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ほんとうに必要な情報は現場にある

2021年06月01日 | 政治・経済
百貨店に行って、「これから何が売れるんでしょうか」と聞いてみると、現場の人はたいてい「そんなことわからないからお客さんの反応を参考にしている」と言います。

たとえば4月、5月になると、そろそろ海水浴に備えてどの水着を買おうかというお嬢さんがやってきます。そのお嬢さんはまず試着室に行って着てみるそうです。しかし、その段階で買う人はまずいないとか。

まだシーズンには早いし、みんながどれを買うか見てから決めようとでも考えるのでしょうか。女性の心はわかりませんが、とにかく試着しても買わずに帰っちゃう人が多いそうなんです。

「それじゃ大変ですね」と私が言うと、店員さんは、「いいえ、こんなすばらしい情報はありませんよ」と答えてくれた。

「現場にとって大切なのは理論や統計ではない。自分のデパートに来たお客様が着てみるかどうかがポイントだ」と言うのです。
さらにこんなことも教えてくれました。
「気に入ったものを万引きして帰ってしまう人もいますが、それもまた最高の情報、生きた情報なんです」

つまり、思わず万引きしたくなるほど気に入ったものなのだから、それを大量につくって、7月ぐらいに一斉に売り出せばいいというわけです。

そうした現場の情報は、アンケート調査などよりよほど意味があるそうです。
質問を箇条書きにして、どこが気に入りましたか、色ですか形ですか、模様ですか値段ですかなどと聞いても、なんにも役に立たないというのです。

(日下公人著書「『日本大出動』トランプなんか怖くない(2016年6月発刊)」から転載)

---owari---
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