このブログでは昨年の10/19、11/3、11/17、11/30、12/12、12/19、12/21、本年の1/29に、この問題について掲載しました。
今回あるフォーラムで、この問題について発表した資料です。
昨年から今年にかけて、堺・南部丘陵の一部の鉢ヶ峯寺の緑地が、残土埋め立て開発を免れて、特別緑地保全地区に指定された経緯をまとめています。
1.南部丘陵の位置
・堺市の南部丘陵は堺市で唯一、まとまった自然が残されている場所です。
・航空写真では、他の緑地は、共生の森、百舌鳥古墳群、大泉緑地くらいしか見当たりません。
出典:「南部丘陵の緑地保全について~緑地保全制度のご案内~」(堺市建設局公園緑地部公園緑地整備課)
2.南部丘陵の特徴
・南部丘陵には、美木多、別所、泉田中、鉢ヶ峯寺、畑、逆瀬川の各地区があり、丘陵全体の面積は1600haになります。
・この辺りは、石津川の上流、源流部で、二次林、溜池、棚田、河川が維持され、生き物が残されて来ました。
出典:「堺南部丘陵地域集落・資源位置図」(大阪府建設事業評価委員会)
・南部丘陵は、堺市に残された唯一の自然度の高い地域で、大阪府の生物多様性ホットスポットとも成っています。
出典:「大阪府生物多様性ホットスポット-多様な生き物たちに会える場所-」(大阪府環境農林水産部みどり推進室みどり企画課)
3.鉢ヶ峯の自然を守る会
・1990年の堺南部丘陵でのゴルフ場開発計画(130ha)への反対の取り組みがありました。
・1992年に堺市はゴルフ場計画には不許可としましたが、「開発」を前提とした「ゆとりとふれあいの場構想」を打ち出しました。
・これを受けて、1993年に「鉢ヶ峯の自然を守る会」が発足し、里山保全と鉢ヶ峯の自然を知ってもらう活動をはじめました。
・里山保全の活動では、堺市の開発計画に対して、里山保全の立場から要望(提案)や協議を重ねてきました。
・「鉢ヶ峯里山公園構想の提案」「南部丘陵地基礎調査およびゾーニング申入れ」「緑のミュージアム造成・東西道路整備への要望書」「天濃池ビオトープ事業協議」「ふれあいの森計画協議」「残土埋め立て開発への反対」等を行ってきました。
・「こんな里山がいいなぁ・・・」は、里山公園構想をイメージ化したものです。
・自然を知ってもらう活動では、「オオタカの森を守ろうシンポジウム」「ホタルフォーラム」「カスミサンショウウオプロジェクト」「ホタル調査」「ツバメの塒入り調査」「ナラ枯れ調査」等を実施してきました。
・年間の活動の概要は、定例行事、調査活動、その他で整理すると次の様になります。
・これまで「ハーベストの丘」「ふれあいの森」「天濃池ビオトープ」「東西道路」等への対応で、里山環境の保全に務めてきました。
・その甲斐があり、2010年には「堺市緑の保全と創出に関する条例・制定」が制定され、2012年には、この条例に基づく「堺市緑の政策審議会・答申」がなされ、保全を優先すべきエリア160ha、その他緑地340haが示されました。
・上記について堺市は、160haは特別緑地保存地区or保全緑地、340haは保全緑地の制度を活用する方向性です。
出典:「南部丘陵の緑地保全について~緑地保全制度のご案内~」(堺市建設局公園緑地部公園緑地整備課)
4.残土埋め立て開発計画への反対と特別緑地保全地区の指定決定の経緯。
・保全を優先すべきエリア160ha内について、過去2回の開発の動きへの対応がありました。(詳細は次頁以降。)
・左図は開発計画の場所で、右図は特別緑地保全地区の場所です。
出典:「鉢ヶ峯寺特別緑地保全地区・区域図」(堺市建築都市局都市計画部都市計画課)
<下記資料の上段の経緯>
・藍野学園の開発計画への対応です。(ハーベストの丘の様に堺市が買い取らなかった土地についての開発の動きへの対応になります。)
・この時は、開発側のイザコザで開発は中止され、特別緑地保全地区の指定も見送られました。
<下記資料の下段の経緯>
・川商・森口氏の開発計画への対応です。(上記の土地の一部を森口氏が取得し、残土処分(フルーツパーク開発)と埋立て後の転売で利益を目論んだ動きへの対応になります。)
・今回は、活動の広がりの成功から、特別緑地保全地区の指定に漕ぎ着けたものです。
<まとめ>
・活動が広がった事が開発阻止および特別緑地保全地区指定の成功の要因として考えられます。
・この方向性を継続、発展させて行く必要があります。(指定後の土地の保全と活用の仕組み作り等です。)
<今後の課題>
・更に、同様な開発圧力に対応して行く必要があります。(特別緑地保全地区指定されていない土地の保全と活用に向けての合意形成等です。)
・現に、逆瀬川でのスケートボードパーク開発(畑の棚田環境に影響)と、富蔵での太陽光発電パネル開発(妙見川の水質や土砂流入についての影響)の動きがあり、法律や条例の範囲での開発阻止について対応中です。
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