ABE GUITARS

ギター・ウクレレ制作
フレット楽器全般 修理調整

ブログ再考

2011年04月14日 | ご挨拶
「思索するものは、専門家であると非専門家であるとを問わず、自分にとっての現代と共に考え、現代が提起する諸問題、それが内に包み込む諸問題を自己の責任において引き受け、それらの問題に自分の言葉をもって応答しなくてはならない」(今村仁司 編 「現代思想を読む事典」"はじめに"より引用)

当ブログは、ギター制作・修理に関する技術論的な内容に特化し、政治その他の社会事象を取り上げないことが不文律でした。ギターに限らず、およそ趣味的なものは、関心のある人にしかわからない、ある種世の中から隔絶した浮世的な側面を持っているものと思いますが、だからといって政治や社会的な事柄に無関心(かなり古い表現で言えば「ノンポリ(non-political)」)というわけではありません。逆に、関心があり過ぎるが故に、そういうことを書き始めると収拾がつかなくなってしまうため、敢えて触れてこなかったのです。さらに重要なことは、社会事象については、私は「自己の責任において引き受け」ることができず、「自分の言葉を持って応答」しきれないからです。

しかし、さすがに、今回の震災を無視することはできませんでした。では何を書くのか、どう書くのか、そもそも何故「ブログ」なんて書くんだろうか?休止以降、大学生活4年間に匹敵するくらいの量で、多くの人が考えるであろう事を考えると同時に、他の人がおそらく考えないような考えなくてもいい事を、他の人が考えないようなやり方で、散々考えました。全世界に存在しているおびただしい情報の中ではトップクォーク以下の大きさであろうこのブログの内容について、そんなに大げさに考える必要は実は全くないのですが、つまりは「内なる道徳律」としてどうなのか、という部分で呻吟葛藤していたわけなのです。

思考の螺旋階段を登って得た答えは、つまりは原点に戻り、ギターに関する技術論に特化したブログを書くことしかできない、ということです。初めから出ていた結論ですが、それが唯一、「自己の責任において引き受け」「自分の言葉をもって応答」できることだからです。
コメント
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