昔、県外で行われた研修に行ったとき、「徳島県から来ました」と言ったら、「どこにある島」と言われたことがあった。それくらい、我が徳島県の認知度は低かったし、今も変わらないと思う。徳島県と言えば「阿波踊り」くらいしか思い浮かばないという人も多い。県内の過半を山地で占め、狭い平野部に徳島市などの市街があるが、県人口は70万人(もしかすると、既に70万人を切っている可能性もある)そんな、大都市では市レベルの人口しかいない県で、今、統一地方選の真っ最中で、知事選や県議選が戦われている。
県議はともかく、知事は、県職員をまとめて県政に取り組む行政手腕が必要だし、地方行政は名目上は二頭政治でもあるので、県議会との関係を円滑に進めてゆく能力、国が補助金等で実質上地方を支配している以上、国に対しても物を言えることも必要だし、徳島県の抱えている、急速に減少している人口問題と、それから波及せざる得ない社会インフラや産業問題、農林水産業の担い手の問題など、長期的な視野に立った行政手腕が問われることになる。この選挙では単なる身の回りの利害関係や、見てくれのイメージだけで知事を選んではならない理由でもある。徳島県は、全国的に縮減しつつある人口、経済、社会インフラという問題では先頭を行く危機的な状況にあるし、これで、東南海地震でも発生しようものなら、県民の生活は、東南アジアやアフリカの最貧国並みになってしまってもおかしくはないと思う。大げさではなく、それぐらいの危機感が今の知事選の各候補者にはあるのだろうか。知事には、災害や戦争という非常時が生じた際の危機対応能力も必要とされるのである。コロナ禍すら、その前哨であった可能性もある。候補者の中には、企業誘致や四国新幹線という昭和の時代の公約を掲げている者もいるが、大丈夫なんだろうか。