ひらりひらりと舞う蝶(ちょう)は、
日の光を浴びて、とても楽しそうだ。
黄色や赤、紫の花が、ベランダには咲き乱れているのに、
あなたはいつもお気に入りの白い花の横に、
しばしヘリコプターのように空中停止する。
蜜(みつ)の味をかみしめたのもつかの間、また上空を旋回(せんかい)し、
風に流されて、黄色や赤の花をひやかしたあと、
やはり白い花のところへと戻ってくる。
南の島の言い伝えでは、
死んだ人の魂が、蝶に乗り移って、
家に戻ってくるという。
ささやかな花壇(かだん)が、供養になったのか。
好物の蜜と自由に空を舞える羽とが、
最高の幸福をもたらしたんだね。
解放の喜びとは、そんなもので、
小さな天国がそこかしこにあるのかもしれない。
---owari---
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