あんたはすごい! 水本爽涼
第ニ百九十六回
結果から先に云えば、お告げの内容はすべてが正しかった。むろん、私はお告げが間違った内容を云うはずがない、と固く信じていたが、特別編成チームが出した報告に、やはりそうだったか…と、安堵(あんど)した気分だった。その中に、これで人類、いや地球上の家畜を含む全動物が救われると、ほっとした安堵感があったことも否(いな)めない。
「総理! それは、よかったですね!」
「塩山さんのお蔭(かげ)ですよ、ほんとに。味見(あじみ)さんもひと安心で、枕を高くして寝られると云ってられましたよ」
「そうでしたか…」
小菅(こすが)総理に呼ばれ、官邸を訪れていた私は、総理から研究報告を聞いたところだった。その時、煮付(につけ)先輩が、いつもの豪快さで入ってきた。
「おい! 塩山、やったな!」
開口一番、笑顔の言葉が飛んできた。
「いやあ…。私は何をしたという訳じゃないんですが…。それに、免疫ワクチンが市場に出回ってない段階ですし、まだ安心は…」
「まあ、そう云うな。耐性ウイルスが死滅するワクチンの成功は確認されたんだ。あとはワクチンを世に送る課題だけなんだからな」
「はあ…まあ、そうですが」
先輩の云っていることは正しかったので、私は語尾を暈しながらも肯定した。