最近、図書館から借りて読み終わった津村節子の「智恵子飛ぶ」
あの高村光太郎の妻智恵子の一生が描かれて、興味深く読みました。
福島の造り酒屋の長女として生まれ、器量も良く才能豊かな両親が自慢の娘。
両親の反対を押し切って、明治の時代に日本女子大学に入学する才女。
画家を目指していた頃、高村光太郎と出会い結婚。
あの時代に上高地で絵を描いている光太郎を追って、着物姿で徳本峠を越えて上高地入りする智恵子。
一途に思いつめるタイプの行動力ある智恵子。
高村光太郎に愛されて「智恵子抄」に描かれ、幸せな一生だったと思っていたら・・・
貧乏生活と実家の急落・破産、光太郎の才能と比較し自身の画家として開花せず認められない悩み等など、
いろいろあって精神病になってしまう・・・なんて。
精神を病んでから始めた切り絵で才能が開花。
しかし作品は光太郎にしか見せなかったらしい。
この表紙の切り絵も智恵子自身の作品です。
光太郎の「風にのる智恵子」より
狂つた智恵子は口をきかない
ただ尾長や千鳥と相図する
防風林の丘つづき
いちめんの松の花粉は黄いろく流れ
五月晴の風に九十九里の浜はけむる
智恵子の浴衣が松にかくれ又あらはれ
白い砂には松露がある
わたしは松露をひろひながら
ゆつくり智恵子のあとをおふ
尾長や千鳥が智恵子の友だち
もう人間であることをやめた智恵子に
恐ろしくきれいな朝の天空は絶好の遊歩場
智恵子飛ぶ
頭が良すぎるのも微妙かな、ストレスを上手に発散できなかったのでしょうか。
まだ若すぎる52歳の生涯でした。
やっぱり月下美人が今夜開花です。
今回は2個蕾が付いたのに、1個は成長せずに落下。
残った大切な一輪の開花に重い鉢を室内へ。
たった一輪でも芳醇ないい香りがリビングルームに。
前回は3輪一度に咲いたので豪華でしたが、この夏最後の花と思って愛でています。