〇さんと〇崎さんは別人?
社会保険労務士の大澤朝子です。
前回は、年金番号を2つ以上持ってしまった人のための基礎年金番号の「統合」
のお話をしました。
基礎年金番号を2つ以上持ってしまうと怖いことになる、というお話の、きょうは第3話。
ここまで読んでくださった方なら、きっと今日のお話もご理解いただけると思います。
本当にあった、「年金手帳を入社時に会社に提出しなかったために起きた事件!?」
とは・・・。
「〇〇子」さんという氏名の人(20歳)が入社しました。
その人は、履歴書に「〇崎〇子」と書いていましたし、
年金手帳を会社に提出しなかったため、
総務のA子さんは、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」の氏名を
何の疑いもなく「〇崎〇子」と書いて年金事務所に提出しました。
1~2か月経った頃でしょうか。
「〇さん」が、総務のA子さんのところに飛んできました。
「何で、私のところに国民年金の保険料納付の請求書が
来るんですか?! 私は、会社で厚生年金に加入しているんですよね!」
と言って、真新しい年金手帳と国民年金の保険料納付書を出しました。
A子さんは、「はあ~?・・・」。なんのことかわからず、困ってしまいました。
そうです。〇さんは、会社で厚生年金保険に加入していますので、
国民年金に加入する必要はありません。
A子さんは、〇さんの持ってきた真新しい年金手帳と国民年金の保険料納付書
をもって、さっそく年金事務所に聞きに行きました。
結果は、こうです。
〇さんが入社時に年金手帳を会社に提出しなかったために、
会社が届け出た「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」の間違った?
氏名「〇崎〇子」で、新たに基礎年金番号が振り出されてしまった。
(20歳到達時に振り出された基礎年金番号があるはずですが、
同姓同名、同生年月日、同住所の記録がなかったためと思われます。)
一方、国民年金の方の氏名は、正しい「〇〇子」であり、20歳到達時に振り出された
基礎年金番号が生きていた。(この場合、住民票の正しい字で記録されます。)
このため、〇さんに国民年金の納付書が送られてきたーー。
こうして、年金記録上、〇さんと、〇崎さんは、別人と判断されてしまったのです。
総務のA子さんは、〇さんの2つの基礎年金番号を1つに「統合」してもらいました。
(この場合は、厚生年金保険の方で付された基礎年金番号に統合しました。)
こうして、〇さんの年金記録は、生涯一つの基礎年金番号として、無事に生きて
いくことができました。
A子さんもやっと胸をなでおろしました。
ところで、その後ですが、あいかわらず、〇さんが会社に提出する書類には、
氏名「〇崎〇子」であり、時に、A子さんの”プチ”逆鱗に触れることもしばしば
であったということです。
格言。
「会社に提出する履歴書等書類には、住民票通りの正しい漢字を書きましょう。」
「小さな気遣いが、大きな得を生むのです。いえ、年金のお話しです。」