水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

疲れるユーモア短編集 (22)楽(らく)

2021年03月03日 00時00分00秒 | #小説

 昨日(きのう)に続き、苦楽の楽について語らせていただきたい。そろそろ桃の節句だから、今日は暖かい甘酒を啜(すす)りながらお読みいただく・・というのはいかがだろう?^^ 甘いものが苦手(にがて)な方は、辛口(からくち)のお酒でもいいですよ。^^ ただし、アルコール度数が高いので、アセトアルデヒドを分解できる身体(からだ)に負担がかからない程度の量でお願いします。^^ 楽は疲れない・・というのも、昨日の苦と同じで明々白々(めいめいはくはく)である。^^
 昨日、登場した通話(つうわ)が、浴槽の湯に浸(つ)かりながら楽に寛(くつろ)いでいる。当然、気分はよく、疲れる訳がない。小気味よい鼻歌も出たりして、すっかり気分が緩(ゆる)んでいる。そのとき、脱衣場の携帯音が急に鳴り出した。通話は、しまった! バイブにしときゃよかった! と思ったが、時すでに遅(おそ)しである。通話は浴槽を飛び出すと、慌(あわ)てながら浴槽を出て、脱衣場へと急いだ。
「はいっ! ええっ!! 分かりました…」
 急に工事をしていた社員が現場で倒れ、病院へ搬送されたのである。コロナウイルス感染と聞き、通話の心は楽から苦へと急変した。
 苦楽は交互に襲うから、油断がならない。特に楽なときは、疲れることがない程度の注意が必要なようだ。^^


                   完


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