水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

スビン・オフ小説 あんたはすごい! (第ニ百八十六回)

2011年04月08日 00時00分00秒 | #小説

 あんたはすごい!    水本爽涼
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                         
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              
    
第ニ百八十六
「でもさあ、少しビミョーなのよねえ~」
「えっ? 何がです?」
「だってさあ、沼澤さんが云ってらしたのは、棚に水晶玉を置けば、いいことが起こるってことだったじゃないの」
「ええ、そうです。だから、ママも宝くじが当たって旅行にも行けたんでしょ?」
「まあ、そうだけどさあ~。今はねえ、早希ちゃん」
「はい…。ほんと、鳴かず飛ばすだし。返って、お客の入り、よくないんじゃないですか?」
「そうよねえ~。早希ちゃんだって、この様(ザマ)だし…」
「はあ…。そりゃまあ、そういうことだってあるでしょう。だって沼澤さん、こうも云ってやしませんでした?」
「えっ? どうよお~」
「信じる者は玉もよく承知している…とかなんとか」
「だから、どうだって云うの? まあさ、早希ちゃんはともかくとして、私は信じてるわよ」
「でもママ、以前に比べりゃ、どうです?」
「以前って、沼澤さんがいらした頃とか?」
「ええ…」
「…そう云われりゃねえ、まあ少しは…」
「だからですよ、きっと。玉は、すべてが分かると云いましたから、ママの気持のダウンが幸運をダウンさせたんじゃないですか?」
「…、満ちゃんにそう云われると、そうかも、って思えてきちゃう。まあ、いやだ!」
 ママは、オホホ…と笑って科(しな)を作った。そのあと、ツマミに牡蠣(かき)のガーリックオイル焼きがでた。


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