ふろむ播州山麓

旧住居の京都山麓から、新居の播州山麓に、ブログ名を変更しました。タイトルだけはたびたび変化しています……

津波の歴史 6 「東電の津波想定」

2011-04-27 | Weblog
 「朝日コム」asahi.com 4月24日が報じた記事には驚きました。「想定外の大津波」が福島第1原発を襲う確率は、「50年以内に10%」と東京電力は2006年に認めていたのだと報道しました。
 わたしのある友人は、天気予報の降水確率が10%だと、いつも傘を持ち歩いています。1割という確率は、決して低くはありません。以下、同記事を転載します。

 東京電力は、福島第一原発に、設計の想定を超える津波が来る確率を「50年以内に約10%」と予測し、2006年に国際会議で発表していた。東電は「試算の段階なので、対策にどうつなげるかは今後の課題だった」と説明している。 東電原子力・立地本部の安全担当らの研究チームは福島原発を襲う津波の高さを「確率論的リスク評価」という方法で調べ、2006年7月、米国で開かれた原子力工学の国際会議で報告した。 その報告書には「津波の影響を評価する時に、『想定外』の現象を予想することは重要である」と書き始められている。
 報告書によると、東電は慶長三陸津波(1611年)や延宝房総津波(1677年)などの過去の大津波を調査。予想される最大の地震をマグニチュード 8.5 と見積もり、地震断層の位置や傾き、原発からの距離などを変えて計1075通りを計算。津波の高さがどうなるかを調べた。 東電によると、福島第一原発は5.4~5.7メートルの津波を想定している。だが報告書によると、今後50年以内にこの想定を超える確率が約10%あり、10メートルを超える確率も約1%弱あった。報告書は「想定を超える可能性が依然としてある」と指摘。「津波について知識が限られていることや、地震のような自然現象にはばらつきがある」ことを理由にあげている。確率で原発の危険度を評価する方法は、地震の揺れが原因になるものは実用化されているが、津波についてはまだ基準が決まっていない。一方で、東電は、地震の規模を最大でも東日本大震災の約5分の1として予測しており、「10%」でも過小評価だった可能性がある。
 報告書について東電は「津波の評価法を検討するための試算段階のもの。まだ広く認められた方法ではないので、公表は考えていない」と説明する。また、設計の想定を最大5.7メートルと決めた根拠について、東電は「社内で経緯などを整理しているところ」として明らかにしていない。

 東電の秘密体質については、これまで何度も指摘されてきました。「公表は考えていない」。想定波高5.7mの根拠は「社内で係累などを整理しているところ」など、納得できない。
 「設定の想定を最大5.7mと決めた根拠」について、この連載「津波の歴史3」で記しましたが、東電副社長の武藤栄氏は記者会見で、5.7mは「土木学会の評価に基づいて津波の高さを想定したが、結果として想定以上の津波が来た」と、4月9日に述べておられる。この発言は何だったのか? 土木学会から何らかのクレームがついたのか? いずれにしろ、東電には重大な説明責任があるはずだ。
 報告書にある文言「『想定外』の現象を予想することは重要である」。東電がこれまでに数多く語ったなかで、最もすぐれた言葉だと思う。

 この拙文は未定稿です。土木学会のことや東電清水社長の発言、そして2006年の国際会議など、その後いくらか調べましたが、本日はまだ書き切れておりません。わたしの力と時間の不足のためです。とりあえず、速報としてアップします。
 朝日新聞が同コムに掲出した翌日、4月25日月曜の朝刊で詳しく報じると信じて駅の売店で同紙を買って読みましたが、掲載されていません。不思議です。わたしの見落としでしょうか。他紙にも見当たりません。
 今回の駄文は、これからいくらか書きかえます。しかし朝日コムの記事はコピー引用です(改行のみいくらか変更しています)ので、修正はしません。
<2011年4月27日>
コメント (2)
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