつかりやしない。夜空はいつでも最高密度の青色だ。きみがかわいそうだと思っているきみ自身を、誰も愛さない間、きみはきっと世界を嫌いでいい。そしてだからこそ、この星に、恋愛なんてものはない」

この詩をどのように解釈すればいいのか 私には分かりませんが、この映画では、1000万人もの人がひしめく東京で、不器用な者同士が わずかな希望を求めながら懸命に生きていこうとする姿が描かれていると思います

また、慎二の同僚・岩下(田中哲司)は きつい肉体労働に体を崩して働けなくなり 解雇されてしまいますが、「これからどうするの?」という慎二の心配に「死ぬまで生きるさ」と答えて去っていきます こういう人は現実には いくらでも存在しているのではないか、と思います。ここにも死の影が差していて、彼に希望はあるのか? と心配になってきます この映画は、そんな現実も描いています

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「東京春祭チェンバー・オーケストラ~トップ奏者と煌めく才能が贈る極上のアンサンブル」を聴く~モーツアルト「交響曲第13番」、ハイドン「チェロ協奏曲第1番」他

2018年03月22日 07時52分02秒 | 日記

22日(木)。昨日午後2時ごろ、上野でのコンサートの前に巣鴨のマックで本を読みながらカフェ・ラテを飲んでいたら、雪が降ってきました 春分の日に雪とは ゆきすぎ じゃね?と思いましたが、夕方には ゆき止まり になったようです

ということで、わが家に来てから今日で1268日目を迎え、約5千万円相当の金塊をブラジャーの中に隠して台湾から密輸しようとしたとして、北海道警が台湾国籍の女3人を関税法違反や消費税法違反などの疑いで逮捕した というニュースを見て 3人に成り代わって現在の心境を述べるモコタロです

 

     

                  女1:胸が一杯   女2:金じ手だった   女3:いい重いでになった  女4:私 無罪 

 

            

 

昨日、夕食に「焼き鳥丼」と「生野菜サラダ」を作りました 「焼き鳥丼」は専門店で買ってきた焼き鳥とスクランブル・エッグを乗せて、刻みのリを振っただけの超手抜き料理です

 

     

 

            

 

今年も「東京・春・音楽祭」が始まりました 昨日、東京文化会館小ホールで「東京春祭チェンバー・オーケストラ~トップ奏者と煌めく才能が贈る極上のアンサンブル」を聴きました プログラムは①ロッシーニ「弦楽のためのソナタ第1番ト長調」、②モーツアルト「2つのヴァイオリンのためのコンチェルト―ネK.190」、③同「交響曲第13番ヘ長調K.112」、④ハイドン「チェロ協奏曲第1番ハ長調」です 出演はヴァイオリン=堀正文(元N響コンマス)、小川響子(東京藝大大学院、東フィル契約団員)ほか、ヴィオラ=佐々木亮(N響首席)ほか、チェロ=辻本玲(日フィル・ソロ首席)ほか、コントラバス=吉田秀(N響首席)、オーボエ=荒絵理子(東響首席)ほか、ホルン=日橋辰朗(読響首席)ほかです

 

     

 

自席はE28番、右ブロック左通路側です。会場は6~7割くらいの入りでしょうか

1曲目はロッシーニ「弦楽のためのソナタ第1番ト長調」です この作品は6曲セットのソナタのうちの1曲目ですが、ロッシーニが16歳の時の作品と言われています 「弦楽のため~」とはいえ、ヴィオラを欠いた編成であるところが大きな特徴です。第1楽章「モデラート」、第2楽章「アンダンティーノ」、第3楽章「アレグロ」の3楽章から成ります

オケは左から第1ヴァイオリン、チェロ、第2ヴァイオリン、後方にコントラバスという対向配置をとります 指揮者がいないので、コンマスの堀正文氏がリードをとります。隣は藝大大学院生で東京フィルの第1ヴァイオリン・フォアシュピーラー(契約団員)の小川響子さんです

堀氏の合図で第1楽章に入りますが、この音楽はNHKーFMのクラシック番組のテーマミュージックとして使われていた(今でも使われている?)親しみのある愛らしいフレーズです モーツアルトは神童でしたが、ロッシーニも天才でした 全体に明るく軽やかで楽しい音楽です。1本しかないコントラバス(吉田秀氏)の通奏低音が効いていました

2曲目はモーツアルト「2つのヴァイオリンのためのコンチェルト―ネ K.190」です この曲はモーツアルトが18歳の時(1774年)に作曲されました。「コンチェルト(協奏曲)」が通常1人の独奏者を有する楽曲なのに対し、「コンチェルト―ネ」は2名以上の独奏者を有する協奏曲というほどの意味とのことです 第1楽章「アレグロ・スピリチオーソ」、第2楽章「アンダンティーノ・グラチオーソ」、第3楽章「テンポ・ディ・メヌエット~ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

弦の編成が変わり、左サイドにヴァイオリン・セクションを集め、右にヴィオラ、チェロ、その後方にコントラバスという並びになります 淡いピンクの衣装の城戸かれんさん(東京藝大大学院)と、ワインレッドの衣装の北田千尋さん(桐朋学園3年)が登場、ホルン(日橋辰朗氏、熊井優氏)とオーボエ(荒絵理子さん、森枝繭子さん)が加わり、第1楽章に入ります 第1楽章では2つの独奏ヴァイオリンと荒さんのオーボエがカデンツァを演奏しますが、まるでオペラの三重唱を聴いているようでした

 

     

 

休憩後のプログラム後半の最初は、モーツアルト「交響曲第13番K.112」です この曲は1771年11月、2回目のイタリア旅行中にミラノで作曲されました。モーツアルトは14歳でした。第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「メヌエット・エ・トリオ」、第4楽章「モルト・アレグロ」の4楽章から成ります

全体を聴いた印象は、交響曲というよりは「ディヴェルティメント」という方が相応しいように思いました 特に印象に残ったのは、「明と暗の対比」が魅力の第4楽章でした

最後はハイドン「チェロ協奏曲第1番」です この曲は1765~67年に書かれたと言われており、楽譜は何と1961年にプラハで発見されたとのことです 第1楽章「モデラート」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ・モルト」の3楽章から成ります 

オケの前奏に続いて独奏チェロが入ってきますが、伸び伸びと演奏する辻本氏の姿に思わず引き込まれます 全楽章を通じて、この曲の魅力を言い表せば「躍動感あふれる名曲」です 第1楽章の独奏チェロによるカデンツァは技巧的な局面も垣間見られ、聴きごたえがありました 第2楽章ではチェロがよく歌います。第3楽章はより一層  躍動感にあふれ、辻本玲による快演が聴かれました

アンコールは、弦楽合奏によって モーツアルト「弦楽四重奏曲第23番”プロシャ王第3番”K.590」から第4楽章「アレグロ」が演奏されました   ディベルティメントのどれかを演奏するのでは・・・と予想していたので、この選曲は意外でした 素晴らしいアンサンブルでした

 

     

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