◆トルコ イスラム国とクルド労働党を空爆 イスラム教にはイノベーションが必要
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トルコは、シリアの「イスラム国」(IS)、イラクの「クルド労働者党」(PKK)の両者を同時に空爆する作戦に踏み切った。
トルコは北大西洋条約機構(NATO)の一員でありながら、今まではISへの軍事攻撃を控えており、ISを殲滅させたい欧米から批判を受けていた。
トルコがIS攻撃に慎重だった理由は、ISがトルコ政権と同じスンニ派であったこと、ISによる報復テロを恐れたこと、シリアのアサド政権をめぐるアメリカとの意見の対立などがあった。トルコ側はアサド政権の打倒が先決で、ISへの攻撃は敵対するアサド政権を利すると考えていた。
今回、ISへの空爆に踏み切った背景には、ISの動きを看過できなくなったことがある。20日には南部のスルチでISによるものと見られる自爆テロが発生し、32人が死亡し、約100人が負傷。その2日後、シリア国境付近でISとの大規模な交戦が起こっていた。
一方、敵対関係にあるPKKとは2013年に停戦合意に至り、その後も和平交渉を続けていたが、今回の空爆で交渉は決裂した。
ISとPKKの同時空爆には、トルコ国内のテロが激化する恐れもある。トルコ国内には6000人ものIS戦闘員が潜んでいると言われ、トルコ各地で報復テロが起こる可能性もある。
今回の空爆により、シリア情勢は一段と複雑化する見通しだ。現在シリア国内では、アサド政権(シーア派)、反政府勢力(スンニ派)、IS(スンニ派)、クルド人勢力(主にスンニ派だが、クルド人としての意識が強い)が四つ巴の戦いを繰り広げているが、トルコ軍が加わることで、戦いの構図が変わる可能性もある。
◎イスラム教圏は、寛容性と欧米による植民地支配からの離脱が必要
欧米はISを悪と見なし、殲滅を目指しているが、トルコのISへの空爆は、必ずしも望ましいとは言えない。シリアでは、シーア派のアサド政権がスンニ派住民の弾圧を続けており、ISの活動はそれに対するスンニ派の復興運動という意味合いもあるからだ。
イスラム教という同じ宗教の中で、これだけ激しい宗派対立が起こっているのは、イスラム教に原理主義的な非寛容性と不自由さがあることを示している。また、この宗派対立は、第一次世界大戦後、英仏などの列強国がオスマン・トルコ帝国を植民地化し、国境線を勝手に引いたことに対する抵抗運動という意味合いも強い。
現在のイスラム教圏の戦いは、イスラム教にイノベーションが必要であることを示している。この戦いに終止符を打つためには、イスラム教の中に寛容の精神を取り込み、欧米の植民地支配から脱するための各国の自助努力が必要だろう。(泉)
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【関連記事】
2015年4月号記事 中東の憎しみの連鎖を断つには——国際政治にも「許し」を(Webバージョン) - 編集長コラム
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2015年5月6日付本欄 シリア・アサド政権が危機に イスラム教圏に必要なこと
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9587
自民党の「日本の名誉と信頼を回復するための特命委員会」(委員長・中曽根弘文元外相)が慰安婦問題をめぐる誤った認識を正すため策定した提言の最終案が27日、分かった。平成5年に河野洋平官房長官(当時)が、慰安婦募集の強制性を認めた談話を発表後、「(強制連行の)事実があった」と発言したことを批判し、政府に日本の立場、取り組みなどの発信を強化するよう求めた。
自民党は28日の党総務会で提言を正式決定し、安倍晋三首相に提出する。
提言は、河野氏の発言や吉田清治氏の虚偽の証言に基づく朝日新聞の一連の誤報を「事実に反する認識を韓国をはじめ国際社会に広めた大きな原因になった」とし、「重大な問題だ」と非難した。
韓国や米国で進む慰安婦像や碑の設置について「著しく日本の名誉を毀損(きそん)し、国益を損なうものとして看過できない」と指摘。米国の公立高校で使われる教科書に「日本軍は14~20歳の約20万人の女性を慰安所で働かせるために強制的に募集、徴用した」などの記述があることについては「教科書などで虚偽を教えて、いたずらに日本の名誉を毀損することは許されることではない」と批判した。
慰安婦を強制連行された「性奴隷」と認定した国連人権委員会の「クマラスワミ報告書」について「(誤った認識が国際社会に流布され)近年でも人権に関する国際的なフォーラムなどで誤った認識に基づく言及が行われることが少なくない」と懸念を示した。
また、米国やオランダなどの議会で慰安婦問題を理由とした対日非難決議が採択されている事態を「憂慮すべき状況」と位置付け、「地域住民のみならず、国民同士の友好関係を悪化させ、日本の名誉と信頼を著しく傷つける結果につながりかねない」と指摘した。
そして、海外に広まった誤解を正すため、政府に対し慰安婦問題について偏りのない出版物の翻訳や国連などでの情報発信、慰安婦像や碑を設置している自治体への働きかけを積極的に行うよう求めたほか、姉妹都市交流や企業間交流などを通じた「『親日派』の開拓」なども盛り込んだ。
ただ、戦時中の慰安所の設置については「根本的に女性の人権と尊厳を著しく傷つけたという点に議論の余地はない」とも指摘している。http://www.sankei.com/politics/news/150728/plt1507280005-n2.html