ふぶきの部屋

皇室問題を中心に、政治から宝塚まで。
毎日更新しています。

ハプスブルクの宝剣2

2010-02-21 12:28:01 | 宝塚コラム

 植田景子さんの課題

仮に今、植田景子さんよりも素晴らしい脚本を書けるアマチュアがいたと

しても全然驚かないし、彼女以上に宝塚歌劇を愛する脚本家がいても

全然不思議ではないと思います

けれど、実際に脚本を舞台化出来るのは「座付作家」である彼女だし、

どんなに上手で愛宝心あるアマチュアがいても絶対に採用される事はない。

いわば彼女は宝塚歌劇団に採用された時点で「勝ち組」の一人。

外部の小劇場で予算と悪戦苦闘しながらオリジナルを作り続けている人

からみたら、あんな大きな劇場を自由自在に使えて恵まれてるし、

「嫉妬・妬み」の対象になるでしょうね

でも、彼女自身、自分が「宝塚の座付作家」であり、うらやまれる

存在である自覚があるのかしら?

彼女の最近の傾向はストーリー性を無視して、ひたすら歌とダンスで

繋ぎ華やかさを出す事で「いかにも大劇場作品」風に仕上げていると

いう事。要はごまかし

中身のないデコレーションケーキです

まだ若いしキャリアもあまりない・・・彼女が何でこんな小手先で

ごまかすような技術を使うのか。

そういうのは大御所の力技として見せられるなら「さすが」とも思えるけど

まだ彼女の立場では早すぎるっ

そんな事よりも

 ストーリーの起承転結をきちんとつける

 登場人物の魅力を引き出し、台詞を吟味する

 娘役の描き方をもっとしっかりとし、女性観客の共感を得る

脚本を書く上で基本中の基本が出来てないんじゃないですか?

今回の作品は、前回の「安蘭けいのさよなら」作品同様、だらだらして

余計な歌や踊りを入れて場面を増やし、肝心の本質に関わる部分が

欠落しています。頭の中にエドアルド・フランツ・テレーゼの相関図すら

入ってないし、当時の政治状況も把握してないでしょ

歌ばかりの「エリザーベート」やら谷先生の群集芝居を真似てるだけーー

もう一度初心に戻るべきではないかと・・・・・・・

 

 という事で本日二回目の観劇

途中で寝てしまいそうになり・・・駄目だーー退屈すぎるっ

いかなる困難があろうとも希望を失ってはいけない」という台詞を

何度も繰り返すあたり、やっぱり谷先生風を真似たのか?と思い、

でもこのご時世にこの台詞ってあまりにも現実的じゃないなあ。

途中まではいいのです。途中までは

問題は、エドアルドがいきなりフランツに宮廷を去ると告げるあたりから

めちゃくちゃになってしまい、フランツが銀橋で「ハプスブルクの宝剣」

と名づける・・・みたいな歌が白々しくて

一緒に見たお友達は「何でハプスブルクの宝剣なの?」などと

不思議がっていましたけど

 

 音楽について

今回、シルベスター・リーヴァイが主題歌を作り、いくつか場面を担当

しているので音楽的にはとても素晴らしいです。

作曲担当の甲斐正人氏も久々にいい曲を書いているし

(ちょっと「王家に捧ぐ歌」風?)

でも、とにかく何でもかんでも柚希礼音にばかり歌わせている所が問題。

今の星組は一芸に秀でた職人タイプがいないので、おのずとトップに

覆いかぶさるような感じになるんでしょうけど、あまりにも礼音尽くしじゃあ。

 

 衣装について

エリヤーフーもエドアルドも黒一色の衣装なので、ショーブランか

はたまたトート閣下のようで、ちっとも美しくないっ!!

凰稀かなめのごてごて衣装は・・・フランス風だって?いくらなんでも

ごてごてしすぎじゃない?

専科の京美紗さんの衣装の方がテレーゼより立派に見えてしまって

 

 出演者について

 

柚希礼音・・・エリヤーフーとエドアルド

        綺麗だし歌は上手、ダンスも上々・・・なんだけどねーー

        一本調子なのよっ

        このままでは未完の大器もしくははだかの王様になりかねず

        誰か彼女に「考えて演技する」事を教えてあげて欲しいわ。

        下級生の頃は「言われた通りに演じました」で、素直にのびのび

       すくすく育って来たけど、トップになったら誰も教えてくれない

       ゆえにタムドクもエリヤーフーも同じように演じるしかないの?

        歌も一本調子で延々と聞いてると眠くなるし。

       課題は大きすぎるかも

 

凰稀かなめ・・・なんせ出番が少ないしつったって喋るか歌うしかないので

         評価のしようがないのです

         ただ・・・2番手の地位が重いという自覚をもう少し持って欲しい。

         トップを支えつつ拮抗していくのが2番手だから。

         何でも出来る人なのであまり悩まないのかなあ?

         (それは礼音も同じで・・・二人がそうだと問題だよね)

         あのごてごて衣装を着てさまになっている部分はさすがと

         思いますし、優しい皇帝だったなあ・・・と。もっと脚本家が

         愛情を持って台詞を書いてあげなさいよといいたいです。

 

夢咲ねね・・・娘役トップの条件って

        美しい事 

        姫かマドンナタイプである事

        相手役に寄り添い尽くす事

       だと思うのですが、彼女はそのどれでもないという事。

       お披露目がキハで次がテレーゼで・・・神秘的かつ品格を

       備えた「これぞ娘役トップ」の筈なのに、おきゃんな町娘に

      しか見えないのは残念

      しかも悪い意味で気が強いだろうなあというのが見えるので、

      トップに寄り添っているように見えません

      本当に柚希礼音に必要な娘役は「南海まり」ちゃんのような

      母性本能がんがんのマドンナタイプだったんじゃないか?

      ショーブランが成功したのだって、遠野あすかのおかげだろうし。

      あ、で・・・テレーゼですけど。脚本に深い書き込みがないので

      別に・・・って感じ。

      アドアルドに迫られるシーンも別段ドキドキせず

      

涼紫央・・・ジャカン。

       何でいつも怒ってるの?みたいな役でしたよね。

       ジャカンはフランツが大好きで、でもフランツはエドアルドばっかり

       可愛がるので許せなくなってテレーゼにユダヤ人だと

       言うんだけど、そのあたりが一切描かれてなくて、ただ

       フランツの側に突っ立てるだけの役でした

 

突っ立てるだけと言えば、フランツの弟役の真風涼帆もまた「兄上」しか

台詞がなかった? やたら無駄な人物が多かったかな?

何で?といえば彩海早矢.。さよならでなんでこんな役?

「ガラスの風景」の夢輝のあよりひどい扱いっ

琴まりえも同様。そういうのってあり?

 

 

 

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ハプスブルクの宝剣1

2010-02-21 10:52:54 | 宝塚コラム

 昨日、星組 「ハプスブルクの宝剣」を見てまいりました

本日もまた見るので(すでにMY楽です)追加の感想も書こうとは

思いますが、一応感じたことをつれづれと・・・・・・・

 全体的には、生え抜きトップが当然のようにトップになった

筈の星組でこんなに違和感というか、まとまりのない舞台を見る事に

なるとは思わず 悲しいやら悔しいやら

これは作家の責任ではないかと。

 

 私は原作を読みました派です。

宝塚歌劇において果たして原作を読む事がいいのかわるいのか

議論が分かれる所だと思います。

通常は原作を読んで、作家なり役者なりがそれをどのように解釈したとか

どの部分をクローズアップしたとか・・・そういう部分を読み解き

「素晴らしい!」と感心したりする楽しみがあるのですが

でも、宝塚においては「原作は読まないほうがいいよ」という方が多く・・・

なぜって?

原作と全く違うからです もうこれは「解釈の違い」などという言葉で

表現出来る範囲ではなく、「歪曲」ではないかと そうなると

原作を知っている事がかえって邪魔になって舞台を楽しめないという事が

ありますね

カラマーゾフの兄弟」を見る前に頑張ってあの長い小説を読んで

行ったのに舞台を見たら「へ?」ってな感じで「私の努力は何だったの?」

思った記憶があります

あれって、後ろの解説文だけ読んで作ったような話だったし、まさか重要

人物であるゾシマ長老を省くなんて考えてもいなかったので

でも、あれはあれで「宝塚歌劇」しての面白さは確かにあったし、盛り上げ方も

上手で、原作を貫くテーマ「神の存在」を違和感なく表現していたと

思います・・・・・あれを見て「もう一回原作を読もうか」と思いました

(そのうちね・・・・

 

しかしながら今回の「ハプスブルクの宝剣」は原作のエッセンスどころか

作品のよさを全く理解しておらず、自分勝手に歪曲した結果、原作を

読まないで見たお客様にストーリーの勘違いをさせてしまう恐れも

あるわけで

 

原作は非常に長い です。ユダヤ人のエリヤーフーの部分も長ければ

その後の人生も長いって言うか・・・とても1時間半にまとめるなんて

はっきり言って無理な作品でした

もしどうしても舞台化したければ、ユダヤ人時代とエドアルドになって

からの人生を分けて連作とすべきではなかったかと思います。

結果的にながーーい作品を1時間半にまとめるため、エピソードを

自分流に変えちゃった・・・ そういうのってありですか

 

 宗教と人種差別

最近、ネット上でよくみかける意見が

「難しくてわかんない。ゆえにつまんない」

という意見です

かつて「ベルサイユのばら」が上演される前、日本人の若者のどれ程

の人が「フランス革命史」について知っていたでしょうか?

でも原作が非常にわかりやすかったし、歌劇から入った人でも、その後に

フランス革命に興味を持って勉強を始めた人も多かった筈

でも、最近の方々は「自分がわからない事はつまんない」と簡単に

決め付ける傾向があるようで・・・・・

それが作品への容赦ない攻撃になってしまう事が悲しいです

「ロシアン・ブルー」・・・ロシアがソ連に変わっていく歴史や少数派が

迫害される悲しみを描いた筈なのに「暗くてつまんない。ソ連って何?」

カサブランカ」・・・ナチの迫害を受けて逃げて来た人達と、戦争に

関わっていく人間模様、反ナチのプロバガンダの筈なのに一刀両断に

「意味わかんないし暗いのでつまんない」

大昔の柴田作品を上演すれば「価値観がわかんない。古い。つまんない」

歌舞伎だの新派だの見に行ってこんな感想ばかりって事ないよね?

植爺の作品はつまんない」っていうのは合言葉だし・・・・

なぜ宝塚の観客はそうなのか

それはやっぱりちゃんと観客を育ててこなかったからじゃないかと

当時の価値観は○○で、舞台の本質は○○で」って理解しようと務める

のが観客だと思うんですが。

 

前置きが長くなったけど、この「ハプスブルクの宝剣」もまた

舞台が暗い、意味わかんない、つまんない」の3拍子揃った意見が

多いと思います。

植田景子先生にしてみれば、難しい部分を全部はしょって骨子だけにし、

そこに自分なりの解釈を入れてわかりやすくしたつもりなんでしょうけど。

でも、この作品の根底に流れる「宗教観の違い、人種の違い」が

何で戦争に向ったりするのかは日本人には永遠にわからない事では?

そもそもエリヤーフーが「律法」のドイツ語版を作りますが、なんでそれが

「破門」に繋がるほど駄目な事なのか・・・・

律法って何?安息日って何?」と聞かれたらこれはもう・・・・・・・

ユダヤ人差別に関してはナチスドイツの例もあり、理解出来ないわけじゃ

ないと思うけど、要はその理由なのよ。

「異教徒」であるという事がどれ程生きづらい事かという事。

NHKのハイビジョンで見ましたけど、当時はカトリック、ギリシャ正教

イスラム教の間で宗教戦争が起こってて、お互いを潰そうとしてたわけで

宗教を変えたりするという事は人が一度死んで生まれなおすくらいの

重みがある事。それをあのエリヤーフーはいとも簡単にやってしまう

ところが原作と違うよなーーって思います。

テレーゼがアドアルドを嫌う理由も「私を侮辱した異教徒」ってだけじゃ

ないのよーーそこらへんの葛藤が全く描かれず。ゆえに最終的に

「わけわかんない。つまんない」になるんじゃないかと。

とにかく礼音君がカッコイイからいいや」こんなファンばかりになったら

宝塚は潰れるよーーー

 

 「テーマは居場所を求める旅」

今回の植田景子先生の原作に見出したテーマがこれだそうです。

ゆえにエリヤーフーは一度ユダヤ人である事を棄て、ハプスブルク家に

仕える事で「真のオーストリア人」になる事を決めるのですが、自分の

家族が迫害されている所を見て「自分って何?アイデンテxティ」を

喪失して戦争に行き、負傷して帰り、そこでかつて自分が作った本を見て

「ああ、やっぱり自分はユダヤ人なんだ」と回帰していく・・・

 

 思わず「え?そういう話だったっけ?」と思っちゃったんですけど。

それにしてはエリヤーフーがユダヤ人からオーストリア人になっていく

過程を見事にすっとばしてくれちゃったので、全然わかりません

そもそも何でエドアルドはあんなに自分を嫌うテレーゼの為に

頑張るの?彼にとってテレーゼってアーデルハイドの幻影ですか

フタンツはなぜエリヤーフーを救ったのですか?

オイゲン公もまたなぜ?

フランツ・ロートリンゲンが自国を棄てる代わりに皇帝の娘と結婚するに

至った経緯も、オーストリアで「女帝」は認められない存在である事の説明も

領土を守る事が皇帝の仕事であるという事も重みも描かれず、

アドアルドが誰の為、何の為に策略を巡らし戦争へ行くのかが

イマイチつかめません

フランツは優しいだけの男になってるし・・・人間関係が薄すぎるのね。

フランツが声高にラスト「ハプスブルクの宝剣」と称えるのも跡付けっぽく

タイトルとテーマが違うのでは?」と思いました。

ラストシーンに至っては・・・・・・ 駄目だこりゃ。

 

 

 

 

 

 

コメント (2)
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