SVF-64アンサーズの第29飛行小隊・第30飛行小隊の訓練期間は終わった。
新統合宇宙軍司令部より少しだけの休暇と次の任務に関する詳細も出ている。
もうそろそろ次の任務に向けた活動をしなくてはならない。
すぐさま、今日までに南米の航空基地を中間地点にしながら宇宙施設のあるパナマに向かわねばならない。
ラウラ「いよいよ終わったね、いろいろ疲れたね。」
劉夢華「あら、そう言う割には私と格闘戦の稽古したいとよく言えるわね。」
ラウラ「うん、まぁ格闘戦は私にとっては食べ物のスイーツかな。」
劉夢華「スイーツか・・・つまり甘い物は別腹ならぬ・・・格闘戦は別腹と言うわけか・・・・・」
そんな日にも限ってラウラはハーフパンツにタンクトップ一丁でいる。
夢華は普通の制服だと言うのに・・・・・・
ラウラの格好を見て夢華は勿論、周りがじろじろ見る。
ラウラ「ど・・・うしたの・・・・」
劉夢華「ラウラ・・・その恰好どうかと思うわよ。」
ラウラ「なんで・・・・・」
劉夢華「谷間の見えるタンクトップにハーフパンツ・・・・・恥ずかしいわ・・・・」
ラウラ「なっ・・・・・いいじゃん、これで・・・・」
劉夢華「いいじゃんって・・・・・もう少し恥ずかしさを知ったら。」
ラウラの格好だ・・・・
ハーフパンツに谷間が見え丁度いい大きさの胸を強調する黒のタンクトップ・・・・
どれも色気が出ていて、なんか・・・・恥ずかしい・・・・・
いつもの事なんだけど、アルタミラにいる時も同じような格好をしている。
ハーフパンツは普通なんだけど、タンクトップが際どい・・・・
劉夢華「その格好なんだけど、外ぐらいは・・・・・」
ラウラ「部屋に帰ってからね仕事中にこの格好は駄目だから制服で・・・・それと・・・・業務外の格好は基本これだから。」
劉夢華「む・・・・・・・・・」
仕事中は当然のように制服を着るが・・・・・・結局は現状維持でしかない・・・
あんまり変わらないと言う事・・・・・・・・
もう少し露出とか抑えてくれないかなと夢華は思う・・・・・・・
相沢美弥「あっ・・・モンとラウラ・・・」
ラウラ「美弥じゃないの・・・どうしたの?」
相沢美弥「モンに用があるのよ、これから管制官での最終調整があるから・・・」
ラウラ「そうなんだ。」
相沢美弥「とは言え、ラウラもこれから出撃する準備があるから時間前になったら着替えておいてと吉野大尉から言われているわ。」
ラウラ「そうなんだ・・・了解っと。」
美弥と会ってからは、夢華が管制官での最終調整があるためこの場を離れたため一人になる。
まぁ仕事だから仕方がないかと思いラウラは自分達が借りている更衣室に向かう。
ラウラ「さてと・・・・・・と・・・・と・・・」
美弥から伝えられた大樹の伝言に従い・・・・・ラウラはハーフパンツとタンクトップ姿からパイロットスーツに着替えている。
まだ時間帯に余裕があるためか・・・・着替えている人はラウラだけしかいない。
早めに着替えたのもギリギリになって慌てないようにするためである。
ギリギリになって慌てずにすぐに出撃できるようにしておき、後はのんびり過ごそうと言う魂胆であった。
まぁ誰かに話しかけられて話すのもありだけど・・・・・・・・・
ラウラ「さぁて後はのんびり過ごそうかなぁ・・・・・って・・・・・・メラル・・・・・」
メラル「ラウラ・・・・話がある、少しいいか?」
ラウラ「まだ時間があるから・・・・・・・いいかな。」
そう思っていた矢先に・・・・・・着替え終えて更衣室から出るとメラルがいた。
メラルは少し寂しそうな表情を浮かべながら時間があると聞いてくる・・・・何か話したいのだろう。
この問いにラウラは少し考えると時間があるからと言い了承する。
一体何を話すのだろうか?
また愚痴とか吐いて終わるんじゃないの?
ラウラはいろいろと考えてしまう・・・・・・・
メラル「ちょっとさ・・・・気になる事あるんだけどいい・・・・」
ラウラ「気になる事何よ?」
気になる事・・・・・・・・むしろどんどん胡散臭くなった。
メラルは一体何を気にしているのか・・・・・・自分に対して何を気にしているのか・・・・
ラウラはメラルを厳しい目で見続ける・・・・・
なんとも今のメラルの様子は胡散臭いし・・・・・
どうも信用できないと言うかなんとやら・・・あのメラルだよ・・・・・・・何か企んでいない保証はない・・・・・
でも・・・・・・・・メラルが寂しそうな表情を浮かべているのが分かる・・・・・・・
胡散臭いけど・・・・・寂しそうな表情を浮かべている意味も気になる。
いつもの勝気なメラルは一体何処に行ったのか・・・・・・・・
メラル「ラウラってさ・・・・・・・かつての戦友と交流を持っているの?」
ラウラ「かつての戦友か・・・・・交流しているわ、海兵隊時代一緒に活動した戦友がね・・・・・今では私と同じように可変戦闘機のパイロットになり別のエリアに勤務しているそうよ。話によれば同じクラビウス基地にもいろいろと・・・・・でも、ボドルザー司令との決戦で12名戦死し、その後も新統合軍軍人として戦死した2名.不慮の事故で1名が死んでしまったのを除いてだけど・・・・・行方知らずのキヨラ隊長も含めだけど・・・・」
メラル「そうなんだ、聞いて悪かったね・・・」
ラウラ「いいのよ、まだ私を含め16名生存しているし・・・・今の面々が生きていればいいかなぁと思いし・・・・悲しんでも仕方が無いからねぇ・・・あはははははは」
実際に質問を聞いて見れば、普通であった。
メラルがラウラに聞きたかったのは今も戦友と交流しているかについて・・・・・
そう言えば、普通に交流していたけど・・・ロザなどのゼントラーディ人の同僚から聞かれた事も一度も無かったな。
ラウラは懐かしさのあまりメラルに正直話す。
自分の仲間が死んだばかりか、上官が行方不明になっている事を・・・・・・・・
メラル「確かラウラの上官はキヨラ・テキーヴァ1級空士長だったよね、どんな人だったの?」
ラウラ「ミリア・ファリーナよりも一番上の最高な指揮官だったよ、私はキヨラ1級空士長の為なら死ねると思っていたね。」
メラル「そ・・・そうなんだ・・・・・・・・・・」
ラウラ「でも終戦後、突如消えたんだよね・・・・・さっきも言ったけど・・・・・・・・・行方知れずでさ・・・・・」
メラルからキヨラの事を聞かれると自慢げに言うが・・・・・・・・
キヨラが行方不明になった事が悲しいのか、ラウラの表情も暗くなる・・・・・・・
キヨラが消えたのを知ったのは、機種転換センターで調べ物をしていた際だ・・・・・・・・
一時は統合軍と共闘していたが、終戦後ただ一人部下を残して何処かへ消えてしまった。
自分が乗っていたクァドラン・ローを残して・・・・・・・・・マイクローン装置も使われたと言う形跡も・・・・・・・・・・
その事実を知った時はラウラは泣いた・・・・・・・
自分が慕っていた上官の失踪は・・・・・・
ラウラだけではない、多くのキヨラ隊の生き残りの隊員達も・・・・・・・・
メラル「・・・・・・・・・・」
ラウラ「まぁ暗い話にしてしまったね、ごめんね。」
メラル「別にいいのよ。」
メラルに対しラウラは結果的に暗い話をしてしまった事を詫びた・・・・・・・・・
根は正直であるラウラは、事実や楽しかった事・嬉しかった事・悲しかった事をなんでも言ってしまう。
その結果、雰囲気を暗くしてしまった・・・・・・
メラルはその事に対し気にしてない。
もっと何か暗い何かを秘めており、先ほどまでメラルに謝っていたラウラは次第にそれが気になり始める。
一体どうしたんだろうと・・・・・・
ラウラ「そう言えばメラルの所属部隊の戦友はどうしたのさ?」
メラル「戦友か・・・・・・・・生きている人間は知らないね・・・・・・・知っているのは仲間の死ぐらいだよ。上官は目の前で死んで・・・・仲のよかった戦友ミラリア・フェスクなど皆・・・・・・・生きているのは自分しか知らないよ。」
ラウラ「そう・・・・・・・また・・・だけど・・・・ごめんね。」
実際に聞いて見れば、メラルは多くの仲間をあの戦い第1次星間大戦におけるボドル基幹艦隊決戦で失われていた。
まだ戦友は生きていると思うけど、現時点で知っているのは自分だけ・・・・・・・
下手すれば自分こそが最後の生き残りかもしれない事実・・・・・・
何か悪い事を聞いたなと思った・・・・・・・・
メラル「別にいいのよ・・・・・・・」
ラウラ「で・・・・・・・・これだけ?」
メラル「いや・・・・・・・・・・もう一つ・・・・・・・・」
ラウラ「もう一つ?」
全ての話を聞いたラウラ・・・・・・・・
メラルにもう話は終わりかと質問する・・・・返答の結果はもう一つあると・・・・・・
一体なんだろうか・・・・・・・・・
メラル「親しい同胞がいなくなると寂しいなって・・・」
ラウラ「へっ!?」
ロザ「へっ!?」
ラウラ「ロザいつの間に!!」
親しい同胞がいなくなると寂しいから・・・・・
まさかの答えにいつの間にかいたロザと共に驚いた。
以外過ぎる答えであった・・・・・・・
ロザ「おいおいさっき途中から話を聞かせてもらったけど、フォークランドエリアにもゼントラーディ人とかいるだろ?」
メラル「確かにいるけど、中々会う機会が少なくてそれに陸軍にいるメルトランの軍人は元々少ないのよ。」
ロザ「そうなのか・・・・・・・・」
メラル「まぁ親しい戦友がいるのは事実ですけど。」
フォークランドエリアにはゼントラーディ人に対する差別的意識を持つ人が少なく、他のエリアよりも多い。
ところが、メラルは陸軍に所属しており・・・・
メラルと一緒に行動を共にする同胞・・・特にメルトランが少ないため・・・同族意識的にも寂しい思いをしていた。
親しい戦友がいるためその寂しい思いを打ち消しているが・・・・・・・・・
ラウラ「ところでさ・・・・・なんで陸軍に入ったの?陸軍に入るゼントラーディ人は少ないのに・・・・・」
ロザ「そう言えば、これから宇宙軍が優先で地上軍が冷遇される中で・・・なんで?」
メラル「コマンチが好きだからなんだよ・・・・・私たちの機体にはない独特な性能がね・・・・」
ラウラ「なるほど・・・・・」
そんな寂しい思いをしているのになんで陸軍に入ったのかを聞くと、メラルは遠くにジャイロ形態へ駐機しているコマンチを見て好きだからと応える。
コマンチが好き・・・・・・・なんか自分が可変戦闘機パイロットを目指した時と似ているな・・・・・
なんか親しみが湧く・・・・・・・・・
ラウラは自分が海兵隊時代に可変戦闘機を見て機種転換センターに入った事を思い出した・・・・・
なんだかんだ違えど、メラルも同じなのか・・・・・・・・
しみじみとラウラはメラルの気持ちを共感した・・・・
メラル「それじゃあね・・・私ある準備あるから・・・・・」
ラウラ「さよなら・・・・・・・・・なんだある準備って?」
ロザ「さぁ?」
共感する間もなくメラルは何処かへ行ってしまう・・・・・
一体なんの準備をするのだろうか?
ラウラはロザの方を向いて何か分かるのか確認すると・・・ロザも分からない様子・・・・・
吉野大樹「ラウラとロザ。」
ラウラ「大樹・・・・・それにその格好・・・・まさか・・・」
吉野大樹「時間を見ろ・・・・」
ラウラ「あ”・・・・・」
吉野大樹「出発は寸前の時間だぞ!!それに遅れているのはラウラとロザ・・・・お前ら・・・・二人だ・・・・何をしている!!!この馬鹿!!」
『ごめんなさい!!』
ラウラ達は話に熱中して出撃寸前になっている。
それどころではない、既に他の面々は集まっており・・・・
遅れているのはラウラとロザの二人であった。
すぐさま二人は部隊の集結地点へ急いで向かった。
それから暫く、基地司令官との挨拶した後アンサーズの面々は離陸した。
これでフォークランド諸島における任務を終える事になる。
全機が離陸し終えると・・・編隊に近づく1機の機体があった・・・・
ラウラ「あれは・・・・・・・・・」
その機体の名は・・・・・
コマンチ・・・・・あの番号はメラルが搭乗している機体。
メラル「さよなら・・・・ラウラ・・・・・・また・・・・戦いましょう・・強くなって・・・・・・」
ラウラ「メラル・・・・・・・また・・・・・・会おう・・・・・・・・必ず・・・でも勝つのは私だから・・・・・」
ただ一人、宇宙への帰還のためパナマ基地へ向かうアンサーズ.アルタミラ.早期警戒機を追いかけ・・・・・
ラウラに対し・・・別れの挨拶をする・・・・・メラル・・・・
別れが寂しいのか・・・・涙を流している・・・・・・・・
メラルからの別れの挨拶にラウラも思わず涙を流した・・・・・・・・・・
その後もラウラ達が見えなくなるまで滞空し続けた・・・・・
メラル「さよなら・・・・ラウラ・ベルタリア准尉。」
メラルはそう呟き、ラウラ達が見えなくなったのを確認し基地へ帰還した。
そして・・・・・別の話・・・・・・
メラルはその後も陸軍に在籍した・・・・無事に同胞の男性と結婚し一男四女の子宝に恵まれ・・・・
パイロットを引退した後、南米軍管区司令部航空参謀課長に就任する・・・
その後もラウラ達と出会う事になるのだが、どんな形で再会したのかは後の話に繋がる・・・・・