生まれてくる命を胎内で育み、やがて母と子として出会う日を待つ特別な時間。
それは、とても不思議な人生の一時期だ。
コロナ禍の中で、その時期を過ごしている、8月に出産予定の未来のお母さんからズバリ「妊婦が苦しいです」というタイトルのメールを頂いた。
「生まれてくる日が4月27日より前か、あとか」で、10万円給付金の対象になるか、ならないかの境目となる。
「コロナで仕事がなくなり、予定していた産休、育休もなくなった」「定額給付金の10万円では全然足りない」・・・
自治体によっては、4月27日以降に生まれた赤ちゃんに、国の特別定額給付金と同額の給付金を「出産祝い金」などの名前でプレゼントしている。そういう自治体が全国で「少なくとも30以上」と言われている。(朝日新聞)
千葉県習志野市は、その対象を「4月28日から来年の4月1日までに生まれた子ども」としている。「4月1日生まれまでは、同じ学年になるから」という理由で。
お隣の忠岡町でも「4月27日時点で母子手帳がある妊婦さんに3万円の給付金」があると聞く。
メールをいただいた妊婦さんは「お金が必要な時期で、給付金がほしいって言うのも正直な気持ちですが、・・・おなかにいる胎児も頑張って成長しているし、一人の人間として認めて欲しいという気持ちも強い」とおっしゃる。
これは、とても大切なことだと思う。
しかも、コロナ禍のなかで、お母さんも、赤ちゃんも特別な苦労をしている。
「妊娠中」ということで仕事を失い、定期健診の受診も不安を抱え、入院中の面会も制限される。
そんな中で妊娠期間を過ごし、出産の日を迎えるのだから、「よく生まれてきたね」と暖かく迎える自治体でありたい。
17日から始まる市議会の一般質問の中でも、この願い、この声を、届けたいと思う。
7年前、次女が里帰り出産で、初めての我が子との対面を待っていた春。
「元気に生まれてきてね」と祈る気持ちで、ピンクのブーゲンビリアを玄関に置いたことを思い出す。
4月27日時点で、生まれていないので住民票には名前はない。
けれど、名前はなくても、ひとつのかけがえのない命として、この世に存在しているという事実。