-『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』(ウ・ヨンウ弁護士は天才肌 | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト)
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』第3話「ペンスでいきます」についてアスペルガー博士がナチス協力者として発達障害の子供たちの“命の選別”を行ったことにも言及したことを絶賛していた方が、第4話を凡作と評されていて非常にもやもやしたので投稿。
第3話「ペンスでいきます」は障碍者差別の話からホロコーストまで射程を伸ばす野心的な傑作エピソードだと私も思いますが、その比較によって第4話「3兄弟の対立」が凡作とは私は思えません。
第3話のラスト、ウ・ヨンウが弁護士事務所ハンバダに退職届を提出するところで終わりました。自身が自閉スペクトラム症であることを理由に検事から差別的な言動を受けたこと、またそれを目の当たりにし依頼者で被害者の父親から自閉症の弁護士であるから裁判に勝てないのでウ・ヨンウを担当弁護士から外して欲しいと言われたことで、ヨンウは自閉症である自分が弁護士では裁判に勝てないとの思いから退職を決意していました。ヨンウの気付きや尽力で裁判には勝ったものの、ヨンウ自身は自閉症によってもたらされる社会の壁に打ち砕かれてしまったわけです。ヨンウは第3話では救われません。そしてお父さんの営むキンパ屋さんで働く様子が第4話「3兄弟の対立」の冒頭で描かれます。つまり、当たり前なのですが第4話は第3話の続きです。(韓国の地上波テレビドラマは1週間に2話放送されるのが一般的なようで、本作も水・木にそれぞれ放送されています。印象になりますが、この形式の為か本作を観る限り、奇数話と偶数話がセットになって構成されているように感じます。)
キンパ屋で働くヨンウのもとに親友のトン・グラミがやってきて、父親が父親の兄弟たちに騙された、その為に多額の借金を背負ってしまった助けてほしいと相談されますが、ヨンウは取り返す手段はありそうだと言うものの、ハンバダに退職届を出した自分はもう弁護士ではないから担当できないとやんわり断ります。なんだかんだで父グァンホの提案により、グラミの実家に事情を聴き行くため、お父さんの運転する車でソウルの郊外にあるグラミの実家に向かうのですが。その道すがらヨンウの回想として、ヨンウの高校時代が展開されます。ソウルの高校に通っていたものの苛めに会い、田舎なら苛めがないであろうと言う事で田舎の高校に転校したものの、結局苛めの標的になってしまったことが描かれます。つら…!そんなつらい状況で出会ったのが、変り者として周囲から浮いていたトン・グラミでした。ヨンウへの苛めを目の当たりにしたグラミは正義感と言うよりも、その行為への醜悪さに腹を立てて苛めの主犯格の頭をどつき、クラス内で大立ち回りを繰り広げます。そこからヨンウとグラミは2人は距離を縮めて行くのですが…
Behind every extraordinary attorney is an extraordinary bestie | Extraordinary Attorney Woo 【日本語字幕】
グラミの実家でグラミの父から話を聞くと、韓国の過去の廃止された家父長制的な法律を盾に、末っ子であるグラミの父に不利な契約を強引に結ばされてしまったことが明らかになります。ここでも本作が韓国で未だ蔓延するであろう家父長制的な価値観への疑義が示されます(そして儒教的な考えが残る日本も無関係では無いと思います。)。ハンバダに退職届を提出したヨンウは、弁護士ではない自分では弁護ができないから、ハンバダの弁護士を紹介しようとしますが、先輩弁護士のミョンソクはヨンウに本件の担当をさせます。そしてヨンウは再度弁護士として法廷に戻ります。
重要なのは、傑作だった第3話と比べてこの第4話が凡作などではなく、第3話で自閉症を持って社会を生きることに挫折したヨンウの回復が描かれる重要なエピソードであると言う事です。そして韓国ドラマの週2回放送されるという放送形態を踏まえると、第3話と第4話はセットのエピソードだと思います。
高校時代から自閉症であるが故に周囲からいじめを受けていたヨンウが親友となるグラミと出会いが描かれます。これまで仲は良いんだろうがどういう関係なのかを全く描かれなかったヨンウとグラミの関係性の根源が描かれています。また、グラミの父の裁判もヨンウの禁じ手ギリギリの秘策で一発逆転をすることで自閉症を持つ弁護士であっても裁判に勝てることを証明します(この禁じ手な手法が白眉なのは、兄たちが虚偽の説明を口頭でしたことを”証明”できなかったのですが、一方で兄たちもグラミの父たちの作為を”証明”できないと言う構成になっている点です。)。加えて、ヨンウに想いを寄せるイ・ジュノが単に慰めたり、ハグしたり、キスしたりして癒すなんてことはせず自分が弁護士が必要な状況になったらヨンウに弁護してもらいたいと、ヨンウの能力を認める形でヨンウを励まします。第3話で自閉症であるが故に傷つけられていたヨンウの個人として、弁護士としての回復が描かれます。
ハリウッド映画の”三幕構成”で言えば、2幕目が終了したと言うところです。つまるところ大変重要なエピソードなのです。
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』第3話「ペンスでいきます」についてアスペルガー博士がナチス協力者として発達障害の子供たちの“命の選別”を行ったことにも言及したことを絶賛していた方が、第4話を凡作と評されていて非常にもやもやしたので投稿。
第3話「ペンスでいきます」は障碍者差別の話からホロコーストまで射程を伸ばす野心的な傑作エピソードだと私も思いますが、その比較によって第4話「3兄弟の対立」が凡作とは私は思えません。
第3話のラスト、ウ・ヨンウが弁護士事務所ハンバダに退職届を提出するところで終わりました。自身が自閉スペクトラム症であることを理由に検事から差別的な言動を受けたこと、またそれを目の当たりにし依頼者で被害者の父親から自閉症の弁護士であるから裁判に勝てないのでウ・ヨンウを担当弁護士から外して欲しいと言われたことで、ヨンウは自閉症である自分が弁護士では裁判に勝てないとの思いから退職を決意していました。ヨンウの気付きや尽力で裁判には勝ったものの、ヨンウ自身は自閉症によってもたらされる社会の壁に打ち砕かれてしまったわけです。ヨンウは第3話では救われません。そしてお父さんの営むキンパ屋さんで働く様子が第4話「3兄弟の対立」の冒頭で描かれます。つまり、当たり前なのですが第4話は第3話の続きです。(韓国の地上波テレビドラマは1週間に2話放送されるのが一般的なようで、本作も水・木にそれぞれ放送されています。印象になりますが、この形式の為か本作を観る限り、奇数話と偶数話がセットになって構成されているように感じます。)
キンパ屋で働くヨンウのもとに親友のトン・グラミがやってきて、父親が父親の兄弟たちに騙された、その為に多額の借金を背負ってしまった助けてほしいと相談されますが、ヨンウは取り返す手段はありそうだと言うものの、ハンバダに退職届を出した自分はもう弁護士ではないから担当できないとやんわり断ります。なんだかんだで父グァンホの提案により、グラミの実家に事情を聴き行くため、お父さんの運転する車でソウルの郊外にあるグラミの実家に向かうのですが。その道すがらヨンウの回想として、ヨンウの高校時代が展開されます。ソウルの高校に通っていたものの苛めに会い、田舎なら苛めがないであろうと言う事で田舎の高校に転校したものの、結局苛めの標的になってしまったことが描かれます。つら…!そんなつらい状況で出会ったのが、変り者として周囲から浮いていたトン・グラミでした。ヨンウへの苛めを目の当たりにしたグラミは正義感と言うよりも、その行為への醜悪さに腹を立てて苛めの主犯格の頭をどつき、クラス内で大立ち回りを繰り広げます。そこからヨンウとグラミは2人は距離を縮めて行くのですが…
Behind every extraordinary attorney is an extraordinary bestie | Extraordinary Attorney Woo 【日本語字幕】
グラミの実家でグラミの父から話を聞くと、韓国の過去の廃止された家父長制的な法律を盾に、末っ子であるグラミの父に不利な契約を強引に結ばされてしまったことが明らかになります。ここでも本作が韓国で未だ蔓延するであろう家父長制的な価値観への疑義が示されます(そして儒教的な考えが残る日本も無関係では無いと思います。)。ハンバダに退職届を提出したヨンウは、弁護士ではない自分では弁護ができないから、ハンバダの弁護士を紹介しようとしますが、先輩弁護士のミョンソクはヨンウに本件の担当をさせます。そしてヨンウは再度弁護士として法廷に戻ります。
重要なのは、傑作だった第3話と比べてこの第4話が凡作などではなく、第3話で自閉症を持って社会を生きることに挫折したヨンウの回復が描かれる重要なエピソードであると言う事です。そして韓国ドラマの週2回放送されるという放送形態を踏まえると、第3話と第4話はセットのエピソードだと思います。
高校時代から自閉症であるが故に周囲からいじめを受けていたヨンウが親友となるグラミと出会いが描かれます。これまで仲は良いんだろうがどういう関係なのかを全く描かれなかったヨンウとグラミの関係性の根源が描かれています。また、グラミの父の裁判もヨンウの禁じ手ギリギリの秘策で一発逆転をすることで自閉症を持つ弁護士であっても裁判に勝てることを証明します(この禁じ手な手法が白眉なのは、兄たちが虚偽の説明を口頭でしたことを”証明”できなかったのですが、一方で兄たちもグラミの父たちの作為を”証明”できないと言う構成になっている点です。)。加えて、ヨンウに想いを寄せるイ・ジュノが単に慰めたり、ハグしたり、キスしたりして癒すなんてことはせず自分が弁護士が必要な状況になったらヨンウに弁護してもらいたいと、ヨンウの能力を認める形でヨンウを励まします。第3話で自閉症であるが故に傷つけられていたヨンウの個人として、弁護士としての回復が描かれます。
ハリウッド映画の”三幕構成”で言えば、2幕目が終了したと言うところです。つまるところ大変重要なエピソードなのです。
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