人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

芸劇ブランチコンサート「オール・ショパン・プログラム」を聴く ~ 英雄ポロネーズ、序奏と華麗なポロネーズ、チェロ・ソナタ他:水野優也、竹山愛、清水和音

2022年06月30日 07時17分07秒 | 日記

30日(木)。月末を迎えたので、恒例により6月の3つの目標の達成状況をご報告します

①クラシック・コンサート=13回、②映画=9本、③読書=4冊でした なお、②には、本日観る予定の「PLAN75」を含みます。また、別にNetflixでウクライナのゼレンスキー大統領が主役を務めた「国民の僕(しもべ)」シーズン2(全24話)、シーズン3(全3話)を観ました また、2022年前半6か月間の実績は、①76回、②20本、③42冊でした

ということで、わが家に来てから今日で2727日目を迎え、NATO(北大西洋条約機構)加盟国のトルコは、NATOに加盟申請していたフィンランドとスウェーデンの加盟を支持することを表明した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ウクライナを侵略したプーチン・ロシアは結局 敵を増やしただけ  自業自得という

 

         

 

昨日、夕食に「メカジキの照り焼き」「マグロの山掛け」「冷奴」「生野菜サラダ」「白舞茸の味噌汁」を作りました 定期的に魚を食べないといけないな、と思います

 

     

 

         

 

昨日、東京芸術劇場コンサートホールで「第36回芸劇ブランチコンサート ~ オール・ショパン・プログラム」を聴きました 公表されたプログラムはショパン①英雄ポロネーズ 作品53,②序奏と華麗なポロネーズ 作品3,③フルートとピアノのための「シンデレラ」の主題による変奏曲、④チェロ・ソナタ 作品65です   演奏はチェロ=水野優也、フルート=竹山愛、ピアノ=清水和音です 会場は相変わらず盛況の入りです

 

     

 

1曲目は「英雄ポロネーズ  変イ長調 作品53」です   この曲はフレデリック・ショパン(1810ー1849)が1842年に作曲しました 「英雄ポロネーズ」というのはショパンが付けたものではなく、英雄的な曲調に基づいて付けられた愛称です 清水のピアノ独奏によりパワーで押し切りました

演奏後、清水がマイクを持ってトークに入りましたが、相変わらず何を言っているのか聴き取りにくく、半分も分かりませんでした どうやら「ピアノを弾いていたら高音部の一音の音程が狂ってしまったので、調律してもらう」と言ったらしく、調律師がステージに呼ばれ調律に入りました その間、清水がプログラム全体について解説をしていましたが、調律はあっという間に終了していました それにしても天下のスタインウェイがそう簡単に音程が狂うものだろうか? 実に不可解な出来事でした

 

     

 

プログラムでは、次はチェロの水野を迎え「序奏と華麗なポロネーズ」のはずですが、なぜが3曲目を演奏するフルートの竹山愛(東京シティ・フィル首席)が呼ばれ、トークに入りました そしてそのまま「フルートとピアノのための『シンデレラ』の主題による変奏曲」の演奏に入りました トークの中で順番の変更を言ったのかもしれませんが、私には聞こえませんでした この曲はロッシーニの歌劇「チェネレントラ」で主人公が歌うアリア「もう悲しくなく」を主題とした変奏曲です いかにもロッシーニ風の軽快な音楽が竹山愛の演奏で繰り広げられます 竹山はゆったりした変奏、スピード感溢れる変奏を美しい音色で自由自在に吹き分け、聴衆を魅了しました

 

     

 

次に「序奏と華麗なポロネーズ 作品3」が演奏されると思っていたら、いきなり最後の「チェロ・ソナタ ト短調 作品65」に移りました  この曲は1845年から46年にかけて親友のチェリスト、フランショームのために作曲されました 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「スケルツォ:アレグロ・コン・ブリオ」、第3楽章「ラルゴ」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ」の4楽章から成ります

チェロ独奏の水野優也は第89回日本音楽コンクールチェロ部門第1位及び各賞を受賞しました 現在、ハンガリー国立リスト・フェレンツ音楽大学でミクローシュ・ペレーニのもとで研鑽を積んでいます

水野のチェロは特に第3楽章「ラルゴ」でよく歌っていました トークによると水野はショパンが好きで、ショパンがチェロ・ソナタを作曲していることを知り、是非演奏したいと思っていたそうです 第4楽章ではその思いが込められた情熱的な演奏が展開されました

これで終わりか と思っていたら、最後に「序奏と華麗なポロネーズ 作品3」(1829年作曲)が華やか かつ雄渾に演奏されました 順番を入れ替えたのは、この曲をアンコール曲に見立てたのかな、と思いました

演奏順の変更といい、急な調律といい、どこか違和感を抱かせる公演でした とにかくMCを兼務している清水には聴衆に分かるように話してほしいものだと、いつものように思いました

 

     

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「エリーナ・ガランチャ リサイタル2022」を聴く ~ 今年前半のマイベスト1公演に決定! アンコールに驚異の6曲!!

2022年06月29日 07時06分21秒 | 日記

29日(水)。わが家に来てから今日で2726日目を迎え、時事通信によると、ロシアのパンク音楽バンドが、ウクライナ侵攻開始から丸4か月を迎えた24日、新曲「ジェネレーション・キャンセレーション(キャンセル世代)」を発表したが、動画では「言論がない。選択肢がない」と歌いプーチン政権を批判している  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     バンドは既に米国に出国しているそうだ  ロシア国内で歌ったら逮捕されるからね

 

         

 

昨日、夕食に「豚の冷しゃぶ」「生野菜サラダ」「大根の味噌汁」を作りました 暑い日には冷しゃぶがいいですね

 

     

 

         

 

昨夕、すみだトリフォニーホールで「エリーナ・ガランチャ  リサイタル2022」を聴きました 本公演は当初2020年5月に開かれる予定でしたが、新型コロナ禍で1年延期となり、コロナ感染拡大のためさらに1年延期となったもので、ガランチャ・ファンにとっては待望のリサイタルとなります

エリーナ・ガランチャは1976年ラトヴィア生まれ。首都リガで合唱指導者の父、著名な歌手だった母のもとに生まれました 1996年にラトヴィア音楽アカデミーに入学、卒業後、ドイツのマイニンゲン歌劇場に参加。1998年にウィーンやアメリカで学び、1999年にフィンランドのミリアム・へミン国際声楽コンクールで優勝しプロとしてのキャリアを開始しました 2003年にウィーン国立歌劇場やザルツブルク音楽祭に抜擢されて以来、メゾソプラノ歌手としてオペラ界を牽引しています

私が初めてガランチャの存在を知ったのはMETライブビューイング2009-2010シーズン「カルメン」のタイトルロールを歌った時です 歌も踊りも演技もすべて素晴らしく、すっかり魅了されました

ピアノ伴奏はマルコム・マルティノーです 英国エディンバラ生まれ。ケンブリッジ大学のセント・キャサリンズ・カレッジと英国王立音楽大学に学びました。同世代の中でもトップレベルの伴奏者として認められているとのことです

 

     

 

プログラムは次の通りです

【第一部】

①ブラームス「愛のまこと」作品3-1、②同「秘めごと」作品71-3、③同「僕らはそぞろ歩いた」作品96-2、④同「ああ、帰り道がわかるなら」作品63-8、⑤同「昔の恋」作品72-1、⑥同「五月の夜」作品43-2,⑦同「永遠の愛について」作品43-1、⑧ベルリオーズ:劇的物語「ファウストの劫罰」より「燃える恋の思いに」、⑨ドビュッシー「月の光」(ピアノ独奏)、⑩サン=サーンス「サムソンとデリラ」より「あなたの声で心は開く」、⑪グノー「サバの女王」より「身分がなくても偉大な方」

【第二部】

①チャイコフスキー「オルレアンの少女」より「さようなら、故郷の丘」、②ラフマニノフ「信じないでほしい、恋人よ」作品14-7,③同「夢」作品8-5,④同「おお、悲しまないで」作品14-8,⑤同「春のせせらぎ」作品14-11,⑥アルベニス「タンゴ ニ長調」(ピアノ独奏)、⑦バルビエリ:サルスエラ「ラバピエスの小理髪師」から「パロマの歌」、⑧ルぺルト・チャピ:サルスエラ「エル・パルキレロ」より「とても深いとき」、⑨同:サルスエラ「セベデオの娘たち」より「とらわれし人の歌『私が愛を捧げたあの人のことを思うたび』」

会場は文字通り満席で、開演前からロビーが聴衆でごった返しています いつも見ている新日本フィルの聴衆とは客層が異なるようです METライブ視聴者が一定の割合を占めると思われますが、圧倒的に中高年女性が多く、2人以上のグループが目立ちます メゾソプラノ歌手のコンサートに駆けつける中高年女性という結びつきは、ほとんど「宝塚歌劇」ファンと同じ客層か、と勝手に想像しました 自席は1階8列29番、右ブロック左から3つ目です。かなり前の席ですが、私は右目の視力が極端に弱いので、左の目でガランチャを捉えようと、ずっと顔を左に向けていました

 

     

 

第一部の開演です。ガランチャは銀のラメ入りのエレガントな衣装で登場しました 1曲目のブラームス「愛のまこと」を歌うのを聴いて、「METライブで聴いたガランチャその人の声だ!」と感激しました 歌を聴いて胸がドキドキしたのは初めてです ブラームスの7曲は続けて歌われましたが、6曲目が終わったところでガランチャの歌唱とともにピアノの演奏が素晴らしかったことから拍手が起こりました 続くベルリオーズの劇的物語「ファウストの劫罰」より「燃える恋の思いに」を聴きながら、20年以上前に松本の「サイトウキネンフェスティバル」で聴いたキャサリン・グラハムの歌唱を思い出しました

ピアノ独奏のドビュッシー「月の光」は、ガランチャの喉を休ませるためにプログラミングされたものですが、どうしてどうして抒情的でロマンに満ちた演奏でした

次のサン=サーンス「サムソンとデリラ」より「あなたの声で心は開く」は、ガランチャがMETライブビューイングで歌っています 聴きながら、ガランチャのデリラだったらサムソンに思いが届くだろうと思いました

第一部の最後はグノー「サバの女王」より「身分がなくても偉大な方」です ガランチャは絶唱しますが絶叫はしません。強靭なメゾソプラノが会場を震わせました

休憩時間には、予想通り男子・女子ともトイレに長蛇の列が出来ましたが、女性の方が圧倒的に長い列が出来ていました プログラム売り場には早々と「本日販売予定分は終了」のお知らせが。CD売り場には蟻塚のように人が集まっていました

第二部に入ります。ガランチャは黒のエレガントな衣装にお色直しして登場します 別人が出てきたかと思って、よく見るとヘアスタイルも変えています 恐るべきプロフェッショナル、ガランチャです

最初にチャイコフスキー「オルレアンの少女」より「さようなら、故郷の丘」が歌われます ジャンヌダルクを主人公としたオペラですが、力強い歌唱が印象的でした

続くラフマニノフは4曲続けて歌われました その後のアルベニス「タンゴ」はピアノ独奏で演奏されましたが、洒脱な演奏でした

次のバルビエリ:サルスエラ「ラバピエスの小理髪師」から「パロマの歌」は陽気で楽しい曲で、ガランチャも楽しんで歌っているようでした

最後のルぺルト・チャピ:サルスエラ「セベデオの娘たち」より「とらわれし人の歌『私が愛を捧げたあの人のことを思うたび』」は息の長いコロラトゥーラが素晴らしく大喝采を浴びました

ガランチャはアンコールに、予定通り、ビゼー「カルメン」より「ハバネラ」を魅力たっぷりに歌い、鳴りやまない拍手にプッチーニ「ジャン二・スキッキ」のラウレッタのアリア「私のお父さん」を表情豊かに歌い、これで最後とばかりにラフマニノフの歌(題名不明)を熱唱しました しかし、聴衆の拍手は止みません 何とその後3曲を「もうこれでおしまいと言ったじゃないの」とか言いながら歌い上げ、アンコールだけで6曲も歌いました こうなるともう「第三部」です。2日連続公演の1日目からこんなに飛ばして大丈夫か?と心配にさえなります 最後には聴衆総立ちのスタンディングオベーションでガランチャとマルティノーを讃えました 思わず私も立ち上がって拍手を送りましたが、こんなことは滅多にありません 早くも「今年前半のマイベスト1コンサート」に決定です 印象深い素晴らしいコンサートでした

         

さて、主催社のテイト・コーポレーションは事前にホームページ等でプログラム内容を発表しなかったので、会場に来てペラ1枚のプログラム(演奏曲目一覧)を見て初めてガランチャが何を歌うのかが分かったという前代未聞のコンサートになりました 人気歌手の公演の場合 これが普通なのか?  少なくとも私は、こういうケースは経験がありません

事前にプログラム内容が不明の場合、一番困るのは「予習が出来ない」ことです 歌う曲目が分かれば事前にCDを聴いて曲の内容が把握できます 当日、ペラ1枚のプログラムや有料プログラム(1000円)が配布されるのですから、もっと早くチケット購入者に内容を伝えることが出来たはずです 一人ひとりに通知しなくてもホームページに「ガランチャ・リサイタルの演奏曲目が決定!」として掲載すれば済む話です しかし、本公演の主催社テイト・コーポレーションは、チケットさえ売ってしまえば後のフォローはしなくてもよいという徹底した商業主義の方針のようです S席17,000円~C席11,000円と高額なチケット代を取るのですから、せめてホームページに演奏曲目を載せるくらいはやるべきだと思います

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ジョン・スチュワート監督「スイング・ステート」を観る ~ 米国の共和党対民主党の選挙を巡る小さな町の戦い:ギンレイホール

2022年06月28日 07時08分25秒 | 日記

28日(火)。山形県鶴岡市に単身赴任している息子が山形名物「さくらんぼ」を送ってくれました🍒 さっそくいただきましたが、甘くてとても美味しかったです 息子にはさっそくお礼のメールを送信しておきました

 

     

 

昨夕、元の勤務先NPCの同僚E氏と現役社員T君、K君と4人で飲みました E氏と飲むのはコロナ急拡大前の20年2月以来なので2年半ぶりです この間、何度か再会を試みたのですが、コロナの変異株出現やら、E氏の家族のコロナ感染やらで延期に次ぐ延期になっていたのです    忘却力が進んでいる上に、まだお酒が残っていて頭がぐるぐる回っているので何を話したのか思い出せません    取り合えず3人とも元気で何よりでした

ということで、わが家に来てから今日で2725日目を迎え、米報道によると、ロシアの外貨建て国債の利払いが26日、支払い猶予期間の最終日を迎えたが、米国などの投資家への支払いができておらず、事実上デフォルト(債務不履行)に陥ったとみられる  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     欧米諸国の経済制裁で いよいよロシアも 国家破産に向けた第一歩を踏み出したか

 

 

  昨日は私が飲み会だったので夕食作りは免除してもらいました  

 

         

 

昨日、ギンレイホールでジョン・スチュワート監督2020年製作アメリカ映画「スイング・ステート」(102分)を観ました

ヒラリー・クリントンが敗北を喫した民主党の選挙参謀ゲイリー・ジマー(スティーブ・カレル)は、農村部の票を取り戻す秘策として、YouTube動画で話題の退役軍人ジャック・ヘイスティングス大佐(クリス・クーパー)を 田舎のディアラーケン町長選挙に立候補させる   大佐の娘ダイアナ(マッケンジー・デイビス)や住民のボランティアたちと地道な選挙活動がスタートするが、対立候補の現役町長ブラウン(ブレント・セクストン)に、共和党がトランプの選挙参謀フェイス・ブルースター(ローズ・バーン)を送り込む     ディアラーケン町長選を巡って、ゲイリー対フェイス、民主党対共和党の代理戦争の幕が切って落とされ、選挙運動は次第にエスカレートし両党から巨額の選挙資金が投入された

 

     

 

「スイングステート」とは、アメリカ合衆国大統領選挙の勝者総取り方式において、共和党・民主党の支持率が拮抗し、選挙のたびに勝利政党が変動する州を指す言葉です

本作は「スイングステート」の票を固めるため、共和・民主両党とも必死で戦いに挑むことになり、大きな金が流れ込むことに着眼した映画です

【以下、ネタバレ注意】

選挙結果は同数となり結果は出ません しかし、何故か対立候補同士の現職市長ブラウンと挑戦者ジャックは仲良く笑っています 意味不明という困惑の表情のゲイリーにダイアナが真実を告白します ダイアナは父ジャックの選挙運動はヤラセで、町ぐるみでゲイリーを利用していたというのです 選挙運動は財政難の町の立て直しの資金を集めるための口実で 選挙資金は町の復興に使うというのです ゲイリーは「いったい いくら資金を投入したと思っているんだ」と怒り狂いますが、ダイアナは逆に、スイングステートを利用する政治家の利己主義ぶりを批判します その6か月後、ジャックとダイアナは選挙で集めた資金で新しい建設プロジェクトを始めます。そしてダイアナは再選挙で町長に当選するのでした

要は「利用する側が、実は利用されていた」というどんでん返しが待っていたわけですが、映画の最後に、「選挙資金の名目で集められた寄付金が、選挙活動とは全く異なる目的で使われるケースが多々ある」というテロップが流れます。アメリカという国は何といういい加減な国なのか とビックリします それと同時に、まさか日本では選挙に限らず 寄付金の目的外使用はないだろうな、と疑問が湧いてきます

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クラウス・マケラ ✕ 東京都交響楽団によりショスタコーヴィチ「交響曲第7番”レニングラード”」、ジノヴィエフ「バッテリア」を聴く

2022年06月27日 07時00分57秒 | 日記

27日(月)。昨日18時から、マンションの管理組合の定時総会が開かれたので出席しました 議題の最期に「次期役員選任の件」があり、部屋番号のローテーションにより今後2年任期の役員に就任しました。その後、新役員同士の互選により理事長に就任しました 家に帰って娘に「理事長だよ」と言うと、「えっ、また」と言われてしまいました。何回理事長をやったか数え切れません 次期は2回目の大規模修繕を控え管理費値上げを検討しなければならないので責任重大です 「一人はみんなのために、みんなは一人のために」をモットーに任期満了まで精一杯努めたいと思います

ということで、わが家に来てから今日で2724日目を迎え、ロシアのプーチン大統領は25日、北西部サンクトペテルブルクで同盟国ベラルーシのルカシェンコ大統領と会談し、核弾頭搭載可能な戦艦ミサイル「イスカンデルM」を数か月以内に供与すると述べた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ルカシェンコが ミサイル発射目標を ロシアに向けたら 世界の拍手喝采間違いなし

 

         

 

昨日の朝日朝刊 第1面の「深論  参院選の先に」コーナーに英国在住のライター、ブレイディみかこさんが登場していました 林尚行政治部長によるインタビューを超略すると次の通りです

「ブレイディみかこさんは『コロナ禍の後に来るのは貧困禍だ』として、英国でも物価の上昇が深刻化していると強調 ジョンソン政権の支持率低下は生活苦を強いられている庶民の怒りの表明だとの見方を示す一方で、野党が党内でもめている間に『与党政治に苦しむ人たちが置き去りになっている』とも分析した。日本の近年の参院選で印象に残っているのは、重度障害者の議員が誕生したことだと振り返り、『英国議会には様々な年代の男女がいて、人種も様々で、性的志向も様々。多様な当事者を議会に送ることは、社会的包摂力をめざす第一歩だ』と語る。ブレイディさんのベストセラー『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』が多様性の時代を生きるヒントになると話題を呼び、『エンパシー』という言葉が注目された 『他人の感情や経験などを理解する能力』などと訳される。ブレイディさんは『今の日本の政治は、他者に対するエンパシーの足りなさが、今とは違う未来への想像力の足りなさにつながっているのかもしれない』と指摘。子ども政策などを例に挙げ、『エンパシーのある経済』と、その先にある『安心できる社会』を考えてはどうか、と提案した

ブレイディみかこ著『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を読んだ感想を2021年7月25日付toraブログに書いています ブレイディさんは「シンパシー」と「エンパシー」の違いなどについて詳細に語っています 興味のある方はご覧ください

     

         

 

昨日、サントリーホールで東京都交響楽団「第397回プロムナードコンサート」を聴きました プログラムは①サウリ・ジノヴィエフ「バッテリア」日本初演、②ショスタコーヴィチ「交響曲第7番 ハ長調 作品60 ”レニングラード” 」です 指揮はクラウス・マケラです

クラウス・マケラは1996年フィンランド生まれの26歳。シベリウス・アカデミーでヨルマ・パヌラに指揮を師事し、マルコ・ユロネン他にチェロを学ぶ。チェリストとして活動しつつ、指揮者として10代で頭角を現す 現在、オスロ・フィル首席指揮者兼芸術顧問、パリ管弦楽団芸術顧問兼音楽監督を務めています

 

     

 

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの都響の並び。コンマスは矢部達哉です

1曲目はジノヴィエフ「バッテリア」の日本初演です この曲はサウリ・ジノヴィエフ(1988年フィンランド生まれ)が2016年に作曲した演奏時間にして約10分の作品です

タクトを携えて指揮台の登壇したマケラは背が高くスマートな若者です マケラの指揮で演奏に入りますが、冒頭から感じるのは「人を不安にする音楽」です 全体的にはリズムを中心とする音楽ですが、時に「爆発」を感じさせる衝撃的な顔を見せます 中盤で盛大に鳴り響く和音が聴かれますが、作曲者自身のプログラムノートによると、作曲当時パリ、ブリュッセル、ニースで起こった連続テロに触発されて作曲したとのことです ジノヴィエフにとって作品に取り込むほど衝撃的な事件だったのでしょう

演奏後、1階の客席で聴いていたジノヴィエフがマケラに促されて登壇し、大きな拍手を浴びました

 

 

休憩なしの2曲目はショスタコーヴィチ「交響曲第7番 ハ長調 作品60 ”レニングラード” 」です この曲はドミトリー・ショスタコーヴィチ(1906ー1975)がドイツ軍包囲下のレニングラードで1941年に作曲、1942年3月5日にクイビシェフで初演されました その後、同年3月29日にモスクワで初演され、4月11日には早くもスターリン賞を受賞しました 第1楽章「アレグレット」、第2楽章「モデラート(ポコ・アレグレット)」、第3楽章「アダージョ」、第4楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」の4楽章から成ります 

マケラの指揮で第1楽章が開始されます 冒頭の弦とファゴットによる「人間の主題」の演奏のあまりの速さに驚きました これが20世紀音楽の21世紀の演奏かと マケラは最初の1分で聴衆をショスタコーヴィチの世界に引き込んでしまう その後テンポが落ちますが、スネアドラムの静かな連打によって「戦争の主題」が現れ、次第に音量を増して本来の凶暴な姿を現します ステージ上の演奏者の人数が多いこともあって、最初のうちは、いったいどこで小太鼓を叩いているのか全く分かりませんでした この連打を聴いて思い浮かべるのはラヴェルの「ボレロ」です 曲の作りや展開が良く似ています これについては、増田良介氏がプログラムノートに次のように書いています

「ショスタコーヴィチは友人のイサーク・グリークマンを家に呼び、作曲中の交響曲の第1楽章提示部と、ファシストの侵略を表すと言われる部分をピアノで弾き、『批評家たちはラヴェルのボレロを真似したと非難するだろうね まあいいよ。私には戦争はこう聞こえるんだ』と語ったという

この交響曲についてはいろいろと解釈がありますが、増田氏は次のようにまとめています

「この交響曲がファシズムの侵攻をきっかけとして作曲され、その克服をテーマとしてことは確かだが、それは目の前で進行している戦争を具体的に描いているというわけではなく、より広い意味でのファシズムの非人間性の告発になっている、ということなのだろう

ショスタコーヴィチの「私には戦争はこう聞こえるんだ」という言葉は重い 「最初は聞こえるか聞こえないか分からないほど小さな音で発せられ、次第に大きくなっていき、最後には狂暴とも思われるほどの姿を現す・・・それが戦争というものだ」ということでしょうか 聴きごたえのある第1楽章です

実質的なスケルツォに当たる第2楽章を経て、第3楽章では、中盤でヴァイオリンセクションによる美しいアンサンブルが演奏されます 都響の誇る弦楽セクションの聞かせどころです 第4楽章では楽器指定4本のところ9本に拡大されたホルンの重厚な演奏が印象的でした

マケラは途中弛緩することなく、約80分を集中力に満ちたタクト捌きにより、最弱音から最強音までメリハリの効いたスケールの大きな演奏を都響から引き出していました

満場の拍手がマケラと都響の面々に押し寄せ、カーテンコールが繰り返されました 楽団員が引き揚げても拍手が鳴りやまず、マケラだけが再登場し、スタンディングオベーションに応えていました

弱冠26歳のマケラですが、音楽づくりにわざとらしさがなく流れが自然で、実力・人気ともタダ者ではない、と思いました

 

     

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

イオン・マリン ✕ 東京交響楽団でチャイコフスキー「交響曲第4番」、ストラヴィンスキー「火の鳥」を聴く ~ 第700回定期演奏会 / ラーメンの自動販売機

2022年06月26日 07時10分08秒 | 日記

26日(日)。近所のコインパーキング脇ににこんな自動販売機がありました

 

     

     

 

どうやら5種類のラーメンが冷凍の状態で販売されているようですが、驚くのは料金です 1,000円と1,100円の2種類しかありません 余程の自信作としか思えませんが、いまいち自販機でラーメンを買う気になれません 売れているのだろうか

ということで、わが家に来てから今日で2723日目を迎え、銃乱射事件が相次いだことを受け、米連邦議会上院は23日、21歳未満の銃購入者の身元確認の厳格化などを盛り込んだ銃規制強化法案を可決した一方、米連邦最高裁は23日、自宅外で銃を携行するために厳格な規制を設けたニューヨーク州の法律を違憲とする判決を言い渡した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     民主主義と三権分立は 米国の基本方針だが アメリカはいったいどうしたいのか?

 

         

 

昨夕、サントリーホールで東京交響楽団「第700回定期演奏会」を聴きました プログラムは①チャイコフスキー「交響曲第4番 ヘ短調 作品36」、ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」(1910年版)です 指揮はイオン・マリンです

イオン・マリンはジョルジュ・エネスク音楽院、ザルツブルク・モーツアルテウム大学で作曲、ピアノ、指揮を学ぶ 1986年にルーマニアから亡命しオーストリア国籍を取得、ウィーン国立歌劇場で正指揮者を務める 現在、ヨーロッパの主要オーケストラや歌劇場に定期的に招かれている

 

     

 

オケは16型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの東響の並び。コンマスは小林壱成です

1曲目はチャイコフスキー「交響曲第4番 ヘ短調 作品36」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840ー1893)が1877年から翌78年にかけて作曲、1878年2月にサンクトペテルブルクでニコライ・ルビンシテインの指揮により初演されました 「わが親愛なる友へ」という献辞がありますが、これはパトローナのフォン・メック夫人を指します 第1楽章「アンダンテ・ソステヌート ~ モデラート・コン・アニマ ~ モデラート・アッサイ・クアジ・アンダンテ ~ アレグロ・ヴィーヴォ」、第2楽章「アンダンティーノ・イン・モード・ディ・カンツォーナ」、第3楽章「スケルツォ:ピッツィカート・オスティナート、アレグロ」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・コン・フォーコ」の4楽章から成ります

第1楽章がホルンによる「運命の動機」ファンファーレによって開始されます 当時のチャイコフスキーの置かれた不幸な立場(早期に決裂した結婚、自殺未遂など)を考えると不幸な運命の動機です このホルン・アンサンブルとその後のトランペットとトロンボーンによる演奏が素晴らしかった オーボエ首席の荒絵理子、フルート首席の相澤政宏の演奏が冴えています 第2楽章では冒頭の荒のオーボエ独奏が郷愁を誘います その後のチェロ・セクションのアンサンブルも抒情的です 終盤におけるバスーン首席の福井蔵の演奏も素晴らしい 第3楽章では弦のピッツィカートが美しく響きます 間を置かずに続けて演奏される第4楽章は、いきなり「運命の回帰」ファンファーレです 金管と木管の咆哮、弦・打楽器の渾身の演奏が展開します ここに至って、チャイコフスキーはベートーヴェンの運命交響曲の「苦悩を克服しての歓喜」を表しているように見えますが、彼は最後に自らの「運命」を乗り越えることができたのだろうか イオン・マリン ✕ 東響の演奏は運命を克服した、という演奏だったように思いました

 

     

 

プログラム後半はストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」(1910年版)です この曲はイーゴリ・ストラヴィンスキー(1882ー1971)がロシアバレエ団の主宰者セルゲイ・ディアギレフの委嘱により1909年から翌10年にかけて作曲、1910年6月にパリ・オペラ座でピエルネの指揮で初演されました 独特のリズムを中心とする斬新な音楽により大成功を収め、ディアギレフから「ペトルーシュカ」と「春の祭典」が相次いで委嘱されました

バレエの台本は振付家のフォーキンが中心となって作成したものですが、内容は「火の鳥は黄金の羽を持つ幸せを運ぶ鳥である。イワン王子は火の鳥の羽を得て、その力で魔王カシチェイとその手下たちを倒していく 魔法をかけられて囚われの身となっていた王女たちを助け出したイワン王子は、王女たちの一人ツァレヴィーナと結婚式を挙げる」というものです

「火の鳥」は最近、1919年版の「組曲」が演奏される機会が多く、演奏時間が約20分程度と短い「組曲」版に慣れてしまっているのですが、オリジナルの音楽は約50分もかかるので、かえって新鮮に聴くことが出来ました 全曲を通してライブで聴いたのは初めてかもしれませんが、バレエ音楽だけにドラマティックな作りになっていて、演奏もドラマティックでした 特にフルート3(持ち替え1)とピッコロ1のフルート・セクションが大活躍で、相澤政宏のフルートと濱崎麻里子のピッコロが素晴らしかった ホルン首席の大野雄太のソロは特筆に値します この曲でも荒絵理子のオーボエが冴えていました 小林コンマスのソロも素晴らしかった

この曲はバレエ音楽なので、是非ともバレエを観ながら聴いてみたいとつくづく思いました 観て聴いて初めて作品の理解が深まると思います

ところで、賑やかな「カシチェイ一党の凶悪な踊り」が始まるや否や、居眠りしている隣席のお兄さんの向こうの席のおじさんが、いきなり前にめりになって指揮を始めたのです こういう人、いるんですよね、どこのホールにも 指揮をする振動が背もたれに伝わってくるので、いい迷惑です こういう時に思うのは、事前に場内アナウンスで注意してくれないかな、ということです 例えばこういう風に

「お客様にお願い申し上げます。演奏中 勝手に指揮をしないでください。他のお客様のご迷惑になります 日頃のストレスをコンサートホールで解消するのはお止めください。だれもあなたに注目していません 分散退場の前に優先的にお帰りいただいて結構です。世界の平和とご家族のご多幸をお祈りしております

とかさ~ こういうのって、本人だけが気がついていないものです 困ったもんだ

 

     

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

坂入健司郎 ✕ 新交響楽団によるドヴォルザーク「新世界交響曲」他のチケットを取る / ギレルモ・デル・トロ監督「ナイトメア・アリー」を観る ~ 早稲田松竹

2022年06月25日 07時21分32秒 | 日記

25日(土)。来週火曜と水曜にエリーナ・ガランチャのリサイタルがすみだトリフォニーホールで開かれるのですが、3日前の本日、いまだにプログラム内容が発表されていません チラシに「ビゼー『カルメン』から『ハバネラ』他」とあるだけで、招聘元のテイト・コーポレーションのホームページにも一切掲載されていません 彼女はいったい何を歌うんだろうか

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2722日目を迎え、北朝鮮の朝鮮中央通信は24日、朝鮮労働党中央軍事委員会の拡大会議を21日~23日に開いたが、金正恩総書記は会議で「いかなる敵も圧勝する強力な自衛力を持つことで祖国の尊厳と人民の安寧を守らなければならない」と述べた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     金正恩っていつも勇ましいこと言ってるけど  それで国民は幸せに暮らしてるの?

 

         

 

昨日、夕食に「牛バラ肉のすき焼き風」「山芋」「ネギとワカメの味噌汁」を作りました 「牛バラ~」は自己流です

 

     

 

         

 

アマチュアオーケストラ「新交響楽団」の第258回演奏会の案内が届いたのでチケットを手配しました 7月18日(月・祝)14時から東京芸術劇場で演奏されます プログラムは①バーバー「管弦楽のためのエッセイ第2番」、②ガーシュイン「パリのアメリカ人」、③ドヴォルザーク「交響曲第9番”新世界より”」です 坂入健司郎の指揮で聴くのは初めてですが、話題の指揮者なので楽しみです

 

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹でギレルモ・デル・トロ監督による2021年製作アメリカ映画「ナイトメア・アリー」(150分)を観ました

ショービジネスでの成功を夢見る野心に溢れた青年スタン(ブラッドリー・クーパー)は、人間か獣か正体不明の獣人を出し物にする怪しげなカーニバルの一座と巡り合う そこで読心術の技を学んだスタンは、感電ショーで人気者だったモリー(ルーニー・マーラ)を誘い、大都会での成功を夢見て旅に出る やがてスタンは人を引き付ける天性の才能とカリスマ性を武器にトップショーマンとなり、豪華なホテルでのステージで上流階級の人々から拍手喝さいを浴びるようになる しかし、心理学博士のリリス・リッター(ケイト・ブランシェット)との出会いがスタンの運命を大きく変えていく

 

     

 

本作は、1946年に出版された名作ノワール小説「ナイトメア・アリー 悪夢小路」を原作に、野心に溢れショービジネス界で成功した男が、思いがけないところから人生を狂わされていく様を描いたサスペンススリラーです

スタンは、一座の支配人から、行き場を失った浮浪者を洗脳して「獣人」に仕立て上げる方法を教わります 酒を麻薬のようになくてはならない存在に仕向けてアルコール中毒にしてしまうのです

スタンはリッター博士に預けた”分け前”を取り戻そうとしますが、追っ手に追われ命からがら逃走します すべてを失ったスタンは浮浪者に落ちぶれて見世物小屋に辿り着き、過去の実績を売り込みますが相手にされず、逆に酒を勧められ「獣人の仕事ならある」と誘われます スタンは「これが自分の宿命だ」と言って大笑いします それは「天国から地獄へ」という諦念と皮肉に満ちた笑いでした

スタンを演じたブラッドリー・クーパーとリッター博士を演じたケイト・ブランシェットの存在感が際立っています 詐欺師と心理学博士の心理戦を見事に演じていました

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

稲田豊史著「映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレーコンテンツ消費の現在形」を読む ~ 「鑑賞から消費へ」という流れ、タイムパフォーマンス至上主義の台頭

2022年06月24日 07時12分49秒 | 日記

24日(金)。わが家に来てから今日で2721日目を迎え、国際ジャーナリスト団体「国境なき記者団」は22日、ロシアの侵攻を受けるウクライナの首都キーウ近郊で3月、同国の男性記者ら2人がロシア軍兵士によって処刑されたとの調査報告書を発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシア軍は 兵士も民間人もジャーナリストも 分け隔てなく殺す 野蛮な人種らしい

 

         

 

ピアノサロンコンサートを3週間後(7月14日)に控えた Kirioka さんが、当日演奏する曲を事前に お客さんが聴いている状態で一通り弾いておきたいということで、「ミスティヒルズ」を訪問しました 「ミスティヒルズ」というのは彼女のステージネーム「霧丘」をそのまま英訳したもので、彼女の住居裏のスペースに建てられた一戸建ての完全防音ピアノルームです

 

     

 

待ち合わせ時間に霧丘さんが最寄りの駅まで車で迎えに来てくれて、和風レストランSで寿司ランチをご馳走になりました お寿司も蟹汁も茶わん蒸しも、とても美味しくいただきました 霧丘さんの選んだ運転中のBGMはプーランク「2台のピアノのための協奏曲」でした 話をしているうちに、ン十年前に東京女子大学人見記念講堂でラベック姉妹がこの曲を演奏するのを2人とも聴いていたことが判明しました その時は見ず知らずの他人同士でした こういう偶然もあるものですね

 

     

 

その後、車で「ミスティヒルズ」に向かい、コーヒーを飲みながら音楽談義に花を咲かせ、霧丘さんが当日取り上げる曲を一通り演奏しました 演奏曲目は霧丘さんが得意とするショパンが中心で「別れのエチュード」「雨だれ前奏曲」「舟唄」などが、ほかにメンデルスゾーン「歌の翼に」、シューマン「トロイメライ」、リスト「愛の夢 第3番」、マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲、サン=サーンス「白鳥」といった馴染み易い曲が選ばれていました 一人だけで聴かせてもらい贅沢な時間を過ごしました

 

     

 

一通り演奏が終わってから、私にとっては今年”初スイカ”をいただきながら、霧丘さんが大好きなシューラ・チェルカスキーのCDを聴いたり、音楽談義をして楽しく過ごしました

本番まであと3週間。霧丘さんにはピアノ教室の生徒さんを教える傍ら、ブレずにマイペースで練習に励んでほしいと思います

当日のコンサートの概要は下のチラシの通りです お近くにお住まいの方でお時間がありましたら、気軽にお出かけになってはいかがでしょうか

 

     

     

         

 

昨日、夕食に「牛もも肉焼肉&牛タン塩焼き」「卵スープ」「生野菜サラダ」を作りました 生ビールCLASSICが合いました

 

     

     

         

 

稲田豊史著「映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレーコンテンツ消費の現在形」(光文社新書)を読み終わりました   稲田豊史氏は1974年愛知県生まれ。ライター、コラムニスト、編集者。横浜国立大学経済学部卒業後、映画配信会社のギャガ・コミュニケーションズに入社。その後、キネマ旬報社でDVD業界誌の編集長、書籍編集者を経て2013年に独立

本書は次の各章から成ります

序 章「大いなる違和感」

第1章「早送りする人たち ~ 鑑賞から消費へ」

第2章「セリフで全部説明してほしい人たち ~ みんなに優しいオープンワールド」

第3章「失敗したくない人たち ~ 個性の呪縛と『タイパ』至上主義」

第4章「好きなものを貶されたくない人たち ~ 『快適主義』という怪物」

第5章「無関心なお客様たち ~ 技術進化の行き着いた先」

 

          

 

著者は「序章」の中で、若い世代を中心に映画やドラマの「倍速視聴」「10秒飛ばし」といったタイムパフォーマンス(タイパ=時間効率)を重視した視聴スタイルが広がりつつあると指摘しています YouTube や Netflix など動画を視聴できるサービスの多くには倍速視聴やスキップの機能が付いています マーケティング・リサーチ社のクロス・マーケティングが昨年3月に実施した調査によると、倍速視聴の経験がある人は20~69歳で34.4%、20代では49.1%に上るといいます なぜ若者は映像作品を倍速視聴をするのか、著者は各章で明らかにしていきます

第1章では、特に若者たちの間に「鑑賞から消費へ」という流れがあると指摘しています 興味深いのは「芸術作品」と「娯楽作品」に対する視聴の違いです 芸術作品については「鑑賞物」と捉え「鑑賞モード」になり、娯楽作品については「消費物」と捉え「情報収集モード」になるという指摘です 娯楽作品については、彼らは作品を「観たい」のではなく「知りたい」のだといいます SNSを駆使し”グループの友人たち”と繋がりを持つ若者は、「ねえ、あの映画見た?お薦めだよ!」という話題についていくために、「観たい」わけではないけれど、どんな内容か「知りたい」ので情報収集のために視聴してみる。しかし、それほど時間をかけられないので倍速視聴で全体の流れを短時間で把握する、というわけです

著者は、それが可能となる背景には、Netflixなどのサブスクリプション(定額料金で観放題)があると指摘しています 倍速モードで情報を収集して、本当に観たければもう一度通常モードで観ればよい、というわけです また、Netflixなど供給側の「供給過多」という現状があることも指摘しています

第3章「失敗したくない人たち ~ 個性の呪縛と『タイパ』至上主義」では、若者たちは観ることが時間の無駄だと思わないよう、あらすじを知った上で作品を選ぶ傾向があると指摘しています。昔と違い、ストレスの多い彼らは、内容が難解な作品や、感情を乱される作品は観たくない 自分にとって価値のある作品かどうかを短時間で知りたい、そのために倍速モードは必須というわけです

私も時々 Netflix で映画を観ますが、「倍速視聴」や「10秒飛ばし」は一切やりません ウクライナのゼレンスキー大統領が俳優時代に主演したコメディードラマ「国民の僕(しもべ)」(1話:約25分 ✕ 全51話)も通常モードで観ました 唯一実行したのは各回冒頭のタイトルロールのスキップだけです。毎回同じですから

稲田氏は「倍速視聴」や「10秒飛ばし」について「同意はできないかもしれないが、納得はしたい。理解はしたい」と書いていますが、「映画を早送りで観るなんて、一体どういうことなのだろう?」と最後に告白しています 私もまったく同感です。早送り視聴は情報収集は出来ても作品を味わうことはできないと思うからです

現代若者気質を知る上でも参考になる著書です 幅広くお薦めします

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

レイナルド・マーカス・グリーン監督「ドリームプラン」 & クリント・イーストウッド監督「クライマッチョ」を観る ~ ギンレイホール

2022年06月23日 07時20分50秒 | 日記

23日(木)。わが家に来てから今日で2720日目を迎え、ウクライナ最高会議は20日までに、ロシアの音楽を公共の場で流すことを禁じる法案を賛成多数で可決したが、ソ連が崩壊した1991年より後にロシア国民が制作・演奏した音楽が対象になる  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     チャイコフスキーやラフマニノフが対象外なので ひと安心 芸術に罪はないからね

 

         

 

昨日、夕食に「サバの塩焼き」「生野菜サラダ」「冷奴」「マグロの山掛け」「豚汁」を作りました サバは脂がのって美味しかったです

 

     

 

         

 

ギンレイホールで「ドリームプラン」と「クライマッチョ」の2本立てを観ました

ギンレイホールは昨年10月初旬以来なので約9か月ぶりです コロナ禍の影響で、館内は相変わらず食事禁止(飲料はOK)ですが、座席は全席使用可となっています 9か月前は一人置きの座席配置でした 1年間有効のパスポートは一人用@11,000円です。何回でも観ることができるサブスクなので超お得です 基本的に2本立てで2週間でワンクール上映なので、平均すると1週間に1本となり、計算上は年間52本が11,000円で何回も観ることができます 来月、1年間の期限が切れるので延長しようと思います

「ドリームプラン」はウィル・スミス製作、レイナルド・マーカス・グリーン監督による2021年アメリカ映画(144分)です 世界最強のテニスプレイヤーと称されるビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹を世界チャンピオンに育て上げたテニス未経験の父親の実話を基に描いたドラマです

リチャード・ウィリアムズ(ウィル・スミス)は、テレビで優勝したテニスプレイヤーが4万ドルの小切手を受け取る姿を見て、自分の子どもをテニスプレイヤーに育てることを決意する テニスの経験のない彼は独学でテニスの教育法を研究し78ページにも及ぶ計画書を作成し、常識破りの計画を実行に移す ギャングがはびこるカリフォルニア州コンプトンの公営テニスコートで、周囲からの批判や数々の問題に立ち向かいながら奮闘する父親のもと、姉妹はその才能を開花させていく

 

     

 

リチャードの教育法は、お金もないコネもない中で、あくまでも学業優先に徹し、公営テニスコートで夫婦がコーチになって練習を積んでいくことです そして優秀なコーチに実力を見せつけることです しかし、彼は姉妹の才能を見抜いたコーチとの契約も高額であることから断り、名門テニススクールに入門後も学業を優先させ、14歳の若さでプロ契約を結ぶことを拒否します リチャードは早すぎるプロデビューが、いずれ金儲けビジネスの犠牲となり、才能を台無しにしてしまう事例を数多く見てきたからです

リチャードの教育法は正しいと思います 早熟のプレイヤーは、若くして高額な契約を結びプロとして活躍しますが、プロとして通用するには年齢的な限界があります 彼らにとって、プレイしている年月よりも引退後の人生の方が圧倒的に長いのです リチャードはそこまで考えて娘たちに「専門バカになってはいけない」と説き、あくまでも学業優先に徹したのです プロのコーチではなく素人だからこそ、そのような教育法が有効だったと言えるかもしれません

ウィル・スミスはあまり好きではありませんが、この映画の父親役はすごく良いと思いました

 

         

 

「クライマッチョ」はクリント・イーストウッド監督による2021年製作アメリカ映画(104分)です

かつて数々の賞を獲得し、ロデオ界のスターとして一世を風靡したマイク・マイロ(クリント・イーストウッド)だったが、落馬事故をきっかけに落ちぶれていき、いずれ妻子も亡くなってしまう 今は競走馬の種付けで細々と一人暮らしをしている。そんなある日、マイクは元の雇い主からメキシコにいる彼の息子ラフォを妻の元から誘拐して連れてくるよう依頼される 男遊びに夢中な母親に愛想をつかし、闘鶏用のニワトリで生きていた生意気な少年ラフォを連れてメキシコからアメリカ国境を目指すことになったマイクだったが、その旅路には予想外の困難や出会いが待ち受けていた

 

     

 

本作は監督デビューから50年、40作目となるアニバーサリー作品です イーストウッドも かなり歳を取ったな、という印象ですが、元気です

「マッチョ」とはメキシコのスペイン語 macho で、「雄の~」という意味を持ちますが、「強靭な」「勇敢な」という意味で使われます この映画では闘鶏の名前が「マッチョ」です 確かに飼い主のラフォが襲われると雄叫びをあげて飛び掛かって闘う(まさに クライ マッチョ!)ので名前負けしていません さらに、ラフォがマイクに言う「昔はロデオで名を馳せてマッチョだったかもしれないけど、今は何でもない」と言う言葉にも表れます

マイクは国境でラフォを彼の父親に引き渡した後、メキシコで2人を警察から匿ってくれた食堂の女主人の元へ戻ります 男も女も年齢は問題ではない マッチョな選択だと思います

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

セバスティアン・ヴァイグレ ✕ 読売日響でシュテファン「管弦楽のための音楽」、ブルックナー「交響曲第7番」を聴く ~ 読響 第618回定期演奏会

2022年06月22日 07時20分38秒 | 日記

22日(水)。昨日午後、池袋の豊島健康診査センターで肺がん検診を受診してきました 今回は胸部X線検査に加え胸部CT検査もありましたが、15分もかかりませんでした 本当は、毎年異常なしだし、現在も自覚症状がないので受診しなくてもよいのですが、無料(区の負担)なので受診しました

ということで、わが家に来てから今日で2719日目を迎え、中国やロシアの海軍艦隊が6月中旬、日本列島を周回するような動きを相次いでみせており、日米に対する牽制を狙った中露の共同行動の可能性もあり、海上自衛隊が警戒監視を続けている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     覇権主義国家同士が手を組んで日本を脅しにかかっている 無法者は始末に負えない

 

         

 

昨日、夕食に「青椒肉絲」「生野菜サラダ」「冷奴」「ジャガイモの味噌汁」を作りました 「チンジャオロースー」は若干しょっぱくなりました 多分オイスターソースが多めだったからだと思います。次回の反省材料にします

 

     

 

         

 

昨夜、サントリーホールで「読売日響 第618回定期演奏会」を聴きました プログラムは①ルディ・シュテファン「管弦楽のための音楽」、②ブルックナー「交響曲第7番ホ長調WAB107」(ノヴァーク版)です 指揮は読響常任指揮者セバスティアン・ヴァイグレです

 

     

 

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの読響の並び コンマスは小森谷巧ですが、弦の最前列は長原幸太、瀧村依里、富岡廉太郎、遠藤真理、柳瀬省太、鈴木泰浩といった首席を揃えており、盤石のヴァイグレ・シフトを敷きます 面白いのはトランペットが下手、ホルンが上手にスタンバイしていることです

1曲目はシュテファン「管弦楽のための音楽」です この曲はドイツ生まれのルディ・シュテファン(1887ー1915)が1912年に作曲した作品です 彼は第一次世界大戦で東部戦線に派兵され28歳の若さで戦死しました

ヴァイグレが登場し、さっそく演奏に入ります 音楽評論家・江藤光紀氏のプログラムノートによると、この曲は「暗鬱な気分が葛藤や夢幻の境地を経て解放へと向かうプロセスを、主要主題を緊密に結び付けながら描いている」という内容です そういう流れを頭に入れて聴いていると、確かにそういう組み立てになっているな、と思います 曲想としては、後期ロマン派のリヒャルト・シュトラウスのテイストが感じられ、ロマン的でドラマティックな作品です オーボエの金子亜未、チェロの遠藤真理の演奏が際立っていました

 

     

 

プログラム後半はブルックナー「交響曲第7番ホ長調WAB107」(ノヴァーク版)です この曲はアントン・ブルックナー(1824ー1896)が1881年から83年にかけて作曲、1884年12月30日にライプツィヒで初演され、バイエルン国王ルートヴィヒ2世に献呈されました 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アダージョ:極めて荘厳に、極めて遅く」、第3楽章「スケルツォ:極めて速く」、第4楽章「フィナーレ:動きをもって、しかし速すぎないように」の4楽章から成ります

ヴァイグレの指揮で第1楽章に入ります 冒頭のチェロのアンサンブルが素晴らしい そして、トランペット、トロンボーン、ホルンといった金管のふくよかな響きが心地よく響きます 第2楽章は尊敬していたワーグナーへの追悼の意味が込められていますが、今回の演奏は「悲惨な紛争の犠牲者と、6月10日に死去した読響チェロ奏者への追悼の思いを込めて」演奏されました ワグネルチューバ、チューバ、トロンボーン、ホルンが重厚な音楽で追悼の音楽を奏でます 分厚い弦楽アンサンブルによる渾身の演奏が心を打ちます 第3楽章では一転、軽快なテンポによるホルンと弦楽器との掛け合いが楽しく聴けました 第4楽章では、ワグネルチューバ、チューバ、ホルン、バストロンボーンの重厚な演奏と切れ込み鋭い弦楽器の演奏が光り、木管、打楽器を含めた総力で、音の大伽藍を築き上げました

満場の拍手がヴァイグレと読響の面々に押し寄せ、カーテンコールが繰り返されました ヴァイグレは新型コロナ真っ只中の2020年12月から翌年2月まで3か月にわたり日本に留まり、読響の演奏会を中心に指揮活動を展開しました こうしたことが楽団員との絆を深めたことは容易に想像がつくし、聴衆のわれわれも「頼もしい常任指揮者」というイメージを抱きます

1961年ベルリン生まれ。ベルリン国立歌劇場管弦楽団のホルン奏者から指揮者に転じ、2008年からフランクフルト歌劇場の音楽総監督を務めるヴァイグレですが、今後ますます読響との絆を深め、名演を残してくれると思います

 

     

     

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ナワリヌイ」を観る ~ ロシアのプーチン大統領が最も恐れる反体制派のカリスマに密着したドキュメンタリー:ついに暗殺未遂犯との電話で真相を聞き出すことに成功する

2022年06月21日 07時13分32秒 | 日記

21日(火)。ついに待望の CLASSIC を入手しました 近所の酒屋でも大手スーパーでもコンビニでも売っていないのです やっと地下鉄2つ先の駅近くの酒類専門店Kで350ml缶 ✕ 半ダースを購入しました 申し遅れましたが CLASSIC はサッポロビールの北海道限定生ビールです いつも拝読している2人のクラシックファンのブログの両方にこの CLASSIC が手作り料理のお供として登場していたのです これはもう買うしかない というので CLASSIC 求めて ここ数週間あちこち彷徨っておりました 念のため申し添えておきますが、私はサッポロビールの回し者ではありません 単なるクラシックファンにすぎません

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2718日目を迎え、バイデン米大統領は18日、東部デラウェア州の別荘付近で自転車から降りようとした際にペダルにひっかかり転倒する場面があったが、記者団に対し「大丈夫だ」と説明した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     これから 自転車に乗って転倒することを バイデンスクルと言うことになりました

 

         

 

昨日、夕食に「炊き込みご飯」「ちぎり厚揚げと豚バラの和風炒め」「生野菜サラダ」「もやしの味噌汁」を作りました さっそく CLASSIC をいただきましたが、独特のコクがあってとても美味しかったです

 

     

 

         

 

昨日、新宿ピカデリーでCNN  Films ほか製作、ダニエル・ロアー監督による2022年 アメリカ映画「ナワリヌイ」(98分)を観ました

ロシアの弁護士アレクセイ・ナワリヌイは、インターネット上でプーチン政権への批判を繰り広げることで国内外の注目を集め、若者を中心とする反体制派から圧倒的な支持を集めている政治活動家です 本作はプーチン政権によるナワリヌイの暗殺未遂事件と、ナワリヌイが結成した少数精鋭の調査チームによる真相究明活動を追ったドキュメンタリーです

 

     

 

プーチン政権にとって最大の敵と看做されているナワリヌイは不当な逮捕を繰り返され、巨大な力に追い詰められていく そして2020年8月、ナワリヌイは移動中の飛行機内で何者かに毒を盛られ、昏睡状態に陥る 飛行機が緊急着陸し、搬送された病院でもナワリヌイは意識不明だったが、病院側の説明では毒物は検出されなかったという やがて病院側の反対を押し切ってベルリンの病院に移送され、そこで奇跡的に一命を取り留める 彼の体内からは1970~80年代に旧ソ連で開発された猛毒ノビチョク系の神経剤が検出された 体調が戻り始めた彼は、自分に毒を盛ったのは一体何者なのか? 暗殺未遂事件の影に潜む勢力を、インターネット上のデジタルデータをフルに活用して世界的スクープをモノにしてきた民間調査報道集団「べリングキャット」のジャーナリストたちから成る調査チームを率いて炙り出し、ついに暗殺未遂の実行犯と直接電話で話し、暗殺未遂の経緯を聞き出すことに成功する

 

     

 

調査団に参加した民間調査報道集団「べリングキャット」のジャーナリストが凄い ナワリヌイが暗殺未遂に遭った航空便の搭乗者名簿を基に、彼らの電話・メールの通信記録などのデジタルデータを入手・分析し、ついに暗殺に関わった3人の人物を特定し、彼らの住所・氏名・偽名・電話番号・顔写真まで調べ上げてしまうのです プロがやろうと思えば何でもできるという意味では、怖いとさえ思いました 最初にナワリヌイはプーチンに直接電話して「私が誰だか分かるか? ナワリヌイだ。なぜ私を殺そうとした?」と話しかけます。しばしの沈黙のあと電話が切られてしまいます プーチンらしい反応です 次に実行犯の2人に相次いで電話をかけますが、実名を名乗ったことから切られてしまいます そこでナワリヌイは偽名を名乗った上で、「上司から暗殺未遂事件の報告書を書くように言われている。ナワリヌイをどのように暗殺しようとしたのか? なぜ暗殺に失敗したのか? 教えてくれ」と話しかけます 相手は警戒し「この電話では話せない」と逃げますが、彼の何人かの同僚の名前を挙げて、「彼らにもこれから事情聴取する。詳細はいらない。わかる範囲でいいから簡潔に話してくれ」と言うと、「緊急着陸して解毒剤を注射されたのが失敗の大きな原因だ。緊急着陸しなければ作戦は成功し、痕跡は残らなかった」と具体的に話し出します それを聞きながらナワリヌイやチームのメンバーたちは「ヤッターッ!」とガッツポーズを作ります 彼らとて、まさか実行犯から本当のこと聞き出せるとは思ってもみなかったからです 電話を切ったナワリヌイは「これで彼も殺されるな」と呟きます するとチームの誰かが「殺される前に、本人に亡命するように示唆しておくべきだろう」と言います。ナワリヌイも「それが人道的だな」と同意します 実行犯との一連のやり取りはあらゆるSNSやテレビ放送などを通じて世界に発信され、何十万、何百万もの視聴がありました

映画は、その後、ナワリヌイが祖国ロシアに戻るものの、空港で拘束され、でっち上げられた罪で収監されるところまでを映し出します 彼はロシアに帰れば逮捕されることは分かっていたと思いますが、あえて帰国しました 「私は怖くない。逃げない」という姿勢を貫いたのです 逮捕される前に収録した映像で「もしも暗殺されるようなことがあれば、ロシア国民に何を言い残したいか?」と問われたナワリヌイは、「もし私が殺されることになったら、それは私たちが それほど彼らにとって脅威だということだ   怖がってはならない。決して諦めてはならない」と語っています

まるでスパイ映画を観ているような予測不能な98分でしたが、これは現実なのです 2年後の2022年の現在もなお、ナワリヌイはロシアの刑務所に収監されています ロシアのウクライナへの侵略を考えるとき、もっと早くロシア国民がプーチンの残虐性を見抜き、大統領の座から引きずり降ろしていたら、不条理に死んでいく人は出なかっただろうし、不本意に国外に亡命する人も出なかったと思います

なぜ今 公開か? と疑問については、この映画の製作会社がアメリカであることからある程度想像できますが、今だからこそ、世界の人々に観てほしいし、とりわけロシア国民に観てほしいと思います プーチン政権のプロパガンダに徹した国営放送でしか情報が入手できないロシア国民が、何とか本作を観てプーチン政権の本質を理解できるようにならないものか、と内心忸怩たる思いがあります

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする