ふぶきの部屋

皇室問題を中心に、政治から宝塚まで。
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韓国史劇風小説「天皇の母」30 (フィクションです)

2011-11-06 16:42:33 | 小説「天皇の母1話ー100話

一見何事もないように時は過ぎていくものだ。

あとになって「あとの時がターニングポイントだったんだろうか」とか

何でもっと早く手を打てなかったんだろうか」とか、色々考える事はある。

どんなに賢い人でも流れを先読みするのは難しい・・・政治と違って人の人生は特に。

順調に生きていた人が予想もつかない困難に見舞われたり、その逆も。

天皇家もまたしかり。

 

天皇は事あるごとに「戦争責任」と言われていても、国内では不動の地位を守っていた。

誰も彼のカリスマ性に物申す人はいなかった。

彼は人間宣言してもやっぱり「現人神」そのままの雰囲気で君臨しているのだ。

国民は彼を見る度に「天皇はこうあるべき」だと思い、皇太子一家をみるたび

「理想的な日本のハイソサエティ」だと思った。

しかし、「皇統」の不安は誰もが持っていた・・・・この先、どうなるんだろう。

トモヒト殿下が皇籍離脱をお申し出に」

宮内庁長官からそれを聞いた時、天皇は何も言葉を発する事無く無視した。

多くの国民が「皇族って皇族を辞める自由があるんだ」と思った。

11宮家が臣籍降下した歴史など、もうすぐ21世紀の時代には過去の出来事。

学校でも習わないから誰も知らない。

 

天皇は無視したけれど、トモヒト親王自身は大真面目だったし、離脱させろと

何度も宮内庁に乗り込む始末。

殿下・・・落ち着き遊ばして」

宮内庁長官は怒りの芽を出さないようにと慎重に言葉を選びつつ言った。

殿下はミカサノミヤ家の次期当主であらしゃるんですよ。

それを放棄されるのですか

皇族なんていらんだろう。税金泥棒だと思われているんだから」

何てことを

俺達は小さい頃からそんな風に言われて十分傷ついているんだから。

うちの宮家一つなくなった所で困るまい。なんせ皇太子家には男子が2人もいる」

陛下はお認めになりません。殿下は陛下の甥御様なんですから。でもなぜ

そこまで離脱をなさりたいのですか」

福祉をやりたいんだよ。障害者福祉をね」

殿下がご熱心に取り組んでいらっしゃる分野ですね。最近では障害者のスキーとか

筋ジストロフィー患者支援とか様々な事を行っていらっしゃる」

そう。で、そういう事を本気でやろうという時に皇族という身分が邪魔な場合が

多々ある。例えば言葉一つとってもだ。あれは言っちゃいかん、これはダメだと

一々宮内庁からダメダシが入る。言論統制もはなはだしい」

しかし、皇族は政治的な事や実務に携わる事は禁止されているわけで。

ゆえにどんな場合も公正に公平にあたりさわりなく・・・」

そんなんじゃほんとの福祉なんか出来ないだろ

バン!とトモヒトはテーブルを叩いた。

お茶がこぼれて床に落ちても親王は構わなかった。

福祉ってのはそんな甘いもんじゃないんだよ。いつも生活の危機と向き合ってるし

社会的地位の低さや偏見にも苦しんでる。そういうのを本気で支援しようと

いう時にあたりさわりなくだあ?そんな事出来るか。だったら一国民になって

どんどん実務を担当した方がいいと思ったんだ」

お気持ちはわかりますが・・・それは宮内庁としては認めかねます。

陛下がお許しになりません」

「陛下か・・・・何を考えているんだ?陛下は。さっぱりわからない」

何て事を。陛下は常にこの国の安泰を祈り、皇統の行く末を見守り・・・」

大元帥陛下でいらした頃は陛下の言葉一つでどうとでもなったことがあった。

特に皇室の中身についてはね。でも今はなんだよ。陛下を差し置いて暗躍している

のは宮内庁じゃないか」

「あ・・・暗躍?」

宮内庁長官は驚いて耳を疑った。

私共がよからぬ事を考えているとでも?」

「そうだよ。オモテとオクの確執が強い事くらいはこっちだってわかってる。

オモテは国家公務員で何年かたてば宮内庁から流れていく奴ら。そんなのから

みたら宮内庁なんて単なるハク付けの場でしかない。問題を起こす皇族がいな

ければそれで十分。一方、オクは陛下に戦前か使えた侍従たちの場所。

イリエなんて「開かれた皇室」を合言葉に「庶民的で開放感あふれる皇室」を

演出しようとあれこれ画策しやがって。皇太子一家は毎年軽井沢のプリンスホテル

系列で静養したり、両陛下のアメリカ訪問の時はわざと一般の子供を膝に乗せて

アピールしたり・・・とまあ、やってるけど、そのくせ陛下の高齢を理由に宮中祭祀を

簡略化したり、靖国に参拝させないようにしたりさ・・・」

長官は真顔で黙った。

結局、今の宮内庁はオモテもオクも本当に皇室の事を考える人間なんか

いやしない。自分達の権威を守る為、あるいは反皇室の芽を育てようとする

輩の巣になりつつあるのさ」

聞き捨てなにませんぞ、殿下。確かに我々は一介の国家公務員ですが、日々の

職務はきちんと遂行し、皇室のことを誰よりも考えているつもりでおります。

反日の芽なぞある筈がございません」

おやそうかい?最近、なにやら外務省からこっちに流れているようじゃないか。

外務省といえば、本来最も愛国心の強い奴らがいなくちゃならない省庁だが

なぜかもっとも反日の輩が巣食う場所になってる。それもこれもチャイナスクール?

ロシアンスクール?天皇の戦争責任を一気について皇室廃止論へ持っていきたい

連中が宮内庁に潜り込んでるって話だよ」

そんな話は聞いたことがありません」

まあいいけど。どうせ我々皇族には止めようがないんだから。天皇、皇太子一家は

いいとして、俺達宮家の人間ってのはなんだろうね・・・・血のスペアだなんて

かっこいいこと言ってるけどさ。誰もが東宮家のヒロノミヤとアヤノミヤの

将来を憂える人間なんていやしない。あんたら国家公務員と違って宮家は

健康保険がきかないし、政府から支給される金で皇族としての対面を保ちつつ

生活するのは本当に大変なんだよ。インチキも出来ないしな。そんなにまで苦しい

思いをしながら品位保持してどうなるっていうんだろう。

もう華族制度はないし、旧皇族も一般人化したしなあ。

今の東宮家は見事に旧皇族・旧華族を敵に回して孤立してる。うちの父上達

だって何も言わないけど冷たい視線を向けているんだぜ」

最後は元気ない独り言のようだった。

宮内庁長官も黙り込む。

確かにトモヒト親王の言葉は事実だったのだった。

しゃべるだけしゃべって親王は満足したのか、その後離脱を言い出す事は

なくなった。アソウ家から随分年下の妃殿下を貰い、女王二人に恵まれた。

しかし・・・跡継ぎの男子には恵まれず、親王自身がガンになる。

血のスペアは繋がらない事が決定したのだった。

コメント (6)
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