人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「3/31 オーケストラの日」コンサート・チケットを買う / フランシス・コッポラ監督「地獄の黙示録」を観る~ワーグナー「ワルキューレの騎行」が流れる

2017年01月31日 07時57分01秒 | 日記

31日(火),月日の経つのは速いもので,2017年1月も今日で終わりです ということで,わが家に来てから今日で854日目を迎え,トランプ米大統領が韓国の黄教安首相と電話会談し,核・ミサイルで挑発を続ける北朝鮮の脅威に対し,共同で防衛能力を強化していくことで一致した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

          

                           核開発の北朝鮮と 核のボタンを持つトランプとどっちが危険?

 

  閑話休題  

 

昨日,夕食に「ハヤシライス」と「生野菜とアボガドとサーモンのサラダ」を作りました アボガドとサーモンの相性は抜群です ハヤシライスは久しぶりに作りました.お代わりしました

 

          

 

  も一度,閑話休題  

 

第11回「オーケストラの日」コンサートのチケットを購入しました 3月31日(金)午後3時から文京シビックホールで開かれます.プログラムは①シベリウス:交響詩「フィンランディア」,②同「ヴァイオリン協奏曲」,③ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」組曲です ②のヴァイオリン独奏はスヴェトリン・ルセフ,指揮は源田茂夫,管弦楽はオーケストラの日祝祭管弦楽団(首都圏のオケのメンバーによる臨時編成オケ)です

なぜ3月31日が「オーケストラの日」なのかと言うと,「331=ミミにいちばん」だそうですよ 私などは331といえば,モーツアルトのケッヘル番号のK.331=「ピアノ・ソナタ 第11番 イ長調 ”トルコ行進曲付き” 」を想起してしまいます

 

          

 

  最後の,閑話休題  

 

昨日,池袋の新文芸坐で「地獄の黙示録」を観ました これはフランシス・コッポラ監督による1979年 アメリカ映画(147分)です ジョセフ・コンラッドの小説「闇の奧」を原作に,舞台をベトナム戦争下のジャングルに移して戦争の恐怖と狂気を描き,第32回カンヌ映画祭で最高賞パルムドールを受賞しました

 

          

 

サイゴンのホテルに滞在し軍の命令を待つばかりのアメリカ陸軍のウィラード大尉(マーティン・シーン)は,上層部からカーツ大佐(マーロン・ブランド)の暗殺を命じられる カーツ大佐は任務で訪れたカンボジアのジャングル奥地で勝手に自らの王国を築き上げ,軍から危険人物とみなされていた ウィラード大尉は部下たちを連れ,哨戒艇で川をさかのぼりカーツ大佐の王国を目指すが,その途上で部下を失い,ベトナム戦争がもたらした悲惨で異様な光景を次々と目撃することになる  ついにカーツ大佐と会うことになったウィラード大尉は殺害を決意する

この映画に切り離せない音楽があります アメリカ軍のヘリコプター部隊がベトナムの村を爆撃するときにオープンリール・デッキから流すワーグナーの「ワルキューレの騎行」です この音楽は,ワーグナーの楽劇「ニーベルングの指環」の第1日「ワルキューレ」の第3幕への前奏曲で,天空を翔るワルキューレたちが戦死した兵士の魂をヴァルハラへ運ぶ音楽です 「勇ましい音楽」というのはこういう音楽を言うのだと思いますが,ワーグナーの意図とは異なり,この映画では 北ベトナムの戦死者を出すために 村を攻撃する時のアメリカ軍兵士を鼓舞する音楽として使われています   私の愛聴盤はジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団による演奏です

 

          

 

それにしても,ワーグナーの音楽は第二次世界大戦ではヒトラーに利用されたし,あまり良い意味で使われることが少ないような気がします まあ,作曲家としては革命的な凄い人だとは思いますが,人間としてはどうだったのかな,と思うと複雑な想いです

 

 

1月から2月にツキが変わる今日と明日,1泊2日で熱海に行ってきます 一昨年10月まで私が勤めていたNPCを昨年末に定年退職したE氏の”泊まり込み送別会”に参加するためです したがって,2月1日付のブログは帰京してから書いて午後にアップします 読者の皆さま,夕方以降にアクセスして下さるようお願いいたします

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矢崎彦太郎+新交響楽団でストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」(全曲版)他を聴く

2017年01月30日 07時52分29秒 | 日記

30日(月).昨日,何気にテレビを点けたら,自民党の石破茂氏が出演していて,トランプ米大統領を「サスペンスとディールの大統領だ」と評していました 「サスペンス」とは,相手を恐怖のどん底に陥れることで,例えばメキシコとの間に壁を構築するが,その費用をメキシコに負担させると主張して相手をパニックに陥れるようなことです また「ディール」とは,相手をそうした状況に追い込んで,自国に有利な条件を引き出す”交渉”をするということです なるほどと思いました 石橋氏はまた,トランプは政治経験ゼロのビジネス出身の大統領で,今までのアメリカの大統領とは全く違うやり方で課題に取り組もうとしている 「従来のゲームのやり方を変更する『ゲームチェンジャー』だ」と解説していました.これを聞いて私は,ゲームのやり方を変えるというよりも,「巨人の星」の星一徹のように「ちゃぶ台をひっくり返す」やり方がトランプではないのか,と思いました この1週間はトランプに振り回された感じがありますが,こうした状況がいつまでも続くとは思えません

ということで,わが家に来てから今日で853日目を迎え,安倍首相とトランプ大統領が電話会談で「日米同盟の重要性を確認した」というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

          

            2月10日に日米首脳会談をワシントンで開くと決めたようだけど 何を要求されるか!?

 

  閑話休題  

 

昨日,池袋の東京芸術劇場コンサートホールで新交響楽団第236回演奏会を聴きました  プログラムは①ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」,②同「バレエ音楽『遊戯』」,③ストラヴィンスキー「バレエ音楽『火の鳥』全曲版」です 指揮は上智大学理工学部数学科を経て東京藝大指揮科で学んだ経歴の持ち主の矢崎彦太郎です

新交響楽団は1956年創立で,サラリーマン,教員,学生など様々な職業・年齢にわたる団員によって自主運営されているアマチュアオーケストラの草分け的存在です 私は,アマオケの中では演奏レヴェルが高いこのオケが好きで,出来る限り聴くようにしています

 

          

 

自席は1階H列12番,左ブロック右通路側です.会場はほぼ満席です アマ・オケでこの動員力は凄いと思います

1曲目はドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」です.「牧神」とは山野と牧畜を司る半獣神です.この曲では葦笛を奏でてニンフ(妖精)と戯れます 印象としては「春の目覚め」といった感じの曲想ですが,かのピエール・ブーレーズは「現代音楽はこの曲とともに目覚めたと言ってよい」と語ったように,クラシック音楽史の中では重要な位置を占めています

このオケを聴いていつも感心するのは,フルートが抜群に上手いということです この日も,ハープと絡みながら けだるい春の目覚めを鮮やかに表出していました  演奏を聴きながら,昔映画で観たディズニーの「ファンタジア」のシーンを思い出しました

2曲目は同じくドビュッシーのバレエ音楽「遊戯」です 「遊戯」というと われわれは幼稚園の「おゆうぎ」を思い浮かべがちですが,原題の Jeux を英語で表すと Play になります 内容は,テニスに興じながら恋の駆け引きをする3人の男女をテーマにしています.ディアギレフから委嘱を受けたドビュッシーはこの作曲にあまり乗り気ではなかったようですが,台本・振付を担当したバレエ・ダンサー,ニジンスキーの強い要望で倍の報酬で引き受け,1913年に上演されたということです

管楽器群が増員されオケに厚みが増します 矢崎彦太郎はオケから色彩感豊かな響きを紡ぎ出します

 

          

 

休憩後はストラヴィンスキーのバレエ音楽「火の鳥」です オケがさらに拡大し100人規模のフルオーケストラ態勢になります.この曲は多くの場合,組曲として演奏されます(2管編成)が,今回演奏するのは初演時と同じ全曲版(4管編成)です

「火の鳥」は「バレエ・リュス」(ロシア・バレエ団)を主宰するディアギレフがストラヴィンスキーに音楽を委嘱したものです 1910年のパリ・オペラ座での初演は大成功となり,これをきっかけにバレエ音楽「ペトルーシュカ」「春の祭典」が生まれることになり,ストラヴィンスキーは時代の寵児となりました

「火の鳥」というのは,輝く黄金の羽根を持ち,魔王カスチェイから 魔力で主人公のイワン王子を助ける架空の鳥です

50分にも及ぶ大曲ですが,矢崎+新響は弛緩することなく「火の鳥」の物語を丁寧に紡いでいきました 特に,この曲の代名詞的な「カスチェイの部下全員の凶悪な踊り」と第2幕「カスチェイの宮殿とその魔力の消滅,石にされた騎士たちの復活,全員の歓喜」におけるオーケストラ総力戦による熱演は会場を揺るがしました

演奏で特に素晴らしかったのはホルンとファゴットと大太鼓!でしたが,全員が頑張ったと思います

この曲を聴くに当たって,エルネスト・アンセルメ指揮ニュー・フィルハーモニア・オーケストラによるCDで予習しておきました

 

          

 

新響が出演する次の公演は3月20日(月)午後1時半から東京藝術劇場コンサートホールで開かれる「地雷で傷ついたアフガニスタンの子供たちに車椅子を贈るベネフィットコンサート」です 残念ながら私は東京春祭のコンサートが入っていて行けません

 

          

 

その次は4月23日(日)午後2時から東京芸術劇場コンサートホールで開かれる第237回演奏会です こちらは行けそうです

 

          

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ベッリーニ「夢遊病の女」を聴く~藤井冴(ソプラノ)東京藝大博士後期課程学位審査会 / 変わる音大による音楽家の育て方~日経の記事から

2017年01月29日 08時15分50秒 | 日記

29日(日).昨日,上野にコンサートを聴きに行ったのですが,上野公園の噴水広場から東京都美術館に行く途中の寒桜が満開でした 寒い毎日が続きますが,案外春は近いのかも知れません

 

          

 

ところで,昨日の朝日朝刊・国際面に「自国第一主義『人々を引き裂く』~アルゲリッチ氏」という見出しの記事が載りました.超訳すると

「27日の『国際ホロコースト記念日』を前に,パリのユネスコ本部で,マルタ・アルゲリッチとユネスコ親善大使を務めるイブリー・ギトリスによる記念コンサートが開かれた ホロコーストの生存者らを前に,ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ『春』などを演奏した  アルゲリッチは演奏後,『広島・長崎(の原爆投下)とアウシュビッツは人類にとって,最大の悲劇  ともに記憶されなければならない』と朝日記者に語った.自国第一主義を掲げるトランプ米大統領について,『人々を引き裂く考え方は容認できない.最も危険なことだ』と批判した」

「アメリカさえ良ければ他の国はどうなってもよい」というトランプ大統領に対しては,他の芸術家もアルゲリッチのようにもっと情報発信して批判した方が良いと思います まさか,トランプが芸術の分野にまで口出ししてくるとは思いませんが,はっきり言って「何をやるか予測できない」のがトランプという人なので油断は出来ません 世界的に困った人です

ということで,わが家に来てから今日で852日目を迎え,英国のメイ首相と会談したトランプ米大統領が「NATOの重要性を再確認し,アメリカと英国は特別な関係を支え続ける」と述べたというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

          

           英国May首相は米トランプ大統領にMayday(救助信号)を発信したんだろうか?

 

  閑話休題  

 

昨日の日経朝刊文化面に文化部・岩崎記者による「転調🎵 音楽家の育て方」という見出しの記事が載りました.超訳すると

「音楽家を育てる国内の大学が教育体制について様々な策を講じている 東京藝大は小中学生を対象にした音楽の早期教育に力を入れ始めた.海外の大学との競争などで入学志願者が減少していることへの危機感が背景にある 同大は2014年に早期教育プログラムをスタートさせた.入学志願者がこの10年で25%ほど減少したことから,早い段階で東京藝大に興味を持ってもらうのが目的だ.17年度からは中学生を対象とした音楽塾『東京藝大ジュニア・アカデミー』を新設し,一貫指導の体制を強化する

一方,これまで早期教育を主に担ってきた私立の音大の間では教養教育を重視する動きが出て来た 斎藤秀雄氏のもと小澤征爾らを輩出してきた桐朋学園は,70年近い伝統がある『子供のための音楽教室』から大学までの一貫教育,エリート音楽家を養成する『ディプロマ』コースにより成果を上げてきたが,今年4月,大学院の修士・博士課程を新設する これまで大学生が引き続き学ぶ場合は『研究生』として大学に残っていた.近年,高校・大学で『子供のための音楽教室』出身者の割合が低下していることが背景にある 

東京音楽大学では,今年4月,『ミュージック・リベラルアーツ専攻』を新設する 欧州の歴史や文化,語学に精通した音楽家や,音楽以外の分野でも活躍できる人材を育てる狙い.こうした動きについて,ヤマハ音楽振興会の三木渡常務理事は『エリート養成と音楽家以外の道も探る教養教育とに音大の対応は2極化していく』と指摘する

この記事を見て まず最初に思ったのは,今まで桐朋学園には大学院が無かったのかということです 東京藝大の対応は,五嶋みどりや庄司紗矢香をはじめ 幼少時から海外の大学や音楽院に”留学”して世界的に活躍するケースが多くなっていることへの危機感があるのだと思います 音大を出ても,皆が皆 音楽家になれるわけではない現状をみると,ヤマハの三木氏が指摘するような2極化傾向になっていくのではないかと思います.いずれにしても,幼少時から大学卒業まで膨大な教育費を負担しなければならない親御さんは大変ですね.深く同情します

 

          

            東京藝大奏楽堂のロビーに掲げられた「早期教育プロジェクト」のポスター

 

  も一度,閑話休題  

 

昨日,上野の東京藝大奏楽堂で,ソプラノ藤井冴の藝大後期課程学位審査演奏会,ベッリーニ:歌劇「夢遊病の女」のハイライト上演があったので聴きに行きました 入場無料で全自由席です.開場=午後2時半,開演=3時ですが,2時20分頃藝大奏楽堂に着いたらすでに長蛇の列で,最後列は藝大入口から奏楽堂に向かう途中のベートーヴェンの胸像あたりでした(これは列が相当長いことを意味します) それでも1階13列14番,センターブロック左から2つ目の席を押さえました

オーケストラ・ピットを含めて前から8列目までは一般客が座れないようになっていますが,それを除けば満席状態です 大学院の審査演奏会にこれ程の一般客が入るのは驚きです なお オーケストラ・ピットにはオケが入るわけではなく,指揮者・上野正博氏とピアノ演奏・村上尊志がスタンバイします 舞台と衣装は極めてシンプルです.審査会なので余計な装飾はいらないのでしょう.これで十分です

 

          

 

オペラ「夢遊病の女」のストーリーを超簡単にご紹介すると

「エルヴィーノとアミーナは婚約中だが,アミーナは夢遊病を患っており,眠って歩きながら 村のかつての領主の息子・ロドルフォ伯爵の部屋に潜り込んで眠り込んでしまう それを 密かにエルヴィーノを慕っていたリーザに発見され,リーザがエルヴィーノに密告したため,怒ったエルヴィーノは婚約を破棄しリーザと結婚すると宣言する しかし,ロドルフォがアミーナは夢遊病であることに気付き,周囲に説明したことから誤解が解け,エルヴィーノとアミーナは結ばれる

という内容です

全2幕から成りますが,この日は第1幕から7曲,第2幕から3曲が歌われました 途中の幕間で15分の休憩がありました

ヒロインの夢遊病の女・アミーナを歌った藤井冴はとても良かったと思います ベッリーニ特有の息の長いベルカントを見事に歌い上げました 彼女と同じくらい素晴らしいと思ったのはエルヴィーノを歌ったテノールの山本康寛です ベッリーニ,あるいはロッシーニにピッタリの良く通る甘い声です リーザを歌ったソプラノの横山和美は小柄ながら声量があり迫力満点でした ロドルフォを歌った伊藤純は低音の魅力たっぷりでした

こんなに水準の高い演奏がピアノ伴奏版とは言え無料で聴けるのはとても有難いと思います 藝大にはぜひ続けて欲しいと思います

なお,この公演を聴くにあたって,マリア・カラスがアミーナを歌ったCDで予習しておきました

 

          

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新日フィル室内楽シリーズ(6月・篠原英和プロデュース)のチケットを取る / 「文庫X」=清水潔著「殺人犯はそこにいる」を読む / CDプレーヤーを買う

2017年01月28日 08時01分09秒 | 日記

28日(土).わが家に来てから今日で851日目を迎え,トランプ米大統領がツイッターで「もしメキシコが壁の建設費用を払わなければ,今月末に予定されている首脳会談をキャンセルした方がよい」としたのに対し,メキシコのペニャニエト大統領が「首脳会談を中止する」と伝えたというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

          

            今週の新聞の夕刊第1面トップはトランプ一色だったなぁ

       

  閑話休題  

 

昨日,夕食に「豚肉と大根の炒め煮」「ホウレン草のお浸し」「生野菜とアボガドとサーモンのサラダ」を作りました 「豚肉~」はよく煮込んだので味が沁みて美味しかったです

 

          

 

  も一度,閑話休題  

 

昨日,「新日本フィル室内楽シリーズ~楽団員プロデューサー編」の6月開催分のチケットを取りました これは4月から4回開かれる次期シリーズの第3回目ですが,第2ヴァイオリン奏者・篠原英和氏のプロデュースによって開かれます プログラムは①モーツアルト「ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲K.423」,②同「弦楽四重奏曲第19番”不協和音”K.465」,③ハイドン「弦楽四重奏曲第83番」他です 出演はヴァイオリン=篠原英和,松崎千鶴,ヴィオラ=高橋正人,チェロ=多田麗王,ピアノ=出久根美由樹(篠原夫人)です

7時15分の開演に先立って7時から篠原氏のプレトークがあります 演奏はもちろんのこと,このシリーズの魅力はこの「プレトーク」にあります 特に篠原英和氏はこれまで長年にわたって室内楽シリーズのプレトークを一手に引き受けて来た「トークの天才」です 曲目解説からメンバー紹介に至るまで 立て板に水のごとく流暢にトークを展開し,15分ジャストで話を終えます まだ一度もこのシリーズをお聴きになったことが無い方は是非,この機会にお出かけください 私がなぜ篠原氏を「トークの天才」と呼ぶかが分かっていただけると思います 会場は錦糸町の すみだトリフォニーホール(小ホール)で,チケット代は全席指定で3,000円です

下のチラシは2月2日開催の堀内麻紀プロデュース公演のものですが,下の方に小さく4月以降のラインアップが紹介されています

 

          

 

  またまた,閑話休題  

 

リビングにある小型CDプレーヤーが壊れてしまったので 新しいのを買いに行きました  いつも家電製品は池袋のBカメラで買っています.2階のオーディオ・コーナーでいくつかの機種を見比べましたが,最終的には  marantz CD5005 という機種にしました お店の人の話では,現在オーディオ機器は高級機種と低廉機種とに2分されているとのことでした 私は,ハイレゾの音を聴きたいわけではないので,できるだけコストパフォーマンスが高い安価な機種で良いという考えで選びました

さっそくモーツアルトの誕生日に因んで内田光子のピアノによるモーツアルトのCDをかけてみましたが,とても消費税込みで25,000円弱の機械の音とは思えない素晴らしい音が出てきました オーディオは凝り始めたら底なし沼です 上を見たらきりがありません.どんなに高級な再生装置でも所詮 生演奏には敵わないのです オーディオ装置でボリュームの上げ下げは出来ますが,生演奏では決して出来ません 私には この機種で十分です

 

          

           上が marantz CD5005 下は アンプの ROTEL RX-1050 因みにスピーカーはタンノイ

 

  最後の,閑話休題  

 

「文庫X」として署者名を隠して売り出され,全国の書店や読者の間に話題を巻き起こした清水潔著「殺人犯はそこにいる~隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件」(新潮文庫)を読み終わりました

 

          

 

本のカバー(上の写真)を外すと,本来のカバーが現れます

 

          

 

著者の清水潔は1958年東京生まれ.新潮社「FOCUS」編集部を経て,現在 日本テレビ報道局記者・解説委員.2014年に本作「殺人犯はそこにいる」で新潮ドキュメント賞,日本推理作家協会賞を受賞しています

「北関東連続幼女誘拐殺人事件」というのは,栃木県足利市,群馬県太田市という隣接する2市の半径10キロ圏内で,5人の少女が誘拐された事件で,大半の誘拐現場がパチンコ店で,ほとんどの遺体が河川敷で発見されているという共通点があるものの,いまだに犯人が逮捕されていないという未解決事件です

一連の事件は次の通りです

1979年 栃木県足利市 福島万弥ちゃん  5歳 殺害

1984年 栃木県足利市 長谷部有美ちゃん 5歳 殺害

1987年 群馬県尾島町 大沢朋子ちゃん  8歳 殺害

1990年 栃木県足利市 松田真実ちゃん  4歳 殺害

1996年 群馬県太田市 横山ゆかりちゃん 4歳 行方不明

これら5つの事件の真犯人は同一人物だと確信を持った清水氏は,事件から年月が経っているにも関わらず現場に赴いて徹底的に調査し,被害者の遺族を探し出して,重い口を開かせて当時の状況を聞き出します

そして,足利事件で容疑者として逮捕され,DNA鑑定に基づき有罪判決を下された菅谷さんが冤罪であったことを,遺族や目撃者への取材,DNA鑑定に関する専門家への取材など 徹底的な調査報道によって証明してみせます その結果,菅谷さんは釈放されます それと同時に,当時の目撃者の証言から「ルパン」に似た容疑者を特定し警察にも通報します.しかし,警察は不十分なDNA鑑定を根拠に逮捕に踏み切れないでいます そんなもどかしさから,清水氏は杜撰な捜査や不十分な証拠で無実の人を刑務所に追いやった警察や検察を徹底的に批判し告発します そのうえで,清水氏は「文庫本あとがき」に次のように書いています

「ルパンは相変わらず,パチンコ台に向かって玉を弾いている.確かに,事態は何ら動いていないのかも知れない.断腸の思いとしか言いようがない だが,これだけは言っておく.どれだけ時が流れようと,私は事件から目を離すつもりはない 二度と起こってはならぬことを,決して起こさせぬこと.それだけが事件報道の唯一の存在価値であると信じ,私は事件記者として,現場に赴き,取材し,しつこく,粘り強くー.それは,決して変わらない

これは清水氏の「うまく逃げおおせると思うなよ.おれはいつもお前を見張っているからな」という「新犯人=ルパン似の男」に対する挑戦状です

ジャーナリストの牧野洋氏が巻末に「解説」を書いていますが その中で

「日本の大新聞は,1社当たりで千人以上の記者を抱えている.大半を市民目標に軸足を置いた調査報道に従事させたら,どんな変化が日本に起きるだろうか.『これでは日々の官庁発表モノを処理できない』とぼやくメディア幹部が出てくるかもしれないが,発表モノは通信社に任せておけばいい 清水氏級の調査報道記者が何十人,何百人と現れたら,それこそ『日本が動く』のではないか

としたうえで,この本を「調査報道のバイブル」と呼んでいます 500ページから成るこの本を読み終わって,そのことを実感します.一人でも多くの人に読んで欲しい本です

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遠藤周作 原作 「沈黙」 と「海と毒薬」 を観る~早稲田松竹 / 今日はモーツアルトの誕生日~内田光子の演奏でピアノ・ソナタを聴こう!

2017年01月27日 08時03分17秒 | 日記

27日(金).わが家に来てから今日で850日目を迎え,ニューヨーク株式市場のダウ工業株平均終値が 史上初めて2万ドルの大台を突破し20068.51ドルとなった というニュースを見て 感想を述べるモコタロです

 

          

                            トランプ政権の政策への期待感は 失望感に転換しないか?

 

  閑話休題  

 

今日はモーツアルトの誕生日です 1756年1月27日生まれなので,今年は生誕261年になります 誕生日を記念して今日はモーツアルトの曲を聴きたいと思います あまりにも聴きたい曲が多すぎて迷うのですが,最終的には内田光子のピアノ独奏によるピアノ・ソナタ集(5枚組)を選びました

 

          

 

          

 

  も一度,閑話休題  

 

昨日,早稲田松竹で映画「沈黙」と「海と毒薬」の2本立てを観ました 「沈黙」は,遠藤周作の同名小説を篠田正浩が1971年に映画化,原作者の遠藤が篠田監督とともに脚色を担当した大作(カラー・130分)です

 

          

 

厳しいキリシタン弾圧が行われていた17世紀の長崎に,2人のポルトガル人宣教師が密かに入国した.20年前に渡来し捕らえられた恩師フェレイラの行方を探すのが目的だった その宣教師とは,キチジローに案内され隠れ切支丹の村にかくまわれたガルベとロドリゴだった.しかし,キチジローは金欲しさにロドリゴを役人に売り渡してしまう ロドリゴは牢の中で 若い夫婦の拷問を見せられ,夫の命を救うため妻が踏み絵をするのを目の当たりにする 一方,ガルベは水刑で命を落とした信者の後を追い,自ら命を絶ってしまう 数日後,ロドリゴの目の前に,侍装束を身にまとった かつての恩師フェレイラが現れる 彼は隠れ切支丹の村人を救うためにはロドリゴが”転ぶ”(踏み絵をする)必要があると説得にやってきたのだった

この映画は,隠れ切支丹の村人たちが役人の拷問にあっても神は救ってくれないという「神の沈黙」をテーマにしていますが,命に引き換えてもキリスト教を捨てない(踏み絵をしない)という強い信仰心はどこからくるのでしょうか   命あっての宗教ではないのか,と無神論者の私は思います 自分の命を守るためにロドリゴを役人に”売った”キチジローを責めることが出来るのか? もし自分が彼の立場に置かれた時,命を捨てても神を信じることが出来るのか? この作品はそういう重い課題をわれわれに突き付けています

ところで,この映画ではテーマ音楽をはじめ武満徹が音楽を書いています テーマ音楽は,美しいメロディーが流れていたかと思うと,途中で不協和音が邪魔するような音楽で,日本への異教の進出を象徴しているかのようです  「沈黙」は作曲家・松村禎三の作曲により新国立劇場で上演されていますが,私は映画よりもオペラの方を先に観ました

マーティン・スコセッシ監督による「沈黙」がロードショー公開されましたが,71年の篠田監督作品と観比べてみるのも興味深いと思います

 

  最後の,閑話休題  

 

「海と毒薬」は,太平洋戦争末期に実際に起こった米軍捕虜に対する生体解剖実験を描いた遠藤周作の同名小説を熊井啓監督が1986年に製作した作品(モノクロ・123分)です

 

          

 

日本の敗戦が濃厚になった昭和20年5月,九州のF市にも毎晩のように米軍機による空襲が繰り返されていた 医学部の研究生,勝呂(奥田瑛二)と戸田(渡辺謙)の二人は物資も薬品も揃わない状況下で,教授陣の出世争いに巻き込まれながら 半ば投げやりな毎日を送っていた   そんなある日,二人は教授たちの元に呼び出された.それは,B29の捕虜8名を使った生体解剖実験を手伝えというものだった  二人は実験に立ち会うことになるが,戸田が「日本の医学のために役立つ」と割り切っているのに対し,勝呂は「これは殺人ではないか」と吹っ切れない状態のまま立ち会うことになる 実験が終わると捕虜は死亡した.彼らは実験と称して殺人を犯したのだった

生体解剖実験は,人間が生きたままの状態で,両肺をどの程度摘出したら死亡するかといったことを試すもので,いわば死ぬのが最初から分かっている「人体実験」です 「人間の良心」とか「人間の尊厳」を考えさせられる映画です

この映画では,病院の大部屋を勝呂が訪ねるシーンで,ベートーヴェンの交響曲第6番”田園”の第1楽章が流れていました 第2次世界大戦中に”敵国音楽”が・・・と一瞬考えましたが,当時は日本とドイツは同盟関係にあったから問題ないのか,と思い直しました 全体の音楽は松村禎三が担当しています

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ミューザ川崎「モーツアルト・マチネ」のチケットを取る / 「奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ」を観る~ラヴェルのピアノ協奏曲も流れる

2017年01月26日 07時55分37秒 | 日記

26日(木).わが家に来てから今日で849日目を迎え,米国のトランプ大統領が25日から,メキシコ国境での壁建設など,米国への入国を制限する一連の大統領令に署名する方針であることが分かった というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

          

            陸に壁を造っても 海と空には壁は出来ないし どうすんだろ?

 

  閑話休題  

 

昨日,ミューザ川崎主催「モーツアルト・マチネ」のチケットを取りました 日程は4月30日(日),8月26日(土),10月14日(土),3月3日(土)の4回で,いずれも午前11時開演の東京交響楽団による約1時間のコンサートです もちろん会場はミューザ川崎シンフォニーホールです

 

          

 

プログラムは次のようになっています

 

          

 

          

 

4月のプログラムで注目は「交響曲第43番ヘ長調K.76/42a」です モーツアルトの交響曲は第41番までしかなかったはずだが・・・という疑問です これは本物か?あるいは偽物か? 聴いてみなけりゃ始まらない 8月のプログラムでは小菅優のピアノ弾き振りでコンチェルトが2曲聴けます 10月のプログラムではジョナサン・ノットが「交響曲第39番変ホ長調K.543」をどんなテンポで演奏するのか興味津々です 3月のプログラムでは「『エジプト王ターモス』のための3つの合唱と5つの幕間音楽K.345」の妻屋秀和のバスと東響コーラスの合唱が聴きものです

 

  も一度,閑話休題  

 

昨日,神楽坂の「ギンレイホール」でマリー・カスティーユ・マンシオン・シャール監督による2014年製作のフランス映画「奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ」(105分)を観ました

 

          

 

貧困層が暮らすパリ郊外の公立レオン・ブルム高校には様々な人種の生徒たちが通う 学校が見放す落ちこぼれクラスに 厳格な歴史教師アンヌ・ゲゲンが赴任してくる.落ち着かないクラスを何とかしようと,アンヌは生徒たちを全国歴史コンクールに参加するよう促すが,「アウシュヴィッツ」という難しいテーマに彼らは反発する ある日 アンヌは,強制収容所の生存者を授業に招待し収容所でのつらい経験を語ってもらう 生き証人の悲惨な過去を知った生徒たちは,この日を境に変わっていく 彼らはグループ別に「アウシュヴィッツ」に関する研究を進め,コンクールに臨む

映画の冒頭「この作品は事実に基づくものである」旨のクレジットが出ます かつて日本でも「学級崩壊」という現象が全国的に見られましたが,その当時の日本の学校の生徒は,日本人だけでした.しかし,映画の舞台となったフランスの高校は人種の坩堝なのです.白人も居れば 黒人も居るし,キリスト教徒も居れば イスラム教徒も居るのです そうした多種多様な生徒たち,しかも落ちこぼれの生徒たちを一つの方向に向かわせることがいかに困難なことか,想像を絶することです しかし,アンヌ先生は授業を通じて生徒たちに自信を付けさせ,それを成し遂げました コンクールでの発表の瞬間は感動的です

この映画では,ドビュッシーの「月の光」と,ラヴェルの「ピアノ協奏曲ト長調」の第2楽章「アダージョ・アッサイ」が効果的に使われていました さすがはフランス映画です.フランスを代表する作曲家の名曲を選びましたね このほか,マイケル・ナイマンの「ピアノ・レッスン」のような美しい曲も流れましたが,確信はありません

この映画は,教育とはどうあるべきかを教えてくれる感動的な物語です 広くお薦めします

 

          

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「新国立オペラ2017-2018シーズン」会員継続へ / 道尾秀介著「貘の檻(ばくのおり)」を読む

2017年01月25日 07時52分11秒 | 日記

25日(水).昨日は1週間前に型を取った左下の奥歯を被せる金属が出来たので大塚の歯科医院に行きました 無事に新しい金属が被せられました(診療費は2690円)が,お願いしていた歯石を取る作業は時間切れで出来ず,もう一度通院することになりました 歯医者って1度行くと3回は通わなくてはなりません.点数稼ぎの方法を よく考えてますね

話は360度変わりますが,昨日の朝日朝刊に「コンサート 赤ちゃん連れて」という見出しの記事が載っていました 都内のママ友の団体が主催している0歳から鑑賞できるコンサートが評判を呼んでいるというものです 一般のコンサートは「未就学児は入場お断り」が普通なので,0歳児もいっしょに音楽が聴けるコンサートをママたち自身で企画したというものです 記事で紹介されたコンサートは,東京藝大の学生がクラシックやジャズを演奏し,入場料は1,000円に抑えたそうです こういう企画は素晴らしいと思います しかし,企画段階から会場や演奏者の手配,チケット販売,当日の受付・司会まですべてを主催者側のママさん5人でこなしているという実情を知ると,大変なご苦労だと思います

こういう記事を見ていつも思うのは,音楽大学の学生がこうした「親子コンサート」を企画・実施したらどうだろうか,ということです 音大ならば大抵 自前のコンサートホールを持っているし,勉強の成果を外に向けて発表する機会がない学生たちにとって,絶好の発表の場になるのではないか,と思うのです その際,学生側には演奏したい曲があるだろうし,ママさん側には聴きたい曲があるでしょうから,プログラミングは相談しながら決めるというのが良いと思います 音楽を演奏する人にとって 報酬は二の次で,自分の演奏を聴いて喜んでくれることが一番だという記事をどこかで読んだ記憶があります そうだとすれば,将来の聴衆を獲得するための先行投資と考えて,出来るだけ低料金で「親子コンサート」を開くことが音大のイメージアップにつながり 利益になるのではないか,と思うのですが どうでしょうか

ということで,わが家に来てから今日で848日目を迎え,トランプ米大統領がTPP(環太平洋経済連携協定)から離脱するための大統領令に署名したというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

          

           さあさ お立合い! 支持率 歴代最低45%の米大統領の初仕事はサインだよ~

        

  閑話休題  

 

先日,新国立劇場から「2017/2018シーズン『オペラ・プルミエ』座席継続のご案内」が届きました 新国立オペラは2002年からプルミエ(初日公演)会員になっているので,次シーズンから15年目に突入します.もちろん同じ席での継続ということで返信を出しておきました

少し遅れて届いた新国立劇場の情報誌「ジ・アトレ」掲載の 次シーズンのラインナップは下記のとおり全10公演です

 

          

 

          

 

          

 

          

 

次シーズンの”ウリ”はともに新制作によるワーグナー「神々の黄昏」(10月1日)とベートーヴェン「フィデリオ」(18年5月20日)でしょう

珍しいところでは細川俊夫作曲「松風」が2018年2月にドイツ語で上演されることです これは世阿弥の同名の能に基づく作品で,2011年5月にベルギー王立モネ劇場で初演されたそうです プルミエ公演のある2月16日の同時刻は,すでにN響と読響とがダブっているので,3つ巴で振り替え作戦を立てる必要があります

 

  も一度,閑話休題  

 

道尾秀介著「貘の檻」(新潮文庫)を読み終わりました 道尾秀介は1975年 東京都生まれ.2004年「背の眼」でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しデビューし,数々の文学賞を受賞した後,2011年には「月と蟹」で直木賞を受賞しています

 

          

 

1年前に離婚した大槇辰男は,息子・俊也との面会の帰りに,かつて生まれ故郷のO村に住んでいた曾木美禰子を駅で見かける.しかし,彼女は32年前に辰男の父親に殺されたはずだった なぜ彼女は生きているのか.疑問に思った次の瞬間,彼女は電車に撥ねられ命を落とす 美禰子を殺したはずの父親も不慮の死を遂げていたが,その真相はどうだったのか? 辰男は真実を知るために俊也を連れてO村を訪れることにする.現地に行き当時の関係者に話を聞いている最中に,息子・俊也が何者かに誘拐される.果たして犯人は誰でどういう動機があるのか

この小説には,主人公の辰也が見る「悪夢」が何度か出てきます.しかし,それは夢ではなく,自分が幼い頃に実際に目にした恐ろしい出来事だったのです この小説のタイトル「貘の檻」の貘とは,”夢を食う”と言われるバクのことです 辰男はこの檻からどのように抜け出すのかが複層的な物語の中で語られていきます.終盤のストーリーの中で ある重要な登場人物が「実はあれはウソをついていたのだ」と発言するシーンがあり,「推理小説としてはちょっとずるいのではないか」と思ったりもしましたが,全般的にはどんでん返しが繰り返され,驚きの連続のミステリーです

ところで,この小説にはクラシック音楽が1曲出てきます 曾木美禰子が家に籠って聴いていたリストの「ハンガリー狂詩曲第2番です.道尾秀介の小説にクラシック音楽が出てくるケースは極めてまれだと思います なぜ彼がこの曲を選んだのか分かりませんが,辰男に『弦楽器の重たい旋律が印象的な曲』と言わせているところにヒントがあるかも知れません 実際に曲を聴いてみると分かりますが,”人の運命の重さ”を感じさせるような重心の低い音楽です

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マーティン・スコセッシ監督「タクシー・ドライバー」&「ギャング・オブ・ニューヨーク」を観る~早稲田松竹

2017年01月24日 07時59分17秒 | 日記

24日(火).わが家に来てから今日で847日目を迎え,第45代米大統領に就任したトランプが 執務室のカーテンを金色のものに差し替えた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

          

           トランプ氏の好みは ”金の茶室”の太閤秀吉みたいだ 金 = Gold = Money だし

 

  閑話休題  

 

昨日,夕食に「豚バラ,甘酢ネギ胡麻だれ」と「生野菜とタコのサラダ」を作りました 「豚バラ~」は何度か作ったことがあるので,味が安定してきました

 

          

 

  も一度,閑話休題  

 

昨日,早稲田松竹で「タクシー・ドライバー」と「ギャング・オブ・ニューヨーク」の2本立てを観ました

「タクシー・ドライバー」はマーティン・スコセッシ監督による1976年製作のアメリカ映画(114分)です

 

          

 

ニューヨークでタクシー・ドライバーをするトラビス(ロバート・デ・ニーロ)は どんな客でも選ばないので,仲間から守銭奴と呼ばれていた  ある日,彼は大統領候補バランタインの選挙事務所に勤める美しい運動員ベッツィを見初め,声をかけてデートに誘う ところが,こともあろうにポルノ映画館に連れていき嫌われてしまう こんな彼だが,「この世の中は堕落し切っている.誰もやらないなら自分が街をクリーンにしてやる」と決意し,麻薬患者,ポン引き,娼婦たちがたむろするイースト・ビレッジで,ポン引きスポートに追われた13歳の売春婦アイリス(ジョディ・フォスター)を救うべく作戦を立てる 彼は闇ルートで拳銃を入手し射撃訓練をする.まず大統領候補のバランタインに狙いを付けるがシークレットサービスに発見され逃げてくる そしてスポートの売春アパートを襲撃し,スポートや用心棒を射殺し,アイリスを救い出す アイリスの両親からは感謝の手紙が届き,新聞はトラビスをヒーローとして扱った.やがてトラビスは元通りタクシードライバ―になってニューヨークを流すのだった

この映画は,ニューヨークという大都会で,毎日同じことの繰り返しの鬱屈した生活に嫌気がさした一人のタクシー・ドライバーが,自分の存在を世の中に認めさせようと危険を顧みず行動を起こしたプロセスを追ったものです 初めて誘うデートにポルノ映画館を選ぶなんてとても尋常ではないと思いますが,その彼が「堕落し切った街を大掃除してやる」というのは矛盾しているように思います この映画のテーマはトラビスの独白にもあるように「大都会の中の孤独」だと思いますが,そこから脱する手段として選んだ彼の選択は,あまりにも無謀で大胆不敵だと思います

冒頭のシーンをはじめトラビスがタクシーで街を流すときに流れるアルト・サックスの調べが強く印象に残ります

 

  も一度,閑話休題  

 

「ギャング・オブ・ニューヨーク」はマーティン・スコセッシ監督による2002年製作のアメリカ映画(160分)です.この作品は70年前に出版されたハーバート・アズバリ―のノンフィクションを映画化したものです

 

          

 

1846年,ニューヨークのファイブ・ポイントでは,アメリカ生まれの住人たちの組織『ネイティブ』とアイルランド移民たちの組織『デッド・ラビッツ』が対立していた アムステルダム(レオナルド・デイカプリオ)は,幼少時に,神父で『デッド・ラビッツ』のボスである父親を敵のボス,ビリー(ダニエル・デイ=ルイス)に殺された アムステルダムは投獄され,復讐を誓いながら15年の歳月が流れる.彼が帰ってきたファイブ・ポインツはネイティブに支配され腐敗しており,デッド・ラビッツはほとんど壊滅状態にあった アムステルダムは素性を隠しビリーの組織に潜り込み,ビリーから目をかけられるようになる やがてジェニーという女スリ(キャメロン・ディアス)に出逢い次第に魅かれていく.しかし,彼女はビリーが少女時代から面倒をみていた女だった.アムステルダムら『デッド・ラビッツ』生き残り組と ビリー率いる『ネイティブ』は再び敵対し戦うことになる

この映画で一番印象に残ったのは,ジェニーがアムステルダムに「闘いが終わったら一緒にサンフランシスコに行こう」と誘うシーンです ジェニーが世界地図の上を指でニューヨークから目的地まで辿るのですが,アメリカ大陸を横断するのではなく,船で南アメリカ大陸を大回りして西海岸まで行くのです このシーンを見て,1846年当時はアメリカ大陸のど真ん中は東西に横断することが出来る状態ではなかったのだな,と思いました  ちなみに,この映画の舞台になった1846年は,エイブラハム・リンカーンがアメリカ下院議員に就任した年です リンカーンは1809年に生まれ 1861年に大統領に就任,1865年に暗殺されていますが,この映画の中でも「リンカーンが黒人奴隷を開放しろと主張しているのはけしからん」というセリフが聞かれます またネイティブの口から「移民を排斥しろ」というセリフも聞かれ,今のアメリカも同じじゃないかと思ったりしました

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オンドジェイ・ブラベッツ+大谷康子+新日本フィルでブルッフ「ヴァイオリン協奏曲」,ベートーヴェン「交響曲第3番」他を聴く

2017年01月23日 07時56分38秒 | 日記

23日(月).昨日午後,池袋にコンサートに行くため明治通り沿いのバス停で待っていた時のことです.私の前に高齢の中国人らしき(中国語を話していたので)3人が並んでいたのですが,3人とも形も大きさもヴァイオリンに似たハードケースを肩から下げていました おそらくバス停近くの会場で中国に因んだコンサートか何かがあったのでしょう すると,後ろから仲間らしき7~8人の人たち(同じような楽器を肩から下げていた)がやってきて,彼らと話し始めたのです.バスが来たので乗ろうとすると,彼らは私の後から来たにも関わらず 前に並んでいた3人といっしょにバスに乗り込んだのです 唖然としました さらに,彼らは優先席前辺りに固まって話をしていたので,後から入ってくる人が奥に行けません.後方が空いていたので 運転手が『もう少し奥にお詰めください』とアナウンスするものの 日本語が通じないので動きません 運転手は止むを得ずバス停ごとに 乗り込もうとする人に『後から来るバスをご利用ください』と乗車拒否せざるを得ませんでした  彼らは間違いなく音楽家で 言わば『文化人』です.その文化人が列に並ばず バスに乗り込んだのです これは日本の常識では考えられないことです 中国は黄河文明を生んだ偉大な国だし,日本も多くのことを学んだ模範的な国だったかもしれませんが,現在の文化水準はこんなものなのでしょうか 私は楽器が演奏できる人は無条件で尊敬してしまう癖がありますが,今回ばかりは世界を見渡せば音楽家にも常識が通じない人たちもいるのだな,と考えを改めました.本当に残念なことだと思います

ということで,わが家に来てから今日で846日目を迎え,自分に似た物体を見て何者かを考えているモコタロです

 

          

           キミはいったい何者? 普通ウサギはネクタイなんてしないし

 

          

          味見しようと舐めてみたら キミ 紙だったんだね おお紙よ!

          

  閑話休題  

 

昨日,池袋の東京芸術劇場大ホールで新日本フィルのコンサートを聴きました これは「2017都民芸術フェスティバル」参加公演で,プログラムは①スメタナ:連作交響詩「わが祖国」から「モルダウ」,②ブルッフ「ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調」,③ベートーヴェン「交響曲第3番変ホ長調”英雄”」です.②のヴァイオリン独奏は大谷康子,指揮はオンドジェイ・ブラベッツです

 

          

 

自席は2階L列7番,左ブロック左から2つ目です.会場は文字通り満席です オケのメンバーが登場し配置に着きます.コンマスは西江王子(オケのメンバーはこう呼んでいるらしい) いつものように左からヴァイオリン・セクション,チェロ,ヴィオラ,その後ろにコントラバスという編成です

ブラベッツが登場,指揮台に上がります.彼はプラハ音楽院でホルンと指揮法を学び,卒業後は国内の数々の器楽コンクールで入賞を果たしており,指揮では2013年にチェコ・フィルの副指揮者に就任しています

1曲目のスメタナ「モルダウ」はチェコ国民楽派の開祖と親しまれているべドルジハ・スメタナが作曲した連作交響詩の第2作です 泉で湧いた水が川となりボヘミアの街を流れていく様を美しい音楽で描いたものです 冒頭のフルートと弦楽のピッツィカートによる音楽は透明感があって素晴らしいですね この曲でクラシックに入門した人も少なくないのではないかと思います.ブラベッツは慈しむように音楽を紡いでいきます

2曲目はドイツ・ケルン生まれのマックス・ブルッフの「ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調」です この曲は三大ヴァイオリン協奏曲の次くらいに多く演奏される人気曲です.3つの楽章から成りますが,切れ目なく演奏されます

会場いっぱいの拍手に迎えられて,空色の明るいステージ衣装に身を包まれた大谷康子が指揮者と共に登場します 彼女は長年 東京交響楽団のコンミスとして活躍してきましたが,昨年,同楽団の名誉コンサートマスターの称号を与えられています 他のオーケストラには例がないのではないかと思います

第1楽章は短い序奏に続いて独奏ヴァイオリンが入りますが,1708年製グァルネリが最低音から最高音まで美しい音色で会場に響き渡ります 甘美な第2楽章に次いで,躍動感あふれる第3楽章が展開します

会場いっぱいの拍手とブラボーに,大谷は客席に一礼,振り返ってオケに一礼します そして,指揮者ブラベッツに対し,オケのメンバーを立たせるように求めます.この辺は自らがコンミスを務めてきたので オーケストラに対する気配りが自然にできるのでしょう

 

          

 

休憩後は,ベートーヴェンの交響曲第3番変ホ長調”英雄”です よく知られているように,当初はナポレオン・ボナパルトに献呈しようとしたのですが,彼が皇帝に即位したという知らせを聞いて「あの男も結局は平凡な人間に過ぎなかったのだ.自己の野心のためにすべての人の人権を足下に踏みにじった」と憤慨し,「ボナパルト」というナポレオンへの献辞をペンで書き消し,出版に際して「ある英雄の思い出のために」と書き加えたのでした

オケを見渡すと,プログラム前半より規模を縮小し,全体で50人規模の編成になっています 管楽器は2管編成ですが,ホルンだけ3本です.真嶋雄大氏のプログラム解説によると「この交響曲により初めてチェロとコントラバスが分離された」と書かれています.ということは,それまではチェロもコントラバスも混在して演奏していたことになります.トリビアでした

第1楽章は全合奏で2回主和音が強奏され,続いてチェロが主題を奏でます これを聴くと交響曲第2番までとは規模が違うことがはっきりと分かります 雄大なスケールと言って良いでしょう 第2楽章は葬送行進曲です.この楽章は聴きごたえがあります 管楽器が活躍しますが,金子亜未のオーボエを筆頭に,荒川洋のフルート,河村幹子のファゴット,重松希巳江のクラリネット,吉永雅人のホルンが冴え渡っていました

第3楽章はスケルツォですが,従来の交響曲はここで「メヌエット」がきます これも革命家ベートーヴェンの先駆的な試みです 中間部のトリオではホルン3本による演奏が聴かれますが,ホルン出身のブラベッツも満足の素晴らしい演奏でした そして第4楽章のフィナーレを迎えます.ブラベッツ+新日本フィルは集中力に満ちた演奏を展開します

満席の聴衆からの拍手とブラボーに,ドヴォルザークの「チェコ組曲」から第2番「ポルカ」をアンコールに演奏し コンサートを締めくくりました 

ブラベッツは聴衆からだけでなく,オーケストラのメンバーからも大きな拍手を受けていたので,短期間のうちにオケのメンバーの心を掌握したのでしょう とてもいいコンサートでした

 

          

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飯森範親+東響でリムスキー・コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」,プロコフィエフ:カンタータ「アレクサンドル・ネフスキー」を聴く

2017年01月22日 08時42分00秒 | 日記

22日(日).ここ数日喉が痛いのです.軽い風邪かも知れません 最近インフルエンザが流行っているので気を付けねばと思います ということで,わが家に来てから今日で845日目を迎え,ドナルド・トランプがアメリカの第45代大統領として活動を開始するというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

          

            アメリカ第一主義に基づいてすべて交渉で問題を解決する政治の始まりだな

 

  閑話休題  

 

昨夕は「白菜と豚肉の鍋」にしました 白菜も豚肉も底に沈んでますが 寒さが厳しくなるとどうしても鍋が多くなりますね

 

          

 

  も一度,閑話休題  

 

昨日,初台の東京オペラシティコンサートホールで,東京交響楽団 オペラシティシリーズ第95回演奏会を聴きました  プログラムは①リムスキー・コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」,②プロコフィエフ:カンタータ「アレクサンドル・ネフスキー」です ②のメゾソプラノ独唱はエレーナ・オコリシェヴァ,合唱は東響コーラス,指揮は飯森範親,コンマスはグレヴ・二キティンです

 

          

 

「シェエラザート」はロシア5人組の一人,リムスキー・コルサコフが44歳の時 1888年に完成させた交響組曲です アラビアン・ナイト(千一夜物語)から霊感を受けて作曲した劇的なオーケストラ曲です 4つの曲から構成されますが,彼は初演時に各曲に次のような標題を付けています 第1曲=海とシンドバッドの船,第2曲=カランダール(諸国遍歴)皇子の物語,第3曲=若い王子と王女,第4曲=バグダッドの祭り~海~青銅の騎士の立つ岩での難破~終曲 作曲者は後に「描写音楽ではなく,純粋な交響組曲として聴いてほしい」として標題を削除しています しかし,この標題は作曲者の懸念を越えて,この曲を聴くうえで理解の助けになります

この曲の随所でコンマスによるヴァイオリン独奏が聴かれますが,二キティンによる演奏は抒情的で美しく 会場の隅々まで響き渡りました また 管楽器ではオーボエの荒木奏美,フルートの甲藤さち,クラリネットのエマニュエル・ヌヴ―の演奏が冴えていました

 

          

 

休憩後はセルゲイ・プロコフィエフのカンタータ「アレクサンドル・ネフスキー」です 東響コーラスの混声合唱団が入場します.向かって左サイドに女声陣約70名が,右サイドに男声陣約50名がオケの後方にスタンバイします

この曲は,ドイツやモンゴルやスウェーデン等の侵略者からロシアを守った13世紀の英雄「アレクサンドル・ネフスキー」を扱ったカンタータ(オーケストラ伴奏付き 多楽章の声楽曲)ですが,もともとはエイゼンシュテイン監督による同名の映画の音楽をプロコフィエフが任されたのです これを後に全7曲から成るカンタータとして編み直したのです.内容は,ドイツ騎士団を氷上の闘いで撃滅させた中世ロシアの英雄アレクサンドル・ネフスキー公を描いています

第1曲=モンゴルの軛(くびき)に苦しむルーシ(ロシア),第2曲=アレクサンドル・ネフスキーの歌,第3曲=プスコーフに駐留する十字架団,第4曲=立ち上がれルーシの人々よ,第5曲=氷上の激戦,第6曲=死せる野,第7曲=アレクサンドルのプスコーフ入場ーの6つの曲から成ります

この曲の白眉は,第4曲「立ち上がれ ルーシの人々よ」,第5曲「氷上の激戦」,そして第6曲「死せる野」です 第4曲では冒頭から鐘の音が高らかに鳴り響き,金管楽器が咆哮します ロシアの人民を鼓舞する音楽です.そして,第5曲では管楽器,弦楽器,打楽器によって激しい闘いの様子が描写されます 第6曲に移る直前,ウクライナ出身のメゾソプラノ,エレーナ・オコリチェヴァが舞台右袖から入場し中央に移動,戦死した勇敢な兵士たちへの賛歌を歌います

実は,この曲を聴くに当たってクラウディオ・アバド指揮シカゴ交響楽団によるCDで予習しておいたのですが,10回以上聴いたにも関わらず,この曲のどこが良いのかさっぱり分からなかったのです しかし,目の前で生演奏を聴いてみたら,この曲の壮大さに 初めて感動的な素晴らしい曲だと思いました マーラーやブルックナーはもちろんのこと,プロコフィエフのカンタータ「アレクサンドル・ネフスキー」も,家でCDをちまちま聴いているだけではその本当の良さが分からないのだ,ということを実感しました

東響の皆さん,メゾソプラノのオコリシェヴァさんはもちろんのこと,東響コーラスの皆さんのパフォーマンスには目を見張るものがありました 素晴らしいコンサートでした

 

          

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