水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

スピン・オフ小説 あんたはすごい! (第三百回)

2011年04月22日 00時00分00秒 | #小説

 あんたはすごい!    水本爽涼
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                           
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              
    
第三百
「えっ?! …ああ、まあ」
『今日は大玉様のご意思をお伝えしようと、現れたような次第です』
「はあ、それはどうも…」
 お告げと私の間の心話が始まった。心話だから前の座席で運転をする秘書には聞こえない。飽くまでも心の会話であり、口は閉ざされたままだ。
『大玉様が申されるには、ここまでの道筋をつけてやったのだから、あとは塩山さん、あなたの力でどうにでもなるだろう…ということです』
「それは分かりますが、だから私にどうせよとか、仰せになったのでは?」
『いいえ、そこまでは申されておりません。今までのあなたなら、そんなお言葉もあったのでしょうが…』
「大玉様は、もう私に関与されないということでしょうか?」
『その辺りは私には分りかねますが、この後はあなたの力次第だと申されたかったのでしょう、恐らくは…。私を呼び出せるようになった、あなたなのですから…』
「そういうことですか…」
『ええ。まあ、そういうことです』
 なるほどなあ~と、私は得心した。要するに、あとはお前次第ということのように第一感、思えた。ただ、それがどうだというんだ、と私は巡った。そんなことだけで態々(わざわざ)、私の前へ現れる必要などあるのだろうか? とも思えた。


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