植田景子さんの課題
仮に今、植田景子さんよりも素晴らしい脚本を書けるアマチュアがいたと
しても全然驚かないし、彼女以上に宝塚歌劇を愛する脚本家がいても
全然不思議ではないと思います
けれど、実際に脚本を舞台化出来るのは「座付作家」である彼女だし、
どんなに上手で愛宝心あるアマチュアがいても絶対に採用される事はない。
いわば彼女は宝塚歌劇団に採用された時点で「勝ち組」の一人。
外部の小劇場で予算と悪戦苦闘しながらオリジナルを作り続けている人
からみたら、あんな大きな劇場を自由自在に使えて恵まれてるし、
「嫉妬・妬み」の対象になるでしょうね
でも、彼女自身、自分が「宝塚の座付作家」であり、うらやまれる
存在である自覚があるのかしら?
彼女の最近の傾向はストーリー性を無視して、ひたすら歌とダンスで
繋ぎ華やかさを出す事で「いかにも大劇場作品」風に仕上げていると
いう事。要はごまかし
中身のないデコレーションケーキです
まだ若いしキャリアもあまりない・・・彼女が何でこんな小手先で
ごまかすような技術を使うのか。
そういうのは大御所の力技として見せられるなら「さすが」とも思えるけど
まだ彼女の立場では早すぎるっ
そんな事よりも
ストーリーの起承転結をきちんとつける
登場人物の魅力を引き出し、台詞を吟味する
娘役の描き方をもっとしっかりとし、女性観客の共感を得る
脚本を書く上で基本中の基本が出来てないんじゃないですか?
今回の作品は、前回の「安蘭けいのさよなら」作品同様、だらだらして
余計な歌や踊りを入れて場面を増やし、肝心の本質に関わる部分が
欠落しています。頭の中にエドアルド・フランツ・テレーゼの相関図すら
入ってないし、当時の政治状況も把握してないでしょ
歌ばかりの「エリザーベート」やら谷先生の群集芝居を真似てるだけーー
もう一度初心に戻るべきではないかと・・・・・・・
という事で本日二回目の観劇
途中で寝てしまいそうになり・・・駄目だーー退屈すぎるっ
「いかなる困難があろうとも希望を失ってはいけない」という台詞を
何度も繰り返すあたり、やっぱり谷先生風を真似たのか?と思い、
でもこのご時世にこの台詞ってあまりにも現実的じゃないなあ。
途中まではいいのです。途中までは
問題は、エドアルドがいきなりフランツに宮廷を去ると告げるあたりから
めちゃくちゃになってしまい、フランツが銀橋で「ハプスブルクの宝剣」
と名づける・・・みたいな歌が白々しくて
一緒に見たお友達は「何でハプスブルクの宝剣なの?」などと
不思議がっていましたけど
音楽について
今回、シルベスター・リーヴァイが主題歌を作り、いくつか場面を担当
しているので音楽的にはとても素晴らしいです。
作曲担当の甲斐正人氏も久々にいい曲を書いているし
(ちょっと「王家に捧ぐ歌」風?)
でも、とにかく何でもかんでも柚希礼音にばかり歌わせている所が問題。
今の星組は一芸に秀でた職人タイプがいないので、おのずとトップに
覆いかぶさるような感じになるんでしょうけど、あまりにも礼音尽くしじゃあ。
衣装について
エリヤーフーもエドアルドも黒一色の衣装なので、ショーブランか
はたまたトート閣下のようで、ちっとも美しくないっ!!
凰稀かなめのごてごて衣装は・・・フランス風だって?いくらなんでも
ごてごてしすぎじゃない?
専科の京美紗さんの衣装の方がテレーゼより立派に見えてしまって
出演者について
柚希礼音・・・エリヤーフーとエドアルド
綺麗だし歌は上手、ダンスも上々・・・なんだけどねーー
一本調子なのよっ
このままでは未完の大器もしくははだかの王様になりかねず
誰か彼女に「考えて演技する」事を教えてあげて欲しいわ。
下級生の頃は「言われた通りに演じました」で、素直にのびのび
すくすく育って来たけど、トップになったら誰も教えてくれない
ゆえにタムドクもエリヤーフーも同じように演じるしかないの?
歌も一本調子で延々と聞いてると眠くなるし。
課題は大きすぎるかも
凰稀かなめ・・・なんせ出番が少ないしつったって喋るか歌うしかないので
評価のしようがないのです
ただ・・・2番手の地位が重いという自覚をもう少し持って欲しい。
トップを支えつつ拮抗していくのが2番手だから。
何でも出来る人なのであまり悩まないのかなあ?
(それは礼音も同じで・・・二人がそうだと問題だよね)
あのごてごて衣装を着てさまになっている部分はさすがと
思いますし、優しい皇帝だったなあ・・・と。もっと脚本家が
愛情を持って台詞を書いてあげなさいよといいたいです。
夢咲ねね・・・娘役トップの条件って
美しい事
姫かマドンナタイプである事
相手役に寄り添い尽くす事
だと思うのですが、彼女はそのどれでもないという事。
お披露目がキハで次がテレーゼで・・・神秘的かつ品格を
備えた「これぞ娘役トップ」の筈なのに、おきゃんな町娘に
しか見えないのは残念
しかも悪い意味で気が強いだろうなあというのが見えるので、
トップに寄り添っているように見えません
本当に柚希礼音に必要な娘役は「南海まり」ちゃんのような
母性本能がんがんのマドンナタイプだったんじゃないか?
ショーブランが成功したのだって、遠野あすかのおかげだろうし。
あ、で・・・テレーゼですけど。脚本に深い書き込みがないので
別に・・・って感じ。
アドアルドに迫られるシーンも別段ドキドキせず
涼紫央・・・ジャカン。
何でいつも怒ってるの?みたいな役でしたよね。
ジャカンはフランツが大好きで、でもフランツはエドアルドばっかり
可愛がるので許せなくなってテレーゼにユダヤ人だと
言うんだけど、そのあたりが一切描かれてなくて、ただ
フランツの側に突っ立てるだけの役でした
突っ立てるだけと言えば、フランツの弟役の真風涼帆もまた「兄上」しか
台詞がなかった? やたら無駄な人物が多かったかな?
何で?といえば彩海早矢.。さよならでなんでこんな役?
「ガラスの風景」の夢輝のあよりひどい扱いっ
琴まりえも同様。そういうのってあり?