努力をしようと意気込めば疲れる。それなら疲れないよう努力する方法はないものか? という話になる。^^ 今日は少し、その辺(あた)りの、悪く言えば都合がいい方法、よく言えば効率のいい方法を探ってみようか…などと思っている次第だ。^^
医学部は努力して首席で卒業したというのに、どういう訳か宇津保(うつぼ)は医師国家試験に落ちてしまい、すっかりテンションを下げていた。むろん、国家試験に臨むにあたり、努力をしなかった訳ではない。努力はしたが、結果として落ちたのである。努力して首席で卒業した自分が努力して落ちる訳がない…という自負(じふ)が宇津保にはある。だから、余計に腹立たしかった。
そんなある日のこと、同じ医学部の末席を汚(けが)して卒業した蛸崎(たこざき)と、ばったり路上で会ってしまった。蛸崎の先々は前途洋々で、余裕ある声で宇津保に声をかけてきた。
「ダメだったそうだな…」
「ああ、努力はしたんだが…」
「そうか! まあ、次があるさっ! 気を落とすなっ! 俺は全然、傾向と対策ばかりで努力しなかったから、疲れなかった。だから受かったのかも知れん。お前は努力し過ぎて疲れたんだ。努力しなくったって、お前なら受かるさっ! 俺が受かった方が不思議と言えば不思議なんだからな、ははは…」
蛸崎は優雅(ゆうが)に腕をくねらせ、ジェスチャーたっぷりに宇津保を慰(なぐさ)めた。宇津保は食らいついてやろうかっ! と一瞬、思ったが、蛸崎の言うのも最(もっと)もだな…と思え、軽く愛想笑いした。
努力して疲れ、結果が悪ければ堪(たま)ったものではない。^^ 皆さん、努力することは大事でしょうが、結果が必ずよくなるというものでもありませんから、力まずに蛸崎さんのように傾向と対策を柔らかく考えて暮らしましょう。^^
完