人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

プッチーニ「蝶々夫人」代演の石上朋美、女性指揮者ウィルソン華々しく新国立デビュー!

2014年01月31日 07時00分29秒 | 日記

31日(金)。ほら、油断してるから今日で1月も終わっちゃうじゃないの

昨日の日経朝刊に「クラシック音楽 効果~原因不明の『突発性難聴』」という記事が載っていました。超訳すると

「自然科学研究機構生理学研究所のチームが、原因不明で急激に聴力が低下する『突発性難聴』の患者を対象に、聞こえにくい耳を使ってクラシック音楽を聴き続けてもらう実験をした結果、高い治療効果があることを突き止めた 実験では、発症間もない患者50人を2つのグループに分類。片方のグループにはステロイド治療のほか、正常な耳をふさぎ、難聴の耳で毎日約6時間、クラシック音楽を聴き、日常生活音も全て難聴の耳で聞いてもらった。約10日後に調べると、左右で25デシベルあった聴力差が7デシベルほどまでに縮小。ステロイド治療だけだと15デシベルほど差が残っていた

この記事には「クラシック音楽」とあるだけで誰の何の曲かが分かりません 勝手に想像すると、ピアノからフォルテまでの高低差が少ない、ゆったりした速度の曲ではないか、と思います 例えば、アルビノ―二「アダージョ」、パッヘルベル「カノン」、バッハの「主よ人の望みの喜びよ」、モーツアルト「ピアノ協奏曲~アダージョ楽章」、ベートーヴェン「ロマンス」、マーラー「アダ―ジェット(交響曲第5番第4楽章)」、バーバー「弦楽のためのアダージョ」等々・・・・・・皆さんはどう思われますか

一方、昨日の朝日朝刊には「28歳男を逮捕 448足見つかる~ハイヒール 銀座のクラブから盗んだ疑い」という記事が載っていました 住所不定・無職の若者が448足もの靴をどこに保管していたのか、と思って記事をよく読むと、レンタルルームを借りていたとのこと 448足ということは合計896個ですから、さぞかしレンタルルームも窮靴だったのではないかと思います 盗んだ物が悪かった。ハイヒールだけに、すぐに足が付きます。おアトがよろしいようで

 

  閑話休題  

 

昨日、初台の新国立劇場でプッチーニの歌劇「マダム・バタフライ(蝶々夫人)」を観ました 

クロークにコートを預け、入場してプログラムを買い求めると、ペラ1枚のシートを渡されました。「キャスト変更のお知らせ」のタイトルがあります。マサカと思ったら、そのマサカで、蝶々夫人役のアレクシア・ヴルガリドゥ(ギリシャ出身)が体調不良により降板、代わりにカヴァー歌手の石上朋美(東京藝大出身。イタリアを中心に活躍)が出演するというのです ヒロインが変わるのですから、事前に何らかの通知があっても良いと思うのですが、何の音沙汰もなかったところをみると、急な降板だったのかも知れません これが吉と出るか、凶と出るか、終わってみなければ判りません

今回の公演の特徴は新国立初の女性指揮者の登場です。これが吉と出るか、凶と出るか、聴いて見なければ判りません

会場はプルミエ(初日)公演にしては空き席が目立ちます。通路を挟んで私の左前の席には新国立オペラ次期芸術監督の飯守泰次郎氏が座っていらっしゃいます。近い将来のための下見でしょうか

キャストは蝶々夫人=石上朋美、ピンカートン=ミハイル・アガフォノフ(ロシア出身)、シャープレス=甲斐栄次郎、スズキ=大林智子、ゴロ―=内山信吾、ボンゾ=志村文彦、ヤマドリ=小林由樹、ケート=小野和歌子ほか。指揮は新国立歌劇場初の女性指揮者ケリー=リン・ウィルソン(カナダ出身)、オケは東京交響楽団、演出は1998年の初演以来今回8回目となる栗山民也です。私は2005年の新演出による4回目以降の公演はすべて観ています

 

          

 

チューニングが終わり、指揮者ケリー=リン・ウィルソンの登場です 彼女は2013年からスロベニア・フィルの音楽監督を務めていますが、最初はドイツ系の指導者に付き、次いでクラウディオ・アバドの指導を受けたといいます 彼女の指揮ぶりを見ていると、トスカニーニ国際指揮者コンクール優勝者・三ツ橋敬子の指揮によく似ています。タクトを持った右手はもちろんのこと、左手の使い方がそっくりです

 

          

 

舞台上の奥の上方にはアメリカの星条旗がはためいています。これは当時の文明国アメリカと後進国日本との関係を表しており、舞台は極めてシンプルです

代演者の石上朋美は、ただ美しい声というのではなく強さも備えたソプラノで、立派に重責を果たし聴衆の期待に応えました 私は「蝶々夫人」だけは、欧米人によるヒロインがどうも違和感があって受け入れがたいのですが、今回、急な主役交代によって日本人の蝶々さんが実現し、返って良かったと思います。とくに石上は日本人女性の典型的な顔付きをしているので蝶々さんにうってつけです 新国立の賭けは吉と出たようです

ピンカートン役のアガフォノフは良く通るテノールで聴衆を魅了しましたが、もう少し減量した方がよいと思います 日本人歌手で良かったのはシャープレス役の甲斐栄次郎とスズキ役の大林智子です

新国立オペラ初の女性指揮者、ケリー=リン・ウィルソンは躍動感溢れる指揮ぶりで、東京交響楽団から「蝶々夫人」の喜び、悲しみの表情を存分に引き出し、オケ自らが歌っていました とくに第2幕第2部の冒頭に置かれた「間奏曲」では、それまで現われた”動機”を表情豊かに再現、聴衆の耳を奪いました

最後に蝶々さんが自決するシーンで幕が下りると会場一杯の拍手とブラボーが舞台に押し寄せました カーテンコールで歌手陣に次いで指揮者のウィルソンが現われると、拍手とともに1階席後方、2階席辺りからブーイングが出ました。ちょっと信じられない反応です 「オペラの指揮に女性はいらない」という保守層の主張なのか、日本のオペラ界に殴り込みをかけてきた初めての女性指揮者に敬意を込めた反応なのか、よく分かりません ブーイングをした人にその理由を聞いてみたいところです。私としては、賭けは吉と出たと思います

 

          

 

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映画「クロニクル」を観る~28歳の俊英が描く超能力青年の行方

2014年01月30日 07時00分30秒 | 日記

30日(木)。昨夕、東京駅近くの「日本工業倶楽部」で丸の内消防関連団体の合同新年会が開かれたので、N監査役とともに出席しました 例年、何人か顔見知りを見かけるのですが、昨夜は一人も見かけませんでした 出席者数も昨年より減っているような気がします。アベノミクスで景気は上向いていると巷間言われていますが、本当だろうか?と疑問に思う出席率の低さです 型どおりの主催者あいさつ、乾杯の音頭があり、”ご自由にご歓談”の時間になりました。最初に会場に流れたのはモーツアルトの歌劇「フィガロの結婚」序曲でした 日本工業倶楽部も中々やるじゃんと思いました。その後はJ.S.バッハの管弦楽組曲やラヴェル等の音楽が流れていました マーラーやブルックナーは新春には相応しくないのか、一切流れませんでした ビール、ウイスキー、ワインを片手に、寿司、おでん、蕎麦、焼鳥、焼きそば、ピラフ、ウインナソーセージ、鶏のから揚げなどをひと通り食して、T丸の内消防署長に挨拶してから退散しました。もうこれ以上飲めないし、食べられないし・・・・・

 

  閑話休題   

 

先日コンサート会場の入り口で配布されていたチラシの中に、「これは聴きたい」というコンサートが3つありました。1つ目は1月30日、つまり今日の午後7時から池袋の東京芸術劇場で開かれる日本フィルのコンサートです。”売り”は萩原麻未がモーツアルトの「ピアノ協奏曲第20番二短調K.466」を弾くことです。入場料はA席3,800円、B席2,800円、C席1,800円です

 

          

 

2つ目は、4月6日(日)午後2時から東京都美術館講堂で開かれる田部京子「ピアノ音楽紀行~北欧」コンサートです。彼女が得意とするシベリウスとグリーグを演奏します。入場料は全自由席3,000円です

 

          

 

3つ目は、4月18日(金)午後7時から虎ノ門のJTアートホール”アフィニス”で開かれるラ・ル―チェによるコンサートです。これはメンデルスゾーンの「弦楽八重奏曲変ホ長調」を演奏するのが最大の魅力です モーツアルトの「弦楽五重奏曲第6番K.614」も演奏されます。ペンネーム「メンデルソン」さんはじめメンデルスゾーン・ファンにお薦めします 入場料は全自由席3,000円です

 

          

 

ところが、手帳を見て愕然としました すべて別のコンサートの予定が入っているのです。今日(30日)は新国立オペラ「マダム・バタフライ」が、4月6日は新交響楽団演奏会が、4月18日はバッハ・コレギウム・ジャパンの定期演奏会が、それぞれ予定に入っているのです もっとも、こういうことはレアケースではなく日常茶飯事ですが

これらはすべて一般のコンサートよりも割安の料金設定になっています。どなたか、私の代わりに聴きに行っていただけないでしょうか? 自費で

 

  も一度、閑話休題  

 

27日、早稲田松竹で映画「トランス」と「クロニクル」を観ました。先日「トランス」について書いたので、今日は2011年、ジョシュ・トランク監督のアメリカ映画「クロニクル」について書きます

 

          

 

父は大酒のみ、母は病気で寝たきりの高校生のアンドリューは、中古ビデオカメラで自分や身の回りの出来事を撮ることが唯一の愉しみ 同じ高校に通ういとこのマットとアメフト部のスティーヴとともに近くの洞窟探検に行くと、洞窟の中で奇妙な光る物体に触れる 気が付くと不思議な”超能力”を身につけていることに気が付く。最初のうちはホンのイタズラに過ぎなかったのが、宙に浮くことが出来るようになり、そのうちアンドリューの”超能力”が人を事故に遭わせることに発展したため、マットはアンドリューに「人には使うな」と諌める しかしアンドリューは言うことを訊かずどんどんエスカレートしていき、身の破滅を呼ぶ

「クロニクル」とは「記録」のこと。アンドリューがビデオカメラで自分自身と身の回りを撮るのは「記録」です 映画では、ところどころフィルムを繋ぎ合わせたような”ぶつ切れ”シーンが見られますが、これは、この映画が”クロニクル”であることを表すためにワザとやっているのだと思います。監督のジョシュ・トランクは28歳の俊英とのこと。将来が楽しみです

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ベートーヴェン、スーク「ピアノ三重奏の夕べ」を聴く~田部京子、大谷康子、岡本俼也

2014年01月29日 07時00分42秒 | 日記

29日(水)。25日にすみだトリフォニーホールで聴いたハウシルト指揮新日本フィルの定期コンサートについて翌26日のブログで書いたところ、同楽団の第2ヴァイオリン奏者・篠原英和さんからコメントをいただきました

「とにかく凄いコンサートでしたね 楽員も皆涙ながらの感動でした!私も最終ページは、涙で霞んで楽譜が見えませんでした!・・・・気になることが一つ、ハウシルトさんが、チェ君に何か言っていたのをご覧になりましたね。『今夜が、人生最後の演奏会だ、もう、振れない』と仰いました!楽員は全員再来日を望んでいます とにかく長生きして頂きたいです」

これについて、私は次のようにコメントをお返ししました

「ハウシルトさんがチェさんに何か囁いて、チェさんが否定するように首を横に振っていたので、いったい何を言ったのだろうと思っていました。『今夜が最後の演奏会』にしてはいけません。新日本フィルは出来るだけ早い段階でハウシルトさんの再来日を実現すべきです。それは新日本フィルの財産になります

ハウシルトさんには、新日本フィルとブルックナーでまだ取り上げていない第3番、第6番を是非演奏してほしいと思います 

 

  閑話休題  

 

昨夕、東京文化会館小ホールで「ピアノ三重奏の夕べ」コンサートを聴きました これは都民芸術フェスティバルの一環として挙行された公演です。プログラムは①ベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第4番変ロ長調”街の歌”」、②スーク「ピアノ三重奏曲ハ短調」、③ベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第7番変ロ長調”大公”」で、演奏はピアノ=田部京子、ヴァイオリン=大谷康子、チェロ=岡本俼也です

 

          

          

自席はM12番、左ブロック通路側席です。会場はほぼ満席。若い岡本俼也とともに、田部京子が淡いピンクの、大谷康子が鮮やかな朱色のドレスで登場します (いえ、女性二人も十分に若いですよ)。いつも思うのですが、女性が2人以上出演する時は、「ねえ、あなた、何色のドレス着て出るの?」とか情報交換してカブラナイようにしているんでしょうかねえ? どう思いますか、奥さん!

1曲目のベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第4番」は「街の歌」という愛称で呼ばれています これは当時のウィーンで、ワイグルの歌劇「海賊」が流行っており、ベートーヴェンは、街で口ずさまれていたその歌劇の旋律を、テーマとして第3楽章に取り入れたので、そのように呼ばれるようになったのです

第1楽章が力強く演奏されます。私は田部京子の演奏を聴くのはこれが初めてですが、しっかりしたピアノを弾く人です 第2楽章では冒頭のチェロが冴えわたっていました 第3楽章は3人がとても楽しそうに演奏している様子が見えました。おそらくベートーヴェンは自分自身がピアノを弾いて仲間と演奏したのだと思いますが、嬉々として弾きまくっている姿が目に浮かぶようです

2曲目の「ピアノ三重奏曲ハ短調」は、20世紀初頭のチェコを代表する作曲家でヴァイオリニストでもあったヨゼフ・スークが、まだプラハ音楽院の学生だった時に作曲した傑作です 第1楽章は激しく秘めた情熱がほとばしる曲想、第2楽章は民族色がよく現われた曲想、第3楽章は力強い推進力を感じさせます

休憩後はベートーヴェンの傑作「ピアノ三重奏曲第7番”大公”」です。この曲は1811年3月26日に完成され、1814年4月11日にベートーヴェン自身のピアノによってウィーンで初演されました。「大公」という愛称は、ベートーヴェンと親交が深かったルドルフ大公に献呈されたことから付けられたとのことです

第1楽章が情感のこもったピアノで開始されます。そしてヴァイオリン、チェロがアンサンブルを奏でていきます この部分が大公の大公たる所以でしょう。実に堂々たる音楽です 第2楽章のスケルツォを演奏する3人の奏者は実に楽しそうです 室内楽を演奏する喜びに浸っているのがよく分かります。そして、第3楽章を聴いていると、ベートーヴェンは何だかんだ言っても「アダージョ」楽章が一番いいんだよな、と思ってしまいます。第4楽章は躍動感に溢れ、フィナーレになだれ込みます

この日の演奏会は「二人のお母さんと息子による演奏会」と呼ぶのが相応しいほど年齢の離れた演奏者によるコンサートでしたが、「音楽に歳は関係ない」ということを体現してみせてくれた演奏会でした

3人はアンコールにクライスラーの「ウィーン風小行進曲」をウィーン情緒豊かに演奏しました

 

          

 

終演後、気分よく出口に向かったのですが、ケータイがあるべきところにないことに気が付き、コートから上着からズボンからバッグから、すべて探しましたがありません 「またやってしまった」と思い、自席に戻って探したのですが発見できず、近くの係員に事情を話すと、入口近くの係りにケータイが届いているとのこと さっそく行ってみると、ありました どうもケータイを入れている上着の内ポケットが浅いため、立ち上がる時にスルッと飛び出してしまうようです 昨年暮れもケータイ紛失騒ぎを起こし、今年も1月早々から同じ騒ぎを起こしてしまい、反省しきりです 分かっていながら同じところにケータイをしまってしまうのです。何か良い方法はないものか・・・・えっ、別のポケットにしまえばって・・・・・それもそうだな

          

 

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映画「トランス」を観る~催眠療法で名画の行方を追う

2014年01月28日 07時00分26秒 | 日記

28日(火)。昨日の朝日夕刊に「好相性・クラシック×特撮~ゴジラの迫力、最大化 ウルトラセブンにシューマン」という記事が載りました。超訳すると

「映画『ゴジラ』の音楽を手がけた伊福部昭が今年、生誕100周年を迎え、CD発売や演奏会が相次ぐ クラシックの作品が印象的に使われた『ウルトラセブン』も、関連書籍やCDが話題になっている 特撮とクラシック。意外なようで、実は相性抜群なのだ ・・・・昨年刊行された『ウルトラゼブンが”音楽”を教えてくれた』によると、ウルトラセブンの最終回、主人公モロボシ・ダンは、仲間のアンヌ隊員に、実は自分がセブンだと告げる その場面で流れるのが、シューマンのピアノ協奏曲だ 著者の青山通は7年かけて曲名や演奏者を突き止めた。ルーマニアのピアニスト、リパッティがカラヤンの指揮で演奏しているレコードだった 青山は『同じ曲なのに、演奏者によって全然違う。こういう体験をしたことで、クラシックを聴く軸ができた』と振り返る

 

          

 

私も『ゴジラ』、『ウルトラマン・シリーズ』を映画やテレビで観て育った世代(かなり幅広い)ですが、小中高校生時代にはほとんどクラシック音楽には興味がなかったので、番組でどういう音楽が使われているのかに無頓着でした 今でこそ、映画の中でクラシック音楽が流れようものなら、誰の何という曲で、演奏者は誰か、ということが気になって仕方ありません

 

  閑話休題  

 

昨日、早稲田松竹でダニー・ボイル監督の2013年アメリカ/イギリス映画「トランス」とジョシュ・トランク監督2011年アメリカ映画「クロニクル」の2本出てを観ました 今日は「トランス」について書きます

 

          

 

オークションにゴヤの名作「魔女たちの飛翔」が出品された。2750万ポンド(約40億円)で落札された瞬間、会場にガス弾が投げ込まれ、パニック状態の中、名画は盗まれた 奪ったのは競売人(オークショ二ア)のサイモンだった。彼はギャング仲間と強奪作戦に加わったのだが、仲間を裏切り名画を隠す行動に出て、ボスのフランクに殴られたショックで名画の隠し場所の記憶を失ってしまう 記憶を取り戻させるため、催眠療法士のエリザベスがサイモンの記憶を探っていく。記憶に残る事実のベールが剥がされるにつれ、仲間たち、そしてエリザベスの行動の真相が明らかにされていく

「トランス」とは「通常とは異なった精神状態」のこと。映画を観ているわれわれが、サイモンに成りきって記憶をたどっていくのですが、先行きの展開が予想不可能です 敵だと思っていた者が味方で、味方だと思っていた者が敵にまわる、いつしか誰かにまんまと騙されていた、そんな感じのストーリーです

エリザベスを演じた黒人女性ロザリオ・ドーソンが魅力的です 

 

          

 

ちなみに監督のダニー・ボイルは2012年のロンドンオリンピック開会式の総監督を務めた人だそうです。人を驚かせるのが好きなエンタティナ―ですね

 

          

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「東京・春・音楽祭」~「春が来た!」「R.シュトラウスの生涯」、新交響楽団のチケットを買う

2014年01月27日 07時00分18秒 | 日記

27日(月)。24日の朝日夕刊に「大野和士 バルセロナ響の監督に」という記事が載っていました。超訳すると

「指揮者の大野和士(53)がスペインのバルセロナ交響楽団の音楽監督に就任する 来年9月からの5年契約。大野氏はフランスの国立リヨン歌劇場の首席指揮者を務めており、来年4月からは東京都交響楽団の音楽監督にも就任予定。バルセロナ交響楽団は過去に大植英次氏が常任指揮者を務めていたこともある。大野氏は『バルセロナ響のサウンドは地中海の宝石』と評する

あまりにも短い記事なので、大野氏がなぜバルセロナ響の音楽監督に就任することになったのか、理由というか、きっかけが分かりません。客員で呼ばれて指揮をしてオケとの相性が良かったということで、オーケストラ側から首席指揮者や音楽監督のオファーがあって指揮者側が同意するというパターンだと思います

彼が初めてプロのオケを振ったのは東京藝大時代にTBSのテレビ番組「オーケストラがやってきた」の専属指揮者として新日本フィルを振った時です その後、25歳でヨーロッパに渡り、1987年、アルトゥーロ・トスカニーニ国際指揮者コンクールで優勝、1988年から1996年までザグレブ・フィルの常任指揮者・音楽監督を務めました 以後はカールス・ルーエ・バーデン州立劇場の音楽監督、ベルギー王立劇場の音楽監督などを歴任、2008年からフランス国立リヨン歌劇場の首席指揮者を務め、2012年にはアルトゥーロ・トスカニーニ・フィルの首席客員指揮者に就任しています 日本では1992年から2001年まで東京フィルの常任指揮者を務めました

したがって、大野氏は来年9月から、フランス国立リヨン歌劇場の首席指揮者、バルセロナ交響楽団の音楽監督、アルトゥーロ・トスカニーニ・フィルの首席客員指揮者、東京都交響楽団の音楽監督を兼務することになります 現代のクラシック音楽界では、実力があって人気もあるスター指揮者は世界中を飛び回って複数のオーケストラや歌劇場で指揮を執るのが普通になっています。これは交通機関の発達と深い関係があります かつてカラヤンは専用のジェット機で世界中を飛び回っていました。そのスピード感が彼の演奏にも反映していた、という評論を読んだことがあります。それは、あり得ないことではないと思います

 

  閑話休題  

 

昨日、埼玉県S市の菩提寺に墓参りに行って来ました 妹夫婦がS駅に車で迎えにきてくれたので、その足でお寺に向かいました。母が亡くなったのが去年の8月21日でしたから、もう5か月が経ってしまいました。月日の流れの速さを感じます

帰りがけに通った池袋駅東口で、警察官があちこちに立っていて、やけに混雑していると思ったら、東京都知事選に立候補した細川の殿様と、応援演説をする小泉元首相が間もなくやって来て選挙カーの上で”立ち合い演説”をするらしいことが分かりました 女性の運動員が「もう間もなくの到着です。もうしばらくお待ちください」と連呼していましたが、彼らを待つ義理はないのでバスに乗って帰ってきました 待っている人たちは、話題の二人が現われたらツイッターか何かで”太川、大泉、ノー。細川、小泉、ナウ”とか発信するんでしょうね、きっと

 

  も一度、閑話休題  

 

コンサート・チケットを5枚買いました 1枚は3月14日(金)午後7時から東京文化会館小ホールで開かれる「東京・春・音楽祭 春が来た!」です。ヴィヴァルディ「四季~春」、ベートーヴェン「スプリング・ソナタ」、モーツアルト「春への憧れ」、メンデルスゾーン「春の歌」など、春に因んだ曲を集めて演奏する楽しいコンサートです 演奏はヴァイオリン=前橋汀子、都響メンバーによるアンサンブルほかです

 

          

 

2~4枚目は同じく「東京・春・音楽祭」の一環として3月23日(日)に開かれるマラソン・コンサート「リヒャルト・シュトラウスの生涯~生誕150年に寄せて」です。第Ⅰ部から第Ⅴ部まで、各1時間程度のコンサートで、会場はいずれも東京文化会館小ホールです このうち第Ⅰ部、第Ⅲ部、第Ⅳ部を聴きます。演奏は広田智之(オーボエ)、三輪郁(ピアノ)、安井陽子(ソプラノ)、加納悦子(メゾソプラノ)ほかです 本当は朝から晩まですべての部を聴きたいのですが、翌日が月曜日なので自粛しました

第Ⅰ部「誕生~激動の人生の幕開け」(ホルン協奏曲、オーボエ協奏曲ほか)午前11時から。

第Ⅱ部「イノック・アーデン」午後1時から。

第Ⅲ部「時代の寵児となった、若き天才音楽家」(チェロ・ソナタ、セレナードほか)午後3時から。

第Ⅳ部「オペラ作曲家として」(歌劇「ばらの騎士」~ワルツ、歌劇「サロメ」~7つのヴェールの踊りほか)午後5時から。

第Ⅴ部「辞世の歌から去りゆく古き良きヨーロッパ」(メタモルフォーゼン、4つの最後の歌ほか)午後7時から。

 

          

 

5枚目は4月6日(日)午後2時から東京芸術劇場で開かれる新交響楽団の第225回演奏会です プログラムは①ハチャトゥリアン「バレエ音楽”ガイーヌ”」より、②サン=サーンス「ヴァイオリン協奏曲第3番」、③リムスキーコルサコフ「交響組曲”シェヘラザード”」で、指揮は曽我大介、②のヴァイオリン独奏は東京交響楽団コンマスの大谷康子です これは、名曲なのに滅多に演奏する機会がないサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番を聴きたいためにチケットを買いました

 

          

 

  最後の閑話休題  

 

今日はモーツアルトの誕生日です 1756年1月27日にザルツブルクで生まれました。今年は生誕258年ですね 彼の作品を聴きながら、ささやかにお祝いしたいと思います。先日死去したクラウディオ・アバドに敬意を表して、ピアニストにマリア・ジョアン・ピリスを迎え、アバドがヨーロッパ室内管弦楽団を指揮したモーツアルトの「ピアノ協奏曲第17番」&「同第21番」のCD(1995年録音)を聴くことにしました 第17番の第3楽章「アレグレット」ではパパゲーノの歌が聴こえます。皆さんはどの曲を選びますか

 

          

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巨匠ハウシルト+新日本フィルでシューベルト「第4番」とブルックナー「第4番」を聴く

2014年01月26日 07時54分31秒 | 日記

26日(日)。昨日、すみだトリフォニーホールで新日本フィルの第519回定期演奏会を聴きました プログラムは①シューベルト「交響曲第4番ハ短調”悲劇的”」、②ブルックナー「交響曲第4番変ホ長調”ロマンティック”」で、指揮はヴォルフ=ディ―ター・ハウシルトです

 

          

 

新日本フィルのコンサートで良いと思うのは、オケの配置図に出演者の名前が載っている「出演者一覧表」を用意してくれることです コンマス席はチェ・ムンス、その奥が西江辰郎、ホルン=吉永雅人、オーボエ=古部賢一、フルート=荒川洋、クラリネット=重松希巳江といった首席クラスを中心にベスト・メンバーの名前が揃っています これは指揮者・ハウシルト氏に敬意を表した布陣だと思います 第2ヴァイオリン席には新日本フィルの室内楽シリーズでお馴染みの篠原英和氏の名前があります。オヤッと思ったのは、同じ第2ヴァイオリン席に客演奏者として会田莉凡(りぼん)さんの名前があったのです 彼女の演奏を初めて聴いたのは2年程前に音楽大学フェスティバルで学生オーケストラのコンマスを務めた時です。その時並々ならぬ存在感を感じ「彼女は近い将来、絶対に頭角を現す」と確信しました。その後、昨年7月2日にヤマハホールで開かれた「漆原朝子と仲間たち」に出演、私の大好きなメンデルスゾーンの「弦楽八重奏曲」を演奏しました。今年は2月7日にヤマハホールで開かれる「堤剛スペシャル・コンサート」に出演し、ベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第4番”街の歌”」、メンデルスゾーン「ピアノ三重奏曲第2番」を演奏します。もちろんチケットは入手済です

 

          

 

また、3月16日(日)には国立博物館「日本館講堂」でミュージアム・コンサート「会田莉凡ヴァイオリン・リサイタル」を挙行、ベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ第3番」、バッハ「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番」、エネスク「ヴァイオリン・ソナタ第2番」他を演奏します。もちろんこれもチケットは入手済です

 

          

 

さて、オケがスタンバイし指揮者の登場を待ちます。通常の新日本フィルの態勢と違うのはホルンの位置です。いつもは向かって左サイド奥に陣取っていますが、この日は右サイド奥でスタンバイします。ハウシルトのこだわりがあるのでしょう

指揮者ハウシルトはドイツ(旧東ドイツ)出身で、ワイマールのフランツ・リスト音楽大学でヘルマン・アーベントロートに師事し、シュトゥットガルト・フィルハーモニー、エッセン・フィルハーモニー、ハレ州立フィルハーモニー等の音楽監督を歴任しています 新日本フィルとは、故朝比奈隆の代役として初登場し第5番を指揮、その後、ブルックナーとしては第7番、第8番、第9番を指揮し、今回の第4番につないだわけです

ところで、チラシの裏にある解説には「2005年に故・朝比奈隆の代役でブルックナーの交響曲第5番を指揮して以来~」と書かれていましたが、プログラム1,2月号のプロフィールには「2002年3月、故・朝比奈隆の代役として初登場~」と書かれています どっちが本当でしょうか?グーグルで検索してみれば朝比奈氏は「2001年12月29日没」と答えが出ますから、正解は「2002年3月に~」ということが判ります。時系列から考えると、チラシを出した後でミスに気付き、直近のプログラムで正しい年月に訂正したものと思われます 同じオーケストラが出す媒体ですから、最初の段階からミスを出さないように十分注意し、再発防止をはかっていただきたいと思います

 

          

 

拍手の中、ハウシルトが登場します。写真で見るとかなりご老体に見えますが、実際に見ると相当お元気そうです。彼のタクトでシューベルトの交響曲第4番ハ短調第1楽章が劇的に開始されます ハ短調はベートーヴェンの第5番”運命”と同じ調性です。かなり重く響きます。彼は歳を感じさせない精力的な指揮ぶりを見せます

シューベルトの初期の交響曲の演奏で忘れられないのは2~3年前に東京交響楽団がユベール・スダーンの指揮で演奏したシューベルトの交響曲全曲演奏会です あのシリーズは、普段演奏される機会の少ないシューベルトの初期の交響曲の素晴らしさを、一般聴衆に知らしめた画期的なシリーズでした

あの時の演奏は、どちらかと言えば”軽快な”という意味で「軽い」演奏だったように思いますが、ハウシルト+新日本フィルの第4番は”重厚な”という意味で「重い」演奏です スダーン+東響が演奏したのがワインヤード型のサントリーホールだったのに対し、今回のハウシルト+新日本フィルが演奏するのはシューボックス型のトりフォニーホールだという、音響特性の違いもなきにしもあらずとは思いますが、それにしてもかなり違ったシューベルトです どちらが良いかという問題ではなく、どちらも説得力のある素晴らしい演奏です。今回ハウシルトの指揮で聴いてこの曲の良さを再認識しました

 

          

 

休憩後はブルックナーの交響曲第4番変ホ長調です。この曲は「ロマンティック」と呼ばれていますが、そう呼んだのはブルックナー自身だそうです。ただし、解説によると、楽譜にはそう銘記されていないとのことです ちなみにこの「ロマンティック」というのは、「ああロマンチックな夜だなあ」というような意味ではなく、「ロマン的な」という意味だと何かの本で読みました

オケが拡大され、第2ヴァイオリンの後方に会田莉凡さんが加わりました。髪の毛をポニーテールにして赤いリボンで束ねているのでひと目で判ります。赤いリボンは莉凡さんの名前に由来したトレードマークなのでしょうか ハウシルトは70分に及ぶブルックナーの大曲に対峙するため、椅子に座って指揮をすることを選択しました

第1楽章冒頭、弦のトレモロにのってホルンがテーマを奏でますが、この曲全体が成功するかどうかの試金石です。ベテラン吉永雅人のホルンは完璧です。堂々たる演奏で第1関門を突破します ハウシルトはゆったりしたテンポで曲を進めます。「せちがらい世の中、せめて音楽くらいゆっくり行きましょうよ」と言わんばかりに。ブルックナーの指示は「動きをもって、速すぎずに」。第2楽章のアンダンテ、第3楽章のスケルツォを堂々と演奏、第4楽章フィナーレに突入します 演奏の途中、ハウシルトの後ろ姿を見ていると、まるで神がハウシルトに乗り移り、ブルックナーその人が指揮をしているような錯覚を覚えました ブルックナーが生きてこの演奏を聴いたなら、ハウシルトを抱きしめて彼の指揮ぶりを讃えたに違いありません

第4楽章の最後の一音が鳴り終わると、会場はシーンと静まりかえり、一瞬しじまの状態になりました。拍手が起こるまでのこの瞬間がクラシック音楽を生で聴く醍醐味だと言っても過言ではありません ハウシルトがおもむろにタクトを下ろすと嵐のような拍手 とブラボーが舞台を包み込みました。舞台袖に引っ込んで再度登場したときは、演奏していた楽団員たちも拍手 や足踏みでハウシルトを讃えていました。彼が楽団員からいかに愛され慕われているかがよく分かります ハウシルトはコンマスのチェ氏をはじめ首席奏者と握手、管楽器陣を立たせて健闘を讃えます。現代においてハウシルトこそ「巨匠」「マエストロ」という言葉が最も似合う指揮者です

とにかく凄いコンサートでした。ハウシルトの指揮のもと素晴らしい演奏を展開してくれた新日本フィルの楽団員の皆さんにお礼を言いたいと思います。ありがとうございました

私が生でコンサートを聴いた時、その演奏が良かったかどうかを判断する基準があります。それは「いま聴いた演奏を、もう一度聴きたいと思うか?」ということです その意味で、今回の演奏は「もう一度と言わず、何度でも聴きたいと思う演奏だった」と言えます 新日本フィルとのブルックナーは、まだ第3番、第6番が残されています。是非、ハウシルトの指揮でこれらの曲を聴きたいと思います

終演後、ロビーのグッズ売り場にいた新日本フィル事業部の広報・宣伝担当NHさんに「Nさん、こんにちは 昨年篠原さんの打ち上げでご一緒したSです」とあいさつすると、「このたびは、ご指摘ありがとうございました」とお礼を言われました というのは、先日、新日本フィルの室内楽シリーズのチラシの中に校正ミス(ベートーヴェンの「ラズモフスキー」が「ラヴモフスキー」になっていた)があったので、23日のブログで書くとともに、広報のNHさんとNEさんにメールでお知らせしておいたのです 最後に「今日のコンサートは凄く良かったです コンサートの感想は明日のブログに書きます」と伝えてホールを後にしました

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ジェフリー・ディーヴァ―「ロードサイド・クロス(下)」を読む~どんでん返しの連発!

2014年01月25日 09時46分31秒 | 日記

25日(土)。昨夕、中目黒のメキシカン・ダイニングBで、S建設のSさん、Fさんと当社の有志4人で新年会を開きました この店はS建設のN統括工事長のご子息(姉弟コンビ)が経営するレストランで、昨年12月26日に忘年会をやったお店です その翌日(年内最終出勤日)、私はケータイを無くしたと騒いで、お店に問い合わせの電話をしたりしてご迷惑をおかけしました 恥ずかしいことにケータイは自宅の布団の中で充電中でした。この時「調子に乗ってテキーラを10杯も飲んではいけない」と自戒したのでした 

その経験を踏まえて、テキーラは4杯に止めておきました 昨夜はナゼか若者2人が、無謀にもテキーラを何杯飲めるかを賭けて、約1名が途中で撃沈、前後不覚になりS建設のお二人に両腕を抱えられて、どこかに連れていかれました 多分、家に一人で帰れる状態ではないので、タクシーで当ビルまで戻って”秘密基地”に泊めさせたのかも知れません。皆さん、お酒は自分のペースを守って楽しく飲みましょうね

 

  閑話休題  

 

音響設計士・永田穂さんのインタビュー記事が朝日夕刊のコラム「人生の贈りもの」に連載されています 23日はその第4回目でしたが、サントリーホールの設計などについて語っています

朝日・吉田純子記者から「日本初のワインヤ―ド(ぶどう畑)型と話題を集めたサントリーホールは、実際の音響効果はどうなのですか?」と問われ、

「ベルリン・フィルの本拠地、ベルリン・フィルハーモニックで、ワインヤ―ド型の響きを経験しましたが、音量に余裕があり、とにかく音がよく伸びる 舞台と客席が相対するため、壁に音がうまく反射して客席にまんべんなく届きます。これから主流になってゆくと直感しました カラヤンからワインヤ―ド型を勧められましたが、実際にサントリーホールをつくってみて、音の粒がホールの中にパーっと舞っていたのを今も鮮明に思い出します。カラヤンの魅力である弦の音色がちゃんと引き出せていたのがうれしく、ほっとしました

と答えています 「いまは、どんなホールが最高だと?」との質問には、

「素直な形状のものですね。ホールの天井は基本的に高いほうがよいのですが、トッパンホールのように、天井の低さをむしろ特徴にして、親密な響きを生み出しているホールもあります あのホールは演奏会のプログラムがいい。響きをよく理解したうえで、催し物を組んでいます。使う人たちがホールを変え、演奏家たちがホールを育てる。これがホールというものの本質だと思います そして聴く人が安心して音楽に身を委ねられる場所へと成熟すれば、それが最高のホールだと思います

と答えています オーディオの世界では、スピーカーの「エイジング」を行います。これは、分かり易く言えば「馴らし運転」のようなものです。例えばクラシック音楽をガンガン鳴らしてスピーカーのコーン紙が音楽の震動に馴染むようにするのです。それによって、聴けば聴くほど良い音になるというわけです その意味では、コンサートホールも同じことが言えるのではないかと思います 演奏家が演奏することによって器としてのホールに音楽が馴染んでいき、それによってホールの音響効果が高まるということです

永田穂さんは1925年、福岡県生まれ。東京大学第1工学部を卒業後NHKに入職。技術研究所音響研究部部長など歴任した後1971年にNHKを退職。1974年に設計事務所を設立、1993年に名称を永田音響設計に改称し、現在は取締役特別顧問を務めています

同社の追求するテーマは「静けさ、よい音、よい響き」とのことで、音が命のコンサートホールや劇場はもちろんのこと、住宅から都市計画に至るまで業務は多岐にわたっています

私が実際に聴いたコンサートホールだけでも、サントリーホール、カザルスホール、津田ホール、東京芸術劇場、紀尾井ホール、すみだトリフォニーホール、新国立劇場、東京藝術大学奏楽堂、トッパンホール、ミューザ川崎シンフォニーホール、上野学園・石橋メモリアルホールなどがあります。都内の主だったコンサートホールは永田音響設計によるものと思っても差し支えないほどです これらのホールに共通するのは、第一に建築資材として良質の木材をふんだんに使っていることだと思います。木は呼吸していますから

 

   も一度、閑話休題  

 

ジェフリー・ディーヴァ―著「ロードサイド・クロス(下)」を読み終わりました

ネット上でのいじめに端を発した事件は殺人事件にエスカレートしていく 犯人は本当にネットでいじめられた少年トラヴィスなのか?キャサリン・ダンスはネットに詳しい仲間の助けを借りながら、事件の発端となったジェームズ・チルトンのブログで報じられた交通事故の真相を追っていく 

ジェフリー・ディーヴァ―特有のどんでん返しに次ぐどんでん返しが繰り広げられ、息つく暇もありません ネットにあまり詳しくない読者のために分かりやすく用語の解説なども織り交ぜながら物語を進めています この著書でディーヴァ―が言いたいことは「匿名に隠れてネット上で他人を非難したりすると、後でとんでもない事件を引き起こす恐れがあるから十分注意すべきだ」ということだと思います 最後のダンスと二人の男の微妙な三角関係は”付け足し”でしょう

 

          

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飯守泰次郎+東響で「新世界より」、グリーグ「ピアノ協奏曲」を聴く~都民芸術フェスティバル

2014年01月24日 07時01分08秒 | 日記

24日(金)。昨日の朝日夕刊・ファッション欄に作家の川上未映子さんが「おめかしの引力 ヴィトンにひれ伏す」という題でエッセイを書いています。超訳すると

「臨床心理カウンセラーの信田さよ子さんが『ヴィトンのバッグ盗まれてね・・・・半年以上も経ってから見つかったの。ドブ川で。中身はなかったんだけどバッグだけ戻ってきたのよ どろどろになっててドブ川のにおいがしみついて凄かったんだけど、わたしね、洗ってみたのよ。裏返しにしてゴシゴシやって、乾かして。そしたらね・・・・元通りになったのよ。買ったときと同じ。完全に新品みたいに生き返ったのよね それを見てなんか怖くなっちゃって(笑)。それ以来、わたしはヴィトンにひれ伏しているのよ。ウフフ・・・・』と言っていた。何度聞いても凄すぎる

このエピソードが本当だとすれば、ヴィトンというのは単なる老舗ブランドではなくて、長い間、世界中の女性に愛され、支持されてきた”根拠”があるのだなあ、と思いました 皆さんがお持ちの古いヴィトンを洗い直してみてはいかがでしょうか

 

  閑話休題  

 

昨夕、池袋の東京芸術劇場で東京交響楽団のコンサートを聴きました これは都民芸術フェスティバルの一環として挙行された公演です。プログラムは①ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲、②グリーグ「ピアノ協奏曲イ短調」、③ドヴォルザーク「交響曲第9番ホ短調”新世界より”」で、指揮は飯守泰次郎、②のピアノ独奏は居福健太郎です

 

          

 

自席は1階H列23番、センターブロック右サイド側です。会場は低料金を反映してほぼ満席。舞台正面2階部分にはパイプオルガンのクラシック面が堂々たる偉容を誇っています

コンマスの椅子が高く設定されています。だれがコンマスを務めるのだろうか?と気にしていると、グレブ・ニキティン氏が登場しました 定期公演であれば拍手が起こるところですが、慣れない聴衆のため、第1コンマス登場にも拍手がありません N響は普通らしいですが

1曲目のワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガ―」第1幕への前奏曲は、若き日にドイツのバイロイト音楽祭音楽助手として修業した飯守泰次郎氏にとって名刺代わりの曲でしょう 飯守氏の指揮を見ていると、どこかぎこちなく、なぜか忙しない指揮ぶりで、しょっちゅう動いています あれで、よくワーグナーのような大曲が指揮できると思いますが、出てくる音は堂々たる響きです

舞台右袖からピアノがセンターに移動し、ピアニストの居福健太郎が登場します。思ったより巨艦タイプでびっくりしました 彼は第4回浜松国際ピアノアカデミーコンクールで第2位に入賞しています

冒頭の劇的な開始から力強いピアノが入ってきます 居福は身体全体をピアノに預けるように力いっぱい叩きます。ピアノが壊れないかと心配してしまいます ただ、そればかりではなく、抒情的なところは詩情豊かに弾きます

居福はアンコールにグリーグの「抒情組曲」から「春に寄す」を静かに弾きました

 

          

 

休憩後はドヴォルザークの交響曲第9番ホ短調です。飯守氏は相変わらずぎこちない指揮ぶりで、時々うなり声を聴かせて、まるでマグマ大使が指揮しているような硬い動きで音楽を進めていきます もちろんオケから出てくる音はドヴォルザークの魅力に満ちた音楽になっています この曲の一番の聴きどころは第2楽章のラルゴでしょう。コーラングレ(イングリッシュ・ホルン)のソロによるどこか懐かしいメロディーはもちろんですが、もう一つの魅力は、後半に同じメロディーを弦楽の首席8人によって演奏する部分です 交響曲の中の室内楽といった風情で、「”しみじみ”というのはこういうのを言うのだ」というような心に沁みる演奏です

アンコール応えて飯守+東響はドヴォルザークの「スラブ舞曲」作品72-2を演奏しました

よくよく考えてみると、私は今月12日にミューザ川崎で同じ東響による同じ「マイスタージンガ-前奏曲」と「新世界より」を聴いたばかりです 今回の演奏は都民芸術フェスティバルの一環なので、「定期公演と違う曲を練習して本番を迎えるのは大変だから、定期と同じ曲にしておこう」と考えるのは心情的には分かりますが、あまりにもイージーな選曲ではないでしょうか 1曲ならともかく2曲が同じですよ、奥さん 東響は来年もこのフェスティバルに参加するのでしょうから、その時は考えていただけないでしょうか。そうしないと定期会員やめちゃうから・・・

 

          

 

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新日本フィル室内楽シリーズを聴く~モーツアルト「オーボエ五重奏曲ハ短調K.406a」他

2014年01月23日 07時00分47秒 | 日記

23日(木)。昨日の朝日朝刊・教育面に「音に触れて共に成長~日本版エル・システマ 福島で”進化”」という記事が載りました。記事を超訳すると

「ベネズエラが国を挙げて取り組む音楽教育システム”エル・システマ”の日本版が福島県相馬市でスタートして1年半経った ”本物の芸術”に触れ、楽器や合唱を地道に学ぶ過程を通じて子どもの成長を促すプログラム。日本では独自の形で”進化”している

『エル・システマ』は、貧富の差が大きいベネズエラで38年前に始まったが、英語に直せば『ザ・システム』。ヴァイオリンなどの楽器を渡し、練習を積ませて”規律や社会生活を身につける”社会教育プログラムである 無料で通える音楽学校を全国各地につくり、銃や薬物犯罪に手を染める前に、子どもを芸術の世界に誘う

日本では東日本大震災後の2012年5月、日本ユニセフ協会の職員として相馬で復興支援に携わった菊川穣さんが始めた ベネズエラと違い”数十年スパンでの子どもへの支援”が目的。地元の楽器の先生やプロの音楽家、ボランティアの大学生が先生役を担い、運営資金は民間の寄付や補助金を充てる。費用は無料。昨年末には『相馬子どもオーケストラ&コーラス』として開いた演奏会に約130人が参加、『喜びの歌』などを披露するまでに成長した

今年1月2日のtoraブログで、昨年1年間のコンサート「マイ・ベスト10」をご紹介していますが、「エル・システマ・ユース・オーケストラ・オブ・カラカス」が萩原麻未と共演したグリーグの「ピアノ協奏曲イ短調」を第2位に挙げています 若さと情熱に溢れたオーケストラです

日本でも相馬での試みが全国的に広がれば良いと思います ヴァイオリン教室の先生方は職を失う恐れがあるので、”エル・システマ”でなく、”あら、システムが・・・”とおっしゃるかも知れませんが、そこは長い目で見てやってほしいと思います

 

  閑話休題  

 

昨夕、すみだトリフォニーホール(小)で新日本フィル室内楽シリーズ演奏会を聴きました 前回所用で聴けなかったので、久しぶりです いつものように、ロビーでコーヒーを飲みながらプログラムの解説を読んでいると「トラさん、こんばんわ。今年もよろしくお願いします」とテノールの声が。新日本フィルの第2ヴァイオリン奏者・篠原英和さんでした。開口一番「いやぁ、良かったですねぇ、井上さんのハイドンを入手できて」と言われ、先日、篠原さん情報により神保町の古賀書店で手に入れた井上和雄著「ハイドン・ロマンの軌跡」のことだと分かり、「ありがとうございます。買い手が付かないうちにと早めに行って、何とか手に入れました」とお答えすると、「あちこちの古本屋さんを回ったんですが、『モーツアルト』と『ベートーヴェン』はあるんですが、『ハイドン』は中々手に入らなかったのですよ。とにかく面白いですよ 井上さんはプロも敵わないほど弦楽四重奏曲のことや演奏家のことを良くご存知の方です 私のプレトークでもあの本から得た情報をずい分活用させてもらいましたよ」とのこと。私は「確かに博識の方ですね。まだ読んでいませんが、ハイドンの弦楽四重奏曲を聴きながら読もうと思っています。時間がかかると思います」とお答えしておきました。その後、篠原さんはプレトークの重責をコントラバス奏者の村松裕子さんに引き継いで気楽な立場なので、Gパン姿でリラックスしてロビーにいるお客さんに声を掛けておられました

7時5分前になったので自席に座ると、隣席のご老人がゴソゴソやっています なんと座ったまま、いきなりズボンを脱ぎ始めました。と思ったら、今度は上着を脱ぎ始めました。「おじさん、やめてよね、公衆の面前で・・・・・」と思いましたが、どうもズボンの下にまたズボンをはいているようです。思うに、会場までバイクか自転車でやってきたのではないか、寒さしのぎにウィンドゥブレーカーのつもりで上下とも1枚余計に着てきたのではないか、と考えました こういう行為は紛らわしいので次からは止めてほしいと思います。よい子はマネをしないようにしましょう

 

          

 

さて、7時になり村松裕子さんが登場してバスイス(コントラバスの椅子)に座りプレトークが始まりました

「いま、金曜・土曜の定期演奏会のリハーサルをやっています。ハウシルトさんのブルックナーですが、いかにもドイツのおじいちゃん、といった感じの人です さて、私は3月、4月のシリーズ公演は産休でお休みいたします。その間は皆さまご存知”夢先案内人” そう、篠原英和さんがプレトークを担当してくださいます。お楽しみにしてください

第1曲目はモーツアルトの『オーボエ五重奏曲ハ短調K.406a』です。この曲はそもそも管楽器のためのセレナード第12番”ナハトムジーク”を弦楽五重奏曲に編曲したものを第1ヴァイオリンをオーボエに置き換えて編曲した曲です。ややこしいですね オーボエは楽器の中で一番扱いにくい楽器と言われています。もともと管楽器だけの曲を弦楽器とのアンサンブルで演奏したらどうなるか、楽しみにしてほしいと思います。家でCDを聴いて比べてみたのですが、弦楽器が入った方が”しっとり感”というか、そういう感じがしました

2曲目はシューベルトの『弦楽四重奏曲第14番ニ短調”死と乙女”』です。プログラムに『演奏者による聴きどころ』が載っていますが、4人のうち3人が『最初から最後まで弾きまくりで、譜面めくりが大変』とか『譜面を落としたらどなたか拾ってください』と書いています。特に第4楽章が一番大変のようです。音楽を聴きながら譜めくりもご覧ください

ところで、今回のコンサートのサブタイトルは『そなたに安息を』となっていますが、安息という意味で思い出すことがあります 私の藝大時代のコントラバスの師匠は江口先生といいますが、ある日私が午後9時頃ご自宅にレッスンに伺ったのですが、先生は時間に頓着しない人だったのでいつの間にか12時になってしまい、私はお暇しました。その翌朝、奥様がレッスン室に行ってみると先生は息を引き取っておられたということでした その時に流れていたのはサン=サーンスの交響曲第3番”オルガン付”だったそうです この曲を聴くたびに先生のことを思い出します

 

          

 

しばし聴衆をしんみりさせ再び笑顔に戻って拍手に送られて退場した村松さんに代わり、1曲目のモーツアルト「オーボエ五重奏曲」の演奏のため5人のメンバーが登場します 向かって左からオーボエ=古部賢一、第1ヴァイオリン=田村安紗美、第2ヴァイオリン=竹中勇人、ヴィオラ=木村恵子、チェロ=上村祥平です

演奏を聴くと、なるほど管楽器で聴くのと一味違った印象を受けます 管楽器だけだと”華やかさ”のようなものを感じるのに対して、弦楽器が加わると落ち着きのようなものが出てきて地に足が着いたような感じがします 演奏では何と言っても新日本フィルの首席奏者・古部賢一のオーボエが冴えわたっています それに加えて田村、竹中、木村、上森の弦楽器グループがピッタリと付けていて、素晴らしいアンサンブルを奏でていました 観ていて楽しそうです。モーツアルトの曲の演奏ではそうあってほしいと思います

休憩後のシューベルト「弦楽四重奏曲第14番」の演奏は、向かって左から第1ヴァイオリン=吉村知子、第2ヴァイオリン=小池めぐみ、ヴィオラ=原孝明、チェロ=貝原正三です

この曲で最初から最後まで弾きっぱなしの第1ヴァイオリンの吉村さんの譜面台を見ると、4ページ分の楽譜を縮小コピーした譜面が載っていました。演奏では、それをまたひっくり返したりしていました しかし、演奏を観ている限り、事前に言われていたほど譜めくりが大変とは思えませんでした。というよりも、大変そうに見せないのがプロなのかも知れません シューベルト特有のしつこいくらいの繰り返し演奏なので、4人とも気が抜けない熱演が展開されました 欲を言えば、もう少し有機的な結合が見られたら申し分ないと思いました

コンサート終了後にワンコイン・パーティーがあったのですが、前夜飲み過ぎたのと、翌日(つまり今日)コンサートの予定があり、金曜は新年会があるので、ここで無理をすると身体を壊す恐れ大なので涙をのんで出席せずに帰ってきました

ところで、プログラムに来シーズンの室内楽シリーズの案内チラシが入っていましたが、第8回(7月30日)のプログラムの一部にミスプリがあります。ベートーヴェン作曲 弦楽四重奏曲第8番ホ短調『ラヴモフスキー2番』とありました。『ベートーヴェンに恋を!』ではありません。これは『ラズモフスキー第2番』の誤りです 昔、東京文化会館のコンサート・ガイドに「ブタ―ムス作曲・悲劇的序曲」というのを発見した時には目が点になりました。ブラームスはとうとうブタになって蒸されるのか、本当に悲劇的だ、と

 

          

 

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新国立オペラ2014-2015シーズンの継続申し込みをする~継続申込書の送付を早く!

2014年01月22日 07時02分10秒 | 日記

22日(水)。昨夕、当ビルの有力テナントK事務所のK所長以下3人の方々と隣のFビル地下のOで新年会を開きました 7時からというご希望だったので、当方側は開始時間まで当ビル地下のRで生ビール と日本酒 を飲んで時間を潰しました。結構の量を飲んでからOに移り、生ビール と焼酎 とワイン を飲みまくりました。当ビル地下の飲食店舗の活性化のためにはどうしたらよいか、など真面目な話題で盛り上がりましたが、全体的にはあまりよく覚えていません。そういう訳で、今日は今年初めて朝から絶不調です

 

  閑話休題  

 

昨日、朝日朝刊・社会面を読んでビックリしました 「指揮者アバド氏死去」のニュースです。記事を超訳すると

「指揮者クラウディオ・アバド氏が20日朝、伊北部ボローニャの自宅で死去した。80歳だった。胃癌を患い、闘病を続けていた。68年にミラノ・スカラ座の主席指揮者、72年には音楽監督に就任、86年にはウィーン国立歌劇場管弦楽団の音楽監督に 90年にはカラヤンの後継者としてベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督に就任した。2002年にベルリン・フィルを退任後、世界のトップ奏者を集めたルツェルン祝祭管弦楽団を率いた。昨年10月に7年ぶりの来日公演を予定していたが、健康上の理由で中止になった

残念ながらアバドの指揮で生演奏を聴いたことはありません 帝王カラヤンの後を受けてベルリン・フィルの音楽監督に就任したころは、音楽評論家たちから「楽団員にへつらっている」「友達感覚でやっている」というような誹謗中傷を受けていたように記憶しています フルトヴェングラー、トスカニーニ、クナッパーツブッシュ、クレンぺラ―、カラヤンといった強烈な個性を持つ独裁的な指揮者の時代から、オーケストラと良い人間関係を築きながら理想の音楽を作っていく時代への過渡期の指揮者であったように思います

アバドが遺したLPレコードとCDの中で特に印象に残っている演奏が3つあります。1つは、若き日にベルリン・フィルを振ったブラームス「交響曲第2番」(1971年録音)です。それまでのドイツ的な重厚な演奏に比べ、イタリアの青空を思い浮かべるような爽やかな演奏です

 

          

 

2枚目はソリストにマルタ・アルゲリッチを迎えてロンドン交響楽団と演奏したショパンの「ピアノ協奏曲第1番」(1968年録音)です。新進気鋭の若いコンビが生んだロマンティシズムの極致をいく演奏です

 

          

 

3枚目はウィーン・フィル振ったマーラー「交響曲第3番」(1980年録音。2枚組)です。ゆったりしたテンポでウィーン・フィルの美しい音色を生かして演奏しています とくに第4~第6楽章の豊かな音楽作りは他の追随を許しません これが、同じウィーン・フィルによる第3番でも、ロリン・マゼ―ルの指揮だと、これ見よがしに極端にテンポを落として演奏するので、胃にもたれて嫌気がさします。マーラーの「第3番」はアバド+ウィーン・フィルがマイ・ベストです

 

          

 

今ごろ、”向こう側”でカラヤンから引き継ぎを受けていることと思います ”こちら側”で数々の名演を残してくれたクラウディオ・アバドさんのご冥福を心からお祈りいたします

 

  も一度、閑話休題   

 

新国立劇場のオペラ2014-2015シーズンのラインアップが発表されました 新国立劇場の情報誌「ジ・アトレ」2月号によると、新シーズンのオペラ部門芸術監督、飯守泰次郎氏が組んだラインアップは以下の通りになっています

 

          

 

①10月上旬   ワーグナー「パルジファル」

 

          

 

②10月下旬   モーツアルト「ドン・ジョバンニ」

③11~12月  ヴェルディ「ドン・カルロ」

④1月中・下旬 ワーグナー「さまよえるオランダ人」

 

          

 

⑤1~2月     J.シュトラウス「こうもり」

⑥3月上・中旬 プッチーニ「マノン・レスコー」

⑦4月上・中旬 ヴェルディ「運命の力」

 

          

 

⑧5月中・下旬 ヴェルディ「椿姫」

⑨5~6月    R.シュトラウス「ばらの騎士」

⑩6月下旬   松村禎三「沈黙」

      

          

 

このうち、目玉は何と言っても飯守次期芸術監督自らがタクトを振るワーグナーの「パルジファル」と「さまよえるオランダ人」です また今回、新制作は「パルジファル」と「マノン・レスコー」とのことですが、「マノン・レスコー」は2011年の東日本大震災のため初日直前に公演中止になった公演の再挑戦の試みです 楽しみにしていただけに今度こそ無事に上演してほしいと思います

歌手陣で期待したいのはモーツアルト「ドン・ジョバンニ」でドンナ・アンナを歌うカルメラ・レミージョと、ヴェルディ「運命の力」でプレツィオジッラを歌うケテワン・ケモクリーゼ(先日、新国立の「カルメン」でタイトルロールを歌った)の二人です

「2014-2015シーズン セット券 ジ・アトレ会員専用申込書」が同封されていたので、これまで通りオペラ・フルシリーズ「プルミエ」を申し込もうと思い「申し込み方法」を読みました すると「座席番号等のご希望はお受けできません」と書かれており、必ずしも現在の”指定席”が確保できるわけではないことが分かりました 昨年までは「現在の席を継続するかしないか」という聞き方だったように思います。だからこそ迷うことなく”継続希望”として申し込んでいたのです 現在の席は1階センターブロック左サイド通路側とほぼ理想的な席なので、ここを動きたくないのです 仕方ないので、申込書の「通信欄」に「現在の席を最優先で希望する。それが不可の場合は、あくまでも通路側を希望する」旨を書いて投函しました

ところが、その翌日、新国立劇場から「シーズンセット券継続会員様用申込書」という封書が届きました 内容を確認すると「現在の座席を継続するかしないか」を聞いています。要するに、こちらのDMの方が「ジ・アトレ」より先に届いていれば何の問題もなく継続申し込みをしていたのです この継続申込書にはご丁寧にも「会報誌ジ・アトレに同封される申込書やセット券ちらし申込書と重複してお申込みにならないようご注意ください」「必ず同封の申込書をお使いください。他の申込書でお申し込みいただいた場合、継続・優先の扱いとなりませんのでご注意ください」と書かれています

私の早とちりと言えないこともないですが、普通だったら会員継続用のDMの方が先に届いているのが常識だと思います こういうところが国の機関のお役所仕事だと思います 止むを得ないので、「すでに申込書を送ったが、会員継続用申込書をあらためて送るので、重複申し込みではないことを確認してほしい。今後このような混乱が生じないように配慮してほしい」旨の手紙を添えて郵送しました。ああ、めんどくさ

 

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