ダイニングチェアの高さと
位置関係で変化する
座り心地と居心地の差・・・・・。
※建築計画前に事前に家具レイアウを検討する為に家具ショールームにてデザインの方向性を吟味
建築的視点で導く、
快適性と
美しさの両立がある
日常の提案。
日々の生活で、
ダイニングテーブルに
向かう時間は
意外と長いものかも知れません。
建築設計の際に意識する
人体寸法との調和を
家具とのバランスにも
取り入れるだけで
テーブルとイス周りは
格段に快適になります。
「差尺」や
「前後位置」という概念を
建築的な見地から・・・・・。
座る人の動きと
使いやすさ
空間の美しさを兼ねるヒントを
少し書いてみたいと
思います。
差尺(さじゃく)とは?
空間を生かす
イスとテーブルの高さ差の事です。
27~30cmが理想的。
人間工学と
空間計画の交差点的な数値。
ダイニングチェアの
座面高と
テーブル天板高の
関係を示す寸法差が
「差尺(さじゃく)」です。
一般的に 27~30センチが
望ましいとされ、
これは足回りや
膝周りのゆとりを
確保するうえで
重要な値となります。
建築設計では、
建築を輪切りにした
断面図という図面で
家具を配置しながら
この寸法を検討し、
快適性を
最適化することが多いです。
勿論人それぞれの人体寸法と
感覚という概念もありますので
椅子への座り心地と
テーブルとの寸法値を
数値だけではなくて
感覚で味わっていただくように
家の間取りとプラン提示前に
家具ショールームに
ご案内させていただいています。
建築的な計算式で
割り出す「差尺」・・・・・。
さらに厳密に
設計を行う際には、
以下の計算式を。
差尺 = ((身長 × 0.55) ÷ 3) - (2~3センチ)
・身長 × 0.55 … 建築的に想定する “座高” の近似値
・座高 ÷ 3 … 太もも回り・下肢のスペースを意識した目安
・最後の2~3センチは “空間のゆとり” を考慮した分
例えば 身長160cm の場合は、
(160 × 0.55) = 88cm(座高)
88 ÷ 3 ≒ 29.3cm
29.3 - 2~3cm ≒ 26.3~27.3cm
となり、
27センチ前後の差尺 が
数値上では最適といえます。
人間工学の視点を活かして、
負担の少ない座り心地を。
イスの最適な「前後位置」とは?
テーブルの端と
イスの先端を揃える・・・・・。
合わせの美学で導く
快適な居住感。
平面図(プラン)で見た際、
テーブルの先端と
イスの先端が
ちょうど揃う位置が
最も座りやすいとされています。
飲食店などの実施設計でも、
配膳の動線確保と
座り心地の両立を
図ることは
設計を行い際の
建築家の大切な役割。
しかし固定式のイスでは
調整ができず、
不快な間隔に
感じることもあるため、
事前の入念な
レイアウト検討が不可欠です。
レイアウトの落とし穴に注意
計画段階で
家具の具体的配置や
人体のサイズ感、
そして人それぞれの
可動領域を想定せずに
図面を描いてしまうと、
完成後に「イスを引きにくい」
「歩行動線が取りづらい」などの
不具合が生じやすいもの。
そこで、
“実際の使用シーンを想定した
断面・平面の両面検討が重要です。
イスを引いた状態でも、
周囲とのクリアランス(余白)が
十分確保できるか、
収納や開口部の扉と
干渉しないかなどを・・・・・。
使いやすい
ダイニングチェア選びと
レイアウトのコツ。
差尺(27~30cm)を基準に考える
・テーブル天板高をベースに、
差尺を考慮した座面高を選定。
・身長や利用シーンに合わせ、
計算式で割り出すと
さらに精度が上がる。
・平面上で“先端を合わせる”配置を意識する
・テーブルとイスの先端が
揃うように配置することで、
最適な距離感を確保。
・周囲の家具や設備、
動線との兼ね合いも
同時に検証する。
余白スペース(クリアランス)の確保
・イスを引いた状態での動線や、
他の家具との距離を
図面上でシミュレートする。
・ミリ単位の修正が
空間全体の印象や使い勝手を
大きく左右する。
現物での確認
・ショールームや家具店に出向き、
テーブルとイスをセットで試座。
・可能であれば、
自宅の平面寸法と
比較的近い条件で置いてみる。
数センチの違いが生む、
豊かな空間と満足感・・・・・。
建築家がプランを描く際には、
「差尺」や「前後位置」といった
微妙な寸法関係に、
人間工学も持ち込んで
設計を行います。
日常的に長く過ごす場所こそ、
こうした細部にこだわることで
大きな快適性と
満足感を手にすることが
できるもだと思います。
数センチを見直すだけで、
暮らしはもっと上質に。
家具が単に「道具」ではなくて、
空間を構成する
建築要素として捉えるならば、
必ずダイニング空間の居心地が
格段に向上します。
人の感度は様々な状況下で変化します。
その空間での居心地や
暮らしやすさが
日常に良い意味での結果を
生み出すように。
やまぐち建築設計室は
その家に暮らす家族の過ごし方を
デザインする設計事務所です。
暮らしの意識と時間を丁寧に。
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