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水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

疲れるユーモア短編集 (49)輪ゴム

2021年03月30日 00時00分00秒 | #小説

 輪ゴムは疲れるとプチン! と切れる。人も疲れると、体調を崩(くず)しやすくなる。^^ 人の場合、ケア[手入れ、管理]することで戻(もど)すことができるが、それとて、老いれば切れてチィ~~ン! と他の人に叩(たた)かれ両手を合わされるのである。^^ 輪ゴムも人も、その意味では同じなのだ。今日はそんな輪ゴムのお話をしたいと思う。^^
 とある普通家庭である。この家の長男で幼稚園児の佑基(ゆうき)が予期せず切れた輪ゴムを訝(いぶか)しげに見つめている。
「妙だなっ? 昨日(きのう)、伸(の)ばしたときは切れなかったのに…」
 そこへ父親の佑介(ゆうすけ)が現れた。
「どうした、佑基?」
「昨日はね、ちゃんと伸びたんだよ。それが切れたの…」
「ははは…輪ゴムさんが疲れたんだ、それはっ!」
「疲れると、切れるのっ?」
「ああ、疲れると切れる」
「じゃあ、疲れないようにすればいいんだね?」
「ははは…それは無理なんだな。必ず疲れるように輪ゴムさんは出来てんだっ!」

「ふぅ~~ん。不便なんだね。パパはお風呂で疲れなくなるのにねっ!」
「んっ!? ああ、まあな…」
 佑介はそれ以上、説明できなかった。俺もいつか切れるんだな…と一瞬、思えたからである。
 物はすべて、疲れると切れるのである。切れると使えなくなる。^^

                   完


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