徳島新聞によると、第59回徳島新聞賞の大賞に4月に神山町に開校した私立高等専門学校の「神山まるごと高専」が選ばれたとのこと。起業家の育成というコンセプトや特色のあるカリキュラム、学費無償化や過疎が進む町に活力をもたらしたことなどを選考理由にあげている。確かに、斬新な発想により作られた学校であり、大いに期待も出来るとは思うが、しかし、発足したばかりでもあり、今後どのような成果を生み出すかは、何事もこれからのことではなかろうかと思う。
人口が急速に減少しつつある徳島県、その中でも過疎の進む神山町という田舎町にとっては、この私立高専の開校は、それだけでも大きな出来事であるだろうが、しかし、考えてみると、徳島県などの地方の人口減少の一つの要因は、少子高齢化というだけではなく、社会的な人口移動が大きいと言わざるを得ない。もちろん、徳島県にも高等専門学校もあるし、大学も何校かあるが、成績の優秀な生徒は他県の大学に進学することが多いし、都会で就職して生活する能力のある者は徳島県に帰ってこようとはしない。この私立高専にしても、起業家の育成ということに重きを置くのなら、生徒は卒業後、あえて徳島県に残って起業しようとするのだろうか。近年、県内でも、神山町などにはサテライトオフィスが何社も置かれているが、消費者庁がサテライトオフィス的な部門だけ徳島県庁内に置いて、消費者庁本体や国民生活センターは、全く移転しようとはしないように、各企業もサテライトオフィスは置いても、県内に企業本体は移転しようとは思ってはいない。
地方に残された人々は、概して体制に順応的な人が多く、それ故、縁故や地域の古い決まり事を重視し、いつまでも地域の変化が見られない。未だに、知事選挙ですら、金銭を運動員に配って検挙されたりする人もいる。こんな状況で、VS東京などと前知事が言ってみても、県民の耳には届かないし、その動きもない。私立高専については、少なくとも十年、二十年後を見なければ、地域の発展に寄与するものであったかの評価は出来ないと思う。
ところで、赤池食品が自己破産するという。同社のうどんは、スーパー等でおなじみの物であっただけに残念だ。原料高が倒産の原因の一つだろうが、県内でも倒産する企業が続きそうな予感がする。