不適切な表現に該当する恐れがある内容を一部非表示にしています

水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

スビン・オフ小説 あんたはすごい! (第ニ百九十三回)

2011年04月15日 00時00分00秒 | #小説

 あんたはすごい!    水本爽涼
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                          
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              
    
第ニ百九十三
当然、発生地域周辺の家畜は(とさつ)処分された。このウイルスの強力さは鳥、豚、牛など一切の家畜に伝染性をもつ点で、今までの単一性の家畜のみに留まらない異常さにあった。しかも多剤耐性のウイルスなのだから、人類は、まったく手の施しようがなかったのである。
『お待たせしました。大玉様の了解が得られました。塩山さん、とうとうあなたのすごさを全世界の人々に示す時が来たようです。この今が最大かつ、ただ一度のチャンスなのだと大玉様は申されました。あなたを手助けせよ、とも…』
「私のことなど、どうだっていいのです。世界の人々が救われれば…。ただ、それだけです」
『はい、まずそのことでした。私は結果を先に云ってしまったようです。すみません…。では、ウイルスの蔓延(まんえん)を静止する方法をお教えしましょう。一度しか云いませんから耳を欹(そばだ)てて、よ~くお聞きください』
「はい…」
『土はご存知ですよね?』
「えっ? 土ですか? …そりゃ、もちろん。土ですよね? 地面の」
『そうです。その土です。世界のどこにでもある土です。その土の中に、ある種の雑菌がいるのです。その名は申せませんが、頭のいい人類なら、すぐ発見できるでしょう』


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする