会社をやめてフリーになってもう半年が過ぎました。はじめて会った方から「お仕事は?」と聞かれ「フリーターです」と答えたら妙な顔をされ、しげしげとわたしの目をみつめておられた。「自由人」の意味でいったのですが、伝わらなかったようです。
まずいのかなと思ってウェブ辞書をみますと、「フリーター」は「フリーアルバイター」の略で定職につかずあるいはつけず、アルバイトなどで生活費を得ている人。あるいはパート・アルバイトを希望しているが無職の人。この定義はわたしにはしっくりしません。むしろ年金生活者なら該当します。
また内閣府と厚生労働省の定義では、年齢が15歳~34歳で学生と主婦は除くとありますね。わたしは年齢的に除外されてしまいます。
「ニート」に近い語ですが、フリーターはたとえ無職でも労働意欲がある点が異なるようです。わたしも会社はもう十分ですが、働く意欲だけは強いです。
『フリー』はクリス・アンダーソンの名著で、わたしもかつてこの本から大きな影響を受けました。無料と自由を意味するフリーですが、営利組織に所属せず束縛も受けず自由気ままに生きる。わたしのかねてからの目標でした。
しかし「お仕事は?」と聞かれて、「フリーです」とか年金生活者と答えるのもしゃくですし本意は伝わりません。「フリーランス」や「フリーランサー」がいいかなとも思います。自由契約者で会社や硬直した組織に所属せず、その都度の仕事や課題に応じて自由に契約する。おそらくこれがわたしの気持ちにいちばん合っているようです。しかし会社をやめて1匹狼あるいは迷える小羊ちゃんとして、社会の大海に所属や肩書きを消して出て行くのは、天気晴朗なれど波高しの気分です。
退職直前に新名刺をつくろうとしましたが肩書きがない。知り合いの建築設計会社の社長に電話して「顧問ということにしてくれませんか。お手当は当然不要ですし迷惑は一切かけません。名刺をつくるのに窮したもので」。彼は高笑いしながら「どうぞご自由に」
その社の名は株式会社○○設計。それでわたしは設計顧問になってしまったのですが、友人に新名刺を渡すと「一体何を設計しているのですか?」。わたしは苦し紛れに「老後設計」。爆笑しておられました。
この1行だけではさみしいかと思い、「ブログふろむ京都」好評連載とか、友人仲間の勉強会の事務局と入れてみたりし、四行を並べて印刷してもらいました。だがさっぱり何のことか意味不明。アイデンティティの体もなしません。
ところでこの1月から自営業者、個人事業主として税務署に届けました。事務所は自宅で従業員は妻だけですが、助手は愛犬のようです。屋号は「京都ちんからりん企画」。業務内容は内緒の○○と、「文筆出版企画」とずいぶん生意気なことを届け出書に記しました。
税務署からときどき郵便とたまの電話があります。いつもうれしいことに屋号からまずはじまって個人名へと続きます。屋号とわたしのいまの仕事を認知してくださっているのは、どうも税務署だけのようです。
つい先日のこと、署からの電話で「申告初心者のための納税勉強会を開催しますので、ぜひご参加ください。ところで失礼ですが、文筆出版の方はあまり所得が期待できないのではないでしょうか」。的を射たお声に当方は笑ってしまい「そうです。市販のPC納税申告ソフト『弥生』を買って独習しようかと思ったのですが、家計簿みたいなのを手書きでいくらか記帳しましたが、それでやれそうです」。なかなか良心的な担当者のようで「そうですよ。PC研修など受けずに手書きだけで十分ですよ。不得手なことに時間を使わず、本業に力を注いでください」。一瞬涙がにじみそうになりましたが、アドバイスは延々小半時間。もしかしてわたしを調査しておられたのでしょうか。
ところで自営業者として公認されたわけですから、もし何か事件に関係して新聞の社会面に名前が出てもわたしは「無職」でなく、「容疑者 A(●歳)自営業」であって「自称自営業」や自称プロ○○や無職ではありません。念のため。
ところで京都新聞夕刊連載のコラム「現代のことば」があります。たくさんのメンバーが輪番でいい文章を寄せられます。わたしもファンで毎日、夕刊を楽しみにしています。
このブログを読んでくださっている奇特な方に、職人の原田多可司さんがおられます。「肩書きのため息」と題して、6月8日付け「現代のことば」に愉快な文を寄稿しておられました。
原田さんの名刺の肩書きは「檜皮葺師 柿葺師」だけだそうです。職人や農業、医師や僧侶…みな定年がありませんから、職業は実にはっきりしています。ところがやっかいなのが月給取りです。退職したらたいていのひとが、たかが紙きれの名刺ひとつに悩んでしまいます。偉そうなことはいえません。わたしもそうでした。
試行錯誤した肩書き所属の結論は、一行だけを選びそれをシンプルに表示すればいいということです。名刺の本来の機能は、自慢することでも相手を驚かせることでもありません。はじめて会った後に電話がある、手紙やEメールが届くさらには再度お会する。名刺はそのためのコミュニケーション・ツールのはずです。関係性のスタートが名刺です。
名刺をつくり替えました。ただの一行は「京都ちんからりん企画 代表」。税務署だけが公認してくださっている屋号です。
さて企画代表は日々何をやっているか? フリーなフリーランサーです。脱法行為以外、できることとやりたいことを自由にやっています。また新しい自由契約を歓迎しています。名刺交換をいたしましょう。
なお「ちんからりん」は、ロバのパンのテーマソング歌詞から借用しました。「♪ロバのおじさん チンカラリン チンカラリンロン やって来る~」。歌は近藤圭子さんです。
<2012年6月25日 しばらく旅に出ます。1週間か10日ほど駄文はお休みにします。>
まずいのかなと思ってウェブ辞書をみますと、「フリーター」は「フリーアルバイター」の略で定職につかずあるいはつけず、アルバイトなどで生活費を得ている人。あるいはパート・アルバイトを希望しているが無職の人。この定義はわたしにはしっくりしません。むしろ年金生活者なら該当します。
また内閣府と厚生労働省の定義では、年齢が15歳~34歳で学生と主婦は除くとありますね。わたしは年齢的に除外されてしまいます。
「ニート」に近い語ですが、フリーターはたとえ無職でも労働意欲がある点が異なるようです。わたしも会社はもう十分ですが、働く意欲だけは強いです。
『フリー』はクリス・アンダーソンの名著で、わたしもかつてこの本から大きな影響を受けました。無料と自由を意味するフリーですが、営利組織に所属せず束縛も受けず自由気ままに生きる。わたしのかねてからの目標でした。
しかし「お仕事は?」と聞かれて、「フリーです」とか年金生活者と答えるのもしゃくですし本意は伝わりません。「フリーランス」や「フリーランサー」がいいかなとも思います。自由契約者で会社や硬直した組織に所属せず、その都度の仕事や課題に応じて自由に契約する。おそらくこれがわたしの気持ちにいちばん合っているようです。しかし会社をやめて1匹狼あるいは迷える小羊ちゃんとして、社会の大海に所属や肩書きを消して出て行くのは、天気晴朗なれど波高しの気分です。
退職直前に新名刺をつくろうとしましたが肩書きがない。知り合いの建築設計会社の社長に電話して「顧問ということにしてくれませんか。お手当は当然不要ですし迷惑は一切かけません。名刺をつくるのに窮したもので」。彼は高笑いしながら「どうぞご自由に」
その社の名は株式会社○○設計。それでわたしは設計顧問になってしまったのですが、友人に新名刺を渡すと「一体何を設計しているのですか?」。わたしは苦し紛れに「老後設計」。爆笑しておられました。
この1行だけではさみしいかと思い、「ブログふろむ京都」好評連載とか、友人仲間の勉強会の事務局と入れてみたりし、四行を並べて印刷してもらいました。だがさっぱり何のことか意味不明。アイデンティティの体もなしません。
ところでこの1月から自営業者、個人事業主として税務署に届けました。事務所は自宅で従業員は妻だけですが、助手は愛犬のようです。屋号は「京都ちんからりん企画」。業務内容は内緒の○○と、「文筆出版企画」とずいぶん生意気なことを届け出書に記しました。
税務署からときどき郵便とたまの電話があります。いつもうれしいことに屋号からまずはじまって個人名へと続きます。屋号とわたしのいまの仕事を認知してくださっているのは、どうも税務署だけのようです。
つい先日のこと、署からの電話で「申告初心者のための納税勉強会を開催しますので、ぜひご参加ください。ところで失礼ですが、文筆出版の方はあまり所得が期待できないのではないでしょうか」。的を射たお声に当方は笑ってしまい「そうです。市販のPC納税申告ソフト『弥生』を買って独習しようかと思ったのですが、家計簿みたいなのを手書きでいくらか記帳しましたが、それでやれそうです」。なかなか良心的な担当者のようで「そうですよ。PC研修など受けずに手書きだけで十分ですよ。不得手なことに時間を使わず、本業に力を注いでください」。一瞬涙がにじみそうになりましたが、アドバイスは延々小半時間。もしかしてわたしを調査しておられたのでしょうか。
ところで自営業者として公認されたわけですから、もし何か事件に関係して新聞の社会面に名前が出てもわたしは「無職」でなく、「容疑者 A(●歳)自営業」であって「自称自営業」や自称プロ○○や無職ではありません。念のため。
ところで京都新聞夕刊連載のコラム「現代のことば」があります。たくさんのメンバーが輪番でいい文章を寄せられます。わたしもファンで毎日、夕刊を楽しみにしています。
このブログを読んでくださっている奇特な方に、職人の原田多可司さんがおられます。「肩書きのため息」と題して、6月8日付け「現代のことば」に愉快な文を寄稿しておられました。
原田さんの名刺の肩書きは「檜皮葺師 柿葺師」だけだそうです。職人や農業、医師や僧侶…みな定年がありませんから、職業は実にはっきりしています。ところがやっかいなのが月給取りです。退職したらたいていのひとが、たかが紙きれの名刺ひとつに悩んでしまいます。偉そうなことはいえません。わたしもそうでした。
試行錯誤した肩書き所属の結論は、一行だけを選びそれをシンプルに表示すればいいということです。名刺の本来の機能は、自慢することでも相手を驚かせることでもありません。はじめて会った後に電話がある、手紙やEメールが届くさらには再度お会する。名刺はそのためのコミュニケーション・ツールのはずです。関係性のスタートが名刺です。
名刺をつくり替えました。ただの一行は「京都ちんからりん企画 代表」。税務署だけが公認してくださっている屋号です。
さて企画代表は日々何をやっているか? フリーなフリーランサーです。脱法行為以外、できることとやりたいことを自由にやっています。また新しい自由契約を歓迎しています。名刺交換をいたしましょう。
なお「ちんからりん」は、ロバのパンのテーマソング歌詞から借用しました。「♪ロバのおじさん チンカラリン チンカラリンロン やって来る~」。歌は近藤圭子さんです。
<2012年6月25日 しばらく旅に出ます。1週間か10日ほど駄文はお休みにします。>