ふぶきの部屋

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韓国史劇風小説「天皇の母」32(フィクションだから)

2011-11-27 10:59:43 | 小説「天皇の母1話ー100話

マサコさんの進学を受け入れる事は出来ないそうです」

田園調布フタバの中等部の一室でそう宣言されたユミコは「もしや」とは思って

いたが本当にそう宣言されるとは思っていなかった。

この学校には下の双子も通っているし、寄付金だって弾んでいる筈。

何でうちのまーちゃんだけがダメなのか?

成績は悪くない筈で高等部進学は問題ないはずですが」

成績ではありません

教師はため息をついた。

素行に問題があるのです

素行?何か問題を起こしたかしら?確かにまーちゃんはハイになるとやりすぎる事が

あるけど、でもそれって普通の女の子なら誰でもあることで。

お嬢様は非常に・・・何といいますか・・・正直、我が校の校風に合わないと

申しますか、ある意味容赦ない方でいらっしゃる」

容赦ないって・・・どういう事?

小学校の時から担任の教師らからそういう報告は受けておりますが、最近になって

さらに拍車がかかっているように思います」

お話の意味がよくわかりません」

お母様はご存じないのですか?」

と、教師は呆れた顔をした。こんな顔をされるとは心外だった。

夫は外交官で私はエガシラ家の娘よ。学歴だってお金だって一般人とは比べ物に

ならないのに。何でそんな侮辱を?

例えば・・・小学校時代でしたか。ドッジボールで相手を容赦なく叩きのめし

泣かせた事件が多々ございます。そこまでしなくてもと思うのに執拗に追廻し

もはやゲームの域を超えていました。でもその当時はたかが小学生のやる事だしと

誰もが冷静に受け止めていたのです」

ああ・・とユミコは思い当たる節があった。

それはねずみの話。生物部に入っていたまーちゃんが、ハツカネズミを3匹持ち帰り

漬物樽に入れていたらそれが増えに増えて50匹以上になり、それがある日

樽を破って逃げたので保健所を呼ぶ大騒ぎになった事件。

でもそれってあの子が観察好きで研究家肌である証拠よね。

へんてこなイモの根を拾って庭に植えたら、知らないうちに庭中に根を張って

大変な事になった・・あれだってあの子の個性だわ。

でも中学に入り、よくないお仲間が出来たのでしょうか?学校では禁止している

のに野球選手のおっかけ等をやり始めてあやうく補導される所でしたわね」

あああれ・・・でもあれはまーちゃんが好きだった巨人の選手が悪いのよ。

中学生がおっかけしているなら「帰りなさい」って言えばいいのに、一緒に写真まで

撮っちゃって・・・

ソフトボール部でのお振る舞いもあるまじきことでした」

だってあれは部長のまーちゃんの言う事をきかない部員が悪かったのよ。

反抗されたら誰だって合宿所を抜け出したくなるじゃない。でもあれは私がアイスクリーム

を持って一件一件回ってお詫びして済んだ事じゃないの?

国語の時間に「体育に変更になりました」と黒板に書いて、生徒全員をベランダに

隠して授業妨害した事もありましたっけね。

録音機を使ってサイレンを鳴らし、「火事だ」と叫んで大騒ぎになった事もありました。

修学旅行では「急病人が出た」と言って旅行会社の方を呼び出して

部屋に閉じ込めた事もございましたし、夜中に缶詰やらマヨネーズを持ち込んで

宴会を開いたとの証言もございます。

そうそう、我が校は敬虔なるカトリック校ですが、よりにもよって

祭壇のホスチアを盗み食いいた事件もございましたっけ」

次から次へと列挙される事をユミコはほとんど覚えていなかった。

多分、担任から連絡がきていた筈だったが、ユミコとしては一貫して

まーちゃんだけが悪いわけじゃないから」と事を重要視してこなかったのである。

我が校は私立の名門として一定の品格を保っておりますが、お嬢様のお振る舞いは

常軌を逸しています。公立校なら受け入れる事柄でも私立では許されない事が

多々あるのです。というわけで、高等部としてはお嬢様を受け入れるわけには

いかないとの判断がございました。今から外部を受験された方がよろしいかと」

ちょっと待ってください。うちの娘がした事はそんなに大げさな事なのですか?

スポーツ選手を好きになったり、いたずらをするというような事はあの年頃なら

誰でも一度は経験する事じゃないのでしょうか?

なぜうちの娘だけがそんな扱いを受けなくてはならないのですか」

危険性を感じるからです」

危険性?」

お母様としてはお嬢様のお振る舞いをよくある事として認識されているようですが

私達は児童心理学や精神分析学等をもとにして判断しております。

お嬢様は精神的に不安定な部分がおありになるのでは?周囲の注目を集めたい

誰かに気にして貰いたいなどの不安が行動を起こさせているような・・・という

分析結果もございます。心当たりはございますか?」

「いいえ、全く。うちは普通の家庭ですもの」

そうですか。では単に性格的な問題だとするとさらに校風に合わないという事です。

エスカレートして本当に大事になれば我が校の名誉に関わりますから」

 

何とも厳しすぎる教師の言葉にユミコは屈辱的な思いで帰宅した。

母親のお前がしっかり管理していないからそういう事になるんだ」

夫には責められた。

何でそういう話に?私はちゃんとやってるわよ。あなたこそ無関心だったじゃない。

確かにまーちゃんはちょっと変わってるかもしれないけどそれって個性でしょ?

それを認めない回りが悪いのよ。これは差別だわ。きっとあの子がチッソの孫

だと吹聴した人間がいるのよ。名誉毀損よ。訴えてやるわ」

馬鹿な。そんな事をしたらレイコとセツコはどうなるんだ?全くお前は。

仮に差別なら後から十二分に仕返しをしてやればいいさ。あんな学校よりも

ずっと上の学校へ通わせればいい」

どういう事?」

あと1年程で海外勤務になる。そしたらマサコを留学させればいい。

それまでは高等部で面倒を見てもらえ。転校を前提にすれば誰も文句は言うまい」

 

ごたごたの末にマサコは高等部への進学が許されたが、このときの屈辱感は

親としては消化しがたいものだった。

外務省勤務の外交官の家柄なんて重要視されないという事か?

もっと権力を持たなくては。

何をやっても文句をつけられることのないように。たとえ出来損ないの娘でも

全てがひれふすような環境を作り上げてやる。

一方ユミコは「この人はまだ男の子を産めなかった私を責めている」と思っていた。

 

 

コメント (3)
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