勝った場合には起こらない気分が、負けるとめげる。対戦を前にめげないためには、心構えとしてどうすればいいか? だが、こればっかりは、申し訳ないがどうしようもない。対戦は、どちらが一方が勝つか負けるかだから、めげるか、めげないか・・という結果が、対戦前に分かっているからである。分からないのは、どちらが? という点だけなのだ。対戦する以上は、双方ともプラスマイナス半々の%[パーセンテージ]がある訳だ。
とある競馬場である。一度も勝ったことがない馬、オールハザクラが次のレースで走ろうと、パドックでゆったりと回り歩いている。その姿を客二人が見ながら話をしている。
「今日も負けるんでしょうな…」
「ああ、見る限りでは他の馬を圧倒してるんですがな…」
「なぜ負けるのか…いや、勝てんのかが分かりません…」
「ですな…」
「負けるのが分かっているのに乗る騎手の心境はどうなんでしょう?」
「そりゃまあ、今日も負けるんだろうな…くらいの気分じゃないんでしょうか」
「馬の方は、どうなんでしょうな…」
「皆さん、お速い…くらいじゃ」
「なるほどっ! めげませんか…」
「負けるとめげるのは、人だけですよ、人っ!」
「なるほど…」
負けるとめげるのは人だけで、他の生物はめげない。^^
完