先行きを話す前に、1980年代からの日本経済の状況を見てみたいと思います。それは、アメリカが取った「日本経済を抑え込む政策」です。クリントン元大統領が行った経済政策です。
1980年代の後半には、日本の土地の値段が高くなり、「東京の土地の資産価値だけで、アメリカ合衆国全土が買える」というぐらいの資産価値になっていたので、「それは、いくら何でも行き過ぎだろう」と思う日本人もいました。
また、アメリカの重要なところ、コロンビア・ピクチャーズ(現・ソニー・ピクチャーズ)やタイムズ・スクエアーのビルに、日本が買収をかけ始めたあたりで、アメリカのほうでも、かなり騒ぎが起きました。
その結果、どうなったかというと、ヒラリー・クリントン氏の夫である、ビル・クリントン氏が大統領であった、二十世紀最後の8年間(1993年1月~2001年1月)、アメリカは中国に対して親和政策を取り、中国をしっかり儲けさせて経済的に大きくし、日本の経済力を抑え込もうとしました。
つまり、日本には、実はアメリカとEUに挟み込まれるかたちで、「日本経済を抑え込む」という圧力がかかっていたのです。
この25年間の経済的停滞の原因には、国内的な失敗も当然あり、日銀や当時の大蔵省(現・財務省)の政策の誤りがあるのですが、対外的に見れば、外国が日本を封じ込めようとしていたことは事実なのです。
その結果、中国の台頭が起き、中国の経済が大きくなり、その経済力が軍事力に転化して、日本への脅威になってきたのです。
それでは、これからどうなるのかということですが、「円安になると輸出が好調になる」と言われていますが、円が1ドル100円を割ると円高になって、逆に輸出企業が厳しくなります。「先行きは、どうか」ということですが、実は、これは大きな問題を含んでいます。
要するに、イギリスのEU離脱によって、EUの通貨である「ユーロ」(注。イギリスは自国の通貨であるポンドを使用している)の信用が落ち、当然ながら、暴落しますし、「ポンド」も、やはり信用が落ち、暴落するので、結果的に「ドル」と「円」に対する信用が高まります(注。イギリスのEU離脱決定直後にポンドは急落し、離脱決定前の1ポンド160円から130円台、120円台まで下落している)。
つまり、幸いなことに、自分たちの努力に関係なく、円の信用自体は高まるわけです。
安倍政権には理解できないことでしょうが、今、円の信用が高まることには、実は。安倍政権にとって、少し都合のよい部分もあるのです。
なぜかというと、今のアベノミクスをそのまま続けていくと、日本は危ないところまで来ているのに、おそらく、ヨーロッパの人たちは、それに気がつかないはずだからです。
それは、どういうことでしょうか。
日本銀行は、今、資金を大量に市場に流すために、「国債の引き受け」を行っていますが、それが、毎年、80兆円ぐらいずつ増えている状況で、もう400兆円近く引き受けています。
要するに、日銀は、国債を引き受ける代わりに、お金、日銀券を流出させているわけですが、このままで行くと、今年には500兆円ぐらいに達するはずです。
500兆円という金額については、日本全体のGDP、いわば“全売上”と考えていただいても結構です。日本人の経済活動によって生まれている売上の合計です。それと、日銀が買い支えている日本国債の金額とが、今年、同じになるのです。
これはどう考えても危険水準に達しています。
もし、この国の未来が明るいものにならず、日銀の引き受けた国債が“紙くず”になったら、日銀自体が完璧に崩壊するのです。
その危険水準まで来ているわけですが、イギリスのEU離脱問題もあって、外国のほうは、日本のそういう危機について十分に気がつかないでいるので、まだ、一、二年は何らかの策を立てる余地はあります。
ただし、このままでは実に危険なのです。何らかの手を打たねばなりません。日銀による資金供給には、もう限界が来ています。
ところが、今回の「リーマン・ショック以来の株の暴落」等を見て、各国政府は、さらに資金の供給を増やそうとしているので、日本もその方向で動くはずです。
資金を供給したら何がよいかというと、お金の行き場所がないから株を買い、物価が上がり始めるので、一時期、景気がいいように見えるのです。
また、資金を供給すると、要するに円が余っているように見えるため、円の価値が下がったように見えて、円安誘導ができるわけです。
すでに述べたとおり、現状のままでも、今年、日銀による「国債の引き受け」が約500兆円のGDPと同じぐらいの額になるので、もう危ない状況なのに、さらに、これを安倍首相は追加するでしょう。おそらく、選挙対策で追加すると思われるので、「あとは野となれ、山となれ」の状態だと思います。「経済が分からない」ということは、「悩みが少なくていいなあ」と感心するのです。
今は「デフレだ」と言われていますが、実は「デフレ=不況」ではありません。「インフレ即好況」ではないのと同じく、「デフレ即不況」でもないので、デフレの中心にあるのは、百円ショップ等のディスカウント店などです。そういうディスカウント店がたくさん発展していると思います。
デフレとは「物の値段が下がること」なので、デフレにおいては、自動的に、ディスカウント型の商売が流行っているのと同じような感じになります。
物の値段が下がっても、それによって売上高が増えれば、経済的にはオッケイーなのです。安くなったから、もっと売れるようになり、もっと消費が増え、経済規模が大きくなれば、デフレでも経済発展はありえます。したがって、「デフレ即不況」ではないのです。
基本的に、デフレでは、物が安くなるとよく売れるはずなのですが、デフレであっても経済発展を止める力があるのが「消費税」なのです。
消費税率を上げたら、どうなるでしょうか。各企業は企業努力をし、値段を安くして売ろうとしているわけですが、消費税をポンと載せられると、その部分が帳消しになります。せっかく努力して安くしたのに、その値段を上げなくてはいけなくなったら、物が売れなくなるのです。
そのため、デフレから脱却したかったら、消費増税をアベノミクスと同時にやってはならないのです。「アベノミクスの三本の矢」と言っているけれども、ここを間違えたら、結果的にアベノミクスは失敗するのです。同時にやってはならないのです。経済的に大きくなっていけば、目標としている税収増は、結果的に得られるのです。
「消費税を上げないほうが、結果的には、経済的に発展し、政府の税収が増えます」。政府は「増税」ではなく「税収増」を目指すべきなのです。それは、政府の赤字を減らすことができますし、もちろん、公共投資や福祉に回すこともできるので、よいことが多いのです。ここを間違ってはいけません。
**政府は今年4月に予定していた消費増税10%を2年半延期し、2019年10月に決定した。
---owari---
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