水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

めげないユーモア短編集 (100)最終回

2023年01月09日 00時00分00秒 | #小説

 最終回というのは、実に侘(わび)しい。というのは、次回の楽しみが消えるからである。毎回、楽しみにしていた気分がなくなり、気持がめげる訳だ。めげないためには他の番組を探す他はない。バラエティは、どのような番組でもそれなりに楽しいが、ドラマとなれば観たい番組がそうある訳ではない。映画的な名作を一年間通して、いや、複数年に渡ってON AIRしたっていい訳だが、どういう訳か三ヶ月、あるいは半年ほどで終わってしまうのは観る者をして嘆(なげ)かせる。4K、8Kもいいが、地上波で中高年の観たい番組が少ない。私もその一人である。^^
 とあるフツゥ~家庭である。夫婦二人が、どうでもいいようなドラマを、どうでもいい気分で観ている。
「コレっ! 終わるらしいわっ!」
「ああ、らしい…。それにしても、今一、盛り上がらんなっ! この田舎に都会派ドラマは合わんし、第一、よく分からんっ!」
「…よねっ!」
「なんか、観たいドラマが少なくなったと思わんか?」
「思う…。そういや、斜め向こうの大工さん、お店をやめられたようよ…」
「ドラマと、どういう関係があるんだっ!?」
「フフフ…最終回っ!」
「なるほど…」
「でしょ!?」
「最終回な…。最終回は実に侘しい」
「ええ…」
 最終回は様々な状況で侘しいのである。私達は、それでもめげないで生きていく他はない訳だ。
 この短編集も、このお話で、とうとう最終回となってしまった。また次のカキモノを探さねばならず、実に侘しい。それでも、めげないで探そう!^^

                   完


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