<2013年ロシアに落下した隕石>
昨年2月15日、ロシアのチャリビンスク州近辺に隕石が落ちて来ました。現地時間朝の9時過ぎです。車載カメラや監視ビデオが決定的瞬間の映像をたくさん記録しており、動画をニュースで見た人も世界中に数多い。
大気圏突入直前の石直径は17メートルほど、重さは約1万トン、落下速度は18キロ秒という。高度20~25キロあたりで砕けたとされています。負傷者は千人を超えていますが、幸い死者の出なかったのが不思議なほどです。
現地住民の声を報道でみると、「核戦争が始まった!」「ミサイル攻撃だ!」「爆弾テロか?」「アメリカが開発した新型兵器だ」「この世の終わりがついに来た!」…。市民はまずそのように思ったようです。
具体的にはどのような体感だったか。まず突然の熱を感じた。屋外なのにストーブが突然燃えだしたかのようだった。温度を感じる方角を見たら光が高速で走っていった。日の出の太陽がすごい勢いで走るような異常な空だった。
強烈な光線は強い熱線も伴っていたのですね。そして爆発し粉砕するのだが、轟音は5回か6回鳴り響いた。衝撃波はすごくたくさんのガラス窓などが吹き飛ぶ。なお壁の崩れた工場や、大きな穴の空いた建物は衝撃波ではなく、隕石のかけらがぶつかったのだろうといわれています。
わずか直径20メートル足らずの小天体が大気圏に突入しただけで、これだけ大きな災難になるのです。
<巨大天狗「キユウ」の地球攻撃>
ロシアのメドヴェージェフ首相はチャリビンスク火球事故の後に、つぎのように語っています。「同様のケースに対して脆弱であることを証明するもので、将来発生しうる事態に対する防御システムが必要である」
またロゴージン副首相は「ロシアと他の国々が、将来同様の出来事が発生した際に地球を守るシステムを開発すべきだ」
まるでSFのような話ですが、天体衝突に備えての地球防衛システムの構築提案は杞憂でしょうか? いまから6550万年前、メキシコのユカタン半島に小惑星が衝突しました。火球の直径は約10キロメートル。カリブ海で発生した津波の高さは300メートルと推定されています。
この衝突で地上から舞いあがった大量のチリが太陽光をさえぎり、地球は急激に寒冷化した。ほんのわずかの期間で、地球上の恐竜とおびただしい数の生物が絶滅してしまった。生物種の70%が滅びたといいます。生き残ったネズミに似た哺乳類が天敵の滅びた地表で大進化を遂げる。このネズミこそわたしたちのご先祖さまです。
いつかまた直径数キロの小天体が地球に衝突したらどうなるでしょう? 人類のみならず地表の生命体はとてつもない危機を迎えるのではないか。ロシアの要人たちの言葉には切実感があります。地球に向かって飛来する小天体は、杞憂「キユウ」という名の巨大テングかもしれません。
現在も地球上ではおびただしい数の生物が大量絶滅しています。現生人類が引き起こしている生物圏の破壊行為です。経済や開発を最優先する人類による虐殺でもあります。わたしたち人間こそが、凶暴な「極悪天狗」なのかもしれませんね。
<2014年6月25日 完です 南浦邦仁記>