ふぶきの部屋

皇室問題を中心に、政治から宝塚まで。
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ロコへのバラード

2011-11-20 11:54:46 | ヅカOG その他舞台

上質な芸術を堪能させて頂きました。お金があれば毎日でも通いたい・・・

そんな舞台でした。

 

 ロコへのバラード 

構成・演出・・・・小林香

音楽監督・・・小松亮太

キャスト・・・彩吹真央・石井一孝・西島千博・中河内雅貴・宮菜穂子・

       CHIZUKO・HUGO

 

 構成について

これはストーリー性のあるショーですね。

「ロコ」は「おかしい人」って意味です。

舞台はブエノスアイレスの小さな書店。そこで働くマリア(彩吹)は最近

姉を亡くしたもうすぐ40歳の独身女性。真面目でおとなしくて「自分は幸福になって

はいけない」と思っている。

毎週金曜日に朗読会で本を読む。そこに集まってくる人のリクエストに答えて

本を選び、それにまつわるタンゴショーが展開する。

選ばれた本は「存在の耐えられない軽さ」と「コレラの時代の愛」

夫の浮気を疑って悩む妻と関係修復していく過程、拒絶したまま50年の歳月を経て

再会したカップルの話

ラストはマリアが椅子職人のラロ(西島)とカップルに。それを見守るオラシオ(石井)

の悲しい視線。

小林香という人は芸術に囲まれてお育ちになったようですし、同志社大学卒業だし

知識も教養もかなり高い人なんだなあって思いました。

本がうず高く積まれたセットや、朗読する本の選び方、それから選曲も、全てにおいて

知性の高さを感じます。

正直、宝塚には現在いないタイプの演出家だなあって・・・・

(オギーがそのタイプだったけど辞めちゃったし)

まあ、宝塚は庶民の娯楽だからあまりに知性が高すぎてもついていけない部分は

ありますが

ただ・・・宝塚のショーを見て来た私的には「テーマも選曲も素晴らしいけど、構成部分

に難あり」に見えました。

前回の「DORAMATICA・ROMANTICA」の時も感じましたが、いい意味での

盛り上げ部分、宝塚でいうなら中詰めがないんですね

1幕目がいつの間にか終わり、2幕目もいつの間にかフィナーレって感じで。

しかもマリアがどういうわけで椅子職人に恋をし、幸せになる決意をしたのかーーとか

片思いのオラシオの心はどこにいく?とか・・それでどうなったのさーー的な?

宝塚のショーでストーリー性があるといえば代表的なのは「ノバ・ボサ・ノバ」だったけど

これはきっちり完結しているし、「祭り」という場面を通してストーリーとショー部分の

分け方が絶妙でした

そういう意味ではマリあが朗読する部分と、そこからショーへの導入が中途半端。

加えて中詰めがないので平坦になりました。

また、このショーでもっとも難点な部分は主役のマリア・・・彩吹真央の見せ場が

あまりなかったという事でしょうか?

主役はど真ん中でだだーーっと踊り、一番得意な部分をがーーっと出す・・のではなく

ひたすら他の共演者に華を持たせ、彩吹は脇に回っていたような気がしますね。

特に群舞の時の並び方や振り付けにそれを感じました。

観客の視線が一つに集中しないので、ちょっとばらけた印象

もう少し宝塚とか、オギーのショーとかを見て、日本人に似合うショー構成を

学ぶべきかなと思います。

 

 振り付けについて

タンゴっていうと、宝塚では多用されていますので、ちょっと聞いただけでも

パッションブルー」で使われてたあの曲とか「グレートセンチュリー」で使われてた

この曲、「琥珀色の雨にぬれて」のオープニングだーーとか、思い出しながら見て

しまう自分がいるのですが、そのせいか、振り付けを比較してしまうんですね。

今回の振り付けはマリオ・モラーレスという人と西島千博の二人が担当。

タンゴとバレエの組み合わせが主でしたが、何となく音楽と振り付けがあってない

ような気がしました

盛り上がるべき所で盛り上がらない・・・舞台が狭いせいか、ワンパターンに見える

というのもあったかも。

そう・・・舞台が狭すぎるんです。ただでさえ小さいのに、真ん中に本が積み重なって

木の形になって塞いで、さらに椅子が置いてあったりするので、動きが制限されて

いるような重苦しさを感じました。また、群舞の時は本当に狭いっ!って感じで。

せめてクリエくらいのスペースは欲しかったかなあ。

 

 出演者について

彩吹真央・・・登場シーンは荷造りする女性。アイボリーのセーターにベージュの

パンツ、金髪の巻き毛が本当に可愛らしくて。こんなにアイボリーや白黒を上品に

着こなす女性はあまりいないんじゃないかしら?

1960年代後半から70年代に流行ったファッションがよく似合う・・・

(大和和紀の「モンシェリCOCO」を思い出しました。COCOがデザインし、

アンジェリカが着ていた服が似合う・・・古すぎる引用ですが・・・

本質的に「こんなお嬢さんがうちの嫁になってくれたらいいなあ」をそのまんま

表現してくれたのが彩吹マリアです

勿論、タンゴシーンでは「美脚大賞」ものの脚を惜しげもなくさらして下さって

「やっぱり脚が綺麗だわ」も健在。

さらにタンゴを躍らせても西島さんとのバレエも、これでもかっ!という程の実力を

みせつけてくれちゃって いやはや・・本当に歌劇団は馬鹿な事したなと。

私、ダンスはよくわからないけど本物のバレエダンサーやタンゴダンサーと対等に

踊るってすごいでしょ?体の柔らかさは無論、一番驚いたのは姿勢のキープ力。

それだけにもっと思い切りすごい振り付けで踊って欲しかったかなあ。

(多少アクロバット的な部分もあったけど・・・・)

歌唱力も当たり前に上手なんだけど石井一孝とのデュエットは貴重だし、ラストの

バラードはそこだけCDにしてっ!って感じ。

女優転身後、地声で歌う事がなかったように思いますが、今回は男役当時の声と

同じ・・それだけにあらためて彼女の声ってうっとりするんだよね

バラードを歌わせたら天下一品でしょう。

「華」が欠けている・・・というだけでトップになれなかったのなら、それは歌劇団が

馬鹿だっただけです。彼女が持つ柔らかな雰囲気や衣装着こなしのセンスや

技術力はそれを上回るものだったから。でもまあ、負けるが勝ちだったのね

こんなに外部で活躍してくれるんだから。

 

石井一孝・・・今回はナレーションと歌担当。マリアを見守りつつ恋をするという

オラシオをきっちり演じてくれました。声が通るし歌わせればすごいし、包容力もあり

マリアとしては幸せだったのでは?

 

西島千博・・・真矢みきも嫉妬しそうな程のホットダンスを繰り広げてくれました。

        彩吹真央とは同年代よね?そういう「馴染み」のようなものを感じました。

        カーテンコールでは彩吹を見事にエスコートしてて、そこが真矢さんが

        惚れた理由か?とも思い。(要するにジェントルマンなの)

 

生演奏も本当に素敵でした。大人の時間を過ごせたというか。

一人じゃなくて旦那と行けばよかったかなあって思ったほどです。

コメント (2)
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