水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

めげないユーモア短編集 (94)隙(すき)

2023年01月03日 00時00分00秒 | #小説

 いくら技量が長(た)けた人でも、人である以上は必ずと言っていいほど、どこかに隙(すき)が出来る。人は神でも仏でもない・・という証拠だが、この隙を少なくしようと、研鑽(けんさん)を積む人々は努力を続ける訳だ。まあ、技量を高めようとめげないで努力、研鑽に励んでも、才能のない人はどうしようもなく、上達なく隙だらけだが…。^^
 とある生物科学研究所である。所長と助手が何やら話をしている。少し遠くから覗(のぞ)いてみることにしよう。
「先生、今回は人類も思わぬところで微生物に隙を突かれましたねっ!」
「ははは…君っ! それは見識が甘いよっ! そもそも、今までから微生物、特にウイルス群だが、その傾向は大いにあったんだ。あったんだが侮(あなど)って対応措置をとらず怠(おこた)った、人類そのものの考え方に問題がある訳だ…」
「と、いいますとっ!?」
「言ったとおりだよ。文明を無造作に進め、自虐的な隙を自らが作った訳さっ! よく見てごらん。私達の周(まわ)りは自然物質が減り、人工物質ばかりが増え続けているじゃないか…」
「それは、そうです…」
「昭和2、30年代でも対象の微生物群は存在していたんだよ。近年、体内、体外問わず、人口物質を取り入れ過ぎて、人が弱くなったのさっ!」
「問題は人工物質の過剰摂取ですかっ!?」
「そう! 結果として、人の免疫機能が低下した。ひ弱になったってことだよ、君
っ!」
「どうにかなりませなかねぇ~」
「ははは…もう遅い。めげないで治療法を発明、発見するしかない…」
 めげないで治療法、治療薬を開発する以外、隙を埋める打開策はないようである。^^

                   完


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