元幸福の科学の会員で1987年より三十数年間、在籍し、活動をしてきました。その間を振りかえります。

最初は勉強会だったのに大川隆法氏は1991年に突然に自分は地球神・エルカンターレだと宣言し、宗教法人となった。

2015年の要注意トレンド 「ピケティ」の主張を5分だけ学ぶ

2015-01-13 21:57:22 | 日記

フランスの経済学者トマ・ピケティ氏の著書『21世紀の資本論』が、大きな話題を呼んでいます。

 

同書は、3月米国で発売されるやいなや、米アマゾンで売上ランキングのトップに躍り出ました。日本でも主要な経済誌が特集.昨年12月に日本語訳が出版されてからは、各地の書店で山積みになっています。

 

また、この内容を引用した「アベノミクス批判」や、「日本の格差批判」も噴出。同書は、左翼的考えを持った人たちを勢いづかせ、今後の日本経済にも大きな影響を与える可能性があります。

 

 

読む必要はないが、知っておくべき『21世紀の資本』

しかし、この本をまともに読む必要はありません。日本語版で800ページもある上に、難解な学術的文章が続いています。しかも、内容のほとんどが「史料」の検証。つまり、情報分析の羅列です。

 

ただ、2015年のトレンドを知るにあたり、「ピケティがどんなことを言っているのか」「なぜここまで売れているのか」「その内容にはどんな問題があるのか」ということは知っておくべきでしょう。本欄では、経済学初心者向けに、その内容を簡単に解説いたします。

 

ピケティの800ページにわたる主張を簡単に要約すると、以下のようになります。

  • (1)資本家の資産が増えるスピードは、労働者の所得が増えるスピードよりも早い。
  • (2)つまり資本主義には、資本家と労働者の格差を拡大させる「根本的矛盾」がある。
  • (3)そのことが、過去200年にわたる世界経済の資料を調べた結果わかった。
  • (4)この格差を正すためには、資産への累進課税を、世界中でかけるべきだ。

 

それぞれについて説明していきます。

 

 

格差を生む「r>g」とは?

まず、(1)「資本家の資産が増えるスピードは、労働者の所得が増えるスピードよりも早い」とはどういうことでしょうか。

 

ピケティの言う資産とは、不動産や株式、債券などを指します。こうしたものを持っていれば、株の値上がりや、債券の利子で、さらにお金が入ります。つまり、資産が膨らんでいきます。

 

一方、労働者の所得、つまり給料は、基本的に国の経済が成長するスピードに合わせて増えます。

 

ピケティは「資産の方が、所得よりも早く増えていく」と主張しています。例えば、「100万円分の資産は1年で5万円(5%)増えるのに、10万円の月給は1年で2000円(2%)しか増えない」、といったイメージです。

 

ピケティは、資産が増える「資本収益率」をr、「所得の成長率」をgと呼びます。そして、以上の法則を「r>g」という不等式で表現しています。

 

 

資本主義の根本的矛盾とは?

次に、(2)「資本主義には、資本家と労働者の格差を拡大させる『根本的矛盾』がある」とはどういうことでしょうか。

 

先ほどの例で言えば、「資本主義ではr>gが成り立つ。100万円の資産を持っているお金持ちは、毎年5%のスピードで資産を増やす。一方、資産のない人の10万円という月給は、毎年2%しか増えない。これでは年月が経つほど、両者の格差が拡大する」ということになります。

 

いわゆる「持てる者はますます富み、持たざる者は更に失う」風の考え方です。ピケティは、「このままいけば格差が拡大し、資本主義自体が維持できなくなる」と問題視しています。

 

 

「200年のデータを集めた」ことが注目の理由

しかしここで1つ疑問が浮かびます。「持てる者はますます富む」といった格差批判をしている人は、昔からいます。それなのに、なぜ今ごろピケティがもてはやされるのでしょうか。

 

そのポイントとなるのが、(3)「過去200年にわたる世界経済の資料を調べた結果わかった」という部分です。

 

今まで、ピケティと同じ格差批判をしてきた経済学者は、「物事の因果関係」を組み立てた「理論」で説明しようとしてきました。

 

しかしピケティは、200年分の世界経済の情報を、10年かけて集め、それを統計的に処理することで、「r>g」を導き出しました。これは「理論」というよりも、「経験則」です。

 

今までにないアプローチで「格差」を論じた――。それが、ピケティがもてはやされている理由です。

 

 

ピケティが主張する「グローバルな資産課税」

ピケティは、「r>g」という自身の分析結果を踏まえ、政策提言を行います。それは、「国民の資産にも累進課税をかけて、格差が大きくならないようにする」「お金持ちが海外に逃げないように、世界中で同じ課税を行う」というものです。

 

 

ピケティの問題点

ピケティの、10年かけて200年の経済データを集めたという「執念」には、一定の敬意を表すべきかもしれません。しかし、ピケティの出した結論自体には、様々な問題があります。

 

(1)「r>g」になる理由を示していない

「資本家の資産が増えるスピードは、労働者の所得が増えるスピードよりも早い」と聞いて、「なぜ?」と思った人は多いでしょう。ピケティの問題は、その理由を説明していないことです。あくまで、統計を分析した経験則だからです。

 

(2)統計を信じるのは危険

「理論」と違って、膨大なデータに基づく「統計」は、矛盾を指摘するのが困難です。しかし、統計だからと言って簡単に信じることはできません。日本では選挙前に好景気の統計が発表されるのも、「統計結果は操作できる」ということを示唆しています。

 

ちなみに、2014年5月に英フィナンシャル・タイムズ紙は、データの誤り、曲解、改ざんなどを指摘し、ピケティを批判しています。

 

(3)結果として経済を後退させる

資産への累進課税を強化することは、経済全体に大きなマイナス影響を与えます。ピケティの提案では、金融資産などのみならず、例えば工場の土地や、設備投資などにも課税される可能性があります。赤字に苦しんでいる工場の経営者は大きな被害を受ける可能性があります。

 

事業を行うには一定の資産の蓄積が必要です。その資産に多額の課税がされれば、それだけ経済全体の事業が減ります。経済成長は難しくなり、人々の雇用や所得も減ってしまうのです。それこそ「g」が減るのではないでしょうか。

 

ピケティが10年間かけて集めた、200年間分の経済「情報」は、資本主義の本質を見抜き、実際に経済を豊かにする「智慧」となっているのか――。自分の頭で、一人ひとりがよく考えなければいけません。(光)

 http://the-liberty.com/article.php?item_id=9037

 

 

【関連書籍】

幸福の科学出版 『資本主義の未来』 大川隆法著

http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1353

 

【関連記事】

2014年8月4日付本欄 ピケティの『21世紀の資本論』が世界でブーム 「数字信仰」と「嫉妬心」にご注意を

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8236

 

2015年1月7日付本欄 ドラッカーが予言「資本主義」から「智慧の時代」への転換

http://the-liberty.com/article.php?item_id=9020

 




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする