(真剣勝負の連続こそがプロを生む)
若いみなさんは、これから、さまざまな職業に就(つ)くことでしょう。みなさんの現在の疑問の多くは将来の進路の設定に関するものだろうと思います。「自分は、どのように生きたらよいのか」「どの職業に就けば、成功するのか」「どのように仕事をすれば、うまくいくのか」という、みなさんの心の声が、私に数多く聞こえてきます。
しかし、その答えは一つです。「真剣勝負」です。日々、真剣勝負をすることです。日々、真剣勝負を重ねたならば、どの道においても、みなさんは必ずプロフェッショナルになれます。どのような道でもそうです。
真剣勝負とは、いったい何でしょうか。それは道場での練習とは違います。本物の刀で命を取り合うわけです。刃(やいば)に触(ふ)れたら、肉体が切れて血が流れます。これが真剣勝負です。
この真剣勝負の世界を生きることができた者のみが、プロフェッショナルとして大成していけるのです。これは、どの道においても、まったく同じです。例外はありません。
(プロなら、潔く困難と戦い、それに打ち勝て)
現在、「世界的な大不況だ」と言われています。2009年は、一部に、「百年に一度の金融災害だ」「恐慌(きょうこう)だ」などという声もありましたが、私はそのようなことを信じません。それは、人々や政府の同情を呼ぼうとする人たちの声にすぎないのです。
「真のプロであるならば、戦え」「プロの企業家であるならば、勇ましく戦いたまえ」「プロの経済人であるならば、どのような困難のなかにあっても、智慧(ちえ)を駆使(くし)し、汗を流して、奮闘(ふんとう)せよ」と私は言いたいのです。
「世界各地のすべての会社が潰(つぶ)れる」ということは、ありえません。軟弱な経営をしている会社や、放漫(ほうまん)経営をしている会社が潰れていくのです。
社長であるならば、当然、会社を救うべきですが、社長ではなく、たとえ新入社員であろうとも、プロなら、潔(いさぎよ)く戦いなさい。困難と戦い、それに打ち勝ちなさい。
経済においては、よいときも悪いときもあります。「よいときばかりが来る」と思ってはいけません。「いつも高度成長ばかりできる」と思ってはいけません。
不況など、いつでもやってくるものです。小さな不況は、三年に一回、あるいは十年に一回は来ます。大きな不況も、何十年に一回は来ます。これは、ある意味で予定されていることであり、常日(つねひ)ごろから、どのような苦難・困難が来ようとも乗り切っていけるような努力をすることこそが、プロフェッショナルへの道なのです。
(「より重い責任を背負おう」と決意せよ)
さらに、私がみなさんに述べておきたいのは、「プロの道は、数多くの重い責任を背負う道でもある」ということです。
「どれだけの責任を背負うことができるのか」ということが、「自分は、どのようなプロフェッショナルであるか」ということを意味します。あなたが背負える責任の範囲まで、あなた自身は成長することが可能なのです。
一日一日、毎年毎年、より重い責任に耐えられるように、頑張って努力してください。その人の背負える責任が、その人の人物の大きさを表します。
常に、新しいことに挑戦する人は、「もっと重い責任に耐えよう」と挑戦する人でもあります。常に、新しいことにチャレンジし、他の人が行ったことのないことをし、周りの人が止めるようなことを、あえてやってのけることこそが大事なのです。
したがって、プロの条件は、「常に真剣勝負をする」ということと同時に、「『より重い責任を背負おう』と自ら決意すること」です。英語で言えば、「リスク・テイキングな心構えを持たなければならない」ということです。「リスクを取ろうとしない者は、大きな成功を得られないし、人から尊敬されることもないのだ」ということを知っていただきたいのです。
自ら進んでリスクに立ち向かっていってください。それがみなさんを大きくします。
---owari---
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