睡眠が不足すれば、疲れる度合いが増すことは誰もが知る事実である。人に限らず、動物は一定の睡眠を取ることで身体機能を維持している訳だ。当たり前と言えば当たり前の話だが…。^^
ようやく寒さも和(やわ)らいだ、とある公園のベンチである。いつやらも登場した二人の老人がコンビニ弁当を食べたあと、持参した魔法瓶の茶を啜(すす)りながら話をしている。
「もう、春ですなぁ~」
「はい、さようで…。春眠、暁(あかつき)を覚(おぼ)えず・・ですな」
「また眠くなりますか…」
「ははは…私など、季節に関係なくウトウトしておりますが」
「ははは…それは私も同じです」
「年を取ると、いけませんな」
「ははは…さようで」
「まあ、便利な場合もありますが…」
「ほう! どのような?」
「この前も、家(うち)の息子の嫁が、『お義父さま?』と近づいてきたもんですから、こりゃ、またなんぞ頼まれるな…と、ウトウトした振りをして、難(なん)を逃(のが)れました。ははは…」
「ははは…それはそれは。忍法、睡眠の術(じゅつ)ですなっ!」
「まあ、そんなところで…」
睡眠は疲れる雑用を避(さ)ける忍びの技(わざ)にもなるのである。^^
完