水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

めげないユーモア短編集 (99)先行投資

2023年01月08日 00時00分00秒 | #小説

 必要が生じ、そのときになって投資するのでは間に合わない。もう遅い…と溜め息を吐(つ)きながら愚痴る他はないのである。^^ では、どうすればいいか? と考えれば、世の動きをつぶさに察知し、先行投資する洞察力が必要となるようである。政治家諸氏には厳(きび)しいことを言うようで誠に申し訳ないが、そのときになって検査や予防ワクチンに財源を捻出(ねんしゅつ)するようでは遅きに失する・・ということに他ならない。政治にも経営戦略の要が求められる訳である。^^
 二人の男が牛乳を片手にアンパンを食べながら、とある公園のベンチで話している。
「お互い、派遣(はけん)では、この程度だなっ!」
「ああ…。俺は来年の三月までだ…。蝶よ花よと煽(おだ)てられた20年前が懐かしいよ…。昼は毎日、食堂で美味(うま)いもの食ってたからなぁ~」
「あの頃にさ、会社も先行投資してりゃ先細らず、俺達がリストラされることもなかったんだがなっ!」
「嘆(なげ)いたって仕方がないっ! めげないで働くしかないだろっ!」
「だなっ! 先々に先行投資して、蓄(たくわ)えるかっ!」
 二人は食べ終えると、また仕事の営業先へと向かった。
 めげないで先行投資しないと、先が(わび)しくなるようだ。^^

                   完


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