水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

疲れるユーモア短編集 (28)栄養(えいよう)

2021年03月09日 00時00分00秒 | #小説

 人は栄養(えいよう)が滞(とどこお)ると、健康でも疲れる原因となる弱く、つまらない生き物である。まあ、私もその一人のようだが…。^^ 今日はそんな栄養のお話である。^^
 とある官庁である。疲れた肩を揉(も)みながら職員の豚林が愚痴っている。
「青色申告は毎年、疲れるよな…。栄養取らんとブッ倒れちまうっ! どれどれ、課長補佐にもらったドリンクでも飲んで栄養つけるかっ!」
 豚林がそう言ったとき、後輩職員の牛川が昼食休憩から戻ってきた。
「あ~~あっ!! 食った、食った! 食ってきましたよ、先輩! ははは…」
「ああ、そうか。…馬鹿野郎! そんなこと報告せんでもいいっ!」
「すみませんっ! 先輩、まだでしたよね?」
 分かってはいたが、牛川はやんわりと訊(たず)ねた。
「おうっ! これから昼にしようと思ってたんだっ!」
 牛川は豚林が主査から係長を狙っていることも分かってはいたが、そこは言わずに笑顔でスルーした。
「そうですかっ! 栄養はつけないとダメですよねっ!」
「んっ!? ああ…」
 豚林もそこは否定しなかった。
 栄養をつけないと疲れることは、誰もが共通した周知の事実なのである。^^


                   完


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする