耳穴には雑菌が繁殖しない。なぜならば、外耳の皮膚から雑菌を殺す分泌物(粘液)が出ているからです。
この分泌物には殺菌だけでなく脂肪分も含まれており、皮膚の表面を保護(コーティング)しています。
汚いと思われている耳垢(耳あか)を成分分析した結果、耳垢には耳を保護する重要な役割がある事が解りました。
内容は以下のとおりです。
①外耳道と鼓膜の保護・洗浄
鼓膜も外耳道の表皮もいずれも比較的薄い皮膚組織ですから、あまり丈夫ではありません。
耳垢はこれらを覆う事で物理的な保護・乾燥防止・潤滑の役割を持っています。
②感染防御
耳垢の成分にはリゾチーム・IgA・IgG等が含まれ、抗菌・抗真菌作用を持っています。
感染防御の成分は乾燥耳垢に多く含まれます。そのため、乾燥耳垢の人の方が外耳疾患が少ない。
湿性耳垢が圧倒的多数を占める欧米では、日本人に比べ外耳疾患が多い事が知られています。
③昆虫の侵入防御
耳垢の成分が持つ苦味・臭いは、耳の穴に昆虫が侵入してくるのを未然に防いでいる、という説があります。
このように、普段厄介者としか思われていない耳垢には、意外な側面があったのです。
この耳垢が耳穴を守ってくれているのです。
アメリカ耳鼻咽喉科聴力委員会会長のダグラス・バッコウス医学博士は、『耳垢はホコリと汚れから鼓膜を守るだけでなく、抗菌性もあり表面を潤すという特典までもたらしている。さらに、耳には自浄作用がある。身体の不思議の一つだ! 耳垢が乾いたら、ご飯を食べたり、友だちとおしゃべりしたりして顎を動かす度にその古い耳垢が顎の動きによって外耳道から外に出ていくのである』とおっしゃっています。
さて、これら耳垢の作用が自然に備わっている不思議を何と見るか?
それとも、進化論で片付けるのかは定かではないが、人間の体の要求や環境によりこの複雑で精巧な作用をおよぼす機能が出来あがったとは、進化論では説明がつかないと、私は考えます。
耳の穴に存在する二種類の耳垢腺と皮脂腺、顎を動かす度にその古い耳垢が顎の動きによって外耳道から外に出ていく素晴らしさは、神仏が創った設計図によるものと考えざるを得ないのです。
---owari---
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