第9地区
2010-08-15 | 休み
―『第9地区』(オフィシャルサイト)
映画を見る前はエイリアンをスラムに閉じ込めるというアイデアは南アフリカのアパルトヘイト政策がニール・ブロムカンプ監督の今作のインスピレーションになったのだと思い込んでいたけど、オーディオコメンタリーを聞くとそれも無くはないんだろうが、直接的には現在南アフリカで問題になっている移民へのホスト側の蔑視的な感情によるのだとか。そこが意外というか新鮮だった。
でも単純な差別と被差別の関係ではなく、完全なる加害者としての悪と完全なる被害者としての善ではなくて、人間はエイリアンの突然の襲来と滞在に迷惑を感じて、帰ることが出来なくなったエイリアンは必ずしもマナーが良いとは言えない描写がいくつもある。エイリアンは確かに抑圧されてはいるが、人間を殺したりもしている。でも究極的にはやはり人間はホストであり、エイリアンはゲストであり、力関係は明らか。
主人公に起こったことを第三者の視点として、冒頭とラストでドキュメンタリー風に描くんだけど、ドキュメンタリー風がとても上手くてそれなりにドキュメンタリーに見える。細部のこだわりはドキュメンタリー部分に限らず、日常の背景と言うか部屋の美術がとても細部にまで描かれていて好感が持てる。特にエイリアンの居住区であるスラムや彼らの家の内装、スラムのエイリアンの服までが現実ではありえないものだけれど、非常にリアリティを持って描かれてる。
エイリアンがやってきた経緯、エイリアンが居住区に追い込まれスラムになった。そこにナイジェリア人移民のギャングが住み着いて、エイリアン相手に裏ビジネスを行っていて、そのボスは黒魔術的な力への執着から人間には扱えないエイリアンの武器などエイリアンに関するものを集め、時にはエイリアンも食べてしまうという描写がそれなりに違和感無く並べられラストに収斂していく。中盤のアクションからラストまで怒涛のアクション展開。批評性はあるけど、前面には決して出しゃばらずエンターテイメントとして素直に楽しい。
そしてラスト。ラストカットがとても哀愁があって。下手なハッピーエンドではないし、現実はあまり変わってないので、むしろ主人公にとって見れば悪くなっている以外の何ものでもないけど、終盤のエイリアンの台詞で単純なバッドエンドを回避して、ハッピーエンドの可能性をわずかながら留保したラストになってる。だからこそ哀愁だけに終わらない、単なるバッドエンドとして取らずに済むようになっているのも良いなぁ。
映画を見る前はエイリアンをスラムに閉じ込めるというアイデアは南アフリカのアパルトヘイト政策がニール・ブロムカンプ監督の今作のインスピレーションになったのだと思い込んでいたけど、オーディオコメンタリーを聞くとそれも無くはないんだろうが、直接的には現在南アフリカで問題になっている移民へのホスト側の蔑視的な感情によるのだとか。そこが意外というか新鮮だった。
でも単純な差別と被差別の関係ではなく、完全なる加害者としての悪と完全なる被害者としての善ではなくて、人間はエイリアンの突然の襲来と滞在に迷惑を感じて、帰ることが出来なくなったエイリアンは必ずしもマナーが良いとは言えない描写がいくつもある。エイリアンは確かに抑圧されてはいるが、人間を殺したりもしている。でも究極的にはやはり人間はホストであり、エイリアンはゲストであり、力関係は明らか。
主人公に起こったことを第三者の視点として、冒頭とラストでドキュメンタリー風に描くんだけど、ドキュメンタリー風がとても上手くてそれなりにドキュメンタリーに見える。細部のこだわりはドキュメンタリー部分に限らず、日常の背景と言うか部屋の美術がとても細部にまで描かれていて好感が持てる。特にエイリアンの居住区であるスラムや彼らの家の内装、スラムのエイリアンの服までが現実ではありえないものだけれど、非常にリアリティを持って描かれてる。
エイリアンがやってきた経緯、エイリアンが居住区に追い込まれスラムになった。そこにナイジェリア人移民のギャングが住み着いて、エイリアン相手に裏ビジネスを行っていて、そのボスは黒魔術的な力への執着から人間には扱えないエイリアンの武器などエイリアンに関するものを集め、時にはエイリアンも食べてしまうという描写がそれなりに違和感無く並べられラストに収斂していく。中盤のアクションからラストまで怒涛のアクション展開。批評性はあるけど、前面には決して出しゃばらずエンターテイメントとして素直に楽しい。
そしてラスト。ラストカットがとても哀愁があって。下手なハッピーエンドではないし、現実はあまり変わってないので、むしろ主人公にとって見れば悪くなっている以外の何ものでもないけど、終盤のエイリアンの台詞で単純なバッドエンドを回避して、ハッピーエンドの可能性をわずかながら留保したラストになってる。だからこそ哀愁だけに終わらない、単なるバッドエンドとして取らずに済むようになっているのも良いなぁ。
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