人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「2018年クラシック・コンサート マイベスト10」の発表 ~ 話題を呼んだカタリーナ・ワーグナー演出のベートーヴェン「フィデリオ」、ノットの弾き振りによるモーツアルト「フィガロの結婚」ほか

2018年12月31日 07時26分45秒 | 日記

31日(月)。冗談抜きで2018年も今日が最終日になってしまいました。1年なんてアッと言う間ですね   昨夕は年末の慌ただしいなか、遠縁の親戚のお通夜があったので辻堂の斎場に赴きました すごく寒かったです

ということで、わが家に来てから今日で1550日目を迎え、今年限りで退任するニッキー・ヘイリー米国国連大使が、トランプ大統領と対立して政権を去る幹部が相次ぐなか、トランプ氏に中傷されずに閣僚ポストの国連大使として2年間を過ごした珍しい存在として、政治家としての評価を上げている というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      ヘイリーさんは誰かさんと違って 自分のためでなく世界平和のために頑張った!  

 

         

 

「2018年クラシック・コンサート マイベスト10」を発表します これは今年1年間に聴いた206回のクラシック・コンサート(無料のランチタイムコンサートは除く)を対象に、ジャンルを問わず最も印象に残った上位10公演を選んだものです 以下の10公演は公演日順になっており、ランク付けしたものではありません。また、必ずしも良い印象が残ったとは言えない公演も含まれています なお、各公演の詳細は公演翌日の当ブログにアップされていますので、興味のある方はご覧ください

①マヨラ・カナームス東京  第5回定期演奏会( 2月25日・紀尾井ホール)①モーツアルト「証聖者の荘厳晩課K.339」②同「レクイエムK.626」

②東京二期会コンチェルタンテ・シリーズ 「ベッリーニ:ノルマ」(3月17日・オーチャードホール:セミ・ステージ形式)

③「THE  DUE  中村恵理&藤木大地 世界が認めたふたつのハーモニー」(3月27日・上野学園石橋メモリアルホール)     

④東京春祭ワーグナー・シリーズ「ローエングリン」(4月8日・東京文化会館大ホール)

⑤東響モーツアルト・マチネ第33回公演(4月28日・ミューザ川崎シンフォニーホール)①行進曲K.335第1番、②セレナード第9番「ポストホルン」K.320 、③行進曲k.335第2番。高関健指揮東京交響楽団

⑥東京交響楽団オペラシティシリーズ第103回公演「三大ヴァイオリン協奏曲」(5月12日・東京オペラシティコンサートホール)①メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」、②ブルッフ「ヴァイオリン協奏曲第1番」、③チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」。ヴァイオリン独奏=アンティエ・ヴァイトハース、齋藤由佳理指揮東京交響楽団

新国立オペラ  ベートーヴェン「フィデリオ」(5月20日・オペラパレス)

⑧「カザルス弦楽四重奏団  ベートーヴェン・サイクルⅠ~Ⅵ」(6月7日~10日・サントリーホール「ブルーローズ」)

⑨読響アンサンブル・シリーズ  第19回「日下紗矢子リーダーによる室内合奏団」(10月22日・よみうり大手町ホール)①ビーバー「バッターリア」、②バッハ「ブランデンブルク協奏曲第5番」、③バルトーク「弦楽のためのディヴェルティメント」

⑩ノット✕東響「フィガロの結婚」(12月9日・サントリーホール:演奏会形式)

以下にマイベスト10に選んだ理由を簡単に書きます

①マヨラ・カナームス東京  第5回定期演奏会( 2月25日・紀尾井ホール)①モーツアルト「証聖者の荘厳晩課K.339」②同「レクイエムK.626」

この団体は2012年9月に設立された合唱団体・音楽団体で、オリジナル楽器を使用するプロオーケストラとともに演奏活動を行っています 今回プログラムに取り上げたのはモーツアルトの宗教曲2曲ですが、私は「証聖者の荘厳晩課K.339」を聴きたくてチケットを買いました 演奏を聴いて何よりも素晴らしいと思ったのは、バッハ・コレギウム・ジャパンの合唱メンバーでもある音楽監督・渡辺佑介氏のキビキビした気持ちの良い指揮です ソプラノの中江早希、テノールの渡辺大、アルトの平山莉奈、バスの西久保孝弘の独唱陣も、コンミスの荒木優子さん率いる古楽器オケも、渡辺氏の意図を十分にくみ取り、素晴らしい演奏を展開しました


     


②東京二期会コンチェルタンテ・シリーズ 「ベッリーニ:ノルマ」(3月17日・オーチャードホール:セミ・ステージ形式)

とにかく「ノルマ」を生で聴きたいというだけでチケットを買いました あとは日本人キャストだけによる「ノルマ」がどのレヴェルまで達しているのかを知りたいと思いました 結果的には、ノルマの大村博美、アダルジーザの小泉咏子、ポリオ―ネの城宏憲、オロヴェーゾの妻屋秀和らの歌手陣は素晴らしく、二期会のレヴェルの高さを証明しました また、リッカルド・フリッツァの指揮は歌手に寄り添いつつ、オケ自らベルカントを歌い上げ、ベッリーニの魅力を十二分に表出していました


     


③「THE  DUE  中村恵理&藤木大地 世界が認めたふたつのハーモニー」(3月27日・上野学園石橋メモリアルホール)   

中村恵理は2017年4月に新国立オペラ「フィガロの結婚」でスザンナを歌ったのを聴いて以来、藤木大地は数年前にバッハ・コレギウム・ジャパンで聴いて以来でした この日はヘンデル「ジュリアス・シーザー」からシーザーとクレオパトラの二重唱、モーツアルト「皇帝ティートの慈悲」からセストとヴィッテリアの二重唱ほかを歌いましたが、特に感銘を受けたのは藤木のクリアなカウンターテナーです なるほど「世界が認める」歌声だと感銘を受けました

 

     

 

④東京春祭ワーグナー・シリーズ「ローエングリン」(4月8日・東京文化会館大ホール)

このシリーズは毎年聴いていますが、ハズレがありません ローエングリンのクラウス・フロリアン・フォークト、オルトルートのペトラ・ラング、エルザのレジ―ネ・ハングラー、ハインリヒ王のアイン・アンガーをはじめ歌手陣は絶好調でした ウルフ・シルマー指揮NHK交響楽団(コンマス=ライナー・キュッヒル)は全体的に速めのテンポでメリハリのある音楽作りで、集中力に満ちた演奏を展開していました

 

     

 

⑤東響モーツアルト・マチネ第33回公演(4月28日・ミューザ川崎シンフォニーホール)①行進曲K.335第1番、②セレナード第9番「ポストホルン」K.320 、③行進曲k.335第2番。高関健指揮東京交響楽団

このシリーズはモーツアルト好きにはたまらない企画です 今回は特に大好きな「ポストホルン・セレナード」が聴けるというので楽しみにしていました 行進曲から始まって行進曲で終わる、しかも1曲目は三々五々集まってきて、2曲目はだんだん演奏者が減っていくという粋な仕掛けは指揮者・高関氏の考えによるものだと思いますが、Good Ideaでした メインのセレナードを含めてモーツアルトの愉悦感に満ちた音楽を堪能できました

 

     

 

⑥東京交響楽団オペラシティシリーズ第103回公演「三大ヴァイオリン協奏曲」(5月12日・東京オペラシティコンサートホール)①メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」、②ブルッフ「ヴァイオリン協奏曲第1番」、③チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」。ヴァイオリン独奏=アンティエ・ヴァイトハース、齋藤由佳理指揮東京交響楽団

アンティエ・ヴァイトハースは見事に3つの協奏曲を弾き分けましたが、使用楽器が2001年ペーター・グライナー製ということを知り驚きました 21世紀に製作されたヴァイオリンでもこれほど素晴らしい音が出せるのか とあらためて演奏者の技量の高さを認識しました


     


⑦新国立オペラ  ベートーヴェン「フィデリオ」(5月20日・オペラパレス)

ハッキリ言って、個人的には今年最大の問題公演でした。フロレスタンのステファン・グールド、レオノーレのリカルダ・メルべートほか歌手陣は予想通りの素晴らしい歌唱力でしたが、問題はリヒャルト・ワーグナーのひ孫カタリーナ・ワーグナーによる演出です これまでのオーソドックスな解釈による演出では、レオノーレはフロレスタンを牢獄から解放し、喜びの歌を歌って大団円を迎えるのですが、カタリーナの演出では、レオノーレとフロレスタンは牢獄に閉じ込められ、別の二人のカップルが外で喜びの歌を歌っているのです つまり、本物のレオノーレとフロレスタンは解放されなかったという解釈を取っているのです。これは「苦悩を克服して歓喜を得る」というベートーヴェンの精神に反するのではないか、と思います 当日はブラボーとブーイングが飛び交いました。良い意味でも悪い意味でも 今年最も印象に残った公演かも知れません


     


⑧「カザルス弦楽四重奏団  ベートーヴェン・サイクルⅠ~Ⅵ」(6月7日~10日・サントリーホール「ブルーローズ」)

この公演は毎年6月にサントリーホール「ブルーローズ」で開かれている「サントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデン」の目玉公演で、一つの弦楽四重奏団がベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲(16曲)を演奏する企画です 今回はスペインを代表する「カザルス弦楽四重奏団」が登場することになりました 4日間連続6公演で全16曲を集中的に演奏するわけですが、演奏する側も聴く側も相当の集中力が求められます 演奏は第1ヴァイオリンのヴェラ・マルティネス・メーナーさんを中心に緻密なアンサンブルを聴かせてくれました

 

     

 

⑨読響アンサンブル・シリーズ  第19回「日下紗矢子リーダーによる室内合奏団」(10月22日・よみうり大手町ホール)①ビーバー「バッターリア」、②バッハ「ブランデンブルク協奏曲第5番」、③バルトーク「弦楽のためのディヴェルティメント」

読響アンサンブル・シリーズは毎回、企画力に優れ演奏者も充実しています 今回はコンマスの日下紗矢子さんの企画によるものですが、プログラミングのセンスが抜群です ビーバーは短いながらも刺激的で面白かったし、チェンバロの北谷直樹氏を迎えてのバッハは、チェンバロとオケとの丁々発止のやり取りが素晴らしかった 民俗風のバルトークは読響の弦楽セクションが如何に優れたメンバーから構成されているかを証明した演奏でした アンサンブルの極致ここにあり、と言いたくなるような一糸乱れぬ演奏に舌を巻きました

 

     

 

⑩ノット✕東響 モーツアルト「フィガロの結婚」(12月9日・サントリーホール:演奏会形式)


     


2016年の「コジ・ファン・トゥッテ」、2017年の「ドン・ジョバンニ」に次ぐ公演で、今回の「フィガロの結婚」をもってモーツアルト「ダ・ポンテ三部作」の完結です フィガロのマルクス・ウェルバ、スザンヌのリディア・トイシャー、アルマヴィーヴァ伯爵のアシュリー・リッチズ、伯爵夫人のミア・パーション、ケルビーノのジュルジータ・アダモナイト、マルチェリーナのジェニファー・ラーモアほか歌手陣は最高レヴェルのキャストで、演技力を伴ったパフォーマンスは見応え聴きごたえがありました ハンマーフリューゲルを弾きながら指揮をとったジョナサン・ノットの八面六臂の活躍は特筆に値します

以上の他、2月18日の新国立オペラ 細川俊夫「松風」、10月5日のフォーレ四重奏団(フォーレ「ピアノ四重奏曲第1番」、ブラームス「ピアノ四重奏曲第1番」他)などがありますが、挙げていったらキリがありません さて、あなたにとって「今年のマイベスト」はどんな公演だったでしょうか

 

         

 

【訂正】12月24日の当ブログで新国立劇場の「2019/2010シーズン・ラインアップ演目説明会 オペラ『紫苑物語』関連イベント」が本日、12月31日14時から新国立劇場中劇場で開かれると書きましたが、2019年1月31日(木)14時からの間違いでした。深くお詫びのうえ訂正させていただきます

 

         

最後に忘備録としてtoraブログの12月31日現在のアクセス状況を記録しておきます

①トータル閲覧数  4,370,672 PV

②トータル訪問者数 1,090,804 I P

③gooブログ全体における直近1週間平均ランキング 2,850,968ブログ中 800位 

④にほんブログ村「コンサート・演奏会感想」における1年間のランキング 51ブログ中 1位

⑤登録読者総数 1981人

皆さま、この1年間ご愛読いただき ありがとうございました。良いお年をお迎えください

コメント (4)
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「輝ける人生」を観る~パッヘルベル「カノン」、J.シュトラウス2世「皇帝円舞曲」も流れる:ギンレイホール / クラシック・コンサート、映画鑑賞、読書の今年の目標達成状況はどうだったか?

2018年12月30日 08時03分47秒 | 日記

30日(日)。昨日、家族で巣鴨アトレ5階の焼肉Gで会食しました 山形に単身赴任している息子の誕生祝い(11月26日)が出来なかったので、それを兼ねての3人の忘年会です 息子は月30時間の残業態勢だが、大学院時代の毎日終電車帰りに比べれば何ともないと言っていました。娘は非正規社員ながら今や売り場のリーダー的存在になっているようです 二人とも健康に留意して頑張って欲しいと思います。二人の普段の仕事ぶりが聞けて良かったです

 

     

     

     

     

 

ということで、わが家に来てから今日で1549日目を迎え、皇太子の新天皇即位に伴い 来年5月1日に施行される新元号について、政府は改元1か月前に閣議決定し 公表する方向で最終調整に入った というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      行政・社会保障システムや民間レヴェルの対応は 1か月前で間に合うのかなぁ?

 

         

 

私は毎年①クラシック・コンサート②映画鑑賞③読書の3つの柱について それぞれ目標を定め それを実行すべく努力していますが、ここに2018年の目標達成状況をご報告します

              (目標)    (実績) (達成状況)  (昨年実績)  (実績比)

①クラシック・コンサート  200回     206回     +6回    203回      +3回

②映画鑑賞         150本     167本          +17本    155本    +12本

③読  書           70冊    64冊    △6冊      73冊        △9冊

以上の通り①②とも目標を達成、昨年実績比でも昨年を上回りましたが、③については年末の追い込みにも関わらず目標、昨年実績比とも下回りました 以上を踏まえて来年の目標を次のように設定しました。さて1年後はどうなっているでしょうか

①クラシック・コンサート 200回(前年据え置き)

②映画鑑賞        160本(前年比+10本)

③読書            65冊(前年比△5冊)

 

         

 

昨日、神楽坂のギンレイホールでリチャード・ロンクレイン監督による2017年イギリス映画「輝ける人生」(114分)を観ました

サンドラ(イメルダ・スタウントン)は35年間専業主婦として支えた夫がナイトの称号を授与され”レディ”となった 順風満帆な人生に見えたが、記念すべき日に夫と親友の浮気現場を目撃してしまう 傷心でロンドンに住む姉ビフの団地に転がり込む。金や名誉とは無縁のビフ(セリア・イムリ―)は、何でも話せる親友のチャーリー(ティモシー・スポール)やダンス教室の仲間に囲まれて人生を謳歌していた ビフは妹の窮地を心配し、サンドラをダンス教室へ無理やり連れていく。最初は気の進まないサンドラだったが、音楽とダンスは、かつてダンサーを目指していたこともある彼女の心を癒し、忘れかけていた情熱を思い出させるのだった

 

     

 

主役3人の平均年齢は63歳、監督は72歳というこの作品が語るのは、「ここまで生きてきたら捨てるものは何もない。ちょっとした勇気があれば新しい世界に飛び込める」ということ ダンス教室で踊る元プロダンサーたちの踊りを観ているうちに思わずリズムを取っている自分に気が付きます

映画の冒頭、夫のナイトの称号授与を祝うホームパーティーで演奏されるのはパッヘルベルの「カノン」です そして、ダンス教室のダンスの模様がYouTubeに流れ、それが認められ、一行はイタリアに招かれて舞台で踊ることになりますが、その時のダンス音楽の一つに選ばれたのはJ.シュトラウス2世の「皇帝円舞曲」でした

イギリス映画なのでクィーンズ・イングリッシュ特有のアクセントが耳に心地よく響きます より心豊かに生きるためのヒントを与えてくれる映画です お薦めします

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中山七里著「総理にされた男」を読む ~ 総理にソックリな売れない役者は如何にして政局の危機を脱したか?・・・最高のエンタメ小説!

2018年12月29日 07時23分33秒 | 日記

29日(土)。わが家に来てから今日で1548日目を迎え、米連邦予算の失効で政府機関の一部閉鎖が続いている問題で、ロイター通信などが世論調査を実施したところ、責任はトランプ大統領にあると考える米国民が47%にのぼり、民主党だとする人の33%を上回った というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     まだまだ米国民にも良心があることが分かったけど 本人はそうは思っていないな

 

         

 

昨日、息子と二人で「ビーフシチュー」と「生野菜サラダ」を作りました 私が下ごしらえをして、息子が味付けをして煮込みました とても美味しく お代わりしました

 

     

 

         

 

中山七里著「総理にされた男」(宝島文庫)を読み終わりました 中山七里は1961年岐阜県生まれ。「さよならドビュッシー」で「第8回このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。「おやすみラフマニノフ」「いつまでもショパン」「どこかでベートーヴェン」「中山七転八倒」「作家刑事毒島」など多数あります

 

     

 

売れない劇団員の加納慎策は、内閣総理大臣・真垣統一郎に顔がそっくりなことから、ある日突然、政府の回し者から拉致されて首相官邸に連れていかれる 内閣官房長官・樽見政純から、「総理が深刻な皮膚感染症に罹り、生命の危機を迎えている。重大な政局で総理不在は許されない。回復するまで総理の替え玉になってくれ」と頼まれる 政治知識ゼロの加納に樽見から次々と難問が課される。まず仲間内の党三役を騙し、国会で野党や官僚との対決に挑む 遂には海外で史上最悪の人質監禁テロ事件が発生、加納は自衛隊の特殊部隊を現地に派遣するか否かの難しい問題に直面する

加納にとって一番苦しいのは「替え玉作戦」は誰にも言えない極秘事項であることです この作戦を知っているのは樽見官房長官、加納の友人で城都大学政治経済学部の准教授・風間歴彦だけということで、恋人の珠緒は突然消えた加納が誘拐されたのではないかと警察に相談にいきますが埒があきません でも、彼女は辛抱の甲斐があってエピローグでは幸運を掴みます

この小説が素晴らしいのは、政治知識ゼロの加納が樽見や風間からレクチャーを受ける場面を通して、われわれ読者があらためて政治経済分野の知識を得る、あるいは再確認することが出来るところです ほんの一例を挙げれば、国会対策で野党から「インフレターゲット」に関連する質問が出た場合にどう答えるかについて、風間は加納に次のようにレクチャーします

「あらかじめ物価上昇率を設定して、それに達するまで無制限に金融緩和をするのがインフレターゲットだ。デフレから脱却したはいいが、そのままインフレが加速すれば元の木阿弥になるので、着地点を決めておく。金融緩和というのは円の供給を増やすことだから、円の価値が下がり、為替は円安に向かう。円の価値が下がれば、当然物価は上昇する。次に、為替が円安に向かえば、日本からの輸出が増えて貿易収支が改善される。国内では、物価の上昇に伴ってインフレに移行し、当然、実質金利は下がるから、設備投資や住宅取得が増えていく。つまり、生産の増加になるから、雇用もそれにつれて増える」

と言う具合です

国会で内閣総理大臣・真垣統一郎に成り切って演説し、堂々たる態度で野党をやり込める加納は、すぐに樽見官房長官の信頼を得て、次々と難問をクリアしていきます その根源にあるのは、青臭いまでの純な心と国民目線に立った姿勢でした

読み終わってハタと思ったのは、第二次安倍内閣の安倍首相ってまさか・・・・

中山七里氏らしい皮肉に満ちた会話が満載で、思わず320ページを一気読みしました 最高のエンタメ小説としてお薦めします

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石戸谷結子著「オペラ入門~1冊でわかるポケット教養シリーズ」を読む ~ 知っているようで知らないオペラに関する雑学事典

2018年12月28日 07時46分12秒 | 日記

28日(金)。昨日は午前中に大掃除第3弾として洗面所、玄関、床の掃除をやりました   あとは観なくなったVHSビデオテープを捨てました。捨てる捨てないで娘とひと悶着ありましたが

雪降る山形から今朝7時前に息子が無事帰宅しました。深夜バスが出るかどうか心配していたのですが、時間通り運行したようです。無事な姿を見て一安心です

話は180度変わりますが、昨日、大学の新聞学科のSゼミで同期だったT君の誘いにより、同じ学科のY君、D君、1期下のS君と私の計5人で西新宿の居酒屋Tで飲みました ゼミ同期のT君から今月17日に、久しぶりに会わないかと電話でお誘いがあり、日程が空いていたので是非会いたいと返事をしていたのです 西新宿はほとんど行く機会がなく、道に迷ってしまい、20分遅刻してお店に着きました 他のメンバーからは「巣鴨に住んでいるのに新宿を知らないなんて信じられない」と罵倒されましたが、昔の新宿と今の新宿とはまったく様変わりしているので、サッパリ分かりませんでした お店に着いてみれば、何だこんなところだったのかと思いましたが、分からないうちは恐怖でした。皆さんにはご心配をおかけして本当に申し訳ないと思っています この日は、参加するはずのK君とT君がそれぞれ健康上の理由で急きょ欠席となり、私が知っているのはゼミ同期のT君のみとなりましたが、その分T君が気を使ってくれて、大学時代の思い出話に花が咲きました    他のメンバーはほとんど健康上の話に終始していたようです。予約が2時間1本勝負だったようで、Ⅰ8時に切り上げることになりました。まだまだ夕方です。他のメンバーと別れ、T君の誘いで知る人ぞ知る”新宿ゴールデン街”に繰り出しました   歌舞伎町1丁目、ゴールデン街5番地のMというカウンターのみの3坪のお店です ゴールデン街は、元の職場のS協会時代に先輩のNさんに連れていかれて以来なので、30数年ぶりです マスターのOMさんの話は、娘さんの結婚披露宴を8時半から開くと案内したら250人が集まったとか(午前8時半ですよ)本人を含めた家族の波乱万丈の生涯はとても興味深かったのですが、このブログで紹介できるような単純なものではないので詳細は省略します T君は若い頃からマスターとは知古の間柄らしく思い出話に花を咲かせていました T君がキープしているボトル(なぜか「ぴーちゃん」の名札が)の焼酎と、マスターの手料理をいただきながら、T君とお互いに近況報告をしました T君は数年前に奥さまを亡くされたそうですが、現在は塾のようなところで子供たちに本を読ませたり、英語の教材を準備したりすることに生きがいを見出しているようでした お互い、住んでいる所から王子が近いので、また機会をみて会おうと約して別れました

声を掛けていただき本当に良かったと思います。T君ありがとう、とても楽しかったです。次は王子で会いましょう。今度は遅刻しないようにします

ということで、わが家に来てから今日で1547日目を迎え、トランプ米大統領が26日、事前に公表せずにイラクを訪問し 演説や記念撮影を通じて現地に駐留する米兵を激励した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      そんな姑息なことをやるより  マティス氏を国防長官に復帰させた方がよほど良い

 

         

 

石戸谷結子著「オペラ入門~1冊でわかるポケット教養シリーズ」(yamaha music media)を読み終わりました 石戸谷結子さんは青森県生まれ。早稲田大学卒業。「音楽の友」編集部を経て1985年フリーランスの音楽ジャーナリストに転身。著書に「マエストロに乾杯」「オペラは見てのお楽しみ」「オペラ鑑賞ガイド」ほか多数

 

     

 

この本は、2002年に音楽の友社から刊行された「知っているようで知らない オペラおもしろ雑学事典」を文庫化したもので、次の5章から構成されています

第1章「オペラ早わかり」

第2章「オペラに行こう!」

「世界のオペラハウスと音楽祭」

第3章「名作オペラと作曲家」

第4章「オペラの綺羅星」

第5章「日本のオペラ」

第1章「オペラ早わかり」では、オペラはどのように生まれたのか、オペラとオペレッタとオペラ・ブッファの違い、オペレッタはミュージカルの元祖だって本当?、オペラの楽しみ方あれこれ、などが紹介されています

第2章「オペラに行こう!」では、オペラ公演の情報の入手の仕方、オペラのチケットが高い理由、オペラハウスはどんなところか、プロダクションとは何か、なぜ同じオペラを何回も観るのか、などが紹介されています

「世界のオペラハウスと音楽祭」では、イタリアのミラノ・スカラ座、オーストリアのウィーン国立歌劇場、ドイツのベルリン・ドイツ・オペラ、フランスのパリ・オペラ座、イギリスの英国ロイヤル・オペラ・ハウス、アメリカのメトロポリタン歌劇場、ロシアのマリインスキー劇場をはじめとする30のオペラ劇場の現況が紹介されています

第3章「名作オペラと作曲家」では、オペラの歴史に燦然と輝くモーツアルト、ヴェルディ、ワーグナー、プッチーニの4人をメインに取り上げ、それぞれの名作オペラのどこが凄いのかを解説しています

第4章「オペラの綺羅星」では、オペラ界のスター歌手たち、著名なオペラ指揮者(トスカニーニ等)や傑出した演出家(ヴィスコンティ等)など、オペラ界をリードしてきた綺羅星たちを紹介しています この本のオリジナルが2002年刊行ということで、登場する歌手、指揮者、演出家たちは、その当時活躍していた人たちが中心になっているのは仕方ないことかもしれません 2013年に文庫化するに当たって生死情報を中心に一部見直しをしたようで、最新情報に書き替えられている歌手もいました

第5章「日本のオペラ」では、山田耕筰の「黒船」や上演回数の多い團伊玖磨の「夕鶴」をはじめとする日本人作曲家による作品を紹介しています

なお、章と章の間には「オペラまめ知識」的な情報が掲載されていて参考になります 例えば、「オペラを観る時の約束事はあるの?」「ブラボーや拍手のタイミングは?」「安いオペラをたくさん観た方が得か、それとも高くても狙い撃ちが利口か?」など、それぞれについて具体的な回答が用意されています

また、巻末にはオペラの「用語集」が載っていて、例えば同じソプラノでも「レッジェーロ」「リリコ・レッジェーロ」「リリコ」「リリコ・スピント」「ドラマティコ」の違いが説明されています

この本は、オリジナルのタイトル「知っているようで知らない オペラおもしろ雑学事典」に示されるように、オペラに関する総合的な『雑学事典』の性格が強いと思います それだけに、教科書的に最初から順に読むというよりは、読みたい時に読みたい部分を読むというように気軽に読めば良いと思います

石戸谷さんは、前書きの部分「『オペラの世界』へようこそ!」で次のように書いています

「ひとつだけご注意申しあげたいことがあります。それは『オペラは麻薬だ』ということです いちどその楽しみを経験した方は、もう後戻りができません。オペラの魅力の虜になって、ずるずると深みにはまり込み、気がついたときにはもう重症のオペラ・マニアといいうことになりかねません

自分自身の経験から言って、石戸谷さんのご指摘はまったくその通りだと思います それでもオペラの世界を覗いてみたい方は、誰も拒否しません。オペラの世界へようこそ

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奥田英朗著「向田理髪店」を読む ~ 北海道の過疎の町を舞台に繰り広げられる様々な人間模様を温かい眼差しで描いた連作短編集

2018年12月27日 07時22分10秒 | 日記

27日(木)。昨日の朝日朝刊第1面のコラム「折々のことば」を見て、思わずニヤリとしてしまいました それには次のように書かれていました

   1/3は水に流す

   1/3は大地に戻す

   1/3は敵にくれてやる

これは作家の開高健がタイの知人から教わった「男の収入」を巡る諺で、酒を飲む、金を壺に入れ地中に隠す、奥方に渡すという意味だといいます これを聞いた開高はこれぞ「万国共通」と膝を叩いたとか それにしても、「酒を飲む」を「水に流す」、「金を地中に隠す」を「大地に戻す」、「奥方に渡す」を「敵にくれてやる」と表現するとは なんと素晴らしい感性でしょうか

ということで、わが家に来てから今日で1546日目を迎え、トランプ米大統領が24日、サンタの位置を追跡するという米軍の関連行事で 子どもたちからホワイトハウスにかかってきた電話を取り「メリー・クリスマス。サンタをまだ信じているの?」と疑問を投げかけたことがネット上で話題になっている というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     大人に飽き足らず 子どもからも夢と希望を奪おうという気だな フェイクの塊りが

 

  諸般の事情により昨日と今日の夕食作りはお休みです  

 

         

 

奥田英朗著「向田理髪店」(光文社文庫)を読み終わりました   奥田英朗は1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライター、構成作家を経て、1997年「ウランバーナの森」でデビュー。2002年「邪魔」で第4回大藪春彦賞を受賞、2004年「空中ブランコ」で第131回直木賞を受賞するなど多くの文学賞を受賞

 

     

 

この本は、かつては炭鉱で栄えたが、今ではすっかり廃れ、高齢化ばかりが進む北海道の過疎地、苫沢町で理髪店を営む向田康彦を主人公に、町で起こった様々な出来事をユーモアを交えて描いた連作短編集です   収録されているのは、「向田理髪店」「祭りのあと」「中国からの花嫁」「小さなスナック」「赤い雪」「逃亡者」の6篇です

「向田理髪店」は、札幌で働く息子・和昌が「会社を辞めて店を継ぐ」と言い出したことに対し、親としては嬉しいが、将来のない過疎地で店を続けていけるのか、と揺れる父親・康彦の複雑な心情を描いています 都市一極集中が続く中、地方の小さな町では、康彦のような父親が全国至るところにいるんだろうな、と思います 一番の問題は「高齢化で人が減少する一方の地域で、今は良いが将来はどうなるか分からない」という問題です

「祭りのあと」は、常連客の82歳・馬場喜八が風呂場で倒れ、クモ膜下出血で入院することになり、町の連中が妻の房江と息子の武司のことを心配し二人を支えようとする有様を描いています 息子の武司は東京に住んで働いているので、いつ息を引き取るか分からない父親を置いて東京に帰れないという苦境に立たされます こういう事象も、親子が別々に遠いところで暮らしているケースでは日本のあらゆるところで起こっているに違いありません

「中国からの花嫁」は、農家の長男・野村大輔が中国に見合いに出かけて、中国人の花嫁を連れて町に帰ってきたが、大輔が花嫁を町の人たちに紹介しようとしないことから、康彦たちが説得して披露宴を開くまでの騒動を描いています 大輔は「金で花嫁を買った」と非難されるのが嫌で町の人たちの目線を避け、披露宴を開きたがらないわけですが、「外国からの花嫁」問題も農家などでは深刻な問題です

「小さなスナック」は、町に新しいスナックがオープンしたが、42歳のママ・三橋早苗が町の出身者で美人だったことから、男たちが夜な夜な通うようになり、彼女がもとで喧嘩騒動まで起きるという話です 早苗の気を引こうとして張り合う男たちの有様は滑稽で 思わず笑ってしましますが、男であれば誰でも他人事ではないな、と思い直し 苦笑してしまいました

「赤い雪」は冬の苫沢町に映画のロケ隊がやってきたことから、町を挙げての大騒動になるという話です  完成した映画「赤い雪」の試写会で作品を観た多くの町民は、連続殺人事件の舞台として苫沢町が使われたことに批判的だったのに、作品が世界的に有名な映画祭でグランプリを受賞すると、手のひらを返すように賞賛する姿が滑稽に描かれています

「逃亡者」は苫沢町出身の若者・広岡修平が東京で詐欺事件を起こし逃走中であるというテレビ・ニュースを見て町中が大騒ぎになるが、北海道に逃れて来た修平を地元の仲間たちが匿ったうえ自首させるという話です ここで筆者は、修平に対する和昌をはじめとする仲間たちの行動とともに、マスコミの取材攻勢を避けるため家に閉じこもる、犯罪者の親である広岡夫妻に心遣いを見せる康彦たちの行動に焦点を当てます 

この小説を読んでいると、最初は頼りなく見えていた向田康彦の息子・和昌が、物語が進むに連れて頼もしい存在になっていく過程が垣間見え、この小説は向田理髪店の息子・和昌の成長物語でもあるんだな、と思うようになりました

高齢化が進む日本のどこに住んでいても他人事とは思えない深刻な問題を、ユーモアを交えて温かい眼差しで描いた作品です お薦めします

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片山杜秀著「ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる」を読む ~ 教会 ⇒ 王侯貴族 ⇒ 大都市の市民層へと「音楽の受け取り手」が変遷する中で捉えるクラシック音楽史

2018年12月26日 07時23分32秒 | 日記

26日(水)。昨日はクリスマスであり娘の誕生日でもあったので、お祝いをしました 今年は息子がいないので寂しいのですが、いつものように花を飾りケーキを用意しました

 

     

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で1545日目を迎え、米連邦政府の一部閉鎖が長期化しかねず、マティス国防長官退任や、トランプ大統領が米連邦準備制度理事会のパウエル議長の解任を探っているとの報道も市場に不安を広げ、米国発の世界同時株安が進んでいる というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     自分ファーストのトランプ政権が続く限り世界経済の混乱は続く 早く辞めさせろ!

 

         

 

片山杜秀著「ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる」(文春新書)を読み終わりました 片山杜秀は1963年宮城県生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。著書に「音盤考現学」「音盤博物誌」(この2冊で吉田秀和賞、サントリー学芸賞を受賞)など

 

     

 

この本は次の8つの章から構成されています

序章「クラシックを知れば世界史がわかる」

第1章「グレゴリオ聖歌と『神の秩序』」

第2章「宗教改革が音楽を変えた」

第3章「大都市と巨匠たち」

第4章「ベートーヴェンの時代」

第5章「ロマン派と新時代の市民」

第6章「”怪物”ワーグナーとナショナリズム」

第7章「20世紀音楽と壊れた世界」

まず「序章」で筆者は次のように述べます

「基本的に芸術作品が作られ、保存され、のちのちまで鑑賞されるには、それを価値あるものとして認めた『受け取り手』(すなわち発注者・買い手・消費者・観客)の存在が不可欠である そして、この『受け取り手』は時代によって大きく変わっていく。本書のテーマであるクラシック音楽の主な舞台となるヨーロッパであれば、教会ー王侯貴族ー大都市の市民層と、受け取る側の主役は変わり、その移り変わりと音楽は密接な関係にある

そして、筆者はクラシック音楽を聴くことに関して次のような重要な指摘をしています

「現代では、音楽を聴くというと、インターネットやCD、レコードなどの録音媒体によるものがむしろ大多数だろう さらにいえば、作曲・演奏をコンピューターに任せることも出来る。しかし、長い音楽の歴史においては、音楽とは生身の人間が演奏し、実際にその場所にいる人しか聴くことのできないものだったことを忘れてはならない

私が数年前に、録音媒体第一主義(CD4000枚、LP1500枚保有)から生演奏第一主義に変更したのは、上記のような意識によるところが大きいです ひと言でいえば生演奏は「一期一会」です

第1章「グレゴリオ聖歌と『神の秩序』」の中で筆者は興味深い見解を述べています

「ヴァイオリンという楽器が西洋で発展したのにも『人間の肉体をインストゥルメント(道具)として捉える』という発想が関係しているような気がする 演奏すればわかるが、ヴァイオリンは異常な楽器である。弦と弓を操作する両手を自由にするために、楽器を顎と肩で支えるというだけでも不自然極まりないのに、ホール全体に響き渡るほどの音量を、耳のすぐそばで鳴らし続けなければならない 演奏者は必ずと言っていいほど耳を悪くするが、誰もそのことを問題にしない ヴァイオリンが生まれたのは16世紀中ごろだが、人間の体に優しい楽器という方向では西洋の楽器は発展していないのだ。確かに顎で挟んで、体のすぐ近くに楽器を寄せて、目でも弦のどこで指を押さえるかなどいちいち確認しながら、しかも右手で弓に圧力をたっぷりかけて弾けば、早業もやりやすくなるし、力強さも出る でも体には悪い。それでも弓を速く動かし、大きな音で鳴らすことに特化するために、演奏者の肉体を、インストゥルメントの一部として扱おうとする。これが西洋文明の怖さだ

筆者はヴァイオリンが弾けることから上記のような指摘をしているわけですが、ヴァイオリンが弾けない素人からは、上記のような発想はすぐには出てこないように思います これを読んで思ったのは、ヴァイオリニストは、自分で出す音によって相当 耳に害を与えているんだなあ、ということです ひょっとして、彼らのほとんどは難聴ではないかとさえ思います

第3章「大都市と巨匠たち」では、モーツアルトについて触れています

「モーツアルトが現在のように偉大な音楽家としての評価を確立するのは20世紀に入ってからのことである。それまでは 曲の流れが良くて響きも素晴らしいが、深刻さ、深みがなくて、軽い、軽薄だというイメージだったが、自分が踏みとどまる確固たる足場がないという不安を表現したものである、というように解釈が大きく変わっていった

そして、小林秀雄の「モオツァルト」の「モオツァルトの悲しみは疾走する。涙は追いつけない」という言葉を引用します

第4章「ベートーヴェンの時代」では、ベートーヴェンはクラシック音楽の歴史の中で、美意識の革命を起こした、として次のように述べています

「クラシック音楽の 特に交響曲やオペラは、社会を巻き込んでいかないと演奏も上演もされず、認知されない。ベートーヴェンはこの巻き込む力が凄い   彼は文句なく『市民の時代』の音楽を切り開き、しかも彼一代で完成形までもっていってしまった   そのベートーヴェンの音楽の特徴は次の3つである。①わかりやすくしようとする、②うるさくしようとする、③新しがる」

詳細については本書をお読みいただきたいと思いますが、市民層に自分の音楽を理解してもらうためには、分かりやすく新しい音楽を大きな音で聴いてもらうのが一番だったでしょう

第6章「”怪物”ワーグナーとナショナリズム」では、上演時間が約15時間にのぼる「ニーベルングの指環」など壮大な楽劇を数多く生み出し、しかも作曲だけでなく、脚本、演出、劇場設計までも手掛けたワーグナーは、19世紀の最後を飾るに相応しい巨匠であり”怪物”である、と述べています    さらに、ワーグナーは「近代+民族性」によって新しい音楽を創造し、後世の音楽家に多大な影響を与えたと評価しています

この本は、単なるクラシック音楽の歴史に留まっていないところが魅力です。広く音楽愛好家の皆さんにご一読をお薦めします

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大岡昇平著「小林秀雄」を読む~「モオツァルト」を中心に / 片山杜秀「ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる」、石戸谷結子「オペラ入門」、中山七里「総理にされた男」、奥田英朗「向田理髪店」他を買う

2018年12月25日 07時27分01秒 | 日記

25日(火)。昨日は良く晴れたので大掃除第2弾として、ガスレンジ周りとキッチンの掃除をしました 例年徹底的にやって疲れてしまうので、今年は張り切り過ぎないでやることをモットーにしました 幸い 拭くだけで油よごれが取れる便利な紙クリーナーなどが売っているので、フルに活用しました 今年の大きな特徴は水をほとんど使わなかったということです

話は180度変わりますが、天皇誕生日の23日からNHKテレビ(19:30~20:45)で「天皇 運命の物語」という特別番組の放映が始まりました 第2回目の昨夕は「いつもふたりで」というテーマで、日本中が沸いた世紀のご成婚、その裏にあった強い決意とは?、子育て、被災地訪問、沖縄・・・という内容がNHKの秘蔵映像により紹介されました   とても興味深く観ましたが、特に印象に残ったのは 番組の冒頭と終わりに番組のテーマ音楽であるかのように流れていたJ.S.バッハの「ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調  BWV1041」でした ご成婚から今日に至るまでのお二人の喜びと苦難の人生を象徴するかのような深い音楽だと感じました 第3回目の放送(いつかな?)が楽しみです

えっ、昨日も今日もクリスマス・パーティーでテレビ観てる暇はないって  「ボーッと生きてんじゃねーよ!」ってチコちゃんに叱られそう

ということで、わが家に来てから今日で1544日目を迎え、国連総会は22日、2019~21年の通常予算に対する加盟国の分担率を定める決議をしたが、米国に次ぐ2位を長年維持してきた日本は今回、中国に抜かれて3位に後退した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       世界第3位は結構だけど 1000兆円の債務を子供たちに先送りしてて良いのか?

    

         

 

本を5冊買いました 1冊目は片山杜秀著「ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる」(文春新書)です


     


2冊目は石戸谷結子著「オペラ入門」(yamaha music media)です


     


3冊目は中山七里著「総理にされた男」(宝島社文庫)です お馴染みの多作家・中山七里氏の最新文庫本です


     


4冊目は奥田英朗著「向田理髪店」(光文社文庫)です 奥田英朗の本はこのブログでも何冊かご紹介してきました


     

 

5冊目は齋藤美奈子著「日本の同時代小説」(岩波新書)です 「文章読本さん江」で第1回小林秀雄賞を受賞している齋藤美奈子さんの本です

 

     

 

         

 

大岡昇平著「小林秀雄」(中公文庫)を読み終わりました 大岡昇平は明治42年(1909)東京牛込生まれ。成城高校を経て京大文学部仏文科に入学。成城時代に東大生の小林秀雄にフランス語の個人指導を受け、中原中也、河上徹太郎らを知る。昭和20年に「俘虜記」を「文学界」に発表し、以後「武蔵野夫人」「野火」「将門記」などを発表。昭和63年(1988)死去

 

     

 

私がこの本を読もうと思ったのは、「モオツァルト」を書いた小林秀雄(1902-1983)という人がどういう人だったのか、「モオツァルト」が発表当時どういう位置づけにあったのかを多少なりとも知りたかったからです したがって、本の読み方としては、その辺のことを念頭に置きながら読み進めることになりました

筆者は「小林さんのこと」というテーマで次のように書いています

「私が小林さんと知り合ったのは、昭和3年2月であるから、丸55年の交際であった。冨永太郎と同級の村井康夫さんからの紹介で、フランス語の家庭教師をお願いしたのが最初だった その頃、小林さんは町の家を出て、今は地名が変わっているが国電東中野の駅の北の岩戸に住んでおられた。すでに「ランボオⅠ」「『悪の華』一面」を書いていて、張り切っていた時期であったが、長谷川泰子と一緒で生活費を自分で捻出する必要があった もじゃもじゃした髪で、くるくると指で丸めて考えながら喋るのが癖で、あまりきれいな話ではないが、『風呂に入るやつは馬鹿だ』という哲学の所有者だった

この文章を読んで思い出したのは、いつどこで何を読んだのか思い出せないのですが、小林秀雄が図書館かどこかで、頭を掻きながら本を読んでいたらフケが落ちてページが真っ白になった、というエピソードです はっきり言って、こういう人とは付き合いたくないですね

 

     

 

また、「人生の教師」と言うテーマで次のように書いています

「ランボオ、実朝、モオツァルトと小林が扱った主題を並べて、彼には若くして死んだ天才に対して偏愛があると指摘される ここに彼の『父性』的心性と行動形態を見るのも自由である。しかし、小林はこれら小児的存在について、その天才の自発性とともに、必ずその無拓を守る忍耐を曳きだしていることを見落としてはならない

そして、「モオツァルト」について次のように書いています

「『モオツァルト』は、書かれたのは戦後だが、昭和18年ごろ構想された。つまり『実朝』と同じころである。実朝の『箱根路をわれ越えくれば』に、悲しさを見出したと同じく、『モオツァルト』はト短調五重奏曲に  tristesse allante (歩き回る悲哀)を見出したことから始まる これはスタンダールが1841年に書いた『モオツァルトに関する手紙』、アンリ・ゲオン『モオツァルトとの散歩』(1932年)とともに、モオツァルトの音楽の本質を憂愁、つまり短調に見る意見の系列に属する そしてこれら西欧の解釈の間に伍して引けを取らない堅固な構成を持っている 特にウィゼワの研究も未完で、アインシュタインの本もやっと出たばかりという時期に書かれたモオツァルト論として、文献的な価値を持っているのである 終戦間もなく、各種のレコードも今日のように出回っていなかった。文献を借り集め、譜を写したりしながら書かれたのである。この『肉体の占める部分は能うる限り少なかった天才』(スタンダール)についての、純粋な一つの旋律に貫かれた賛歌である

今でこそ、モーツアルトの作品はCDでもネットでも気軽に聴くことが出来るし、お金さえ払えば楽譜も容易に手に入れることも可能で、分からないことがあればグーグルで検索すれば即刻 回答が示されます   しかし「モオツァルト」が構想された昭和18年頃の日本には、今ほどの情報はまったくなかったし、そもそもモーツアルトの音楽は現代ほど聴かれていませんでした そうした中で、いわば手探りでモオツァルト論を書いたわけですから、驚くしかありません

この本は小林秀雄の「モオツァルト」を読んだことのある人に、特にお薦めします

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新国立オペラ「紫苑物語」レクチャーが31日に中劇場で開かれます / 都内のコンサートホールの「クリスマスツリーコレクション」をご紹介します

2018年12月24日 07時21分01秒 | 日記

24日(月・休)。昨日、大掃除第1弾を実行しました 本当は油汚れの酷いレンジ周りを掃除しようと思ったのですが、今にも降り出しそうな天気だったので止めて、バスとトイレを掃除しました。レンジ周りは晴れた日にやるつもりです

午後、小雨降る中、池袋に買い物に出かけました。クリスマス直前の日曜日ということで、西武も東武もデパートは顔の踏み場が、もとい、足の踏み場がないほど超混雑していました   本当は お節料理を予約しようと思ったのですが、手ごろな値段のセットは予約受付終了で、5万円もする高価なセットしか残っていなかったので、諦めました   子どもたちは和風よりも洋風のお節が好きなので、息子が送ってくれたハムを活用して、成城石井あたりで食材を適当に見繕って用意しようと思います 

今や宗派を超えて日本の年中行事になった感のあるクリスマスですが、小さな子どもを持つ親にとっては出費の多いクルシミマスということでは変わりがないようです ところで チコちゃんによると、24日の「クリスマス・イヴ」とは「クリスマス・イヴニング」のことで、クリスマス当日のことらしいですね どうやら24日の夜から25日までをクリスマスと呼ぶようです。ちっとも知りませんでした テレビにも役に立つ番組があるんですね

ということで、わが家に来てから1543日目を迎え、トランプ米大統領が進めるメキシコとの国境の壁の建設をめぐり、議会での与野党対立のあおりを受けて予算案が期限内に可決されず、政府機関の一部が閉鎖に追い込まれた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       主張の異なる勢力には壁を作って聞き入れず  自分の主張だけを通した結果がこれ

 

         

 

新国立劇場の情報誌「ジ・アトレ」1月号に「2019-2020シーズン・オペラ  ラインアップ演目説明会 オペラ『紫苑物語』関連イベント同時開催のお知らせ」が載っていました それによると、12月31日(木)午後2時から新国立劇場・中劇場で上記のイベントが開かれます 当日は次シーズンの一連の演目、西村朗のオペラ「紫苑物語」の見どころ聴きどころについて、大野和士オペラ芸術監督から解説があります。入場無料/自由席で「どなたでもご参加いただけます。事前の申し込みは不要です。当日、会場にお越しください。イベントの詳細は追って新国立劇場ホームページで発表いたします」と書かれています。今朝の時点ではまだアップされていないようです

年の押し詰まった31日ですが、東京文化会館大ホールで開催の「ベートーヴェン 交響曲全曲演奏会」(小林研一郎指揮)を聴きに行くわけでもないし、隣の小ホールで開催の「ベートーヴェン 弦楽四重奏曲9曲演奏会」(クァルテット・エクセルシオ他)を聴くわけでもないので、買い物がてら新国立劇場に行ってみようと思っています

 

【追記】12月31日ではなく、2019年1月31日の間違いでした。お詫びのうえ訂正させていただきます(12月30日)。


         

 

毎年恒例の都内のコンサートホールの「クリスマスツリー・コレクション」をご紹介します

最初はサントリーホール前のカラヤン広場のツリーです

 

     

 

昼間はこんな感じです 

 

     

 

次はサントリーホールのロビーです 今年も一番多く通いました

 

     

 

次はミューザ川崎です 交通費が・・・・

 

     

 

次は新国立劇場の正面玄関です

 

     

 

次はすぐ隣の東京オペラシティの地下広場です

    

     

 

そして最後は東京オペラシティ・コンサートホールです ここはいつも縦よりも横で勝負してますね

 

     

 

今年は、N響定期会員をNHKホールを会場とするC定期からサントリーホールを会場とするB定期に変更したので、NHKホール前の壮観なイルミネーションをご紹介できないのが残念です

多神教国家日本です。難しい理屈は抜きにして、メリークリスマス と言っておこう

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トム・ヴォルフ監督「私は、マリア・カラス」を観る~未公開映像満載!未完の自叙伝を元に描くマリア・カラスの素顔

2018年12月23日 07時24分28秒 | 日記

23日(日)。わが家に来てから今日で1542日目を迎え、レスリング女子で五輪4連覇の伊調馨が22日、東京・駒沢体育館で行われた全日本選手権の女子57キロ級予選リーグB組初戦で川井梨紗子と対戦、1-2で敗れた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       キャベジン飲んで頑張ってください イチョウにはキャベジン!  いいカオリです

 

         

 

昨日、渋谷の東急文化村「ル・シネマ」でトム・ヴォルフ監督による2017年フランス映画「私は、マリア・カラス」(114分)を観ました この映画は、1977年の突然の死によって未完となった自叙伝、友人や愛する人に宛てたプライベートな言葉や手紙など、マリア・カラス本人の「歌」と「言葉」のみでカラスの人生を再構成したものです 自叙伝で語られる言葉や手紙の朗読を「永遠のマリア・カラス」でカラスを演じたファニー・アルダンが担当しています

 

     

 

「半数近くが今回初公開となる素材群」という謳い文句で公開していますが、私にとっては初めて観る映像の方が圧倒的に多かったと思います

先ず最初に、冒頭のプッチーニ「蝶々夫人」の舞台映像(カラー)が目を引きます 日本の着物に身をまとったカラスが蝶々さんのアリア「なんて美しい空!」を感動的に歌い上げます

この映画の中で、過去の映画やLDで観た覚えのあるのはベッリーニ「ノルマ」から「清らかな女神よ」プッチーニ「トスカ」から「歌に生き、恋に生き」くらいです いずれも背筋が寒くなるほど感動を覚える歌唱です

この映画では上記の他に、ヴェルディ「シチリアの晩鐘」から「ありがとう、愛する友よ」、ヴェルディ「椿姫」より「さようなら、過ぎ去った日々よ」、ヴェルディ「マクベス」より「早く来て、明りを」、ビゼー「カルメン」より「恋は野の鳥(ハバネラ)」、マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」より「ママも知るとおり」、ベッリーニ「夢遊病の女」より「おお花よ、お前がこんなに早く萎んでしまうとは」、ジョルダ―ノ「アンドレア・シェニエ」より「母が死に」などが歌われ、最後にプッチーニ「ジャンニ・スキッキ」より「私のお父さん」を歌うカラスの映像がエンドロール中に流れます とくに蝶々夫人の「なんて美しい空!」、トスカの「歌に生き、恋に生き」、アンドレア・シェニエの「母が死に」を聴いて感動を覚えない人はいないでしょう

カラスがテレビのインタビューに答えるシーンが散発的に放映されますが、その中で一番印象に残ったのは「オペラにおける演技」について訊かれた時、カラスは「演技力のない歌手なんて論外です」と即答していたことです。「演技の下手な歌手なんて見たくもない」と続けています 映像でしか観たことがありませんが、彼女は歌っている姿勢そのものがドラマになっています まさに役に成り切って歌っているという表現が最も相応しいと思います

母親がカラスの才能に早くから気づき 歌の道に進むように仕向けたわけですが、13歳だったカラスは国立音楽院入学の年齢制限が17歳以上だったことから、年齢を偽って試験を受けて合格しました しかし、彼女は単なる天才ではなかったことは、ソプラノ歌手で恩師のエルビラ・デ・イダルゴの証言によって明らかです 「カラスは誰よりも早く教室に来て、誰よりも遅く帰った。その間、他の生徒の歌を良く聞いていた。ソプラノ、アルト、テノール、バス・・・あらゆる人の歌を聴いて、自分の声の領域を研究し、自分を高めていった。一度指摘したことは2度繰り返す必要はなかった。翌日には完璧に出来ていた」。つまりカラスは誰よりも努力家だったのです

世界の歴史は紀元前(BC)・紀元後(AD)と大別されますが、オペラの世界ではビフォア・カラス(BC)、アフター・ディーヴァ(AD)、つまり「カラス以前、カラス以後」と大別されます マリア・カラスはそれほど偉大なオペラ歌手だったのです

この映画は、カラス絶頂期の歌声を映像とともに聴けると同時に、夫メネギーニや海運王オナシスとの交流と裏切り、1958年1月2日のローマ歌劇場における「ノルマ」を第1幕だけ歌って降板した事件の顛末など、プロ歌手としての信念と一人の女性としての幸せとの間で揺れるカラスの真実の姿が描かれています カラス・ファンはもちろんのこと、クラシック愛好家には強くお薦めします

 

     

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真山仁著「当確師」を読む~裏切り、買収、盗聴、なんでもありの「選挙版ハゲタカ」

2018年12月22日 07時25分50秒 | 日記

22日(土)。昨日は暖かい一日だったので、大掃除第1弾をやろうか、年賀状を書こうか迷ったのですが、掃除道具と年賀状DVD付属のMOOKを買ってきて、取りあえず年賀状を作成することにしました 毎年同じようなことを繰り返しているのに、1年ぶりに作業をしたら えらい時間がかかってしまいました

息子が単身赴任先の山形から「お歳暮」としてハムの詰め合わせを送ってくれました

 

     

 

息子からお歳暮をもらうのは生まれて初めてです 何も親にお歳暮を送ってくれなくてもいいのに、とは思うものの、親としては、社会に出て これほどの気遣いが出来るようになったことを嬉しく思います   その一方で、仕事を持ってはいるものの、自宅通勤のため給料はすべて自分のもので使いたい放題、電気・水道・ガス代も負担せず、炊事・洗濯・掃除すべて親任せという娘には見習ってほしいくらいです 親の苦労って、自分で子どもを育てる身になって初めて、あるいは、少なくとも独立して生計を立てるようになって初めて、身に染みて分かるようになるのでしょうね

ということで、わが家に来てから今日で1541日目を迎え、トランプ米大統領は20日夕、自身のツイッターでマティス国防長官が来年2月末に辞任することを明らかにした というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      現政権内の”唯一の良心”が辞任して 小学5~6年生並みのトランプが残るとはね!

 

         

 

昨日、夕食に「豚バラ麻婆茄子」と「厚揚げとシイタケの煮物」を作りました 「厚揚げ~」は新聞を見て先日作ったばかりですが、美味しかったのでまた作りました

 

     

 

         

 

真山仁著「当確師」(中公文庫)を読み終わりました 真山仁は1962年大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科を卒業。読売新聞記者を経て、フリーランスとして独立。2004年、企業買収を巡る熱き人間ドラマを描いた小説「ハゲタカ」でデビュー 「ハゲタカ」シリーズなどで話題を呼んだ

 

     

 

主人公の聖達磨(ひじり・たつま)は、莫大な報酬と引き換えに、当選確率99%を約束する名うての選挙コンサルタントで、「当確師」と呼ばれている 今回の依頼は、大災害に備えた首都機能補完都市に指定された高天市の市長選挙で、圧倒的な支持率を誇る現職・鏑木次郎を倒すというもの 聖は幅広い人脈をフルに活用して、現職市長側につく者に買収、盗聴など あらゆる手段を講じて裏切り行為を呼び、自らが擁立する対立候補・黒松幸子を当選させようと全精力を注ぎこむ

文庫版の解説を池上彰さんが書いています。「ここで登場する当確師という職業は存在するのか。いるのです 『当確師』とは名乗りませんが、苦戦しそうな選挙の応援に入って、候補者を当選させるという仕事をこなす人たちはいるのです」として、池上さんがNHkの記者をしていた時の実際の経験談を書いています

この小説の主役とも言うべき高天市長・鏑木次郎は「難しい局面にある時や気持ちが沈んだ時でも、フルトヴェングラーが1951年バイロイト祝祭劇場で指揮した『第九』を聴けば、すべてを乗り越えられた   また、酒席で気持ちが高ずれば、自慢のバリトンで『歓喜の歌』を独唱した」という、なかなか人間味溢れる好人物として描かれているのですが、市長の在任期間が長くなるにつれ傲慢になっていき、強引にリゾート開発を進めようとして、それを阻害するものを排除していたことが明らかになります そうしたマイナス・イメージにつながることを当確師・聖が見逃すわけがありません

フルトヴェングラーの名前を出すあたりは真山氏も相当なクラシック通だと思われます

本の帯には「選挙版『ハゲタカ』」という”売り文句”が躍っていますが、ある人物を当選させるためなら「なんでもあり」という意味では、その通りだと思います

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