人心や政治の乱れに合わせて起きる天変地異
歴史上有名な天変地異と当時の時代背景を照らし合わせると、天変地異は人心や政治の乱れ、時代の転換期に合わせて起きていることが伺える。代表的な例を紹介する。
神の怒りに触れた人類の堕落
ノアの大洪水
地上で大洪水が起き、生命が全滅したという、旧約聖書のノアの箱舟の話を知る人は多いだろう。
旧約聖書によると、現在の人類の祖先とされるノアが生まれたころ、地上では悪が横行していた。こうした人類の堕落に神は怒り、地上を浄化するために、大洪水を起こすことを決めた。その際、神への信仰を持っていたノアは神の声を聞いて、箱舟をつくり、自分の家族の他、全ての動物を一対ずつ乗せ、大洪水を生き延びた。
ノアの箱舟は伝説化されている面もあるが、箱舟が流れ着いたとされるトルコのアララト山で、箱舟の残骸らしき構造物が発見されるなど、実話だったという見方も根強い。
信仰者への迫害・享楽的生活
ローマ・ヴェスヴィオ火山噴火
1世紀、繁栄を誇っていたローマ帝国・ポンペイが滅亡したのは、火山の噴火が原因だった。ヴェスヴィオ火山のふもとの町ポンペイは、情欲にまみれ、享楽に酔いしれる人々であふれていた。
さらに、暴君ネロは、キリスト教徒を迫害。64年に首都ローマ市で起こった大火の罪をキリスト教徒に着せて、彼らを残虐な方法で処刑するなどした。
人々の堕落と信仰者への迫害が突然の火山の大噴火を引き起こしたのか、町は一夜にして消滅したとされる。
無神論・唯物論思想の流行
関東大震災
1923年に発生した関東大震災は、首都を中心に死者・行方不明者が10万人以上となる大災害だった。
その6年前には、ロシア革命が起き、その後世界初の社会主義国家であるソビエト連邦が成立。日本でも社会主義が一大ブームとなり、多数の出版物が発行された。最高学府である東京帝国大学などではマルクスやレーニンの書籍がテキストになり、大学の授業で「天皇制を廃止しなければ日本の近代化はない」と暴論が講義されるほどだった(注1)。震災前年には、マルクスの教えを信奉する日本共産党が成立した。
神仏を否定する思想が日本に広がる中、起きた大地震だったと言える。
マスコミ権力の増大
雲仙普賢岳噴火
1991年6月、長崎県の雲仙普賢岳で発生した火砕流により、消防関係者を中心に43人が犠牲になった。
噴火の3年前、バブル絶頂期の日本では、リクルート事件(注2)が起き、リクルート創業者の江副浩正氏はその後、有罪判決を受けた。当時、未公開株の譲渡が贈賄罪に当たるという法律はなかったものの、マスコミはそろって江副氏を糾弾。こうした成功者への嫉妬に基づくマスコミの報道が、バブル崩壊、そして、日本経済低迷の原因の一つになった。
この時期に重なる普賢岳噴火は、マスコミ権力が肥大化して、言論の自由を濫用するようになったこととつながっているようにも見える。
左翼政権の樹立
阪神・淡路大震災
95年1月、阪神・淡路大震災は左翼政権下で起きた。
震災の半年前の94年6月、社会党の村山富市委員長が首相に指名され、村山内閣が発足。村山氏は自身の著書(注3)で、「日の丸の掲揚を強制してはいけない」と主張。在任中には先の大戦を侵略行為と断じた「村山談話」を発表して、日本を貶めた。
愛国心を否定し、神仏への尊崇の念が薄いこの政権は、慣例であった新年の伊勢神宮の首相参拝も見送り、その直後に震災が起きた。95年3月にはオウム教による地下鉄サリン事件も起き、畏れを抱いたのか、村山氏は4月に伊勢神宮参拝を行った。
国防・経済の弱体化
東日本大震災
2011年3月、東日本大震災が起きた。津波も発生し、2万人近くが犠牲になり、福島第一原発では事故が起きるなど、未曽有の大惨事が日本を襲った。
震災に先立つこと1年半前、鳩山由紀夫氏を首相とする民主党政権が誕生。民主党政権は、沖縄の米軍基地の県外移設を主張し、日米同盟に亀裂を入れ、中国の覇権主義を許すなど、国防や外交で国難を招いた。国内では、子ども手当といったバラマキ政策を推し進めるなど、民主党の政策は国を衰退させるものばかりだった。
後任の菅直人首相も、左翼的で唯物的な思想の持ち主。菅政権下で起きた東日本大震災は、経済成長を否定したスローガン「最少不幸社会」が現実化したものと言える。